キューバでお世話になったローカルガイドは、元気で明るいキューバ人のY嬢でした。
ハバナの大学で日本語を学んだという彼女、実に上手に日本語を話し、日本文化に詳しく、「日本が死ぬほど好き!」というのです。
キューバでは基本、個人の海外渡航は許されていないのだが、彼女は日本人の知り合い(以前のツアーガイドで知り合ったらしい)から「招待」され、去年、日本に初めて遊びに行き、何から何まで夢のようだったと。
その彼女に様々なことを質問すると、嫌がらずに丁寧に答えてくれました。
彼女によると、キューバの平均月収は50ドルだというのです。
食料は配給制だが量も種類も非常に少なく、例えばパンは一日一人一個、卵は1ヶ月に5個。
そのパンも、私たちがホテルで食べるようなふわふわの物ではなく、小さくて硬い。
スーパーに行っても棚はスカスカ、配給される食品も乏しく、本当に物が無いのだと。
これは旧市街の八百屋。奥の方に野菜がちょっぴり。
私が泊まったホテルは500室以上の立派な建物で、大きなプールやテニスコートもあり、部屋もゆったりとして、朝食はビュッフェスタイルのリッチなものでした。
ハバナ滞在中に行ったレストランも、ヘミングウェイが愛したフロリディータを始め、何処も中々立派なものでしたが、そのようなホテルも店も基本、外国人専用であるらしい。
街を疾走するピカピカのクラッシックカーも、外国人用の観光タクシー。
地元の人たちは…そもそも車なんて普通の人には買えないのだと、Y嬢の弁。
キューバでは教育費と医療費は無料。
それは素晴らしいが、一生懸命に勉強しても望むような就職先がない。
しかもどんな職業についても公務員であり、給与はたいして変わらないので勤労意欲が湧かない。
医療現場でも、薬や用具は慢性的に不足しているのだと。
普通の人はインターネットできるの?と聞くと
できるにはできるが、機器もネット料金も高いし、監視付き。
FaceBookはできるが、例えばお上の悪口など、言いたいことは言えないのだそうです。
大体、月収50ドルでスマホやPCをどうやって買うのだろうと思ってしまう。
彼女は人気ガイドとして成功者の部類のようで、スマホを使っていましたが。
日本の物質文明を知ってしまった彼女はしかし、日本にまた行くことが夢だけど、日本に住みたいとは思わない、やはり住むのはキューバがよいと。
様々な不満は「しょうがない」とあきらめて、キューバ人は家族や友人を愛して明るく生きるのだと。
確かに街を歩くと、あちらでもこちらでもラテンやジャズの音楽が聞こえ、人々は陽気に踊っている。
「ブエナ・ビスタ・ソシアルクラブ」のワンシーンのように、通りで、広場で、レストランで、本当に老いも若きも楽しそうに踊っているのです。
そんなに不自由な生活なのに、どうして?
私の胸の中には疑問符が渦巻くばかりだったのでした。