非常にシンプルなストーリーです。
舞台は宇宙空間。
登場人物は二人。
それなのに、こんなに緊張を強いられ、こんなに息苦しくなるとは…
宇宙空間で作業中のメディカルエンジニアのライアン・ストーン博士(サンドラ・ブロック)と
ベテラン宇宙飛行士のマット・コワルスキー(ジョージ・クルーニー)は、
事故により宇宙の暗闇に投げ出された。
スペースシャトルは大破、残る乗組員は全員死亡。
二人に残る酸素は2時間分。
壮大な漆黒無音の宇宙。
そこから見える青く美しい地球が、何度も何度も画面に浮かび上がる。
しかしそこは、死と隣り合わせの世界でもあった。
次から次へと危機に襲われ、その度に観ているこちら側も肩に力が入る。
ライアンが愈々酸欠になると、こちらも息苦しくなる。
これは絶対3Dで観た方がよい、という忠告に従って正解でした。
自分も正に一緒に宇宙空間を彷徨っているように感じるのです。
ライアンの恐怖が、息苦しさが、そのまま伝わってくるかのようです。
そしてまた、相棒のマットのいい男っぷり。
最初はお喋り好きの軽い男、宇宙空間でまでそんなくだらない話しないでよと思ったのですが
いざという時の彼の潔さ、優しさときたら。
そしてそんな時にまで冗談を放つ彼の、懐の深さ。
あそこは涙なしでは観られません。
あんな役が似合うジョージ・クルーニー、さすがです。
宇宙空間からどうやって生還するかというサバイバル・ストーリーではありますが
地球賛歌、人間賛歌でもあります。
これでもかと襲いかかる困難をくぐり抜けたライアンは
最後に生きるか死ぬかの大勝負に出る。
その時、自らに言い聞かせるようにつぶやく言葉。
「いずれにせよ、良い旅だったわ」
愛娘を亡くすというつらい過去を持ち、
宇宙空間に投げ出されてから何度も生きることをあきらめかけた彼女が言うからこそ、
それは力強く響くのです。
これ、英語がよく聴き取れなかったのですが、調べてみたらどうもこんな言葉らしい。
”Because either way, it's going to be one hell of a ride! I'm ready.”
(いずれにせよ、地獄のアトラクションになりそうね。覚悟はできてる。)
観終わった時にはぐったりと疲れますが…
私の下手な説明よりも、予告編をご覧ください。