ドイツ警察戦後最大の失態と言われる、ネオナチによる連続テロ事件を
題材にした物語。
「そして、私たちは愛に帰る」などのファティ・アキン監督。
ドイツ人女性カティヤ(ダイアン・クルーガー)はトルコからの移民であるヌーリと結婚し、
6歳の息子と幸せに暮らしていた。
ヌーリはかつては麻薬の密売をし、逮捕歴があったが、今は真面目に働いている。
ある日、ヌーリの事務所の前で爆弾が爆発し、ヌーリと息子が犠牲になる。
カティヤは事件の直前に、爆弾を仕掛けたと思われる女性を目撃したことから
ネオナチ(ドイツ人)の犯行と確信するが
警察はトルコ人の麻薬が絡んだ抗争と決めつける。
通報から、ネオナチのドイツ人の男女が容疑者として逮捕されるが、
裁判の結果は…
司法で裁くことができないと分かった時、カティヤが取った行動は?
衝撃のラストには息を呑みます。
復讐は復讐の連鎖を招くだけ、
そう断罪するのはたやすい。
しかし、ある日突然、最愛の家族を奪われたら?
頼みの警察も自分を守ってくれなかったとしたら?
国家社会主義地下組織(NSU)というネオナチグループが2000年代初め、
ドイツ全土でトルコ人など9人の外国人と警察官1人を殺害したが、
警察がトルコ人同士の内部抗争と思い込んで捜査を進めたため、
逮捕するのに11年もかかってしまったという事実を背景にしているようです。
移民を受け入れているように見える、メルケル首相の施政下においてさえ。
映画の冒頭、カティヤが女友達とハマムに入るシーンがありました。
ハマムというのはトルコの公衆浴場で、トルコの旅行中に私も入ったことがあります。
真ん中に六角形の大理石の温熱台がある、独特の公衆浴場。
ドイツの街なかに、こんなにトルコの文化が入っているのだと驚いて観始めたのですが…
トルコ系移民であるアキン監督の、静かな怒りが胸に響きます。
原題は「Aus Der Nichts」(「虚無から」というような意味らしい)。
「女は二度決断する」 http://www.bitters.co.jp/ketsudan/
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