1939年コロンビア大学に入ったJ・D・サリンジャー(ニコラス・ホルト)は裕福な家の生まれだが
父親が期待するように家業を継ぐ気にはなれず、作家を志していた。
教授であり、ストーリー誌の編集長でもあるウィット(ケヴィン・スペンシー)を師とし、
ようやく短編を掲載されることになったものの、軍隊に入り、第二次大戦に従軍することになる。
ノルマンディ上陸作戦にも参加し、多数の仲間を失い、心身ともにボロボロになり、
その戦争体験に苦しみながら、血を吐くような思いで書き上げたのが
「ライ麦畑でつかまえて」だった。
その小説の主人公ホールデン・コールフィールドの台詞が
映画の中のあちこちに挿入されています。
「ライ麦畑でつかまえて」「ナイン・ストーリーズ」「フラニーとゾーイ」など
中学生の時に一通り読みました。
「ライ麦畑…」の主人公ホールデン・コールフィールドは反抗的で、有名高校を次々と退学となり、
何処にも居場所を見つけることができない。
学校の寮を飛び出し、NYの街を彷徨って酷い目に遭い、こっそり家に帰る。
ライ麦畑で遊んでいる子どもたちが崖から落っこちそうになったらつかまえる、
ただそういう人になりたいんだ、と妹に告白する。
それだけの話です。
永遠の青春小説、アメリカの文学史に残る傑作などと言われているようですが
私は実はちっとも好きではなかった。
イノセンス(無垢)というテーマがプンプン匂っているようで、気恥ずかしいような思いでした。
後の二作も妙に理屈っぽく、意味あり気なメタファだらけのように見えたのです。
それなのに、15年ほど前に作ったトールペイントのホームページのタイトルを
「ナイン…」の「バナナ・フィッシュにうってつけの日」から「Banana Fish's Room」、
ブログのハンドルネームを「zooey」としたというヒネクレ者です。
でも、好きじゃないと言いながらも、いつまでもその名前が心に残っているということは
何処か惹かれるものがあったのでしょうね。
私はサリンジャーに対して反抗していたのか。
サリンジャーがほんの数冊を書いて以降、隠遁生活を送っていたということは有名ですが
どんな経緯で、どういう思いであの小説を書いたかということはまるで知りませんでした。
あの軽い文体の小説が、そんな圧倒的な苦しみの中から生まれていたのだとは。
この映画は、『サリンジャー 生涯91年の真実』ケネス・スラウェンスキー著を基に
作られたようです。
「ライ麦畑の反逆児 ひとりぼっちのサリンジャー」(原題:Rebel in the Rye)
https://www.rebelintherye-movie.com/
#welovegoo