裁判所書記官をしている若い女性が書いた小説が、選考員満場一致でポプラ社小説新人賞を受賞したと知って、読んでみたいと思っていました。
惣菜と珈琲のお店「△」を営む24歳の女性ヒロは、晴太、中学三年生の蒼と三人兄弟だけで暮らしている。ヒロが美味しい惣菜を作り、晴太がコーヒーを淹れ、蒼は元気に学校へ出かける。
どうにも不器用で学校ではいじめられ、自分の意見を人前でちゃんと言うこともできないヒロだが、その家は彼女の確かな居場所であり、その生活をずっと守りたいと願っていた。
しかし、遂に破綻が訪れようとする。
”私たちは、やっぱりすぐにやぶれるつぎはぎでしかないのだろうか。”
実はその三人は、血が繋がっていないのです。
三人とも複雑な出自の事情を抱えており、生まれた時から身勝手な大人たちに振り回されていた。
そして惣菜と珈琲のお店「△」は、三人がようやく掴んだ、ささやかな幸せの場所であった。
それが壊されようとしたとき、三人はどう立ち向かっていったか?
”「いっつも食べ物の匂いがしているのっていいじゃん。でも、うちでめし作れるのってヒロしかいないし、おれが作れるようになればなんかいい感じだろ」
「ヒロのおかげって言えばいいだろ、最初から」
なに照れてんだよと春太がつつくと、はあ照れてねえしと蒼がそっぽを向く。
そのやり取りを、小さな箱に入れてしまいたいと思った。箱にしまって、そっととっておきたい。からからと振ったら綺麗な音が聞こえる筈だ。”
親に捨てられ、散々振り回されて傷ついてきた若者たちが、葛藤を乗り越えて自分の脚で歩き出そうとする物語です。
優しい言葉で紡ぎ出され、ある意味童話のようでもありますが、テーマは温かいものです。
惣菜と珈琲のお店「△」を営む24歳の女性ヒロは、晴太、中学三年生の蒼と三人兄弟だけで暮らしている。ヒロが美味しい惣菜を作り、晴太がコーヒーを淹れ、蒼は元気に学校へ出かける。
どうにも不器用で学校ではいじめられ、自分の意見を人前でちゃんと言うこともできないヒロだが、その家は彼女の確かな居場所であり、その生活をずっと守りたいと願っていた。
しかし、遂に破綻が訪れようとする。
”私たちは、やっぱりすぐにやぶれるつぎはぎでしかないのだろうか。”
実はその三人は、血が繋がっていないのです。
三人とも複雑な出自の事情を抱えており、生まれた時から身勝手な大人たちに振り回されていた。
そして惣菜と珈琲のお店「△」は、三人がようやく掴んだ、ささやかな幸せの場所であった。
それが壊されようとしたとき、三人はどう立ち向かっていったか?
”「いっつも食べ物の匂いがしているのっていいじゃん。でも、うちでめし作れるのってヒロしかいないし、おれが作れるようになればなんかいい感じだろ」
「ヒロのおかげって言えばいいだろ、最初から」
なに照れてんだよと春太がつつくと、はあ照れてねえしと蒼がそっぽを向く。
そのやり取りを、小さな箱に入れてしまいたいと思った。箱にしまって、そっととっておきたい。からからと振ったら綺麗な音が聞こえる筈だ。”
親に捨てられ、散々振り回されて傷ついてきた若者たちが、葛藤を乗り越えて自分の脚で歩き出そうとする物語です。
優しい言葉で紡ぎ出され、ある意味童話のようでもありますが、テーマは温かいものです。