デンマークの寒村で叔父と二人で酪農をしながら暮らす、若い女性クリス。
朝起きて体が少々不自由な叔父の着替えなどを手伝う所から、映画は始まる。
一緒に朝食を取るのだが、この二人、仇のように喋らない。
質素な食卓の上を、国際情勢を伝える旧型のテレビの音だけが流れていく。
共に牛舎の世話をするときも、農機具の手入れをするときも、一言も喋らない。
映画が始まって10分ほどして初めて出た言葉が、食料の買い出しに行ったスーパーでの、叔父の「ヌッテラ」(が欲しい)という言葉。
朝起きて体が少々不自由な叔父の着替えなどを手伝う所から、映画は始まる。
一緒に朝食を取るのだが、この二人、仇のように喋らない。
質素な食卓の上を、国際情勢を伝える旧型のテレビの音だけが流れていく。
共に牛舎の世話をするときも、農機具の手入れをするときも、一言も喋らない。
映画が始まって10分ほどして初めて出た言葉が、食料の買い出しに行ったスーパーでの、叔父の「ヌッテラ」(が欲しい)という言葉。
しかしこの二人、決して仲が悪い訳ではないということが段々に分かってくる。
クリスは27歳、早くに両親を亡くして、叔父と12年間暮らしてるらしい。
彼女が本当は獣医になりたいのに、叔父の世話の為にあきらめたことや、彼女の前に若い男性マイクが現れて、多少心が揺れ動いていることも分かってくる。
叔父は自分の為に、若い姪を縛り付けたくないと思っている。
お互いが相手を思いやりながら、動き出すことができない。
そのじれったさに、観ている方は多少イライラする。
クリスは若者なのに、スマホさえ持とうとしない。
いつも髪をひっつめにし、Gパンに綿シャツ、泥だらけになって牛の世話をしてる。
何故にそこまで禁欲的なのか?
が、前進だけが人生ではないということが次第に分かってくる。
このもどかしい関係、地味な家族愛に、二人は結構満足しているのだろう、と。
改革、急進派の私としては、何故獣医の夢をあきらめちゃうの?何故マイクの胸に飛び込まないの?と納得できない思いも多々あったのですが。
自分に好意を寄せているマイクに対して、クリスがいきなりGパンをおろしてお尻を向けたのは、あれは何だったのか?
私には叔父さんの方が大事なの、さっさと済ませてというところか。
監督のフラレ・ピーターゼンは、小津安二郎ファンと聞いて納得です。
第32回東京国際映画祭グランプリ受賞作。
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