第2次世界大戦中、スコットランドの孤島でウィスキーの配給が途絶えてしまう。
島民たちにとっては命の水とも言うべきウィスキー、それが無くなって大騒ぎとなるのですが
そんな折、島の近くの岩礁で貨物船が座礁。
そこには膨大な数のウィスキーが積み荷として詰まれていた。
そのウィスキーを巡っての不器用な島民たちのドタバタ狂想曲。
史実を基にしたという、痛快なコメディです。
この楽しいポスターが、かなりストーリーを語ってくれています。
とにかく酒が欲しい島民たち、使命感に燃える民間大尉、安息日には厳しいくせに
酒には目がない牧師、そこに頑固な父親と娘たちとの情愛も絡んで来る。
会話のあちこちに英国風のシニカルなユーモアが絡められ、ニヤリとさせられます。
しかし…映画好きの友人たちの評判も上々で、楽しみにしていたのですが
「村中全体が仲良く心を合わせて」というところに、どうも私は引っかかってしまう。
小さな島にも格差はあるだろうし、僻みや確執がないとも思えない。
宗教的な戒律、安息日をあれほど厳しく守る村民が、夫の長期不在中に間男の子供を産んだ若妻を
責めたり村八分にしないのも不思議です。
細かい所に引っ掛かってしまって、心ゆくまで楽しめなかったのが残念です。
この映画を観て思い出したのが、村上春樹の「もし僕らのことばがウィスキーであったなら」。
私が好きな、ごく短い、ウィスキー蒸留所で有名なアイラ島の紀行文です。
正確に言うと、この本の表紙の佇まいが大好き。
四角く切り取ったパブの入口の写真、端っこにいるコーギー犬、そしてこのタイトルが。
この表紙、本文より勝っているような気がします(春樹フアンの方、ごめんなさい)。
映画も本も、私にとっては表紙負けという、珍しい例でした。
原題「Whisky Galore」 http://www.synca.jp/whisky/
#welovegoo