Zooey's Diary

何処に行っても何をしても人生は楽しんだもの勝ち。Zooeyの部屋にようこそ!

「騎士団長殺し」(ネタバレなし)

2017年02月26日 | 


金曜日に発売された、春樹4年ぶりの長編。
週末の楽しみにしようと思っていたのに、土曜の夜には読み終わってしまいました。
ネタバレするわけにはいかないので、感想ではなく、簡単な印象のみ記します。

「その年の五月から翌年の初めにかけて、私は狭い谷間の入り口近くの、山の上に住んでいた。
夏には谷の奥の方でひっきりなしに雨が降ったが、谷の外側はだいたい晴れていた・・・
それは孤独で静謐な日々であるはずだった。
騎士団長が顕れるまでは。」(『騎士団長殺し』第一巻の背表紙より)

顔を持たない男から肖像画を描くことを頼まれるという
不可思議な話から、プロローグが始まります。
謎に巻き込まれる主人公、ベッドシーン、お洒落な(或いは不可解な)登場人物たち、
イデア、メタファー、孤独、異次元の世界、そして謎。
「世界の終わりとハードボイルド・ワンダーランド」や「ねじまき鳥クロニクル」と
少々似通ったところがあり、鼠や羊男が現れそうな気がします。
が、無論そんなものは現れず、代わりにオムレツやローストビーフ、チーズトースト、ザッハトルテなど
美味しそうなものがあちこちに。
モーツァルトの『ドン・ジョバンニ』やシュトラウスの『ばらの騎士』は
重要な舞台装置として登場します。
クラッシック音楽に飽き足らず、ローリング・ストーンズやセロニアス・モンクやヒューイ・ルイスなども。
相変わらず小物使いが上手いなあ。
小田原のゴミ収集車の音楽が「アニーローリー」だとは知りませんでした。

私は春樹の作品は、理解しようとはハナから思っておらず、
ただ楽しみたい、その心地よい空間にちょっとお邪魔させて下さいという
スタンスで臨んでいるような気がします。
好きな作家の分厚い新作を抱えた週末の夜の幸福感は、何物にも代えがたい。
その分、読み終えた後の寂しさも中々のものですが…

「騎士団長殺し」 http://www.shinchosha.co.jp/harukimurakami/
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「この世界の片隅に」

2017年02月23日 | 映画


わずか65館の上映から始まったというこの作品、
どんどん拡大して我家の近くでも上映されるようになり、ようやく観て来ました。
昭和19年、絵を描くことが好きな18歳のすずは、広島から呉に嫁ぐ。
のんびり屋でボーっとしていると言われ続けたすずだが
持ち前の明るさと天然さで、嫁としての家事をこなしていく。
しかし戦禍は次第に悪化して行き…



日常を丁寧に描くことで戦争の恐ろしさを伝えるということが
どういうことなのか、自分の目で観て、ようやくわかりました。
確かにこの作品には、戦闘シーンなどは全く出て来ないのです。
画面の中では海や畑や風が眩しく光り、登場人物たちは地味に、しかし誠実に
その日その日を生きている。
しかし、穏やかな日常生活の中に、戦争はじわじわと侵入して来るのです。
そしてある日、すずのささやかな幸せは、破壊される。



自分の心の奥に隠しているつもりの脆い部分を
この作品は、実に上手に掴み出して揺すぶってくれる。
平和な、だらだらとしたすずの日常を、少々退屈するような思いで楽しんでいると
いきなり、奈落の底に突き落とされる。
しかもそこからも、毎日の暮らしは連綿と続くのです。
泣きたいような、鼻にツンと来るような、なんとももどかしい思い。
そこにコトリンゴの切ない歌声が、優しく絡まって…



この作品はまた、自分探し、自分の居場所探しの話でもある。
そりゃいくら呑気なすずだって、自分の居場所がなくちゃ生きていけないよねえ。
日々の暮らしを丁寧に送ることで、(結婚するまで顔も知らなかった)夫を少しづつ愛することで
すずは一生懸命、自分の居場所を作っていた。
遊女リンの言葉が、心に残ります。
「誰でも何かが足らんぐらいで、この世界に居場所はそうそうのうなりゃせんよ、すずさん」

公式HP http://konosekai.jp/
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笑うウサギ

2017年02月21日 | 社会


折り紙の会社ダイヨが最近、倒産したのですって。
ダイヨと言われてもピンと来ませんが、この写真を見れば、ああこれと。
子どもの頃、散々お世話になりました。
新しい折り紙を手にしたときのワクワク感は、今も忘れられない。
光り輝く金紙と銀紙は、宝物のようで中々使えなかったなあ。

ダイヨが大阪の老舗会社だということも知りませんでした。
明治24年創業ということは、120年以上も頑張っていたのか。
気の毒に。
自分も大人になり、息子たちも大きくなってしまって、
折り紙とは縁がなくなって久しいのですが
倒産と聞くと、なんだか胸が締め付けられます。



そう言えば近年、エーゲ海を大型船でクルーズした時に
思いがけなく、折り紙に遭遇したのでした。
客室のベッドに置かれた、タオルで作られたウサギ。
これ、折り紙の応用じゃん。
嬉しかったので、客室備え付けのメモ用紙でコップを折ってチップを入れて置いたら
次の日、ウサギの口元が笑っていました。
その写真を撮っておかなかったことが残念…


「折り紙といえばこれでした」大阪の老舗倒産、ショック広がる
http://j-town.net/tokyo/news/localnews/239354.html
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捕らぬ狸の皮算用

2017年02月20日 | 社会
FaceBookでこの記事を見つけて笑ってしまいました。
”「何だこの生き物は!」 日本固有種の動物の存在に外国人が衝撃”
その動物というのが、タヌキなのです。



タヌキなんて…
昔話や童謡やことわざに嫌というほど登場するし、
蕎麦屋の店先にその信楽焼が立っていたりする。
何処だったか山奥の旅館の露天風呂の近くで、野生の姿を一瞬見かけたこともあります。

それほどまでに我々に馴染みのある、庶民的なイメージのタヌキが、
海外では、そこまで珍しいなんて。
この記事によると、元々世界的には珍しい存在であることに加えて
以前は日本と中国大陸のタヌキは同一のものとされてきたのが
近年、大陸種とは異なる、日本固有種であることが判明したのだそうです。



そう言えば数年前にシンガポールの動物園で、
日本から贈られたタヌキが、パンダ並みに珍重されたというニュースを読んだような。
この記事に出てくる、海外からの声というのが面白い。
ジブリのぽんぽこりんだとか、ワンピースのチョッパーだとか、スーパーマリオに出てくるとか、
みんなよく見てるねえ。

日本では絶滅危惧種と言われているカブトガニが
ベトナムだったか普通に食べられていて、驚いたことがあります。
でも卵がビッシリで、あまり美味しい物ではないと聞いて
ご遠慮申し上げたのでした。
所変われば、ということなのでしょうか。


(ハロン湾にて2014)

海外「何だこの生き物は!」 日本固有種 タヌキなる動物の存在に外国人が衝撃
http://kaigainohannoublog.blog55.fc2.com/blog-entry-2189.html
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容疑者の反省ポーズと「奇跡の教室」

2017年02月16日 | 映画


器物損壊の疑いで現行犯逮捕された容疑者の反省ポーズ。
ポケットティッシュは半減。
タロウよ、ティッシュ食べても美味しくなかろうが…( ノД`)





去年の夏公開された単館上映作品、今月DVDになったので鑑賞。
貧困層が暮らすパリ郊外の底辺校。
その中の、さらに最悪の落ちこぼれクラス。
担当した教師が、アウシュビッツというテーマで全国歴史コンクールに参加させることによって、
やる気のなかった生徒たちを別人のように変えるという実話ベースの物語。
そのコンクールの様子を、もっと見たかった。
子どもの頃からこんなことしてたら、フランス人は議論に強くなる訳だよね…

「奇跡の教室」 http://kisekinokyoshitsu.jp/
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「それを御すのはお客様自身」ーエルメス特集

2017年02月12日 | 社会


銀座エルメスビルのてっぺんに、馬に跨った人形の置物があることに気が付いたのは
いつのことだったか。
そう、丁度この雑誌の表紙のような像です。
雑誌Penの最新号は、エルメス特集。

1873年に馬具工房としてスタートしたというエルメス。
CEOやアーティスティック・ディレクターへの独占インタビューに始まって、
世界中のクリエイター30人に聞いた、愛用のエルメスの品が紹介されている。
日本では歌舞伎俳優の中村吉右衛門氏の、パリでオーダーしたという旅行鞄。
注文から3年越しに完成した物なのだそうです。
一体お幾らくらいしたのだろう…?



エルメスといえば、10年位前に話題になった「電車男」。
あの主人公のオタク青年が、電車の中で酔っ払いに絡まれた美女を助けて
そのお礼に贈られたのが、エルメスのティーカップだった。
そんな高価なものを、そりゃ気があるんじゃないかとネット住人たちが盛り上がって、
気の弱い主人公を励まし、ヒロインの名前はエルメスとなったのでした。



エルメスのバッグ、バーキンは魅力的だけどあまりにも高すぎて
自分には分不相応だと思っています。
せいぜい財布やカレ(スカーフ)くらいか。
この特集記事によると
馬車と従者のみ、主人がいない様を描いたこの商標は
「エルメスは最高品物を用意しますが、それを御すのはお客様自身です」
ということを意味しているのだそうです。



そうだ、エルメスの香水が私は好きだったのでした。
数年前から「地中海の庭」「ナイルの庭」「モンスーンの庭」という庭シリーズが出て
それまで、フェラガモやエスティ・ローダー等の控え目な甘さのフローラル系の香りが好きだった私は
そのなんとも斬新な爽やかな香りにショックを受けたのでした。
最新作の「李氏の庭」も含めて、このシリーズは全部試しましたが
この中では「モンスーンの庭」が一番好きです。
香りを説明するというのは非常に難しいが
「ライム、グリーンノート、カルダモン、ジンジャーリリー等の香り」なのだそう。
夏になるとつけたくなる、爽やかな香りです。

Pen http://www.pen-online.jp/news/info/pen_hermes_issue/
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「未来を花束にして」

2017年02月10日 | 映画


20世紀初頭のイギリスでの女性参政権運動を、実話をもとに描いた作品。
1910年、陰鬱なロンドンの寒空の下、洗濯工場で働くモード(キャリー・マリガン)。
劣悪な労働条件の工場で7才から働き続け、貧しいながらも
なんとか夫と幼い息子と平和に暮らしていたが
ふとしたきっかけから、女性参政権運動に興味を持ち、参加するようになる。
平凡な無学の主婦として最初はおずおずと、そして次第に確信を持って。



しかしデモに参加しただけでも警官に殴られ、投獄される時代。
夫は激怒し、家から追い出され、息子も奪い取られる。
その頃の女性は、子どもに関する親権もなかったのですね。
彼女らの次第に過激になる行動は、今のテロリストと重なるものもあり、
首をかしげる部分もあるのですが、しかし参政権や親権、
今では当たり前のこれらを勝ち取るのに、なんと血みどろの歴史があったことか。



こうした闘いの末、女性の参政権が与えられたのは、英国では1928年。
エンドロールで世界中の色々な国の、女性参政権が認められた年が出て来ます。
日本は闘いの末に勝ち取ったのではなく、終戦後アメリカから与えられた。
スイスが1971年と、意外に遅いのに驚きました。
そしてサウジアラビア2015年!
これにも驚きましたが、しかし世界には未だに無い国もあるのですよねえ。

原題「Suffragettes」は、女性参政権を求めて運動した人々を指す言葉。
これでは日本では分からないとしても、この訳の分からない邦題は…( ノД`)

公式HP http://mirai-hanataba.com/
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半年間機嫌よくさせる方法

2017年02月06日 | 家庭


シクラメンの写真をSNSに出したら、意外に好評でした。
これらの鉢は昨年11~12月頃に買ったもの、写真は昨日撮ったものです。

毎年、冬の初めにシクラメンを購入して
5月頃まで、約半年間楽しみます。
マメな人は夏越しもさせるのでしょうけど
私は連休明け頃、花が終わったらさっさと捨てます。
夏越しも何度か試したことがあるのですが
葉っぱだけの鉢にずっと水をやり続けるのも面倒だし、
手間をかけた割には、次の冬にはみすぼらしくなってしまう。
豪華な切花を買っても1週間も持たないことを思えば
この値段で半年楽しめたのだから十分だと思って。

基本、リビングの窓際に置いていますが、暖かい所に置きっ放しにすると
葉っぱばかりヒョロヒョロ伸びて、花付きが悪くなってしまう。
我家のリビングは南向きで日当たりが良すぎるので
時々、北側の寒い部屋に移してやる。
水を絶やさず遣り過ぎず、週に一度液肥を与え、花ガラを適宜摘み取る。
それだけの手間で、綺麗な花を半年間、機嫌よくつけてくれます。



シクラメンに甘い香りがあったらどんなにいいかと思うのですが。
以前、匂い付きのが品種改良されてできたというニュースを読んだ覚えがあるけど
その後聞かないということは、まだ普及してないのかな?
そこまで望むのは欲張りか…
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一ヶ月ぶりに

2017年02月03日 | 社会


FBでこの写真を見てギョッとしました。
イラクの動物園で唯一残ったクマとライオンに、一ヶ月ぶりに餌が与えられたというのです。
檻の中のライオンが見つめているのは、死んで埋められた雌ライオンだと。
二匹とも無残に痩せ細って…
第二次大戦中に餓死させられた、上野動物園の象の花子のことを思い出しました。
骨と皮になるまで痩せ細っても、餌が欲しくて一生懸命芸をした哀れな花子。
でもそれは70年以上前の話、そしてイラクは今現在の話なのです。




たまたま同じ日の今日、FBでこの写真も目にしました。
"My captain friend sent me this photo. Saudi prince bought ticket for his 80 hawks."
というキャプションが。
サウジアラビアの王子様が、80羽の鷹を飛行機に乗せたのですって。
中東の王族たちは、今も鷹狩を楽しんでいるのだそうです。
イラクとサウジアラビア、隣り合っているのに…


モスルの動物園、唯一残ったクマとライオンに1ヶ月ぶりの給餌
http://jp.reuters.com/article/starvingzoo-idJPKBN15I0ML

My captain friend sent me this photo
https://www.reddit.com/r/funny/comments/5qzkz4/my_captain_friend_sent_me_this_photo_saudi_prince/

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「僕と世界の方程式」

2017年02月02日 | 映画


数字と図形だけが友だちだった天才少年ネイサン。
他人との意思疎通が苦手で、自閉症スペクトラムと診断されながらも
国際数学オリンピックでメダルを目指して成長する姿を追う。
ネイサンがオリンピックで手にした、メダルよりも素敵なものとは…

冒頭でネイサンの父親が亡くなって驚かされます。
ネイサンの、唯一無二の理解者であった父親。
残された母親ジュリーがどんなに頑張っても、父親の代わりにはなれない。
こんなに息子を愛して頑張っているのに。
その母親としての、焦りと苛立ちが悲しい。
この人、何処かで見た顔だと思ったら
「ブルー・ジャスミン」の妹の役のサリー・ホーキンスでした。
あちらでも、美しい姉に比べられる役回りの妹を好演していました。



ネイサンは他人と肌を合わせることを異常なまでに嫌悪して
母親と手を握ることもできないのに
台湾のオリンピック合宿で出逢った中国の少女、チャン・メイは
お構いなく彼の手を握って連れ回す。
最初は困惑するものの、ネイサンも次第に彼女との距離を縮めるようになる。
ためらいながら、ドキドキしながら。
その辺りの思春期の甘酸っぱさ、みずみずしさは、さすが「リトル・ダンサー」の
制作陣によるものと唸らされます。



ラストはちょっと甘すぎるのじゃないかと思うのですが
これが実話だというのですから…
映画のポスターにあった大道芸人にして数学者のピーター・フランクルの
「僕がIMOに参加した時、自閉症の人は二人いた。
 一人は数学者に、一人は今や施設に。
 その分かれ目は、自分を大切にしてくれる恋人の有無であった」
という言葉が印象的でした。

原題は「X+Y」。
公式HP http://bokutosekai.com/
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