去る5月22日に映画”天使と悪魔”について掲載しました。
その中で、セルンと反物質について、後で調べて書きますと言ったのですが、これらは、我々にとって難しすぎて正直分からないのが現実です。
これから書くことは、専門的には間違っているかも知れませんし、独りよがりな独断と偏見になっているかもしれませんので、最初にお断りしておきます。
映画では、「非常に不安定な”反物質”は、1gで原爆と同じエネルギーをもつもので、セルン研究室で生成され、その”反物質”が盗難された」ということから物語が始まります。
実際はどうなのでしょうか?
セルンとは、欧州原子核研究機構のことで、実際にスイスにあります。
原子核物理学の研究には、大きな粒子加速器が必要で、ヨーロッパ各国が共同運営をする研究所としてセルン(CERN)が1954年に設立されました。
現在は、アメリカ、日本も参加して、直径7Kmの加速器を有する研究所として世界の科学者が集まっているそうです。
スイスにあるセルン研究機構
余談ですが、昨年、ノーベル物理学賞を受賞した日本人3名の物理学者の理論をもとに、宇宙誕生時の「ビッグバン」直後の状態を再現する世界初の実験に挑戦するそうです。
そのために、昨年10月、内閣官房長官が記者会見で、リニア・コライダー国際研究所建設計画を発表し、日本が本格的に取り組むと明言しました。
セルンは、円形ですが、リニア・コライダーでは、直線40Kmの加速器を作るのだそうです。
この実験では、宇宙の誕生、つまりビッグバンが起こった時に近いエネルギーを発生させ、物質の起原を探ろうとするものだそうですが、我々凡人には、こんな実験が人類にどのように役に立つのか分かりません。
かって「物質」と「反物質」があったのですが、今、宇宙には、「反物質」は存在しません。
物質と反物質は、性質が逆なだけで、その寿命は同じと考えられてきたのですが、最近は、その寿命は若干違うことが、日本の高エネルギー加速器研究機構で発見され確認されたそうです。
これによって、反物質が消滅して、宇宙は物質だけになったと説明されています。
反物質は、周囲の物質と対消滅を行うことにより多くのエネルギーを生み出すので、宇宙開発などの燃料に利用して、質量の軽量化を計ると同時に、燃料として長期間利用しようとするものです。
映画で、「反物質」の製造にセルンが着手しているというのは、本当ということは、以上で分かりました。
しかし、映画で描かれたように「反物質」が核爆弾の元であるということと、それを盗難され持ち運びされたということは、”うそ”です。
映画には、真実を巧みに生かして、空想を混ぜる手法が使われますので、真実を明確にしなくてはなりませんが、映画を見るだけであれば、楽しめば良いのであって、余計な詮索は、面白くなくする恐れもあるので、注意が必要なようです。