【第45回衆院選、終盤情勢考】
第45回2009衆院選は、いよいよ大詰めを迎えた。新聞各紙の予想が既に出されており、ともに自民党の半減以下の歴史的大惨敗、民主党が300を超える議席を獲得して圧勝するとの見通しを報じている。7.13日の麻生首相の解散宣言以降、このところの民主ブームが更に加速し、与党政権側には為すすべがないという状況下にある。
際立つ特徴として、2005郵政解散で大量当選した小泉チルドレンが壊滅的に一掃されることが予想されている。そればかりか、自民の首相経験者、派閥の長、その他大物議員、現役閣僚、党三役を含む上から下までの劣勢が伝えられている。公明党代表の当選も危ぶまれている。かくて政権交代が本当の話となりつつあり、現実性を帯びている。今やその刻待ち通しとする空気がみなぎっている。
れんだいこが思うに、この政変は、去る日の自民党総裁選時の小泉候補の雄叫びであった「自民党をブっ潰す」から始まった。小泉元首相のこの公約は絵空事であったのではなく、本当の話であったということになる。どうやって潰すのかシナリオが分らなかったが、今日の事態を迎えて、なるほどこうやって潰すのかと感心させられている。奇人変人狂人と云われる小泉の心中はいかほどのものなのだろうかと推測したくなるが、各地に応援に出向いては演説で能天気な酔狂発言を繰り返し続けている。処置なしというべきだが、招く方も招く方と云うべきだろう。
自民党内は結党以来、右から左まで、ハトからタカまで親米派から親ソ、親中、親台派まで、改憲派から護憲派までの寄り合い世帯を、派閥中心の合従連衡で政局運営してきた。政権派閥は、反目の派閥であろうが、将来の逸材を見出しては登用し経験を積ませる度量があった。それは、ある意味で日本政治の粋であったとも云えよう。
小泉が、この仕組みをズタズタに切り裂いた。2004-5年の過程で、党内に郵政民営化一本槍の賛成か反対かを迫り、反対派を駆逐し、刺客を送り込んで徹底殲滅に乗り出した。それは、反目の派閥のみでなく自らの派閥まで対象とする残酷な党内レイプであった。反対派のある者は落選し、ある者は生き残り、そのうちのある者は国民新党を結成し、ある者は復党し、ある者は民主党に流れ、自民党内の再結束を決定的に困難にさせた。自民党内には、この怨讐が未だ続いており傷は予想以上に大きい。もはや党分裂不可避の局面に至っていると云えよう。ここまで亀裂を深めさせたのが小泉政治であり、「自民党をブっ潰す」を本当の公約にさせたことになる。自民党内ですら、この仕掛けを予想し得た者はいまい。それはまさに奇策であった。史書は恐らく、小泉政権をそういう意味で格別に評することになるだろう。
これに時代が噛み合った。米国政界でブッシュ派ネオコンが退場を余儀なくされ、オバマ新大統領によるチェンジとイエス・ウィ・キャン時代が始まった。日本政治が、これに連動する。細川政変過程で、後に雲散霧消する幾多の政党が生まれた中で、民主党が次第に勢力を伸ばして行った。これに自由党が加わり厚みを増し、以来押せ押せムードに入った。これに郵政民営化騒動で生まれた国民新党が連動するようになった。更に社民が連なり、日本新党、大地党も共同戦線化した。かくて、日本政界は、自公与党と民主連合と共産党の三派に整序されるという分かり易い構図ができあがった。加えて、共産党が、都議選の敗北以来、我こそ真の野党論から建設的野党論に転換し、民主連合寄りにシフト替えすることになった。この野党津波が、自公ブロックに襲いかかり、政権交代必至局面を生みだしている。
これにより間もなく、日本政界にこのところ久しくのさばっていた国際金融資本の走狗シオニスタン派が一掃されることになるだろう。これはまことに欣慶の至りである。日本政治は与党であれ野党であれ、民族派であれ国際派であれ、改憲派であれ護憲派であれ、国権派であれ民権派であれ、まずは日本の国家と民族と歴史を愛する者の手によって担われねばならない。この当たり前のことが永らく失われてきている。こたびの第45回2009衆院選は、当たり前の政治に戻す元年となるだろう。
してみれば、民主連合の完膚なきまでの圧勝は、日本政治史上類例のない椿事と云うことになる。議会政治史の精華であり、総じて日本人民大衆の見識の高さを示すことになる。痛みに耐える我慢強い特徴を持つ日本人民大衆が怒った時、阿吽の呼吸でいかほどのことを為し得るのか、下手な暴力革命論者は尻尾を巻いて逃げださざるをえまい。それを間もなく見せられることになる。野党連合勝利のこの日は、100年に一度の珍事に相応しいお祭り騒ぎをするに値する。実にすばらしい。民主連合政権が権力をどのように扱い、政策を盛るのか、それを知らされるのはこれからである。一興とすべきだろう。
それはさておき、第45回2009衆院選の最終局面のれんだいこ予想をしておく。自民は、解散前の303議席から110議席前後に凋落する。これを上回る場合には、劣勢を終盤で跳ね返したことになる。公明は、31議席から23議席前後に落ち込む。常勝の全員当選の夢が潰えるのは間違いない。自公合計で150議席に至らないことになる。解散前の334議席の半数以下ということになる。これは、麻生が悪いのではない。能力の無さよりも、小泉政治の尻拭いをさせられる身の気の毒を思う。
民主は、解散前の112議席から290議席前後へと大躍進する。少なくとも倍増以上が間違いない。小選挙区での圧勝は、既に民主議員の能力の方が政権与党側のそれより上回っていることを示している。雌伏20年有余、悲願の美酒に酔うべしであろう。社民は、7議席から15議席前後に向かう。数字的には倍増するが、かっての黄金時代から考えると喜ぶほどのことではあるまい。国民は、5議席から10議席前後に倍増する。大健闘したと評されるべきだろう。こたびの民主連合の立役者であり、この党は政治の醍醐味を教えてくれる貴重な政党である。大地は1から2が予想される。北海道限定の政党であるが、国民新党同様に民主連合圧勝の立役者であり評されるに値する。日本新党は1から1、改革は1から0、みんなは2から2と予想できる。無所属は、平沼グルーフを含め6議席ほどを維持することになるだろう。
共産は、9から7へと更にへこむ可能性がある。大方の予想は9から10としているが、そうはいくまい。仮にへこんだとしても、建設的野党論を捨てる必要はない。反省すべきは、我こそ真の野党論で長らく野党陣営を分裂させてきたことであり、漸く正規の軌道に乗ったと思えば良い。今後は、建設的野党論による是々非々活動の中味によって評価される日が来るであろう。それにしても、70年代の民主連合政権構想が変な形で生まれることになったもんだ。
さて、こう予想して前祝いの祝杯を挙げに行くことにする。この予想がどれほど当たるか当たらないか、もう一度検討し直すことにする。歴史は面白いな、生きてて良かったな、もう少し長生きしてみたいなと思う次第である。さあて、あさって日曜日の夜にはテレビ漬けとなろう。高速道の無料化、ガソリン価格の低下の話は本当だろうな。少し気になるが、民主連合のお手並みを拝見しよう。