1969年、宇宙飛行士のニール・アームストロングが人類で初めて月に降り立つまでを描いた映画。
「ラ・ラ・ランド」のデイミアン・チャゼル監督とライアン・ゴズリングのコンビが
再びタッグを組む。
宇宙船に乗るシーンでは、ニール船長の目線で捉えられた画面が多く登場し、
観ている我々も、狭いコックピットに閉じ込められたような気分になります。
想像を絶するような揺れ、耳を塞ぎたくなるような爆音。
こちらも窒息しそうな恐怖に襲われる。
しかも、アポロ11号が成功するまでには数々の失敗例があり、
ニールも墜落して炎上する宇宙船から命からがら脱出したり、
親しい宇宙飛行士仲間を何人も、凄惨な状況で亡くしたりしている。
それでも東西冷戦下、宇宙開発でソ連に先を越されてしまった米国は
政府の威信をかけて、人類初の月面着陸成功をNASAに要求する。
ニールはまた当時、幼い娘を病気で亡くすという悲しみも抱えていた。
寡黙なニールは、恐怖も悲しみも飲み込んで、黙々とミッションに挑む。
雄大な宇宙飛行スぺクタルを観に行ったつもりだったのに
これほどまでに緊張を強いられ、恐怖を味わうことになるとは。
映画のパンフレットによると、アポロ11号に搭載されたコンピューターの性能は
なんとファミコン以下だったということです。
宇宙飛行士たちにとっては、万一生きて帰れたらラッキーというくらいの
難易度の高いミッションだったのですね。
月面着陸の瞬間は、無音のシーン。
この映画には、成功した瞬間、NASAの管制室に歓声が沸き上がり、
大勢のスタッフが抱き合って喜ぶという、宇宙ものにお約束のシーンもないのです。
主役のニールの性格と同じく、地味で寡黙な映画です。
(2015年NASA)
2015年にヒューストンに行った時、NASAも訪れました。
アポロ11号が通信した管制室や宇宙飛行士の訓練用のシュミレーター室、
シャトルの実物などをじっくり見ることができました。
鉄の塊のジェット機が何万キロの距離を飛ぶこともよく理解できない私は
こんな巨大な宇宙船が月まで飛ぶなんて、想像することもできない。
人類未踏の偉業を成し遂げるということの裏には
こんなにも凄まじい犠牲があったのかと、今更ながらに驚きました。
(2015年NASA)
公式HP https://firstman.jp/