Zooey's Diary

何処に行っても何をしても人生は楽しんだもの勝ち。Zooeyの部屋にようこそ!

ニューヨーク旅行7・グランドゼロ

2015年08月31日 | ニューヨーク旅行2015


かのWorld Trade Centerの跡地には今、以前よりも高いワン・ワールド・トレードセンタービルが
建てられています。
ガイドブックによると、テロに屈しないという意味で以前より高く作られ、
その高さは、アメリカの独立宣言の年にちなんだ1776フィート(約541m)なのだそうです。

(South Pool)

(North Pool)

ノースタワー、サウスタワーの跡は巨大な四角い人工池のようなものになっており、
その周りを囲んだ壁には、亡くなった2983名の犠牲者の名前が彫られている。
その横には、「9.11メモリアル・ミュージアム」が今年5月にオープンしたばかりです。



ここは、地上が入り口で、地下7階まで降りて行くという造り。
飛行機激突後のワールド・トレード・センター・ビルの階段を下りながら
避難した人々の気持ちや様子を伝えるためにデザインされた設定なのだそうです。
長いエスカレーターの隣に、変形したコンクリートの階段が。
これは「Survivors' Stairs」(生還の階段)と呼ばれ、ロビーから外に出る場所にあり、
ここまでたどりつくことが出来た人は生還できたのだと。


あの日の光景


行方不明の家族や友人を探す人々の張り紙、崩壊後のビルで唯一残った鉄柱や、
グシャグシャに変形してしまったはしご車、そして夥しい遺品、遺品、遺品。
ある部屋には、PCのモニターのようなものが何台も置かれている。
夫の知り合いが亡くなられたというので名前を検索してみたら
すぐに顔写真、プロフィル、その日何処にいたのかなどの情報がズラリと出て来ました。


変形してしまったはしご車

あれから13年経ったとはいえ、館内にはまだ、すすり泣きの声も。
ここはどうにも生々しく、つらい博物館でした。

9.11Memorial Museum http://www.911memorial.org/
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ニューヨーク旅行6・ホテルウエスティン

2015年08月30日 | ニューヨーク旅行2015
ウエスティンは、東京では恵比寿ガーデンプレイスの奥に佇む高級ホテルです。
そこでお茶やランチをしてよく知っているということもあって、NYのこちらを選んだのです。



タイムズ・スクエアにほど近く、地下鉄42丁目駅の真上。
我々が今回観たブロードウェイの「オペラ座の怪人」のマジェスティック・シアターから
徒歩3分という立地のよさ。
800室以上あるという建物はやたら古く大きく、ロビーもやたら広く、
しかしまあ、東京のウエスティンのような高級感はあまり感じられず…
それでも部屋の中はとても静かだし、アンダーズと違ってちゃんとバスタブがあり、
我々は喜んでお湯に浸かったのでした。



問題はチェックアウトの際。
カード・キーを返そうとすると、フロントのアフリカ系アメリカ人の女性、
ニコリともしないで部屋の飲物代を払えと。
(正確に言うと、登録してあるクレジットカードから落すからサインしろと)
え!?
我々、何も飲んでいないのです。



そう言うと、いや、これを見ろと明細をつきつける。
そのリストには、コーラ7.2ドル2本、水9.6ドル2本、〆て33.6ドルの飲料水代が。
そういえば、外で買った飲物を入れようとしたら、冷蔵庫は既に飲物で満杯だったので
コーラを2本外に出したのでした。
そして冷蔵庫の飲み物リストに水の料金は出ていなかったので
てっきり無料だと思い、2本飲んだのでした(普通、ホテルには無料の水が用意されている)。



そう言うと、飲料水を動かしたのは事実だからとにかく払えと。
いや、私は飲んでいない。
コーラはそもそも嫌いで絶対に飲まないし、水には料金が明示してなかった。
たかだか33ドル(4千円)といえ、飲んでもいないのに払う必要はない。
しかもペットボトルの水1本が10ドル(1300円)って!
絶対サインなんかするものですか。
押し問答の末、彼女、投げ遣りにわかった、もういいと。
しかし最後までこの人の口から、ThankYouという言葉は出て来ませんでした。

たいしたことない部屋とはいえ、ハイシーズンの二泊、10万円近くの料金を
こちらは払っているのです。
その客に対してお礼の一言も出ないとは…
恐るべしウエスティン・タイムズスクエア。


(タイムズ・スクエアの喧騒。ホテルの写真はネットから頂きました)
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ニューヨーク旅行5・ホテルアンダーズ

2015年08月29日 | ニューヨーク旅行2015
ニューヨークに数日間滞在すると決めた時、
夫はホテルは一カ所でよいと言ったのです。
折角だからあちこち泊まってみたいと私がごねて
アンダーズとウエスティンをネットで予約。
どちらもミッドタウン、マンハッタンの真ん中辺り。


(NY市立図書館。ホテルはこの向いに)

アンダーズは、東京では虎ノ門ヒルズにできたばかりで新しく、
勢いがある(ように見える)ホテルです。
予約サイトの口コミを見たら、スタイリッシュだの最新式だの、やたら褒め言葉が並んでいる。
本当は私は、アルゴンキンだとかウオルドルフ・アストリアとかの、
小説や映画によく出てくる老舗ホテルに泊まってみたかったのですが
そういうところは水回りがよくないからと夫が反対したのでした。



アンダーズ、ちょっと変わったホテルでした。
フロントのようなものがなく、エントランスを入った奥に四角く大きなカウンターのような
ものがあり、ホテルマンたちはその上のPCのディスプレィをいじっている。
壁には落書きのようなイラストが。
”マンハッタンの中心、ミッドタウンに建つブティックホテル「アンダーズ 5th アベニュー」。
ニューヨークの高級アパートメントのような雰囲気を醸し出し、まるでミッドタウンに
住んでいるかのように感じられる場所です。通常ツアー客がカウンターで行う
チェックインも、アンダーズ 5th アベニューではロビーのソファでくつろぎながら
タブレット端末で気軽に行うことができます。ホテルに宿泊すると言うよりも、
友人の邸宅に招かれたような感覚を味わっていただくためのアンダーズならではの工夫です。”
との説明が紹介サイトに。
「暮らすように泊まるホテル20選」http://www.tabikobo.com/kurasu_hotel/andaza_5th_avenue/



部屋は確かにモダンではありましたが…
バスルームは黒とゴールドで統一されたお洒落なものでしたが
なんとバスタブがない!
無駄に広いシャワールームと、無駄に細長い洗面室と、無駄に広くドアがないトイレと。
これだけ面積があるなら、バスタブ置いてよ~!
老舗ホテルをあきらめた意味がないじゃん。



ホテルマンに訊いてみたら早速PCでチェックしてくれましたが
生憎我々が予約した日はどれも、バスタブ付きの部屋は埋まっていると。
最大一日三万歩以上歩いた我々、やっぱり熱いお湯に浸かりたかった…

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ニューヨーク旅行4・物価

2015年08月28日 | ニューヨーク旅行2015
円安のせいもあるでしょうが、今回NYの物価の高さに驚きました。
15日、成田で両替した時点で1ドル=127円だったので
このレートで計算します。



メトロポリタン美術館の入場料25ドル、近代美術館25ドル、自然史博物館22ドル。
25ドルなんて三千円以上になります。
消費税は日本と似ていて8.8%。



街角で買う飲物、その果汁成分や店によって異なりますが1~7ドル位、
(私が好んで買ったジュースは4~5ドルで、自販機で120円で買える日本が羨ましかった)
その辺のデリや簡単なイタリアンで、サンドゥイッチやピザに飲物で15~20ドル位、
ちょっとマシなレストランで一番小さなステーキ(それでも食べ切れない)と
サラダと飲物で、チップ含めて30~50ドル位。
結構高いのに、やはり大味の所が多かったような。
レストランよりもむしろデリでのお総菜(これは店によって味も種類も非常に違う)や、
ベーグル屋の焼きたてベーグルの方が、私には美味しく感じました。
しかしこういったお店は、前述したようにサービスの差が物凄くある。
千円以下で、ラーメンやうどんや丼物など美味しいものの選択肢が
いっぱいあって、笑顔で出して貰える日本はいいなあとつくづく実感。



ただその後ヒューストンで、パパブッシュ(前ブッシュ大統領)が贔屓にしている
というステーキのレストランに行ったのですが
そこは本当に美味しく、雰囲気もサービスも素晴らしかったのです。
但し一人100ドル位といいお値段。
やはりお店を選んでお金を出せば、アメリカでも美味しいのか。



ひとつ羨ましかったのは
レストランで食べ残すと、普通に持ち帰ることができるのです。
(to go?と訊かれても、実際には我々は持ち帰らなかったのですが)
これは日本の店では考えられない。
日本のフレンチで、デザートの後に小菓子というものが出るのですが
小食の私にはとっても食べられない。
その、小さなマカロンやエクレアなどを包んで貰えないかと訊いて
申し訳ありませんが衛生上…と丁重に断られたことが何度もあります。

写真はセントラル・パーク、その中にあるジョン・レノンの記念碑。
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ニューヨーク旅行3・地下鉄

2015年08月27日 | ニューヨーク旅行2015
今回、地下鉄をよく利用しました。
なんといっても安いし、分かりやすいし、24時間走っているこんな便利なものを
利用しない手はない。

30年前に比べて、車両が綺麗になっているのに驚きました。
昔は外も中も落書きだらけだったのに…(この写真はネットから頂きました)

今は、ピカピカのステンレス製。
調べてみたら、こちら1988年から日本製の車両が導入されたのだそうです。


落書きの消去が容易な日本製のステンレス製車両が
NY地下鉄の美化に大きく貢献したのですと。
(「日本地下鉄協会NY」から)http://www.jametro.or.jp/world/usa01.html


しかし、ホームは相変わらず汚い。
しかも、熱気がこもって暑い。
我々がいた頃、昼間の気温は33℃位であったようですが
地下鉄のホームに限っては40℃近くあったのではないかと思います。
駅によっては照明が増え、昔よりは綺麗になったようですが
基本、暗くて汚い、こんな感じの所が多いのです。
階段は鋼鉄がむき出しで、まるで刑務所の中みたい…(いや、行ったことないのですが)
東京の地下鉄の、冷房が効いてピカピカの床のホームに比べると、雲泥の差です。
私は今回、地下鉄の線路でネズミを2度も見かけてしまいました。


時刻表なんてものは存在しないようです。
電車がいつ来るかは、行ってみてのお楽しみ。
グリニッジ・ヴィレッジの「ビレッジ・ヴァンガード」でジャズライブを聴いた帰り、
深夜に近くの駅に行くと、制服を着た太った女性が
「No more UPtown!!」と叫んでいる。
何故だか知らないけれど、アップタウン行きの電車がその夜は止まってしまったらしい。
仕方なく我々、タクシーに乗ってホテルに帰ったのでした。


電車の中のポスター。
ちょっと笑えます。
「爪切るの?お化粧しちゃうの?誰だって自分を良く見せたいだろうけど、
ここは地下鉄の中で、トイレじゃないんだからね!」
NYも東京も、同じ問題を抱えているのですね。
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ニューヨーク旅行2・ハーレム

2015年08月26日 | ニューヨーク旅行2015

(ハーレムの教会)

若い頃、吉田ルイ子の「ハーレムの熱い日々」という本を読みました。
フォト・ジャーナリストである著者がハーレムのアパートメントに何年も住み着いて
そこでの日々を写真と文章で著わした本です。
そんな日本女性もいるのかと驚くと共に、生々しい写真や、ハーレムの人々の熱い人情に打たれたものです。
最近だと印象的だったのは、映画「プレシャス」か。
ハーレムに住む主人公のアフリカ系アメリカ人の16歳の女の子は異様に太り、
いつもふてくされており、人生を投げ出しているようである。それもその筈、
彼女は読み書きができず、父親からは性的虐待を、母親からも精神的な虐待を受け続けている。
ソーシャル・ワーカーからそのことを責められた母親が
「あの男に逆らってあの男が私から離れていったら、誰が私を愛してくれるのさ?
誰が私を気持ちよくしてくれるのさ?」 と言い返した言葉が忘れられませんでしたが
これも実話を基にした話だというのだから、驚きます。

ハーレム、怖いけれど行ってみたい。
できたら、本場のゴスペルを聴きたい。
でも、日本の旅行社が主催する「ハーレムでゴスペルを聴こう!ツアー」に参加して
日本人用に観光化されたようなショウを見るのは嫌だ。
そんなワガママな我々、ネットで探して
Bethel Gospel Global Assembliesというのを見つけました。
ここのゴスペルは非常に評判がよいらしい。

日曜日の朝、地下鉄でイーストハーレム125丁目駅に降り立ったら、実に危ない雰囲気。
路上にはゴミが散乱し、アフリカ系やプエルトリコ系アメリカ人の比率が
圧倒的に高まり(というかそればっか)、
酒瓶を手にした目が虚ろな男や、一人で怒鳴りまくっている男などがウロウロ。
ハーレム、今は安全になったって聞いてたのに…
しかも我々夫婦、致命的に方向音痴だったのでした。



地図を片手に緊張しながら歩き回ったのですが、中々見つからない。
教会らしい建物に飛び込んで、そこで目指すBethelGospelAssemblyの場所を聞いてようやく到着。
そこは教会には見えない、大きな四角いビルで
その前に外国人旅行者が列を作って並んでいました。
最終的には100人以上になったか。
我々の前はイタリアから、後ろの人はスペインから来たと。
やはりネットで見つけたのだそうです。



小一時間ほど待って、観光客は2階席に通されました。
結構大きなステージがあり、階下の席は地元の信者らしき人たちでぎっしり埋まってます。
建物の中の写真は控えたので、始まる前の一枚しか御紹介できませんが
あのノリはやっぱり凄いなあ…
腹の底に響く様な歌唱力も凄いが、本当に嬉しそうに歌い、抱き合い、
賛美し合ってる姿を見ると、無信心な私ですすら、
ああやって信じて愛し合うのはいいなあと思ってしまう。
しかも観客側もノリまくって総立ちになり、狭い座席で抱き合ったり、キスし合ったり。
我々はその勢いに呑まれながら、隅っこで大人しく堪能したのでした。
ちなみに観光客も、お礼としてささやかな寄付をします。

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ニューヨーク旅行1・「next!」

2015年08月24日 | ニューヨーク旅行2015


無事、帰国しました。
このところ欧州への旅行が続いていたので、時差はせいぜい6~8時間だったのですが
久しぶりのアメリカはフライトが13~4時間、時差が13時間。
これは今の私には少々きついようで、まだちょっと戻らないというか、体内時計が滅茶苦茶。
遊びですらこんななのに、仕事でしょっちゅう渡米する人は大変だなあ…

昔NYに行った時、面白いけどなんて疲れる街なんだろうと思ったものですが
今回もつくづくそう思いました。
ボーッとしていてはとても生き残れないような。


(犬連れのホームレス)

暑いマンハッタンを歩き回り、水分補給と休憩のために、しょっちゅうカフェで休んだり、
或いはデリ(サンドゥイッチや飲み物などを売っている総菜屋、デリカテッセンの略。コンビニ代わり)や
ドラッグストアや屋台で飲み物を買って、公園などで休みました。
その店員の応対たるや、時々とんでもないものがあります。

例えば、タイムズ・スクエア近くのあるデリ。
アフリカ系アメリカ人の太った中年女性が、ガムをくちゃくちゃ噛みながらレジにいる。
私がジュースを一本出すと、ギロリと睨み、"Is that all?!"(こんだけ?)と怒鳴る。
す、すみません、ジュース一本ばかり買うなんて私が悪うございました、許して、と
逃げ出したくなる。
いや、私だって自販機があったらそっちで買ってるよ、ないんだから仕方ないでしょ!と
自分に言い聞かせ、"Yes,please!”と怒鳴り返す。
すると彼女、お釣りの小銭を投げ出すようによこして
"Next!!"と次の客に怒鳴っていました。
あ、私にだけ怒ったんじゃないんだ…って、慰めになりませんが。



かと思うと、あるドラッグストア(DuaneReadeだったか)の店員はニコニコと機嫌がよく、
ジュースを差し出す私の手を見て
"Wow,What your fantastic nails!"などと褒めてくれる。
(今回、私の夏バージョンネイルは結構役に立ちました)
何処から来たの?日本?いいねえ、オレ、スシ好きだよ!なんて。



NYのサービス、落差がありすぎ…



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ニューヨーク旅行・匂い

2015年08月14日 | ニューヨーク旅行2015
今までに私は、ニューヨークを舞台にした映画を
どれだけ観てきたのだろう、と思います。
印象的だったものを思いつくまま書いてみると
「ゴースト」「ソフィーの選択」「グリーンカード」「恋人たちの予感」
「摩天楼はバラ色に」「レオン」「月の輝く夜に」「ユー・ガット・メール」
「ものすごくうるさくて、ありえないほど近い」etc…
ちなみに「セックス・アンド・ザ・シティ」は嫌いです。
この中で一番好きなのを撰べって言われたら…
やっぱり「恋人たちの予感」でしょうか。

この前数えてみたら、私はどうやら30ヶ国位の国を旅してきたようです。
その中で一番初めに行ったのが、アメリカ、ニューヨークでした。
二十代の結婚前、まだまだ危ないと言われていた85年のNYで一ヶ月を。
初めての海外、初めての一人旅。
その頃の私にとって、NYは憧れの的でした。
実際には、地下鉄で迷って途方に暮れたり、トークンが詰まってしまったり、
マクドナルドで意地悪な店員に怒鳴りつけられたり、バッグを置き引きされそうになったり、
散々な目にも遭ったのですが。
ティアーズ・フォー・フィアーズの「シャウト」やワムの「ケアレス・ウィスパー」や
ポール・ヤングの 「エブリタイム・ユー・ゴー・アウェィ」なんかが流行っていて
マンハッタンのそこら中でそれらの曲が流れていた。
私はだから今でもあの頃のNYというと、それらの曲や、街角の屋台のホットドッグや
プレッツェルの匂いなどを思い出すのです。

あれから色々なことがあったなあ…
結婚し、二人の息子が生まれ、マンションを三度買い換え、タロウがやってきた。
父と義父が亡くなり、母と義母は歳を取り、息子たちは社会人となった。
今の私にあの街はどんな風に映るのだろう?
楽しみなようでもあり、怖いようでもあり。

30年ぶりに、明日から夫とNYに行って来ます。
写真は、やはり昔流行ったスーパー・トランプの「ブレックファースト・イン・アメリカ」。
かの貿易センタービルがしっかり存在しているのも悲しい。

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「スクラップ・アンド・ビルド」

2015年08月10日 | 


文藝春秋今月号に載っていたもうひとつの芥川賞作品。
それにしても純文学の感想を書くというのは難しい。
話題作であるだけに、あまりネタバレする訳にもいかないし。
前回の「火花」といいこちらといい、こういった作品を読んだという
あくまでも備忘録です、自分のための。

87歳の寝たきりに近い祖父を、28歳のその孫、健斗が在宅看護する。
「死にたい」を口癖とする老人を健斗は冷たく見つめ、
そんなに死にたいのなら協力してやろうじゃないかと考える。
手厚い介護をするように見せかけて祖父の活動を阻止し、
祖父の体を弱体化して緩慢な死への導入としようとする。
なんとも薄ら寒くなるような話です。

”今朝の新聞やチラシの束が手つかずでローテーブル上に置かれている。
することがないなら、せめて新聞の見出しを眺めるくらいのことはしたらどうだ。
まるで居候の身をわきまえていると主張しているかのように、
ここにずっと住んでいる母や健斗から許可されるまで何にも手をつけない
祖父のハリボテの奥ゆかしさに鼻白む。”

”「もう、毎日身体中が痛くて痛くて……どうもようならんし、悪くなるばぁっか。
よかことなんかひとつもなか」
背を丸め眉根を寄せ、両手を顔の前で合わせながら祖父がつぶやく。
佳境にさしかかった、と健斗は感じる。
「早う迎えにきてほしか」
高麗屋っ。中学三年の課外学習で見た歌舞伎で、友人たちと面白がり口に
しまくった屋号を思いだす。祖父の口から何百回も発された台詞を耳にしながら、
健斗は相づちをうちもせずただその姿を正視する。”

健斗には恋人もいるのですが、これがまた性欲の処理係でしかない。
日に日に弱って行く、老いさらばえた体の祖父。
眼の前で衰弱する肉体を見ながら、筋トレや自慰に励んで身体を鍛え、
体力を強化しようとする孫。
しかし、ある事件をきっかけに二人の立場は微妙なことに…
作者の、登場人物を描く目の冷やかさには驚かされるばかりです。
自虐的なユーモアも、そこには見受けられるのですが。

老人と若者の双方の立場からの、生への執着をこんなにも後味の悪いものに
描き上げるとは。
お見事、と言うべきなのでしょうか。

「スクラップ・アンド・ビルド」 http://tinyurl.com/qxuebww
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「火花」

2015年08月08日 | 


父が生きていた頃は、毎月とっていた文藝春秋。
昔は、たまに実家に帰る度にまとめ読みするのを楽しみにしていました。
「あほが書いた小説です。あほなりに人間を見つめて書きました。」
という又吉氏の言葉に釣られて、本日発売の9月号を思わず購入。

売れない芸人の「僕」は、熱海の花火大会で先輩芸人の神谷と出会う。
師弟関係を結んだ二人の交流、芸へのもがき、空回りする人生。
笑いの真髄について、あるいは実にどうでもよいことについて
議論しながら生きて行く二人。
自分たちの芸や人生の、微細なことに拘る不器用な男たちの、不器用な生き様。
「僕」は神谷を敬愛し、彼から嫌われたり、芸人としての能力のなさを軽蔑されることを恐れている。
神谷は「僕」を弟子として目をかけ、気を配っている。
そんな二人の、何処まで本気なんだか分からない、漫才のような会話が全編を彩っている。

”神谷さんが相手にしているのは世間ではない。
いつか世間を振り向かせるかもしれない何かだ。
その世間は孤独かもしれないけれど、その寂寥は自分を鼓舞もしてくれるだろう。
僕は、結局、世間というものを剥がせなかった。
本当の地獄というのは、孤独の中ではなく、世間の中にこそある。
神谷さんは、それを知らないのだ。
僕の眼に世間が映る限り、そこから逃げる訳にはいかない。
自分の理想を崩さず、世間の観念とも闘う。”

とても「あほ」とは思えない人生観が淡々と語られます。
テンポのいい関西弁のやり取りが、愉しくてそして悲しい。
年月が経ち、「僕」は少しずつ売れて行くが、神谷は少しづつ壊れて行く。
終盤の神谷の行動はしかし、私には納得できるものではありませんでした。
あまりにもシュール過ぎるし、それに対する「僕」の反応はあまりにも
現実的過ぎる気がします。
どう着地するのかと期待しながら読んだのですが…
ちょっと残念。

「火花」 http://tinyurl.com/pr74t6f
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