タイトル→今年もまた大手メディア受難の年になりそうだ。結構なことだ
本文→ 昨年はウィキリークス騒ぎがあったが、今年に入ってからも大手メディア
にとって衝撃的な出来事が立て続けに起きている。
一つは秋葉忠利広島市長が、次の市長選挙不出馬発表を、大手新聞に対し
て語ることなくインターネットの動画サイトで明らかにしたことだ。
これは小沢一郎元民主党代表が大手メディアを無視してやはりインター
ネット動画サイトでその思いを語ったこと軌を一にしている。
従来なら考えられないことだ。
大手メディアはふんぞり返って「伝えたい事があれば記者会見で話せ」、
「歯向かえば筆で潰してやる」などと自らを第四権力呼ばわりしていた。
それが逆転しつつあるのだ。
情報発信は何も大手の専売特許ではない。誰でも自由に自分が選べる発信
方法で行なえる時代になったのだ。
情報通信が発達し多様化した今日においては、発信の決め手はコンテンツ
だ。発信者だ。発信の内容だ。
主役交替は大手メディアにとっては死活問題なのである。
だからこそ、小沢一郎の時もそうであったが、今度の秋葉市長についても、
各紙がこぞって批判している。
今日(1月7日)の朝日新聞に至ってはこれを社説でとりあげて、「今後、
どうするのか。選挙で選ばれた秋葉市長には、当然ながら市民の期待に答える
義務がある」などと書いている。
市民の声を勝手に使って秋葉市長批判を行なう始末だ。
大手新聞の狼狽振りが手に取るようにわかる。
もう一つの例は、1月5日の夜にテレビ朝日の報道ステーションで菅首相
が生出演して自らの思いを語った、その番組の視聴率の悪さである。
1月7日の産経新聞が「激突、新春」の中で書いていた。
新年を迎え、「自らの言葉でメッセージを伝えたい」と満を持して生出演
した菅首相であったが、普段は13-14%近い視聴率のあるこの番組が、
その夜の視聴率はなんと6.9%(関東地区)であったという。
菅首相は自らの不人気さにあらためて腰を抜かしただろう。
しかし菅首相よりも衝撃を受けたのはテレビ朝日の関係者であったに違い
ない。
テレビ朝日が菅政権を支え続けてきた事は周知の事実だ。
今回も、人気浮上をもくろむ菅首相と結託して、他社を差し置いて菅首相
のメッセージを国民に伝えようとした。
しかし、内閣改造人事や消費税値上げ、TPPなど、本来ならば公式の場で
所信を述べるべき重要な内容を、特定の民放を通じて語る。
それを偶然見ていた私は、その異常さに不愉快になってテレビを消したの
だが、国民の多くもまた同じ思いであったということだ。
権力と談合するようなメディアの堕落ぶりを国民はとっくに見抜いている。
大手メディアの受難は今年もまた次々と起きるだろう。
しかしそれは情報の受け手である国民にとっては歓迎すべき事なのだ。
大手メディアは受け手である国民の厳しい評価に鍛えられてこそ、よりよい
情報伝達の担い手になる。
メディアの受難は歓迎されるべき事である。
それは単に国民にとってそうであるというだけではない。
メディアの再生のためにも、それはメディアにとって良薬であると心得な
ければならないということである。