極東極楽 ごくとうごくらく

豊饒なセカンドライフを求め大還暦までの旅日記

吾が家もワイヤレスに

2017年07月13日 | 開発企画

   

           
      僖公33
年:殽(こう)の戦い その1 / 晋・秦・楚鼎立の時代    

                             

  ※ 秦軍、鄭を目指す:三二年冬、晋の文公が亡くなった。翌日、文公の遺体は、祖廟
    に安置するため、晋都の絳から曲沃へ移されることになった。その一行が晋都を出
    たとき、柩の中から牛の嗚くような声がした。「これは、亡き先君が戦いを兪ぜら
    れたのです。目ざす相手は、近い将来、わが領内を通り過ぎる西方(秦を指す)の
    軍隊。これを襲えば、きっと大戦果をあげることができましょう」ト官の偃(えん)
    は、大夫を呼び集めると、こう励ました。

    こちらは秦である。穆公のもとに、鄭駐在の大夫紀子から報告が届いた。「このた
    びわたくしは、城の龍門の鍵を管理するよう命ぜられました。ひそかにわが軍を差
    し向けてくだされば、鄭を手に入れてみせます」穆公がさっそく大夫の蹇桀款に相
    談をもちかけたところ、強硬に反対された。
    「軍を疲れさせてまで、遠国を襲った例はございません。味方は疲れきって戦う気
    力もないのに、相手は防備をととのえて待機しているのです。これでは、手に入れ
    ようがないではありませんか。それに、わが軍の動きが郎に気づかれぬはずはあり
    ません。せっかくの苦心がむだに終おっことわかれば、それこそ味方の中から裏切
    者が出て大変な事態になります。そ証ばかりではありません。千里もの行程を進軍
    するのですから、わが国の行動は天下全休に知れ渡ってしまいます」

    だが穆公は承知しなかった。そして、孟明(百里孟明視、賢相百里梥の子)、西乞、
    白乙の三人の武将を呼ぶと、兵を東門の外に集めるよう命じた。蹇叔は、孟明をつ
    かまえると、「ああ、わが軍ももはやこれまでだ。城を出て行く姿は見ても、凱旋
    してくる姿を見ることはできないのだ」と言って号泣した。穆公がとの話を伝えき
    いて、蹇叔を罵った。
    「死にぞこないが何をいうのだ。いいかげんでくたばってくれていたら、今ごろは、
    墓に植えた木が一抱えほどにもなっていたろうに」
    蹇叙の子も、この遠征軍に志願したが、蹇叙はその出陣を見送るさいにも、号泣し
    て言った。

    「わが軍は晋軍によって迎え討ちにあうだろう。その場所は殽だ。靉には南北に大
    きな丘山が二つあ芯。南にあるのは夏后皐の墓、北にあるのは文王が風雨を避けら
    れたところだ。わが軍はきっと、この二つの丘山にはさまれた場所で全滅するにち
    がいない。ああ、そこでおまえの骨を拾わねばならぬのか」

    だが、それもむだであった。秦軍はついに東へ向った。

    〈夏后皐〉  夏の桀王の祖父、夏朝第15代の王。
    〈文王が・・・〉函谷をさす。谷が深く、両側の山が良いので風雨が避けられた。
 

 殽(こう)の戦い

 

 No.43 

 【RE100倶楽部:環境配慮エネルギー事業篇 Ⅴ】

 
July 10, 2017

図4、PbI2膜のAFM像は、共蒸着されていない(a)共蒸着された(bSqは、表面粗さを表すパラメー
タの1つとして
ISO25178によって標準化された二乗平均平方根高さである。



❏ 安全なペロブスカイト太陽電池実現に道

今月7日、東京農工大学らの研究グループは、人体に有害な「鉛」とは反応しない熱安定な有機物を用
いた非鉛
ペロブスカイト太陽電池の作製に成功したことを公表。熱安定な有機物であるグアニジンヨウ
化水素酸
塩が、ペロブスカイト太陽電池の主原料であるヨウ化鉛とは反応しないにもかかわらず、その
代替材料として通常用いられるヨウ化スズとは反応して太陽電池として動作することを発見。ペロブス
カイト太陽電池は、現在主流のシリコン太陽電池にせまる高い太陽光エネルギーの変換効率と、安価と
いうメリットがある一方で、主原料として、人体に有害な鉛や、有機物の中でも熱分解しやすいメチル
アミンヨウ化水素酸塩などを用いているため、実用化に問題も抱えている。
 July 10, 2017
図1.溶液から作製されたフィルムの特性。 (a)アセトン溶液から形成されたPbI 2 + GI、SnI 2 + GI、SnI 2、およ
びGIフィルムの吸光スペクトル。
(b)SnI2 + GI膜の吸光度スペクトルの劣化。 (c)SnI2 + GI膜のX線回折パター
ン。


これによると、このグアニジンヨウ化水素酸塩が、通常、ペロブスカイト構造作製の指針とされるトレ
ランスファクタ※1
からはヨウ化鉛より不利な、ヨウ化スズと反応。この反応でできた薄膜の可視光吸
収X線回折、および太陽電池動作を確認。また、グアニジンヨウ化水素酸塩の熱安定性が高いため、ペ
ロブスカイト太陽電池材料で一般的なメチルアミンヨウ化水素酸塩やホルムアミジンヨウ素酸塩とは異
なり、高真空下で精密制御した真空蒸着法による薄膜の形成が可能なことを確認。そして、真空蒸着中
に液体を同時に蒸発させ、これまで有機半導体にのみ用いてきたがヨウ化鉛とヨウ化スズに適用し 結
晶成長の制御をおこなう共蒸発分子誘起結晶化法※2により、ヨウ化スズの結晶粒子の大きさを制御し、
非常に低い光電変換効率ではあるものの、太陽電池の短絡電流密度の向上に成功。

※1 ペロブスカイト構造(ABX3)を構成する要素(ここでは有機物(A)、金属(B)、ハロゲン(X
   )のイオン半径から計算される、ペロブスカイト構造のできやすさを示す指標。
※2 研究グループの嘉治寿彦准教授らが有機薄膜太陽電池のために考案した方法で、真空蒸着中に液
   体を導入することで有機混合膜の結晶化を促進可能な真空蒸着法の本質的な拡張法であることを
   確定する。

 
図2.金属ハロゲン化物としてSnI2またはPbI2を使用し、ハロゲン化物としてGIを使用する2段階真空
蒸発法によって製造された太陽電池。 (a)デバイス構造、(b)膜の写真、(cJ-V曲線、(dIPCE

 
図3.共蒸発による結晶化によるSnI2 + GI太陽電池の性能向上 a1cm2セルのJ-V曲線、(bIPCE
c)吸収スペクトル、(dIQE、および(e0.30Vのバイアス印加下で安定化された出力。

寸評:今回の成果は、非鉛系ペロブスカイトハイブリッド太陽電池の製法の発見にある。開発背景とし
   て下記掲載の特許があるのだ掲載する。「変換効率と耐久性向上」の課題が残されている。面白
   い。

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● 関連特許

✪ 特開2012-219355  真空蒸着成膜方法、真空蒸着成膜システム、結晶性真空蒸着膜

【概要】

フラーレン(C60)、フタロシアニン、ポルフィリン等の有機半導体分子を基板上に成膜させてなる有機半導体素子
を用いた有機電界発光(有機EL)、有機薄膜トランジスタ(TFT)、有機薄膜太陽電池その他のデ
バイスの研究、
開発及び実用化が進み、このようなデバイスにおいては、真空蒸着によって有機半導体
分子を成膜させる
技術が注目されており、特に高機能有機半導体膜を得るための高結晶性の真空蒸着膜
が求められているが、各種有機半導体分子を真空蒸着する際には、真空中で加熱され有機半導体分子が
昇華・蒸発して対向位置する基板の表面に飛来するが、基本的には、飛来した有機半導体分子はそのま
ま基板上に凝着され非晶質膜となり、必ずしも高結晶性の真空蒸着膜は得られない。基板を一定の温度
に加温しておくと真空蒸着膜の結晶性が高まるるがその効果は限定的であった。

そこで、有機半導体の蒸着膜を構成すべき複数成分又は単一成分の有機半導体分子を基板に真空蒸着さ
せるに当たり、共蒸発物として、有機半導体分子よりも高い蒸気圧を示す一定の不活性分子共蒸発物
として用い、高品質で配向性のある結晶性有機半導体蒸着膜を作製することに成功完成する。また、よ
り大きな光吸収のために400nm程度の比較的厚い混合蒸着膜を使用したとき、光誘起電荷生成効率改善
による太陽電池特性が大幅改善された。

有機半導体の蒸着膜を構成すべき有機半導体分子を基板に真空蒸着させるに当たり、室温における蒸気
圧が
Pa以下であるが有機半導体分子よりも高い蒸気圧を示し、真空蒸着条件下において蒸発又は昇華
すると共に加熱された基板上において揮発性を示す不活性分子を共蒸発物として用いる真空蒸着成膜方
法で、有機半導体真空蒸着膜の形成に当たり、蒸着膜を高結晶化させるための新規かつ有効な手段を提
供する。

【特許請求の範囲】

  1. 有機半導体の蒸着膜を構成すべき有機半導体分子を基板に真空蒸着させるに当たり、室温におけ
    る蒸気圧が1Pa以下であるが有機半導体分子よりも高い蒸気圧を示し、真空蒸着条件下において
    蒸発又は昇華すると共に加熱された基板上において揮発性を示す不活性分子を共蒸発物として用
    いることを特徴とする真空蒸着成膜方法。
  2. 前記不活性分子が、室温における蒸気圧が1Pa以下であることを前提として下記の(1)~(3)
    に列挙する分子のいずれかであることを特徴とする請求項1に記載の真空蒸着成膜方法。
      (1)直鎖状又は分岐状のシロキサン骨格構造を持つ分子。
      (2)直鎖状又は分岐状のアルキル骨格構造を持つ分子。
      (3)直鎖状又は分岐状のエーテル骨格構造を持つ分子。
  3. 前記有機半導体の蒸着膜を構成する有機半導体分子が共蒸着された複数成分の有機半導体分子で
    あることを特徴とする請求項1又は請求項2に記載の真空蒸着成膜方法。
  4. 前記共蒸着された複数成分の有機半導体分子がドナー性(p-型)材料とアクセプター性(n-
    型)材料との分子の組み合わせであることを特徴とする請求項3に記載の真空蒸着成膜方法。
  5. 前記共蒸着された複数成分の有機半導体分子が、フラーレン(C60)、炭素数が61以上の高
    次フラーレン及びそれらの誘導体と金属内包物を包含するフラーレン系分子材料、アントラセン
    、テトラセン、ペンタセン、ヘキサセン及びそれらの誘導体を包含する縮合数3以上の多環アセ
    ン系分子材料、セクシチオフェンやチオフェン環のオリゴマーを包含するチオフェン系分子材料
    メタルフリーフタロシアニンや各種金属フタロシアニン、メタルフリーナフタロシアニンや各種
    金属ナフタロシアニンおよびその誘導体を包含するフタロシアニン系分子材料、メタルフリーポ
    ルフィリンや各種金属ポルフィリンおよびその誘導体を包含するポルフィリン系分子材料、ペリ
    レンやその誘導体を包含するペリレン系分子材料、トリフェニルアミンとその誘導体を包含する
    トリフェニルアミン系分子材料、よりなる群から選択されるドナー性材料とアクセプター性材料
    との分子の組み合わせであることを特徴とする請求項3又は請求項4に記載の真空蒸着成膜方法。
  6. 前記有機半導体の蒸着膜が、バルクへテロジャンクション(BHJ)構造のi-中間層(interlayer)で
    あることを特徴とする請求項3~請求項5のいずれかに記載の真空蒸着成膜方法。
  7. 前記有機半導体素子が真空蒸着型有機太陽電池に用いられるものであることを特徴とする請求項
    6に記載の真空蒸着成膜方法。
  8. 前記有機半導体の蒸着膜を構成する有機半導体分子が蒸着された単一成分の有機半導体分子であ
    ることを特徴とする請求項1又は請求項2に記載の真空蒸着成膜方法。
  9. 前記蒸着された単一成分の有機半導体分子が、フラーレン(C60)、炭素数が61以上の高次
    フラーレン及びそれらの誘導体と金属内包物を包含するフラーレン系分子材料、アントラセン、
    テトラセン、ペンタセン、ヘキサセン及びそれらの誘導体を包含する縮合数3以上の多環アセン
    系分子材料、セクシチオフェンやチオフェン環のオリゴマーを包含するチオフェン系分子材料、
    メタルフリーフタロシアニンや各種金属フタロシアニン、メタルフリーナフタロシアニンや各種
    金属ナフタロシアニンおよびその誘導体を包含するフタロシアニン系分子材料、メタルフリーポ
    ルフィリンや各種金属ポルフィリンおよびその誘導体を包含するポルフィリン系分子材料、ペリ
    レンやその誘導体を包含するペリレン系分子材料、トリフェニルアミンとその誘導体を包含するト
    リフェニルアミン系分子材料、よりなる群から選択される有機半導体分子であることを特徴とす
    る請求項8に記載の真空蒸着成膜方法。
  10. 前記有機半導体の蒸着膜が、薄膜トランジスタ素子のチャネル領域を構成する有機半導体層であ
    ることを特徴とする請求項8又は請求項9に記載の真空蒸着成膜方法。
  11. 請求項1~請求項10のいずれかに記載の真空蒸着成膜方法を実施するためのシステムであって、
    少なくとも下記(1)~(6)の要素を含んで構成されることを特徴とする真空蒸着成膜システ
    ム。
      (1)真空槽
      (2)蒸着用の基板
      (3)基板に対する加熱手段
      (4)基板に有機半導体分子を蒸着させるための、単一種類の有機半導体材料を収容した有機
       半導体材料容器、あるいは、複数種類の有機半導体材料をそれぞれ収容した有機半導体材
       料容器
      (5)室温における蒸気圧が1Pa以下であるが有機半導体分子よりも高い蒸気圧を示し、真空
       蒸着条件下において蒸発又は昇華すると共に加熱された基板上において揮発性を示す不活
       性分子の物質を収容した不活性物質容器
      (6)有機半導体材料容器と不活性物質容器に対する加熱手段
  12. 有機半導体の蒸着膜を構成すべき有機半導体分子を基板に真空蒸着させるに当たり、室温におけ
    る蒸気圧が1Pa以下であるが有機半導体分子よりも高い蒸気圧を示し、真空蒸着条件下において
    蒸発又は昇華すると共に加熱された基板上において揮発性を示す不活性分子を共蒸発物として用
    いることにより得られたことを特徴とする結晶性真空蒸着膜。
  13. 前記蒸着膜を構成する有機半導体分子が、共蒸着された複数成分の有機半導体分子からなること
    を特徴とする請求項12に記載の結晶性真空蒸着膜。
  14. 前記共蒸着された複数成分の有機半導体分子が、ドナー性(p-型)材料とアクセプター性(n
    -型)材料との分子の組み合わせであることを特徴とする請求項13に記載の結晶性真空蒸着膜。
  15. 前記有機半導体の蒸着膜が、バルクへテロジャンクション(BHJ)構造のi-中間層(interlayer)で
    あることを特徴とする請求項13又は請求項14に記載の結晶性真空蒸着膜。
  16. 前記蒸着膜を構成する有機半導体分子が、蒸着された単一成分の有機半導体分子からなることを
    特徴とする請求項12に記載の結晶性真空蒸着膜。
  17. 前記有機半導体の蒸着膜が薄膜トランジスタ素子のチャネル領域を構成する有機半導体層である
    ことを特徴とする請求項16に記載の結晶性真空蒸着膜。

 ✪ 特開2013-168296  有機フォトカソードおよびその製造方法

【要約】

有機半導体の表面に金属微粒子が蒸着または堆積したフォトカソードであって、有機半導体のイオン化
ポテンシャルと金属微粒子の仕事関数の何れよりも低いエネルギーの光照射により電子放出を生じるこ
とを特徴とするフォトカソードで、設計自由度が高く、製造も容易なフォトカソードを提供することを
目的とする。



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 ●  建造物のエネルギータイリング市場 

先回(同シリーズNo.42)では、建造物のエネルギータイリング市場規模の超概算を行ったが、今回はエ
ネルギーハーベスティングのうち熱電及び振動発電の技術動向を下記のように俯瞰する。

 Nov. 26, 2015

 ❏ 最新熱電変換素子工学:変換効率11%の熱電変換モジュールが視野に

● 特開2017-085050 熱電変換素子、熱電変換モジュール 
 

熱電変換素子は、一般に熱電変換材料が2つの電極で挟持された構成を有する。その➊熱電変換素子を
用いて熱電変換モジュールすなわち熱電発電モジュール、➋
ペルチェ冷却モジュールを構成でき、熱電
変換材料の性能は、熱電性能指数ZTとして表すが、ZTが高いほど性能が優れまた、熱電変換素子の
電極を構成する電極材料には、電気抵抗率が低く、熱伝導率が高く高温でも電極材料自体が化学的に安
定であるとともに、熱電変換材料及び接続電極との間でも化学的反応を生じないことが求められる。下
図の特許事例では、Fe及びCoを含む2つの電極材料で挟持されたN型PbTeを含む熱電変換材料
を含む熱電変素子に関するもので、その熱電変換素子をN型熱電変換素子30として含み、さらに、
電極材料で挟持されたP型熱電変換材料を含むP型熱電変換素子20と、N型電変換素子の一方の電
極材料12b’と、P型熱電変換素子の一方の電極材料12bとに接続する上部接合電極13と、N型
熱電変換素子の他方の下部接合電極12a’に接続する下部接合電極14’と、P型熱電変換素子の他
方の電極材料12aに接続する下部接合電極14を備える熱電変換モジュール100である。

 【符号の説明】

1、11、11’  熱電変換材料 2a、2b、12a、12b、12a’、12b’  電極材料 10、20、30  熱電変換素子 
13  上部接合電極 14、14’  下部接合電極 100  熱電変換モジュール

 Apr. 14, 2015

 ❏ 最新熱電変換素子工学:高効率光熱変換フィルムも視野に

15年4月14日、大阪府立大学らの研究グループは、ポリマーの基板上に球殻状の金属ナノ粒子を集
めた「光熱変換フィルム」を新開発、迅速で高効率な光発熱効果を示す成果を発表(上/下図参照)。
この「金ナノ粒子」を高密度に集積したタイプでは、たった百擬似太陽光照射で、45℃の温度上昇(
25℃→70℃)を達成している。

  • 球殻状の金属ナノ粒子集積構造体を配列した高効率光熱変換フィルムの開発に成功
  • 百秒足らずの擬似太陽光照射下で、約445℃の温度上昇(25℃→70℃)を達成
  • 携帯機器の補助電源への活用など、小型で柔軟性に富むポータブルな太陽光駆動型熱電変換デバ
    イスの実現が期待される

 



無線充電アクセサリーが普及し始め、ワイヤレス時代の本格化が携帯電話を先駆体として、エネルギー
通信分野続いて自動車・物流分社を巻き込み「デジタル革命渦論」が進行していく。とりあえずスマー
トフォーンからそれをはじめよう。
 

   

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航空機のエネルギータイリング

2017年07月05日 | 開発企画

 

   

           
      僖公二十七・八年:城濮(じょうぼく)の戦い / 晋の文公制覇の時代  
  

                             

  ※ 践土(せんど)の盟:衛の成公は、楚と結ぼうとして、国内の反対に会い、都を追
    われていた。城濮(じょうぼく)の戦いに楚は敗れ、成公のおもわくははずれた。
    【経】(二十八年四月)楚、その大夫得臣(子玉)を殺す。衛炭出でて楚に奔る。
    五月癸丑(きんちゅう)、公、晋候、斉候、宋公、蔡候、鄭伯、衛子、莒子に会し
    て、践土に盟う。

    衛の成公は晋の勝利を間くと、報復を恐れて一度は楚に追げたが、やがて晋に帰服
    する以外道はないと考え直し、とりなしを頼むため陣に移った。そして、成公は、
    弟の威武
と大夫元咺(げんけん)とを代理として、晋をはじめとする諸国との間に
    会盟を結んだ。※1

    
    践土(鄭の地、現在の河南省広武県)の盟である。王子虎(おうしこ)が践土の仮
    宮殿の庭
で会盟の儀式を行なった。盟いの言葉。「われらは王室をたすけ、守りぬ
    く決意である。こ
の盟いを破る者があれば、神々は、これに罰を下したまい、その
    軍を壊滅させ、その国に福を下したまわぬであろう。子孫代々に至るま
で、老幼を
    問わず咎めを受けるであろう」
当時の識者は、この盟いをこう批評した。「これこ
    そ、真の盟いといえる」
また「晋はこの戦役で、徳によって楚を打破ったのだ」と
    も言った。

      〈衛が諸国と会盟〉 践土の盟と呼ばれる。晋、斉、宋、蔡、鄭、莒、魯、それに衛
             の八国が集まった。

 

  July 2, 2017

● 地球を金星に変えるトランプ・リスク

突然発生した台風3号は梅雨前線を刺激し温帯低気圧として消滅。今回も鬼怒川の決壊のあの
線状降水帯」が日本列島に傷を残したが、地球温暖化によるこのような現象は常態化してい
きはずである。ところで、7月2日、ブラックホールは素粒子を放出しその勢力を弱めやがて
爆発により
消滅するという量子宇宙論でおなじみの理論物理学者のスティーブンホーキング
士は、BBC
インタビューで、ドナルド・トランプ大統領のパリ気候協定から抜け出すことは、
不可逆的
な気候変動につながり、地球を金星のような温室に変えると以下のように懸念する。

Q:気候変動による影響とは? 
A:地球温暖化が不可逆的な転換点に近づいている。トランプの行動は、地球が金星のように
  気温が250度になり、硫酸の雨を降らすだろう。

Q:パリ協定の意味とは?
A:私たちがな直面する大きな危険の1つで、今行動すれば回避できるもの。気候変動の証拠
  を否定し、パリ気候協定から抜け出すことで、ドナルド・トランプは、私たちと子供たち
  のために自然界を危険にさらすことになる。
国連の気候変動に関する政府間パネル(IPCC
  も気温上昇に伴う気候変動の影響を受ける可能性を強調している。
第5回評価報告書でも、
   IPCCは、この転換ポイントの突き止には不確定なものもあるが、人間と自然のシステムは
  相互関連して温度上昇とともにリスクが増加すると予測している。
  

 Jun. 30, 2017

【最高変換効率のペロブスカイト太陽電池の作製】

有機無機ペロブスカイトの深いレベルの欠陥は、電荷キャリアの非生産的再結合による太陽電
池の性能を低下させる。少量のメチルアンモニウム臭化鉛を含むヨウ化ホルムアミジニウムの
層の形成中に3ヨウ化物イオン(PbI2)を追加(=濃度密度の最適化操作)すると、深いレベ
ルの欠陥の形成が抑制されることを示す。 このプロセスにより、1平方センチメートルの太陽
電池の認証効率がほぼ20%に向上するというもの(耐久試験では最長400日)。上図およ
び下表ダブクリ参照。

 

 No.41

 【RE100倶楽部:環境配慮エネルギー事業篇Ⅲ】

 ● 航空機のエネルギータイリング市場

先回(同シリーズNo.40)では、電気自動車へのソーラータイルの事業規模を試算した。今回は、
電気自動車→(水陸両用電気自動車・空陸両用電気自動車・水空陸電気自動車※1)→電気航
空機・電気補助航空機へのソーラータイリング市場を考える。

※1 US9493235 Amphibious vertical takeoff and landing unmanned device  

周知のごとく航空機はジェットエンジンには軽油、レシプロにはガソリンの地下化石燃料が使
用され、
これらのエンジンオイルをバイオマス燃料へ切り替えていこうとするのが再生可能エ
ネルギー社会実現させる流れであり技術である。これに対し電気航空機(Electric Aircraft)は、
✪完全太陽光発電型航空機(ソーラープレーン)、✪停止時に充電しておき、飛行中にソーラ
ータイルで発電し飛行距離の延伸するプラグイン&ソーラー型航空機※2、✪あるいは、従来
の燃料燃焼型に補助用電源にソーラー発電を利用する航空機※3に分けられるが、✪ソーラー
発電なく熱電発電を利用するものも考案されている。※4

※2  US9162770B2  Electric drive device for an aircraft

※3 US9318625B2  Supplementary power supply for vehicles, in particular aircraft


※4 US9296288B2 Hybrid radiant energy aircraft engine


 Sep. 12, 2012

● 電気航空機の技術課題

ところで、電気航空機の技術は向上し続けているが、この技術は民間航空機や軍用機に適用す
るには、3つの革命的な飛躍が必要である(上図参照)。✪まず、蓄電池は電流密度などの性
能向上(従来製品より50~100倍)
ボーイング737のような民間航空機は飛行中に約10
メガワットのエネルギーを必要とし、
電池駆動の航空機は、同じサイズの飛行機で距離の百分
の1の距離しか飛べない。✪高出力モータ技術として高温
超伝導などの高出力でいて軽量モー
タ開発を必要とするが、✪そのためには磁気シールド(
遮蔽)をなくす技術課題がある。ドイ
ツ航空宇宙研究機関(バウハウス・ルフトファールト:Bauhaus Luftfahrt)は、2035年に航空可
能な190席の航空機――最大16個の蓄電池コンテナ装備のコンセプトを発表している。それによ
ると
、2030年までに600海里(1,110キロメートル)の航続距離達成、それでも、180~200席の
航路の59%しか満たせない。
2035年までに、技術は900海里まで航続距離可能にし、適用範囲
を79%に上げ、さらに2040年には、その範囲は1,400海里まで拡大するとしている。 そのた
めに、非平面的な「Cウィング」により空力効率向上を狙っている。開発機「
Ceライナー」の高
温超伝導電気モータは実験段階にあり、優れたパワー対重量比をもつ。  尚、「Ceライナー」
の電力推進装置(Silent Advanced FansSAFE)は、離陸のため合計約6万0馬力を必要とする。

 

● 航空機へのソーラー&サーモリング市場

ビジネス航空機:欧米では17兆円規模の巨大市場

基本的に、住宅・高層建築用タイルとことなり航空機は360のタイリングが可能である。世界中のビジ
ネス航空機は約3万機(上グラフ参照)。日本ビジネス航空協会(JBAA)によると、ビジネス
ジェット機の機数は2015年3月末時点で世界全体で2万244機。ターボプロップ機を含めれば優
に3万機を超える航空機がビジネスジェット機として使用されている。ビジネスジェットの本
場である米国だけでも1500億米ドル(15兆円)の市場規模で500社以上の運航会社があり、全米
ビジネス航空協会(NBAA)によれば、雇用創出効果は120万人分に達する。15年3月末時点で
ビジネスジェット機の保有数が最も多いのは、米国の1万3133機。以下、ブラジルが840機、メ
キシコが777機、イギリスが589機、カナダが502機、ドイツが410機、中国が245機、フランスが
176機となるなか、日本では定期航空の10分の1にも満たない。

※航空ビジネスは、定期航空ビジネスと、定期航空以外の「ジェネラル・アビエーション」に
 大別。ジェ
ネラル・アビエーションには関係省庁による公用機の運航、遊覧飛行やスカイス
 ポーツ、空中写真撮影などの産業航空も含まれるが、米国などの主要国では、ジェネラル・
 アビエーションの市場規模が、定期航空市場とほぼ同等。


● 航空機のエネルギータイリング市場


その中で電気航空機市場を小型(搭乗員数:百名以下、航続距離:千キロメートル以内)に特
化させ、滑走路整備等環境が整えば、飛躍的増加する(例えば、これはドローン宅配の変形と
も考えられる全自動型空陸両用有人自動車が開発され世界を席巻することが考えられる』)。
この電気航空機をソーラータイリングすれば、静かで、スマートな情報物流事業のバー
ゲンパワーとなるだろうが、仮に、5平方メートル/機×50万円/機×百万機(÷20耐用
年数=5千億円(250億円/年)を目標としてみた。朝取れの安くて安全新鮮な野産物が全
国で口にできるイメージが浮かべば実現したもの同然だろう。

 ● 今夜の一曲

吉永小百合&三田明「若い二人の心斎橋」(1964.10)

      浪花の夜霧にガス燈が
   青くうるんで君は来る
   いつもやさしい橋の上
   あの娘の髪もなびくよ彼に
   心斎橋は、心斎橋は
   若い二人の逢うところ

     いとしく点ったガス燈の
   下で二人は夢を見る
   淡い光の橋の上
    ここなら誰も邪魔などしない
   心斎橋は、心斎橋は
   若い二人の逢うところ

   自動車(くるま)は流れる橋下を
   紅いテールのゴンドラよ
   いまをむかしの橋の上
   まだまだ夜はこれからですよ
   心斎橋は、心斎橋は
   若い二人の逢うところ

                                              作詞:佐伯孝夫 作曲・編曲:吉田正 
 

   

 

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ソーラーカーのタイリング

2017年07月03日 | 開発企画

   

           
      僖公二十七・八年:城濮(じょうぼく)の戦い / 晋の文公制覇の時代  
  

                             

  ※ 晋の文公、覇者となる: そして四月甲午の日、周の襄王は晋の戦勝を祝うため、
        所斑(郎の珀)に出向いた。文公は衡雍(こうよう:鄭の地)に出向いた。文公
    は衡雍に近い踐土(せんど)に仮の応急を建てて、これをむかえた。ところで、
    鄭伯(文公)は城濮の戦いの前月、楚におもむき、子玉に兵を与えるように、成
    王を説いたことがあった。楚軍敗れたりの報に接すると、鄭伯は晋の報復が心配
    になった。そこで和解工作のため子才人旭(子人は氏、旭は名)を晋に派遣した。
    晋はそれを受けいれ、欒枝(らんし)を鄭に送って、停泊と盟いを加わした。つ
    
いで五月丙午の日、文公は鄭伯と衡雍の地で会見し、正式に盟った。五月丁未の
    日、文公はこの戦いの戦別品を周王に献上した。装備つきの馬四百頭、及び歩兵
    千人。献上の儀式では、鄭伯が周王の介添え役をつとめた。かつて晋の文候(文
    公より十一代前)が時の周王(平玉)に捕虜を献じたときの儀式にならったので
    ある。五月己酉(きゆう)の日、周王は文公を召し、醴酒(れいしゅ:甘酒)で
    もてなしたうえ、引出物をたまわった。ついで、王は尹氏・王子虎(いずれも王
    の卿士)、内史、叔興父(しゅくこうほ:王の大夫)に命じて準備をととのえ、
    侯伯(諸侯の長すなわち覇者)任命式を行なった。文公はここに覇者たることを
    許されたのである。そして文公には、大輅(たいろ:金で飾った車)とその付属
    品一式、戎輅(じょうろ:軍事用の車、兵車)とその付属品一式、朱塗りの弓一
    張りと朱塗りの矢百本、黒塗りの弓十張りと黒塗りの矢千本、酒一樽、勇士三百
    人をたまわったうえ、任命の言葉をつたえさせた。「王よりなんじに告ぐ。つつ
    しんで王の命に従い、四方の国々を治め、王に敵するものどもをはらいのけよ」
    文公は三度辞退した後、命を受け、「ここに重耳(ちょうじ)、再拝稽首し、天
    子の尊いおおせにたがいます」と言って、策(任命書)を受け取り退席した。文
    公は、三度にわたって、周王に目通りしたことになる。※

  ※〈三度周王に目通り……〉 1、戦利品献上。2、もてなしを受けたとき。3、任
    命式。以上の3回である。

 

 Jun. 29, 2017

【ナノシートを用いた各種デバイスの工業的製造に道】

● 2次元物質の稠密配列単層膜を1分間で形成する技術

6月29日、物質・材料研究機構の研究グループは、煩雑な操作が不要なナノシート酸化物ナノシート
やグラフェンなどの2次元物質を、1分程度の短時間で基板上に隙間なく単層で配列する技術の開発
に成功。酸化物ナノシートやグラフェンの有機溶媒ゾルを基板上に少量滴下し、適切な回転数でスピ
ンコートの簡便な手順で、約1分間という極めて短時間 (ラングミュア・ブロジェット(LB)法の数
10分の1) でナノシートが稠密配列できる。基板回転の遠心力とナノシート同士、ナノシートと基板
表面の間に働く力のバランスにより、ナノシート間との重なり、隙間発生が抑えられ、原子レベルの
平滑単層膜を形成。また、この操作の反によりナノシートの厚み単位での多層膜レイヤーバイレイヤ
ー構築を制御できることを確認できている。様々な組成、構造の2次元物質の適用、かつ様々な形状、
サイズ、材質の基材上に製膜できる。こ
の成果は全く新しいメカニズムで2次元ナノシートの稠密配
列を達成、加えてナノシートの稠密配列単層膜~多層膜の構築を簡便な操作、短時間プロセスで実現で
き実用デバイスの工業的製造に道を拓く画期的な成果となる。

DOI: 10.1126/sciadv.1700414

 Jul. 30, 2017

  No.40

 【RE100倶楽部:環境配慮エネルギー事業篇Ⅱ】

● ソーラーカーのタイリング市場

先回につづき、フレキシブルエネルギーフリータイル事業(上図クリック)のソーラータイル(光電
変換システム)のソーラーカーへの搭載(タイリング)市場について考えてみよう。下表の2年前の
データを参考にすれば乗用車・バス・トラックの世界の保有台数はザックり13億台、これを全ての
ソーラータイリング――変換効率20~30%、1キロワット/台、システム込みの価格を10万(
5万)円/キロワット、耐用年数10(20年)として計算すると、130兆(65兆)円、年当た
り6.5兆(13兆)円/年の市場規模となり、地下化石燃料やウランに依存せず二酸化炭素排出量を
近似ゼロを達成、排気ガスのない静かな環境をつくることができる。さらに、花粉症やアレルギーの
発症率逓減に貢献することができるだろう。

また、下図のトヨタの特許は、 ソーラーパネル100の裏面にパネル側配管111が設けられている
。パネル側配管111は、エンジン冷却水通路61に接続されている。エンジンECU50は、パワ
ースイッチ90がオフ状態であって、冷却水の入替条件が成立すると、ウォーターポンプ70を駆動
して冷却水をパネル側配管111に循環させる。これにより、エンジン冷却水通路61に溜まって冷
えた冷却水と、パネル側配管111に溜まって暖められた冷却水とが入れ替えられる。この結果、ソ
ーラーパネル100が冷却されるとともに、エンジン10が暖められることでソーラーパネル100
に溜まった熱を有効利用しつつ、ソーラーパネル100の発電効率を向上させるとあるが、単結晶シ
リコン系太陽電池特有の温度依存性(高温サイドで変換効率が低下)によるもので、温度依存しない
ソータータイルを供給すれば解決できこれが大きなセールスポイントになる。
 

【符号の説明】

10…エンジン、15…モータ、20…蓄電装置、25…パワーコントロールユニット、30…充電
装置、
40…ハイブリッドECU、50…エンジンECU、60…エンジン冷却装置、61…エンジ
ン冷却水通路、
70…ウォーターポンプ、71…ポンプモータ、72…エンジン側温度センサ、73
…パネル側温度センサ、
100…ソーラーパネル、102…太陽電池、110…パネル冷却装置、
111…パネル側配管、
112…連結配管、112a…往路配管、112b…復路配管、113…大
気開放管、
130…冷却アクチュエータ、131,132,133,134…開閉弁、135…リザ
ーバー、
P…ピラー、R…ルーフ、RF…ルーフ枠、V…車

 
● リフキン,ジェレミーと浜野保樹

リフキン,ジェレミー(Rifkin, Jereny)は、『水素エコノミー』『エイジ・オブ・アクセス』などの国
際ベストセラーを含む18冊の本を出版し、欧州委員会、メルケル独首相をはじめ、世界各国の首脳・
政府高官のアドバイザーを務め、またローマ市、オランダ・ユトレヒト州、米サンアントニオ市、モナ
コ公国などで、第三次産業革命を理念とするマスタープランを策定・推進する。世界の有力企業の経
営者が集まるグローバルCEOビジネス円卓会議の会長で、ウォートン・スクール(ペンシルベニア大学
のビジネススクール)の経営幹部教育プログラムの上級講師も務める。その彼の著書2冊の内、『第三
次産業革命―原発後の次代へ、経済・政治・教育をどう変えていくか』では、自然エネルギーとネッ
ト社会が結ばれる新産業革命へ!自然エネルギーとネット社会が結ばれる水平パワー(ヨコの力)が、
第三次産業革命を巻き起こす。エネルギー・経済・政治・教育・意識を変える、根源的な転換へのロ
ードマップ!人類が地球生命圏と共存する持続可能な未来をつくるための実践を説く。


また、『限界費用ゼロ社会―"モノのインターネット"と共有型経済の台頭』では、経済パラダイムの
大転換が進行しつつある。その原動力になっているのがIoT(モノのインターネット)。IoTは
コミュニケーション、エネルギー、輸送の"インテリジェント・インフラ"を形成し、効率性や生産性
を極限まで高める。それによりモノやサービスを1つ追加で生み出すコスト(限界費用)は限りなく
ゼロに近づき、将来モノやサービスは無料になり、企業の利益は消失して、資本主義は衰退を免れな
いという。代わりに台頭してくるのが、共有型経済だ。人々が協働でモノやサービスを生産し、共有
し、管理する新しい社会が21世紀に実現する。世界的な文明評論家が、3Dプリンターや大規模オ
ンライン講座MOOCなどの事例をもとにこの大変革のメカニズムを説き、確かな未来展望を描く。

後者の鍵語は限界費用。つまり、製品やサービスの1単位を追加で産み出す際のコストを指す経済用
語の限界費用(マージナルコスト)。例えば紙の本を百冊追加で流通させようとすれば、紙代や印刷代、
輸送代などの限界費用がかかる。ところが、パソコンでテキストをコピーすれば限界費用は「ほぼゼ
ロ」になる――浜野保樹東京大学名誉教授(1951年4月11日 - 2014年1月3日)の著書『マルチメディ
アマインド デジタル革命がもたらすもの』(ビー・エヌ・エヌ 1994)に触発され、「第4次産業革
命=デジタル革命」の論考とほぼ同じ内容となっている――では、情報のコピーだけでなく、3Dプリ
ンターなら「モノ」までもが限界費用がほぼゼロになっていき、近い将来には建物や人間の臓器まで
もが3Dプリンターで作られる。それだけとどまることなく、財の流通のコピーやエネルギーやロジ
スティックもテクノロジーの進歩でコストが限りなくゼロに漸近、コストがほぼゼロになれば、モノ
やサービスの価格にもゼロとなる(これはデジタル革命基本特性の4則のデフレーションに該当)。

モノやサービスをお金で交換するシステムである資本主義は成立しない。そうした「限界費用ゼロ社
会」が近づき、資本主義に置き換わる共有型経済(=「協働型コモンズ」という空間展開)が成立す
る。そうした農村の「囲い込み」をし、行き場を失った農民を安い労働力として収奪し発展してきた
高度資本主義社会が、「限界費用ゼロ社会」が到来し、新しいコモンズが生み、インターネット、再
生可能エネルギー、モノもインターネットの情報のように行き来する「IoT(internet of things)」技術が
資本主義を終わらせるというもの。これは芸評論家で思想家の吉本隆明(1924年11月25日 - 2012年3
月16日)が想定した高度資本主義(=前社会主義段階)から社会主義段階への移行と合致するもので
あり、経済パラダイムの転換である。

しかし、日本とドイツの経済改革の比較においては、脱原発を遂げ10年後には太陽光と風力で45
%の電力をまかなうというドイツに対し、日本は「原子力と化石燃料のエネルギーに執着」し、「産
業は電力業界に手足を縛られ、日本企業は国際舞台での競争力を失う一方で、日本は過去との訣別を
恐れ、確固たる未来像を抱けない指摘している。しかし、それは心配ご無用だ、日本国民は英明な
のだから、というのがわたし(たち)の立ち位置である。それを、具体的に実践し実現させてみよう
と考え出したのが、この「フレキシブルエネルギーフリータイル事業」(案)であると。

                                      この項つづく

 

 

しまった!と思った。浜野保樹が2014年1月3日(享年六十二)、昼過ぎ他界(脳梗塞)されていたこ
とをこの作業で初めて知ることになる。1995年、吉本隆明と浜野保樹をお呼びして労働組合主催
の講演会企画、――テーマは第四次産業革命(デジタル革命渦論)を背景とした『未来の仕事』に設
定していた、地下鉄サリン事件・阪神大震災などがありリスクとを配慮し断念。直接お会いすること
なくお別れとなった。断念でたまらない。石田徳次郎、吉本隆明、田中豊一、石井智幸、そして、
浜野保樹・・・。

                                          合掌

   

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フレキシブルエネルギーフリータイル事業

2017年06月30日 | 開発企画

   

           
     僖公二十七・八年:城濮(じょうぼく)の戦い / 晋の文公制覇の時代  
  

                             

     ※ 開戦準備完了:楚軍から闘勃(とうけつ:子上)が守戦の使者として、晋の陣
      に派遣された。文公への申し入れの内容はこうである。

      「みなさんとひと遊び始めたいもの。車で見物なさるのもご一興、わたしもお
      供つかまつりましょう」
      文公は欒枝(らんし)に応特させた。欒枝の返答は、
      「わが君は、たしかにお申し入れをうけたまわった。楚君の恩を忘れぬからこ
      そ、わが軍は、ここまで九十里を退いた。大夫である子玉どのが率いる車に、
      これだけ敬意を表したのだ。まして楚君に手向いなどする気はない。しかし、
      そちらからそういわれればいたしかたない。ご面倒でもそちらの面々にお伝え
      願いたい。車の準備を整えるように、心残りなく自分の務めを果たすように、
      そして、あすの早朝、お目にかかろう、と」

      行軍は戦闘態勢にはいった。七百台の兵車が、馬をつけ装備を整え、今やおそ
      しと出陣を待ちうける。文公は有莘(ゆうしん)(古代の川名)の城跡に登っ
      て、居ならぶ軍勢を見わたし、満足げに言った。
      「うむ、これだけ統制がとれていれば、十分戦える」
       そして、あたりの樹木を切って、戦闘の道具を作らせた。
 

  Jun. 23, 2017

● マクロン革命の目玉 フィールズ賞受賞のセドリック・ヴィラニ新議員

ブレクジットに始まる反ユーロ運動の波に飲まれかけたヨーロッパは、既存政党の枠を超えて大統領
に当選したマクロンの政党、「共和国前進」が577議席のうち308議席を獲得したことにより、欧州連
合回帰の政策へ戻ろうとしている。30日に届いた23日号のScienceのメルマガ「A top mathematician joins
Macron revolution
(一級の数学者がマクロン革命に参加)」で
、共和国前進から当選した数学者セドリ
ック・ヴィラニのインタビューを掲載。新大統領は、国内政策の柱の1つに、科学技術予算を2.2%か
ら3%に引き上げ、大学自体の裁量を高める――トランプの反科学(反知性)政策に対抗政策― グロ
ーバルな公約「Make our planet great again」に基づいて、3千万ユーロをかけて外国人研究者を呼び寄
せ、フランスを環境や温暖化問題の中心にしようと意欲的な計画を打ち出す。今回共和国前進の議員
の半数が女性という特徴だがそのなかでも一際目立つのが、フィールズ賞を始め様々な賞を受賞した
トップ数学者セドリック・ヴィラニ(43歳)がし当選する。以下その問答。

Q:議会活動で何を重点的に行いたいか?
A:「フランス人に自信を取り戻してもらうこと」 「競争的研究資金の効率化」 「国と私企業の開
  発コストのバランス」 に重点的に取り組む。

Q:具体的にな何をするのか?
A:研究に専念できるポジションの創設、大学が学生に明確なキャリアパスを示せるようになること
  などをあげた上で、自分の任務はは科学に限らなく、政治に全く科学マインドが見られない現状
  を科学に基づく政治に変える。

Q:マクロンは本当に科学推進派か?
A:科学技術相にフレデリック・ビダルが選ばれたように、基礎と応用を均衡のとれた推進ができる。

Q:議員になることで数学者としてのキャリアは捨てるのか?
A:ポアンカレ研究所の所長になった2009年に自分は研究やめたと明確に答えている。そして今は、
  政治家としての使命の方が大きい。 
 

 Jun. 29, 2017

● プラグイン&ソーラーカーの登場間近 ?

6月29日、オランダのベンチャー企業・
ライトヤー(Lightyear)社(スタートアップ)は、1回の満
充電で500マイル(805キロメートル)の走行距離を持つ電気自動車販売計画を発表。この全エネルギ
ー太陽光型四輪駆動自動車("Lightyear One")は、ソーラーパネルでプラグイン充電なしで数ヶ月運
転できる。「Lightyear Oneは、ソーラーカーと電気自動車の双方の最高の組み合わせ設計した電気自
動車であり、美しい外観と驚くべき効率とを組み合わせ、革新的な一歩を踏み出した」とレクス・ホ
フェスルート(Lex Hoefsloot)最高経営責任者がこのように語る。勿論、晴れた気候では、車は充電
することなく数ヶ月運転できるが、さらに走行する場合は、標準電源プラグで充電できる。
Lightyear
One
は、2018年初めに公開、2019年に米国と欧州で初出荷する予定。価格は
119,000ユーロ(1,152
円)から始まり、ライトイヤーのウェブサイトではすでに予約受付を行っている。



SMC050 - Lex Hoefsloot - The technical side of autonomous vehicles - 27 Februari 2017
 
 Jun. 27, 2017

● 大画面と曲面設計対応、車載用フィルムセンサ

6月27日、日本航空電子工業は、操作/デザインの優れた車載用CID(Center Information Display)装置
などの用途に向ける。大画面化と曲面デザインに対応可能な車載用静電容量式フィルムセンサーを開
発し販売を始める。新製品は、印刷技術を用いてセンサー電極をメタルメッシュ化し、1枚のフィル
ム基板上に形成。これによりこれまで2枚必要だったフィルム基材が11枚で済む。また、軽量化や
薄型化を図るとともに、曲面デザインなどへの対応も可能である。タッチパネルの感度も大幅に向上
する。❶フィルムセンサーの大きさは最大20インチ程度まで対応できる。❷厚みは0.1mmである。❸
動作温度範囲は-30~85℃。❹組み合わせて用いる液晶ディスプレイの高画素化に対しても、メタル
メッ
シュのパターン設計を最適化で、外観品質などを向上、❺液晶表示との干渉対策も施す。なお、
印刷技術を柱としたコンバーティング技術を「FLEXCONVERT」と名付けている。新製品開発の基盤
ともなったコア技術で、今後は同社のインタフェースソリューション事業における新技術ブランドと
して新製品の開発に取り組んでいくとのこと。このブログ掲載している「ネオコンバーテック」のナ
ノテク(生物工学)領域の「可撓機能」に包括されるものである(蛇足/下図参照)。

 

 Jun. 30, 2017

● 世界初の発電型スマートストリート ロンドンで公開

6月30日人間の動を圧電変換素子で発電する道路がロンドンのウエストエンドで設置公開。バード通
には107平方フィート(≒9.9平方メートル)のパヴェンゲン(Pavegen)社の技術で足音のパワーを
電気に変換し発生したエネルギーで、その地域の照明や鳥の音のBGMに供給される。「ワシントン
D.C.とヒースローなどの重要な輸送拠点に設置し、弊社技術が実証できれば、小売店街にも拡販でき
る」とローレンス・ケンブル・クック(
Laurence Kemball-Cook最高経営責任者は話す。また、「この
ようにパヴェンゲン(
Pavegon)社の発電舗装だけにとどまらず、空気から二酸化窒素を取り込み浄す
Airlabs社の「CleanAir ベンチ」やエアライトの空気清浄用塗料なども、
健康的な都市空間の数多く
のショッピングと食事の機会を提供する
バード通りが成功すればロンドンの他の地域にも同しコン
セプトが導入されるだろう」とアレックス・ウィリアムズロンドン交通局長は話す。



  Jun. 29, 2017

●  積水ハウス 全賃貸住宅「ネット・ゼロ・エネルギー・ハウス基準」達成

6月26日、積水ハウスは全住戸で年間の一次エネルギー消費量がネットでゼロになる「ネット・ゼロ・
エネルギー・ハウス(ZEH)」の基準を満たす賃貸住宅「ZEH21」を石川県金沢市内に建設すると発
表。全戸でZEH基準をクリアする賃貸住宅の建設は「国内初」(政府は2014年4月に閣議決定したエネ
ルギー基本計画の中で、2020年に標準的な新築住宅で、2030年までに新築住宅の平均でZEHの実現を
目指す方針を掲げている。



それに伴いハウスメーカーはZEHの開発に注力しているが、現状そのほとんどは戸建住宅だ。ZEH
準を満たすには、住宅の高断熱化や設備の導入による省エネと、太陽光発電による創エネで、一次エ
ネルギー収支を概ねゼロにすることが必要。集合住宅の場合、一戸当たりの太陽光パネルの設置面積
が不足するため、ZEH基準をクリアすることは難しとされている。このため、国の普及目標でも集合
住宅のZEH化は対象外となっている。積水ハウスが新たに建設するZEH賃貸住宅は、敷地面積792.83
m2
743.03m2、重量鉄骨造の3階建てで全13戸。2017年8月1日に着工し、2018年1月21日に完成予定。
 

 No.39

【RE100倶楽部:環境配慮エネルギー事業篇Ⅰ】

先回の「RE100倶楽部:太陽電池篇」(同シリーズNo.38「
量子ドット工学講座 No.41:量子ド
ットで理論限界に迫る」)で、後5年で「エネルギーフリー社会」段階に突入すると、わたし(たち)
の確信を書いている。どれじゃ、それを担保する事業推進舞台(あるいは部隊)はどうかということ
になる。今回はそのプロジェクトについて素描していくことになる。



● フレキシブルエネルギーフリータイル事業のスタートアップ

 ✔ 事業名称:フレキシブルエネルギーフリータイル事業FEFTP

事業名称をここでは、エネルギーハーベスティング(環境配慮型エネルギー)の光電変換素子・熱電
変換素子・圧電変換素子を組み込んだエネルギー変換システムの製造・販売・保全(+3R/ZW)
を行うこととする。例えば、前出掲載したライトヤー(Lightyear)社の電気自動車では、メーカーに
ルーフトップソーラーを供給し、使用済みあるいは交換用のソーラータイルを供給する。同様に、パ
ヴェンゲン(Pavegen)社の発電する舗装用圧電発電システム(あるいはソーラーシステム)、あるい
は、住宅・ビルディング用光電/熱電/圧電変換システムの供給する。

✔  ソーラータイル(光電変換システム)の仕様

ここでは、「発電する超高層ビルディング」(2017.06.05)、「ネット・ゼロ・エネルギーハウスを、
語る。」(2017.06.19)記載したような例を元に、❶変換効率を20%/30%のタイプ2つに分類、
❷使用環境(温度・湿度)範囲を設定しタイプを低・中・高の2つに分類、❸タイル表面積は、基本
サイズを規定品(数種類)と特注品とに分類、❹耐久性は15年、30年、60年の3つに分類、❺
価格は、面積当たり(平方メートル)と出力当たり(キロワット)で表示し、例えば1キロワット当
たり、10万円以下に設定(ただし、システム込み/出荷ベース)、❻意匠性では、色彩マントの種
類を基本10色、質感パターンは基本10種類とする。


✔ サーマルタイル(熱電変換システム)仕様

※ ソーラータイルを参考に仕様を決定

✔ ピエゾタイル(圧電変換システム)仕様

※ ソーラータイルを参考に仕様を決定

以上のようなイメージで事業開発を行っていくものとする(本件は残件扱い)とする。同志よ雲のご
とく集まらん!

 

 

   

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帰ってきたドラッガー

2017年01月19日 | 開発企画

 

 

 



                                 戦いの道   /  地水師(ちすいち)

                                      

  ※ 「人は生まれてれて群なきあたわず」(荀子)。人問は本質的
    に社会的存在である。「師」とは多数の
集団、または軍隊のこ
    とである。周代の制度では、五百人を旅(りょう)、
二千五百
    人を師、一万二千万百人を軍という。集団、軍隊には指導者が
    必要である。指導者の良否は、
そのまま集団の運命につながる。
    多数の哨兵を率いて戦いに勝ち抜くにはどうすればよいか、こ

    れはまた現代の管理者の課題でもあろう。この卦(か)は、集
    団の指導者の道を説く。その原則は、「貞正」
である。どんな
    に苦しくとも正しい目的があるかぎり民は必ずついてくる。

 

 Jan 4, 2017

【RE100倶楽部:スマート風力タービンの開発 13】

風況を選ばない高出力インテリジェント風力発電機

【制御サーキットの最適化】

● 目標と成果

タンデム風車ロータと内外二重回転電機子方式二重巻線型誘導発電機の連携プレーを見守りつつ、
風速に応じ、回転速度、出力を制御するための独立電源方式と系統連系方式に対する二次側周波数
変調サーキットを構築。この場合、二次側に用いる双方向に適用できるインバータがキーポイント
となる。2次側の周波数と電圧によって二重回転電機子の挙動を制御する方法は初めての試みで、
独立電源用と系統連系用の両者を対象とし、

  1. 発電機内に設けたセンサからの回転速度,回転方向,出力および風速の信号を受け、インバ
    ータによる2次側周波数変調(二次励磁制御、電圧、周波数)法を最適化する。このとき、
    定格運転開始風速以下では最高効率運転、定格運転開始風速以上では一定出力運転を実現さ
    せる必要がある。基盤課題Aにおいてもこのことを十分考慮して、風車ロータのみで出力一
    定を極力目指しているが、発電機側すなわち制御系の力を借りることをも考えている。
  2. 二重巻線形誘導発電機の特筆すべき利点は高風速域で、2次側からも出力が得られる点であ
    る。この場合、2次側制御に用いるインバータは双方向が要求されるので、新たなインバー
    タを開発するとともに、系統連系方式制御サーキットを構築する。

 

とくに、タンデム風車ロータと二重回転電機子方式二重巻線型誘導発電機の連携プレー能力を最大
発揮させるため、次の目標を達成する。

  1. 定格運転開始風速以下では最高効率点運転、定格運転開始風速以上では一定出力が実現でき
    る制御サーキットの構築
  2. 独立電源方式,系統連系方式制御サーキットの構築
  3. 2次側双方向インバータの開発と系統連係方式制御サーキットの設計

風速回転速度信号による二次側周波数変調方式の構築

①発電機の最適化、②発電機と制御系の最適マッチングの二重回転電機子方式二重巻線形誘導発電
の特性試験結果を導入、二次側周波数変調方式を構築した(上図)、風速す
なわち前後段風車ロー
タの回転速度NF、NR 信号を受け,発電機からの出力である一次側周波数 1 と電
V1 を一定に保
つ(1 =60HzV1200V)ために必要な二次側入力周波数 f 2 と電圧V2 の制御値を定め、それ

を発電機にフィードバックする方法である。

独立電源方式の制御方法検討

本風力発電ユニットを独立電源に供するため,試作1号発電機(8極3相,同期速度900min-1、定
出力1.2kW)を搭載した装置(下図3-2)を用いて、まず、 (1) 1 次側、2次側の投入順序など
の制御方
式の確定,(2) 2次側電圧/周波数調整用のインバータ交換、(3) 2次側電圧/周波数調整
用のスライダック
追加、(4) 2次側データ収集用のパワーメータ追加(低周波数帯域での電圧、周
波数、電流、電力の精度
確保のため)、(5) すべり周波数の測定、(6) 将来を想定した系統連系用
の制御回路追加、(7) 風車方向制
御用のモータ駆動回路追加などを行う。

以上の成果を踏まえ、外部負荷に応じた,1次側出力電圧(V1=200V)と周波数(f 260Hz)を一定
に保
つ独立電源に供するために必要な、2次側励磁周波数 f 2 と電圧 V2 データの収集を実施する。

● 2次側双方向インバータの開発

二重巻線形誘導発電機では、高速回転域で2次側からも出力が取り出せる利点がある(下図3-3)、
この場合、2次側
に接続するインバータは従来と異な双方向が要求されるので、その開発に着手
しているが、発電機と結合試験
はまだ実施していない。なお、現在の発電ユニットは回生抵抗方式
によっ
て2次側からの出力を吸収している。

開発した双方向インバータの制御ブロック(下図3-4)は以下の通り。


  1. 相対回転数演算部:前段・後段ロータの回転速度より風車相対回転数を演算し、相当する周
    波数を計算
  2. 出力パターン発生部:風車ロータの相対回転周波数より、その周波数における出力可能電力
    の最大値を
    内臓パターンより算出
  3. 制御演算部:本装置の主演算部であり、(a)発電機の1次側巻線に商用電源が印加され回転磁
    界を発生し
    ているという前提のもとに演算を実行する、(b)出力電力指令と風力発電周波数の
    情報から、VVVFインバータ(可変電圧可変周波数制御)
    周波数と電圧を演算する.(c)あ
    る風車回転速度以下の加
    減速を助勢し(駆動モード)、出力可能な回転速度まで風車回転速
    度が上昇していれば発電を開始する(発電モー
    ド)、(d)出力パターン部より指示された発電
    量となるよ
    うにVVVFインバータの周波数と電圧を制御する、(e)制御方式は,すべり周波
    数一定制御、可変周波数、可変
    電圧制御である。(f)発電を開始すると、負荷により風車
    転速度は低下するが、制御演算部は、風力発電周波数を
    情報として入力しているので、そ
    の周波数に合わせて出
    力を減じるから、出力周波数は自動的に安定
  4. VVVFインバータ制御部:指示された周波数と電圧となるようにPWM信号(パルス幅変調
    を発生させる(キャリア周波数
    10.7kHz
  5. 電力検出部:総合した発電電力を検出するが、発電量は風車が誘導発電機として発電する量
    と2次側から回
    生される発電量を合計した電力量
  6. 電力演算部:出力パターン部の出力指示量と実質発電量を比較し、同等となるようにCVCF
    インバータ(定電圧定周波数装置
    )の位
    相をシフトして発電機の2次側から電力回生をする。
  7. CVCFインバータ制御部:CVCFインバータは商用電源に同期して運転するが、(a)商用電源
    とインバータ間の位
    相をシフトすることで電力を可逆的に移動させることができる.(b)CVCF
    インバータの周波数と電圧は商用電源を
    常時追従。(c)電力潮流は,直列に挿入されたイン
    クタンスを介して行い、このインダクタンスの両端電圧を監視して制御情報とする。(d)
    回生電力量の指示に従い、インバータの位相をシフト、電力演算部の出力がゼロとなるよ
    うに制御、(e)CVCFインバータの直流入力電圧を監視して逆流を防止する。

 

● 制御対象発電機の特性

二重回転電機子方式二重巻線形誘導発電機の試作1号機における計画特性を下図3-7 に、本発電
機を用いた風力発電ユニットの電気的接続を下図3-8 に示す。

発電機の励磁は商用電源(3相60Hz)に接続された励磁巻線によって行われ、この励磁巻線の施
されたフレームを励磁巻線側と称し座標軸にとることにする。このように座標軸を励磁巻線側に
置くと電気的には励磁巻線側は固定されているのと同じである。図3-8 の一点鎖線で示した部位
から出力を取り出せば下図図3-9 の関係が各風速にて当てはまり、風車ロータは軸出力に関係な
く一時的にこの関係を維持しながら変化するものとする。このとき、前後段風車ロータの相対回
転速度に応じて図3-9 の電力を出力するように制御すれば良いことになる。



● 電気的関係

対地関係が制御に全く影響を与えないと仮定した場合、前述のように励磁巻線側を座標軸にとれ
ば、この励磁巻線側を普通の誘導発電機と同様に固定して考え、回転巻線側のみが相対速度で回
転していると考えても電気的には同様である。すなわち、単純な2重巻線形誘導発電機と考えれ
ばよいことになる。下図3-10 にその例を示す。仮想固定された励磁巻線側に3相交流電圧を印
すると、60Hz-8P 相当の回転磁界が生じる.このとき、
回転磁界から見た回転巻線側の相対速度(
スリップに相当)は風速に対して図3-10 のようになり100%から-33%までをカバーする必要のあ
ることがわかる。電気的に考えると、回転巻線に100%から-33%までのスリップに相当する周波
数の3
相電圧を印加すれば同期回転することになり、これは60Hzから逆回転の20Hzに相当する。
加速を行うにはスリップは正の電動機として動作させ、軸より出力を取り出す、即ち発電動作を
行うにはスリップを負に設定すればよい。

発電機の相対速度を周波数換算して横軸にとり、縦軸に回転巻線に印加する電力の周波数をとれ
ば、上
図3-11 の黒実線が同期周波数となり、これを回転巻線に印加すれば回転巻線側の軸出力は
ゼロの同
期速度で回転していることになる。電動機として動作を行うには前述のように回転巻線
に印加する
周波数を同期周波数より遅く、発電機として動作をさせるには印加周波数を高く設定
し、その関係
を図3-11 に点線で示す。なお、VVVFインバータの低周波数能力に制限があり(3Hz
以下は発生で
きない)不感帯を持っている。



本発電機の等価回路を上図3-12 に示す。スリップ
S が負によりR/(-S)L/(-S)とから電力が湧き出
くることになる。一次側に接続されVVVFインバータはスリップ周波数を確保するために指定
された周波
数で運転される。インバータ出力電圧をα 点の電圧以上に制御すれば電流は商用電源
側に流出するが、イン
バータ電圧をα 点電圧以下に制御するとVVVFインバータ側に出力電流
流れ出る。つまり、回転磁界の励
磁を強めておけば風力発電機の出力は商用電源側(励磁巻線側)
に流出
し、回転磁界の励磁を弱めればVVVFインバータ側(回転巻線側)に流れ出ることになる。

ここでは、VVVFインバータ側より僅かながら電力が商用電源側に流出させる安定制御を目指すこ
とにする。回転磁界側には電力が流出しない制御を原則的には採用するが,過渡時・商用電源急
変時・事故時等の不測事故時に電力の逆流が発生すると、VVVFインバータは電力を可逆に取り
扱うために、直流ステージに電力が蓄積され過電圧が発生して素子破壊に至る。なお、回転磁界
側の相順を逆にして回転方向を反転させるときの発電機との協調現象の解明が未経験ではあるが、
当面、回転磁界側のVVVFインバータからも電力が取り出せるようにVVVFインバータは回生CVC
F
と組み合わせている。このとき、直流ステージが一定電圧以上にならないように、CVCFインバ
ータは回生制御を行う。

● 発生電力一定制御

本風力発電ユニットの大きな特徴は高風速域で前後段風車ロータ間の相対回転速度を一定に保つ
能力を備えることであり、誘導発電機制御システム側からの援助により相対回転速度すなわち周
波数を高精度で一定に保つことができる。本誘導発電機は最大トルクが低いので出力にして2倍
程度までは一定に保てるが、それ以上の領域では印加周波数 0Hz=VVVFインバータ短絡で風車
ロータの能力に任せることになる。

以上のことから、実機若しくはシミュレータベンチ等による①総合閉ループ制御の確認と②電力
試験が必要である。2kW 程度の電機シミュレータベンチに実機発電機をセットし、励磁巻線側
を固定し、回転巻線側を強制的に指定相対回転速度で回転させれば、静的動作は確認検証できる
このとき、回転巻線側の挙動も(励磁の強さと電力潮流の関係)も設計通りかどうか把握できる。
その後、風速の変化に追従する追値制御の安定制御定数を決定する。追値制御は次数が一段と複
雑になるが、静的試験で容認するならばコンピュータシミュレーターのソフト開発も可能である。
風車ロータの回転挙動に自由度を与えると、取り出す出力の設定にルールが必要となる。たとえ
ば、多分対地回転速度の情報が必要となり、取り出す出力の最大を求める評価関数を探す必要が
あろうと考えられ、制御のフローは見直ししなければならず、更なる今後の課題として残される。

また、前後二段の風車ロータの相対回転数が一定になる点を誘導発電機の励磁巻線側定格回転数
に一致さ
せれば(そのような関係になるように風車ロータの大きさと誘導電動機の極数を決める
必要がある)、
VVVFインバータの相順の反転やそれに伴う不感帯の設定等の複雑なシーケンス
が必要なくなり、制御
にも不連続点を無くせる、と結論する

                                    この項つづく 

 Jan. 4, 2017
Source: OpenEI, Transparent Cost Database

● 帰ってきたドラッガー

世界経済フォーラム(WEF)のは、風力と太陽エネルギーが、2018年までに、ほとんどの国
で化石燃料をよりも、安価になると推測する。それによると、石炭と天然ガスへの依存が総発電
量の62%にあるにもかかわらず、「再エネ」は効率とコストでここ数年間で競争力を高めてお
り、09年より太陽光エネルギーは80%逓減し、風力発電はここ3年間で30%逓減し、昨年
どは、化石燃料の価格高騰も影響し、多くの国でグリッド・パリティを達成が実現した初年度と
なった。報告書では、「補助金なしで既に30カ国以上がグリッド・パリティに達しており、今後
2〜3年で世界の3分の2がグリッド・パリティに到達するはず」と報告書は付け加えており、
「電力コストが年間3%上昇すれば、今後数年間に世界市場の80%がグリッド・パリティに到
達する」とし、すでに、 チリ、メキシコ、ブラジル、オーストラリアは、すべてグリッド・パリ
ティに達した国として引用されている。

 
Jan. 3 ,2017
Solar Could Beat Coal to Become the Cheapest Power on Earth - Bloomberg



しかし、日本の現状は、福島第一原発事故以降、原発政策の巨大な(天文学的な)負のレガシー
に押しつぶされるかのような状況に晒されている。例えば、19日、東芝が米国の原発建設で計
上する損失額が、最大で七千億円規模に膨らむ可能性があることが分かり、損失最大7000億
円 米原発事業 政投銀に支援要請
 しており、このため、東芝の半導体事業の主力製品「フラッ
シュメモリー」を分社化する検討に入っていることを伝えているが(東京新聞 2017.1.19 夕刊)、
早稲田大学大学院の長内厚教授は「むしろ原発事業を切り離し、ほかの事業を育てるのにお金を
使うべきだ」と指摘する。主力行幹部は、「原発事業は不確実性が非常に高く、東芝がどういう
形で関与するかが重要だ」と語っている(産経新聞 2017.01.20)。

原発政策の負のレガシーは経済だけではない。巨大地震、火山噴火かなどによる原子炉などの核
施設の被災事故が発生すれば、日本列島全体が崩壊し、世界を巻き込むことになる。かって、米
国の社会生態学者のピーター・ドラッガーは、「リスクは富を生む」と発言しているが、「必要
は成功の母」「失敗は成功の母」とも読み取れる言葉であることを、改めて思い起こさせる世界
フォーラムの報告記事である。

 

  ● 今夜の一曲

ヤナーチェク 弦楽四重奏曲 String Quartet No.2「内緒の手紙」Ⅳ
                              Allegro-Andante-Adagio 

弦楽四重奏曲 第1番ホ短調『クロイツェル・ソナタ』は、レオシュ・ヤナーチェクが1923年10月
30日から11月07日にかけて作曲した弦楽四重奏曲。1924年10月17日にプラハで初演される。この弦
楽四重奏曲は以下の4つの楽章からなるが、全曲を通して演奏してもおおよそ15分程度の長さし
かない。またそれぞれの楽章は、順を追って物語を展開どおりに音楽化している。つまり、主人公
が妻の不倫を知って苦悩する場面から開始楽章が始まり、終楽章で妻の殺害に至るのである。

  

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SWTでクラムスープ

2016年12月26日 | 開発企画

 

    

      勝を急ぎて敗を忘るろことなかれ。その利を見てその害を顧みざることなかれ。

           仁者は人を愛す、人を愛するが故に人のこれを害するを悪(にく)む。          
  
                                 荀子 / 「議兵」



    ※ 「兵法は駆け引きだ」というのはまちがいである。駆け引きでは、大局において、
      勝つことも、身を守ることもできない。では本当の力とは何か?荀子はこの篇で、
      仁君の兵法を論じ、指導者の心がまえにふれ、仁者の戦いを明らかにする。

      『五権』:将軍の地位に恋々として、解任されるのを憎んではならない。勝ちに
      急いで、負ける可能性を忘れてはならない。自軍内を威嚇して、敵を軽視しては
      ならない。戦機の利だけを見てその害を無視してはならない。およそ考慮すると
      きには熟考するべきであり、物資を使うときには気前よく使わなければならない。

            仁義は、最も偉大な技術。仁義というものは、政治を治めるために拠って経つと
            ころ・・・・・・
ゆえに、『そもそも大国の王にとっては、軍の統帥などは瑣末な事に
      すぎない』と言うのだ。たしかに、秦国は四世に渡って勝利した。だがかの国は
      今や戦々恐々として、天下の諸国が一体となって自国を踏み潰すことを常時恐れ
      ている。これは、いわば滅亡の前段階の兵なのだ。王者の本統には至っていない
      ・・・・・・仁義の王は平素の修養を積んでいたゆえの勝利であった。これが、いわゆ
      る仁義の兵である。根本なる仁義によって勝利を求めず、瑣末なる変詐の術によ
      って勝利を求めるがゆえ、これが世の乱れる原因となる。

 

                                                         

                                                                     荀子
                                 B.C. 313 ーB.C..238
 
 

 

  ● 今夜の一曲

「ラスト・クリスマス」でおなじみの英人気歌手ジョージ・マイケルが25日、英国の自宅で死去。
享年53。81年にポップデュオ「ワム!」を結成し、82年にデビュー。「ケアレス・ウィスパー」
「ラスト・クリスマス」(ともに84年)などが大ヒット。86
年に解散後はソロに転向し、87年
に発表したソロ初のアルバム『フェイス』が大ヒット。世界中で「ラスト・クリスマス」が流れる日
の訃報となる。人気絶頂だった84年のクリスマスに合わせて発売されたクリスマスソング。タイト
ルは「去年のクリスマス」と言う意味、クリスマスの失恋がテーマ。ワム!名義で発売された曲では
あるが、実際にはジョージ・マイケルが一人で録音(演奏は打ち込みによるもので、ギターもこの曲
には入っていないため、ジョージ自身が実際に演奏しているパートはない)。通常のシングル・バー
ジョンのほかに当時流行の12インチ・バージョンが、「プディング・ミックス」という名前で発表
された。現在入手できるのは殆どがプディング・ミックス。

George Michael Jun. 25, 1963 - Dec. 25, 2016

                                                    合掌 



【瀬田しじみスープ商品開発考】

クリスマス・イブもクリスマスも、慌ただしく過ぎる。昨日の昼は、彼女が買ってきたおにぎりとハ
ナマルキの「おすし屋さんの赤だししじみ」を頂く。おにぎりは「ローソン」というのがわたしの指
定なのだが、外見はも品名も同じだが、一口食べただけで品質に差があることがわか
る。南高梅と焼
き鮏の2つはそれぞれメーカーが違うのだが、焼き海苔のパリパリ感じ、お米の食感、
うまさなど細
かい点(正確に言えば両手ほどあるが)に渡り「ローソンのおにぎり」に劣るのだ。そ
こで、おにぎ
はわたしが買うよと言うとダメの答えが返ってくるので、次回は多分指定したものが食
べるだろう。
話はハナマルキの「赤だししじみ」。カップの蓋を開け赤味噌のパックとしじみの真空パック
の2つ
を取り出し、開封し再投入しお湯を注ぎキャップを被せ数分待てば出来上がり、このとき、蜆の飛び
出した身を粉砕し溶け込むほどによくかき混ぜること(ここがポイント)。スープを完璧に飲み込む
干すと貝殻とほんの少しの固形分が残る程度になる。逆に言えば、中途半端な攪拌では固形分が多く
なり、折角の栄養分を無駄に捨てることになるのだが、そうして頂いたスープといえば、これは上出
来で申し分ない。赤味噌(グルタミン酸)と蜆(琥珀酸)は本ごっ美味いでよ。



そこで、一人前ごとに真空パックする技術がここでは鍵となっているが、廃棄物という側面からは好
ましくないだろう、そこで、個食商品と家族食商品にわけカップ型は前者のみとし、5人食以上の味
噌は大袋詰めとし、蜆は10食分の真空パック詰めに集約するとし、別売りでレシピ書きで統合する。
個食用は蜆スープの種類(クラムチャウダー、各種味噌汁、吸物、雑煮、塩汁、豚汁、三平汁、けん
ちん汁、ポタージュ、アイントプフ、ブイヤベース、ミネストローネ、トムヤムクン)、それ以外に
は佃煮、乾物などの商品開発できそうだ。これでクラムスープシリーズは完成。


【RE100倶楽部:スマート風力タービンの開発 Ⅰ】

今年は、米国や中東では太陽光発電の電気料金が1キロワット時3セントを実現し、デンマークやハ
ンガリー
では百パーセント風力発電を実現あるいはそれをめざす国が出現する再生可能エネルギーの
躍進が続く。しかし、日本、米国での大規模な海洋風力発電プラントはこれから実証試験段階にある。
もっとも、小形水力、バイオマスなども前実用段階にある。さらに太陽光発電は、30%超の高変換
効率モジュールの実用化も実現していないが、2017年はそれに向けての開発激化ということにな
るだろう。従って、オールバイオマスあるいはオールソーラーのシステム化と同様にオールウインド
システムに焦点を当てることになるが、その前の「スマートウインドタービン設計」を考えていくこ
とにする。
 

 

左:2016.11.09  3165箇所/8.7ギガワット 右:2016.12.25  3245箇所/9.0ギガワットと続伸中

それでは、その鍵語はどうなのかとイメージしてでてきたのは、デジタル革命渦論/マグネットブレ
ーキ/マルチタービン。それを頭の隅に置いて、設計理念からビジョンに移り、ここでは「風況を選
ばない高出力インテリジェント 風力発電機の実用化研究、 財団法人福岡県産業・科学技術振興財団
IST 産学官事業研究成果報告書」を参考に、①風車ロータの最適化、②発電機の最適化、③制御サー
キットの最適化、④フィールド実験、⑤発電機と制御系の最適マッチ ングなどに亘ってさぐってみる。

● 問題意識

風力発電が 世界的規模で展開されているが、現在活躍している従来風車は、風況が良好な欧州や米国

に適した水平軸単段プロペラに固執した従来技術の延長線上にあるが、

  1. 高出力には大径風車ロータが適しているが微風速下では稼働せず。微風速下では軽量小径風車
    ロータ
    が適しているが強風下でも出力が低いなど、適用範囲は限られる
  2. 発電機の磁界を切る速度を速くして電気の質を保つため、増速機構あるいは大径/多極発電機
    準備 する必要がある
  3. 強風速下における風車ロータやタワーの破損と発電機への過負荷を避け、かつ定格運転域で出
    力を一定に保つため、ブレーキや可変ピッチブレードなどの複雑な回転速度制御機構を必要と
    する
  4. 微風速と強風速の差が著しく、風車にとって良好な風況が安定して豊富に得られない地域では、
    従来 風車の定格運転開始風速毎秒11メートル以上に達する季節/時間がかなり限定され、

    車の出力は、風速の3乗に比例するので、風速が遅くなるとともに著しく低下するから、日本の
    ように風況が好ましくない地域では低風速域での出力増大が望まれる

そこで、この研究では、4点を踏まえ風力発電ユニットの望ましい姿が、①出力増大、②運転域の拡
大、③回転速度、④制御機構を排除することに着目、これらの実現に、
前後二段の風車ロータ内外
二重回転電機子をそれぞれ駆動する新たな風力発電機の実用化を目指し進められている。ここで、注
目する鍵語は「風況教安定」であり、自然現象は設計範囲内に都合良く収まらないこと、すなわち「
風況不安定」を前提に、「風況を選ばない」設計構想をすすめることを基本に置き考察。



● 風車ロータの最適化

参考レポートでは、前段風車ロータ径 500ミリメートルを用いた風洞実験と数値シミュレーション
により、タンデム風車ロータとして望ましい姿を求め下記項目を前提としている。

  1. 出力と回転挙動から判断し、好適なブレード枚数は前段3枚、後段5枚である
  2. 前後段風車ロータ径比(後段径/前段径)は 0.84が最適である.
  3. 前後段風車ロータは可能な限り近づけたほうがよい
  4. 前段風車ロータのブレードについては,半径内側50%程度までは対称翼型を用いて無負荷と
    なるようにひねりを与え、それより外側では仕事をするように反りのある翼型を用いて好適な
    迎え角となるようにひねりを与える。このとき、後段風車ロータに十分な風のエネルギーを与
    えることができ、タンデム風車ロータとして好適となる(現在、単段風車ロータに比べて4%
    の効率向上)
  5. 記前段風車ロータに適する後段風車ロータブレード衝動型にするとよい.

● 発電機の最適化

この課題では、静止摩擦トルクの軽減、回転系の慣性質量の軽減を目標として、2号機(相反転方式
3相10極3キロワット、二重巻線形誘導発電機) を試作し、引き続き、試作2号機単体について、
抵抗測定(1次側/2次側)、2次電圧測定、拘束試験、無負荷試験、機械損測定(1次側/2次側)。
各部位の熱試験(3000ワット/220V/60Hz)などを行い、次のような 評価を得ている。

  1. 定格の3キロワット連続運転は余裕を持って可能である
  2. 温度上昇が少ないことから,現状のままで3.4ワット出力で連続運転できる
  3. 最大トルクに余裕があるので,外側回転電機子(1次側)のみ再生して内側回転電機子とのギ
    ャップを0.5ミリメートルにすれば、4キロワット出力の連続運転ができる。つまり、3キロ
    ワットを上限を前提に、発電機径を一回り小さくでき、さらにブレーキを工夫すれば、全体と
    してのコンパクト化が可能である

● 制御サーキットの最適化

ここでは、2次側の周波数と電圧によって二重回転電機子挙動制御する方法は初めての試みである
という。したがって、独立電源用と系統連系用の両者を対象として、

  1. 発電機内に設けたセンサからの回転速度、回転方向,出力および風速の信号を受け、インバー
    タによる2次側周波数変調(二次励磁制御、電圧、周波数)法を最適化した。このとき、定格
    運転開始風速以下では最高効率運転、定格運転開始風速以上では一定出力運転を実現させる必
    要がある。基盤課題:風車ロータの最適化においてもこのことを十分考慮し、風車ロータのみ
    で出力一定を極力目指しているが、発電機側すなわち制御系の力を借りることを考慮する
  2. 二重巻線形誘導発電機の特筆すべき利点は高風速域で、2次側からも出力が得られる点である.
    この場合、2次側制御に用いるインバータは双方向が要求されるので、新たなインバータを開
    発するとともに試作し、系統連系方式の制御サーキットを構築。系統連系サーキットにおける
    改良点は、同期 投入方式と系統保護、実証試験用サーキット、双方向インバータ(整流・コン
    デンサボード)、試作発 機の容量アップに対応である。また、実用化に際し、制御アルゴリズ
    ムの変更と保護、制御パネルにおける表示機能などを決めている

以上のごとく、参考成果報告書を考察を続け「ビジョン」仮構をこのシリーズとして掲載していく。
ここは「待てば海路の日和あり」ではないが、待たず慌てず考えていくことにしよう。

                                      この項つづく
 

 ● 今夜の一枚

          

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オールバイオマス時代

2016年04月02日 | 開発企画

 

 

        左翼とは何かを探しつつあるものだけが左翼なのだ。         吉本 隆明


                                     

                                                 Takaaki Yoshimoto 25 Nov, 1924-16 Mar, 2012 




● エイプリルフールにM6.1の長周期地震動

昼前、三重県沖を震源とする地震があった。それも忘れもしない、5年前の東日本大震災当時の長周期地震動
のように大きな横ゆれが続く。たまたまNHKの衛星放送を見ていたときで、緊急地震警報が発令し、しばら
くすると彼女から詳細を問い合わす携帯が入る。和歌山沖の陣だよと返事する。震度4の揺れを観測。正確に
言うと、午前11時39分ごろ、三重県南東沖を震源とするマグニチュード6.1の地震。 今回の地震は陸側
のプレートに海側のプレートが沈み込んでいるプレート境界で起きたもので、
12年前の9月にも大きな地震
が起きている。震源は72年前に発生した昭和の東南海地震の震源域よりはやや南側で、南海トラフで想定さ
れる巨大地震と直接関係するかは分からない。先回はマグニチュード6から7前後の比較的規模の大きな地震
が相次いで発生しているので、しばらくは強い揺れを伴う地震が起きるおそれもあるとのことだ。 



念のため、JESEAの3月30日付のメルマガ予測を確認すると、レベル3の震度5以上の地震の起きる可
能性が高い――南海・東南海地方東北・関東の太平洋岸、奥羽山脈周辺北海道北部周辺釧路・根室・えりも周
鳥取県・島根県周辺――とある。まぁ~多角的な検討が必要だが、備えを見直すことに。枕元にはスニーカ
ー、ブレーカー
遮断、ガス栓を締める、防災備品の点検・・・。こんな地震・火山大国に終末処理法も決まっ
ていない原子力発電施設が50箇所(原子炉基数)強もあるなんて、いかにも、時代感覚、バランス感覚が悪い。


 

【ちょっとだけ量子ドット工学講座2】
 

 

量子ドットは無機及び無機化合物だけでなく、フラーレンのC60などの有機化合物も含まれる。下図の公開特
許はその典型例で、カーボンナノチューブにP型有機半導体を蒸着さるだけでは太陽電池の変換効率を高める
ことができないのでカーボンナノチューブ表面に量子ドットC60を蒸着させ、P型有機半導体(P3HT:ポリ(
3-ヘキシルチオフェン-2,5-ジイル)を蒸着後。溶剤アニール処理し残留応力を除去し変換効率を高める方法特
許を開示している。

 
US 9293720 B2  Carbon nanotubes as charge carriers in organic and hybrid solar cells



以上、黒い有機半導体太陽電池が実用化できれば、エネルギーフリー時代は実現する。これど『デジタル革命
渦論』である。下節の熱電発電シートもそれである。これらはすべて、ネオコンバーテックで製造するという
ものである。これは自慢話のようになってしまうねぇ~。

 

【耐久性のあるカーボンナノチューブの熱電変換シート】

人の体や車の配管などに貼り付け、温度差を利用して発電する「熱電発電シート」の耐久性を実用可能な水準
まで高めることに成功したと、奈良先端科学技術大学院大学の河合壮教授らの研究チームが発表。それによる
と、
世界最高水準の発電性能と耐久性もつフレキシブルな熱電発電(温度差発電)シートとなる。特に高耐久
の問題改善に、材料のカーボンナノチューブに食塩などを添加することでり、出力特性が従来の約3倍に向上
150℃の温度で1ヶ月以上の性能保持を実現。

このプレスリリースの前に、ブログで特許公開を掲載(『最新ナノ電子工学:熱電変換素子の場合』2016.03.
07「最新ナノ熱電変換素子技術」)している(下図クリック参照)。これまで、導電性高分子がフレキシブル
なプラス型(p型、低温側がプラスに帯電)の熱電材料として注目されてきたが、実用的な高効率発電のため
には、高性能で耐久性のあるマイナス型(n型、低温側がマイナスに帯電)熱電発電材料を開発、これらを組
み合わせて双極型熱電発電シートを実現する必要があった。

まず、母材である単層カーボンナノチューブに食塩(NaCl)などのアルカリ金属塩と、クラウンエーテルとい
う有機化合物を添加したところ、単層カーボンナノチューブが高性能のマイナス型(n型)材料になることを
発見する。その結果、従来の方法で調整したマイナス型カーボンナノチューブに比べて、電力特性がおよそ3
倍になり大幅に向上する。

さらに、このタイプのカーボンナノチューブ複合体の熱電発電特性をもとに一般的な双極型熱電変換素子(上
図1(B))に適用した場合の出力電圧を推定したところ、プラス型(p型)材料のみを利用した場合に比べて
2倍以上に増強されることが判明。これはカーボンナノチューブがマイナス型(n型)になったことによる。


 
特開2016-009851

先進国で消費されるエネルギーのうち約3分の1が未利用で排熱――この1%でも回収できれば、地球温暖化
の抑制や省エネに大きな効果が見込め、火力・原子力発電所や自動車の排熱などがあり、温泉や私たちの人体
そのものもエネルギー資源である――の80%以上は200℃以下であり、大概は分散し、タービンを回して
発電するような従来型の発電技術によるエネルギー回収は困難であったが、今回の発明の特徴は(1)マイナ
ス型有機材料で世界最高水準の耐熱性と発電出力性能をもっている。(2)従来の熱電モジュールとほぼ同等
の電力を出力できる。(3)従来の熱電モジュールにないフレキシビリティや耐衝撃性を備え、有機系熱電発
電シートとして百℃以上の高温でも高い安定性を示すという3つである。

● オールバイオマスシステム完結論 Ⅹ

わたし(たち)がここで注目するのは、日本の「オールバイオマスシステム」(事業プラットホーム)の実現
が加速することである(『オールバイオマスシステム完結論 Ⅸ』/「ようこそ!スマートキャンティへ」2016
.01.23
)。例えば、木屑をバイオエタノール発酵製造工程の特殊な発酵室投入し発酵熱を熱電変換パネルで直
接変換するか、熱電反感チューブで熱媒体を通して間接変換すれば、燃焼することなく、エタノールなどの有
機溶剤を製造し発電できるので、(1)バイオ燃料やバイオプラスチックなどが製造可能な上に、(2)従来
法よりダウンスペーシングなスマートな発電システムとなる。まぁ、これは、わたし(たち)の独自の事業開
発特許に該当することですが。


  ● 大紫羅欄花

メールで「通勤途中の道端にショカッサイが咲き競い、春の到来を告げています」と文が目に入る。ショカッ
サイとは、ハナダイコン、ムラサキハナナ、オオアラセイトウと解説している。何だ、ハナダイコン、あるい
は、ムラサキハナナ(紫花菜)のことかと少し驚く。ショカツサイ(諸葛菜)とも呼ばれは、諸葛孔明にちみ
孔明は大軍を率い野営するときこの種子を用意し、兵士の野菜を栽培させ食用に供したことに因むが、野菜と
食せばカロチンやビタミンCを含んでいるが調理方法は不詳、ただ、シードはリノール酸系の種子油として生
産されているようだが、道端に咲く春告げ花として愛でたい。生憎のPM2.5の基準値オーバーの曇天日和
だったが、タイム-コモンタイム、サフラワー、クミンの3つのハーブの種を捲く。

  ● 今夜の一曲

ジェロが舟木一夫の「高原のお嬢さん」の歌をカバーしていることを偶然テレビでみる。それと同時に、上司
だった人のことを思い
出していた。歌が上手く時折懐かしい青春歌謡曲を歌っていたのだが、退職後の彼の身
の回りの出来事などが去来し侘びしさと切なさが押し寄せて来るとともに、学生時代の記憶も思い出され、複
雑な気分にもなった。さて、ユーチューブで再生して聴くがオリジナルはもちろんカバーも趣があり、懐かし
さにしばし溺れる。
 

 

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カレーパンに閃く

2016年03月30日 | 開発企画

 

 

      何も知識の専門家だけを、「専門家だ、あの人は」と言う必要もありません。だけど、知識
                 の専門家はテレビに出てよくしゃべって、「すごいな」と思われる機会も多いでしょう。

                                                                                      吉本 隆明


                                     

                                              Takaaki Yoshimoto 25 Nov, 1924-16 Mar, 2012 

 

 

 

 

【カレーパンは餡屋なり】

毎秋火曜日はパンの移動販売に大津からやってくる。いつものピザやお好み焼きのパンは飽きてしまったので、カレ
ーパンを選択。名前を忘れたが、二つに割ってオーブントーストすると美味しいと彼が教えてくれたので、いつも電
子レンジしか使わないわたしがオーブントースターで昼時にそれを頂く。丁寧にパンきりナイフで真っ二つに切り分
けたのはよいが、不慣れの上に目が悪いときて焼き過ぎ表面が焦げるしまったが、彼が言った通り大変美味しいに驚
き、なにやら頭で閃くものあり。そして天使がこう囁く「」カレーパンは餡屋なり!」と。それで、食後、ネットサ
ーフし構想を頭の中でまとめあげる。



それで、今月6日、二子玉川にある「iTSCOM STUDIO & HALL 二子玉川ライズ」で開催された「カレーパン博覧会」
大好評で予想以外のお客さんが殺到し、午前11時(~19時)開始からわずか30分で終了するという珍事が起き
るほどの盛況ぶり。へぇ~っ、そんなに日本では人気なんだ、知らなかったという世事の疎さを知る(その必要もな
いが)。このブログでも「世界初のあんこ専門事業:『餡屋』構想Ⅱ」(『気分転換のランチョンマット』2015.11.
16)もあり、パン生地とカレー餡を下図のごとくコーティングし揚げればできる。このとき、ひと工夫し、パン生地
を餡がはみ出さないほどに極力少なくし揚げ、放冷・凍結、そのまま加熱しかき混ぜ、ご飯や麺などに注ぎかければ
カレーライスができあがり、勿論、スープカレーとしても楽しめる。具材の裁断サイズが大きいと手づくりとなり、
生産性が低くなる。話は少し逸れたが、カレー種類が多いので、たこ焼きのように、一口サイズのカレーパンもあっ
ても好きなカレー餡のパンをブレンドしても面白いと思う。この事業素描に従い世界市場を概算すると売上高24兆
円/年、利益3兆7千万円となった。毎日でも食べたい?頭がクラクラするほどの金額になる。^^;?!

 

 
それにしてもこれほどまでにカレーパンがブームとは、日本人って不思議だな?!

 

【ちょっとだけ量子ドット工学講座1】

今回は、最新の量子ドット(あるいは)ナノサイズの半導体微粒子を使った太陽電池製造新規考案事例(京セラ)を
考察してみよう。従来の太陽電池の受光層は、主にバルク結晶と同じエネルギーバンド構造を有する半導体結晶のp
-n接合あるいはp-i-n接合構造だが、量子ドットを用いて、光電変換効率の向上や受光波長帯域の制御などで
より高性能の開発研究が行われている。その1つとして、量子ドット周囲を、量子ドット自身のバンドギャップより
も大きなバンドギャップの障壁層により囲むことで、理論的に電子のフォノン放出によるエネルギー緩和の起こりに
くくキャリアが消滅しにくい構造の研究がなされきたが、量子ドットを集積し量子ドット層を形成した場合、量子ド
ット内に生成したキャリアが、障壁層を含む量子ドット層内に存在する欠陥に結合消滅し、キャリアの密度が低下し、
電極まで到達できる電荷量の低下が起こり、光電変換効率を高められない。

この対策に、量子ドット層と接合層とが交互に積層し、この複数の量子ドット層は、バンドギャップが異なる量子ド
ット層を2層以上で構成し、この量子ドット層内に、量子ドット層の厚み方向に延伸する柱状のキャリア収集部を設
けることでキャリアの集電性に優れ、光電変換効率を高めることができるという構造が提案されている(下図)。


 
上図では、実施形態を部分的に示す断面模式図。ここでは量子ドット層1、3が2層構造のものを例示するが、これ
限らず。量子ドット層1、3が3層以上も可能。ここで、2層の量子ドット層1、3が、バンドギャップが互いに
なるとは――2層の量子ドット層1、3間で0.2ev以上の差があることを意味し、接合層5から量子ドット層
1、3の厚み方向に延伸する柱状のキャリア収集部7をもつ。

量子ドット層1の上層側に透明導電膜に相当する導体層9とガラス基板10を設ける一方、量子ドット層3の下層側
には接合層5、支持体11を設けた構成を示している。この場合、ガラス基板10の上面側が光の入射面13a側と
なり、支持体11の下面側が光の出射面13b側となる。図1(a)では、キャリア収集部7と接合層5は一体化構
造を――キャリア収集部7と接合層5とは、異なる材料によって形成されていても良い――示している。なお、光の
入射面13a側のガラス基板10の表面や光の出射面13b側である支持体11の下面には、保護層や反射防止材な
どが設けられる場合がある。

1)実施形態によれば、量子ドット層1、3が2層以上に積層構造のため、量子ドット層1、3により異なるバンド
 ギャップをもつ
光吸収層の形成が可能になり、吸収できる光の波長の範囲を広げることができる。
2)これに加え、積層量子ドット層1、3の各層に厚み方向に延伸させた柱状キャリア収集部7をもつことで、量子
 ドット層1、3内に生成したキャリアが、量子ドット層1、3内で消滅する前に、キ
ャリア収集部7により効率良
 く捕獲できる。

 

 


 【中国の思想: 戦国策Ⅱ】
 

  ● 目 次

   解題

   
   
   
   趙
   魏
   韓
   燕
   西周・東周・宋・衛・中山 

 

   楚
 姦臣の讒言にあって懐王にうとんじられ、もんもんたる憂国の情を「楚辞」に託してうたった大詩人屈原、かれの仕えた国
 が楚である。楚は当時まだ、"蛮夷の地"だった揚子江流
域にあって、荊とも呼ばれた。悼王(在位・前四〇一年
 ~三
ハー年)の時代、たまたま魏から亡命して来た呉起(『孫子』と並ぶ兵法の書『呉子』を著す)を登用して、
 内政の改革に
乗り出した。しかし、この改革も、悼王の死を契機とする封建領主の巻き返しによって挫折し、呉
 起は。"車裂き"の刑に
処せられる。こうして中央集権に失敗した楚は、以後も、広大な国土を持ちながら、国と
 してのまとまりにかけ、次第に
領土を侵略され、ついに秦の統一を許したのである。

  「婦人の夫に仕うるゆえんは色なり。しかして妬ひはその情なり」
  「これに与うるは信なり。これを攻ひるは武なり」
  「君のために高く梁に屈するを鳴くを得しむるに意なきか」

 ● 資金調達法

 張儀は楚に遊説して金に困った。供の者が辛抱しきれなくなって、暇をくれといってきた。張儀は「貧乏暮しが
 つらいのなら、しばらく待て。楚王に会って何とかする」といって、かれを引きとめた。その頃、楚では、出府
 と鄭袖の二人が懐王に寵愛されていた。張儀は懐王に謁見した。が、王には張儀をとりたてる気はない。

 「王はわたしにご用がないようですから、北へ行って晋王に会おうかと思いますが」  
 「よかろう」
 「ついては晋の国に何かあなたのほしいものはありませんか」
 「わが国には黄金、玉、犀、象、何でもある。ほしいものなど何もない。」
 「女もいらぬとおっしゃるのですか」
 「というと……」
 「鄭や周の街でみかける女たちの化粧の美しさ、よそから来た者にはヽまるで天女が降り立ったように見えます」
 「なにぶんにも楚は辺鄙な国、中原諸国の美人には縁がない。ぜひ、そうい女を可愛がってみたいものだ」

 王は、その費用として珠玉を与えた。
 南后と鄭袖は、この話を聞いて気が気ではない。南后から張儀のもとに使者がたつ。

 「将軍は近く晋へ行かれるとのこと。ここに金千斤がごずいます。路用の足しにでもしてください」

 鄭袖も金五百斤を贈った。張儀は楚王にお別れの挨拶に伺った。

  「各国とも往来を厳重にしている今日、いつまたお会いできるかわかりません。つきましては、おれの盃を頂戴
    したいと存じます」
  「よかろう」

 王は、盃を賜った。
頃あいをみて、張儀はうやうやしく、

 「二人だけでは寂しゅうございます。どなたかお気に入りの方に、お相手を願うわけにはまいりませんでしょう
  か」
 「それもそうだ」

 王は、南后と鄭抽の二人を呼んで、酌をさせた。
 張儀は、またもや、うやうやしく言上した。

 「申訳ないことをいたしました」
 「何ごとか」
 「わたしは全国を歩いて来ましたが、これほど美しい方にお目にかかったのは、はじめてです。そうとは知らず
  美人を求めてまいるなどと、たわけたことを申しました」 
 「よいよい、気にするな。わたしも実は天下にこの二人ほどの美人はおるまいと思っていたのだ」

 

 


● 折々の読書  『China 2049』19


                                  秘密裏に遂行される「世界覇権100年戦略」     


                                                    マイケル・ピルズベリー 著
                                                    野中香方子 訳    

ニクソン政権からオバマ政権にいたるまで、米国の対中政策の中心的な立場にいた著者マイケル・ピルズベリーが
自分も今まで中国の巧みな情報戦略に騙されつづ
けてきたと認めたうえで、中国の知られざる秘密戦略「100年マラ
ソン( The Hundred-Year Marathon )」の全貌を描いたもの。日本に関する言及も随所にあり、これから
の数十年先の
世界情勢、日中関係そして、ビジネスや日常生活を見通すうえで、
職種や年齢を問わず興味をそそる内容となって
いる。 


【目次】

  序 章 希望的観測
 第1章 中国の夢
 第2章 争う国々
 第3章 アプローチしたのは中国
 第4章 ミスター・ホワイトとミズ・グリーン
 第5章 アメリカという巨大な悪魔
 第6章 中国のメッセージポリス
 第7章 殺手鍋(シャショウジィエン)
 第8章 資本主義者の欺瞞
 第9章 2049年の中国の世界秩序
 第10章 威嚇射撃
 第11章 戦国としてのアメリカ
 謝 辞
 解 説 ピルズベリー博士の警告を日本はどう受け止めるべきか
     森本敏(拓殖大学特任教授・元防衛大臣)  

 

 第4章 ミスター・ホワイトとミズ・グリーン

                趁火打却(ちんかだこう)――火に趁(つけこ)んで却(押し込み)を打(はたら)く

                                                                     『兵法三十六計』第五計

  1989年4月、わたしはまた北京にいた。北京に来るのはこれでもう13回目だ。当時、わたしはアメリカで
 二つのポジションに就いていた。一つは上院のための調査員。もう一つは国防総省直属の地位で、中国に関する
 報告をまとめ、国防総省の総合評価局に報告するのが仕事だ。その報告書は直接、ディック・チェイニー国防長
 官のもとへ送られていた。わたしの地位は高くなり、1983年には郵小平と長く会談したことさえあった。当
 時のアメリカ大使、アーサー・フンメルを驚かせたのは、わたしが中国語で鄭に、ふたりが握手する姿を写真に
 収めさせてほしいと頼んだことだ。国防総省のために翻訳した、中国の軍嘔記事をまとめた本の宣伝に使うため
 だった(注1)。

  この1989年の訪中では、天安門広場で進行中の学生の示威行動がどのように報道されているかを調べるつ
 もりだった,学生たちは迅速な改革を求めており、それは順調に進んでいるはずだと、わたしたちは思い込んで
 いた、。中国の動向を追うアメリカの人々は、中国では民心化と資本心義化か着々と進んでいて、その流れが逆
 行することはあり得ないと考えていたのだ,
  4月22日、ピーター・トムセン代理大使から、数名の学生と一緒に車で広場へ行くことを許可された(注2)。
 わたし自身、1960年代には学生運動に参加したので、中国で民れ化を求めるデモがどのように実行されてい
 るかを見るのは有益だと思っていた。広場に向かう前、ピーターはわたしに、前任のウィンストン・ロード大使
 が退任する折に、次明大統領、ジョージ・H・W・ブッシュに送った、機密扱いの電報をにせてくれた,

  フォード政権時代に中国大使を務めたこともあるブッシュは、中国との間に建設的な関係を築くことに、ひと
 かたならぬ関心を寄せていた,実際、彼は中国に大いに期待していた,プッシュは1989年2月、大統領とし
 ての最初の外遊で、北京を訪れた、わたしの訪中の2ヵ月前だ..ブッシュは、出立前に両院のa同会議で演説
 し、「民主主義の風が新たな希望を創造し、自由市場のパワーが新たな力を解き放ちつつあります(注3)」と、
 中国に対すろ楽観的な期待を述べた。 
  ロードの電報は、北京での「信頼できる一筋からの情報に基づいて、米中が良好な関係にあることを褒めそや
 していた。だが具体的な内容はといえば、民主的な選挙が中国の村々で始まり、急速に広まりつつあるとか、真
 の自由市場経済を構築し、企業の国営を終わらせるための基盤が整ったとか、北京とモスクワの和解はあり得な
 いといった、聞き覚えのあるデマを繰り返しているだけだった。加えて、中国がリーダーシップをとるようにな
 っても、アメリカの国益にとって脅威とはならず、民主的な統治を求める天安門の学生たちもアメリカにとって
 脅威ではないと、ロードは記していた、

  ロードを弁護すると、それは、わたしも含め、中国を研究するアメリカ人に共通する見解だった。わたしから
 国防総省への報告にもそれは反映されていた,すでに広場には学生のデモ隊が集まっていたが、それでもわたし
 は、彼らの抗議はそれほど憂慮すべきものではなく、6月に学期が終われば学生たちは帰省するだろう、と決め
 込んでいた。ただひとり、大使館職員のラリー・ウォーツェル大佐だけが、学生たちはきわめて真剣だと考えて
 いたようだ。さらに肢は、騒動を治めるために軍が出動することまで予測していた。ウォーツェルはわたしと同
 じく、長年にわたって中国タカ派に多くの情報源を持っていた。つまり彼はタカ派の動向に注意を払っていたの
 だ。後にウォーツェルは、武力による鎮圧という予測は、タカ派の情報によるもので、あの事件はタカ派のほう
 がハト派より指導者の気持ちを理解していた稀な例だったと語った.、

  わたしたちの多くは、学生たちの行動は共産党内部の真の改革者を当惑させるのではないかと懸念していた。
  当時、米国のほとんどの人が信じ、その多くが今でも頑なに信じているのは、中国は改革への道を邁進してい
 るということだ。実のところわたしたちは、中国政府のトップクラスの数名が改革への道を急ぎすぎている、と
 さえ聞かされていた。その人々が数年のうちに収監、自宅軟禁、亡命、国外追放といった憂き目に遭うことにな
 ろうとは思いもしなかった。改革を巡って政局内部に異論があることは知っていたが、誰が何を望んでいるか、
 改革の敵がどれほど強いかという詳細は、わたしたちにはまったく見えていなかった。

  この楽観に水を差すような事実はほとんどなかったが、注意深く見ていれば、確かにそれは存在した。1週間
 前に少し驚かされたことがあった。北京の人民大会堂で胡耀邦の追悼式が行われているさなか、5万人の学生が、
 胡を譜えてデモ行進を行ったのだ,胡は共産党の前総書記で、公には、その「移り気な」性格ゆえに郵小平に退
 けられたと説明されていた(注4)。学生たちと約100万人のデモ参加者はその後、天安門広場に集結し、7
 週間にわたって、演説や報道の自由を訴え、腐敗政治を批判し、より開かれた政府を求めた。彼らは「独立宣言」
 のコピーをかざし、ビルの3階の高さがある「民主主義の女神」を建てた。さらには、ソ連のリーダー、ミハイ
 ル・ゴルバチョフの訪中前夜に、共産党幹部との対話を求めてハンガーストライキを始めた。ゴルバチョフがモ
 スクワに帰るまでに、天安門広場のデモ隊のことは世界に知れ渡り、中国共産党中央政治局にとっては、政局を
 撹乱しかねない大規模で厄介な存在になった。

  アメリカ側は小平を真の改革者と見ていたので、中国の学生がその非公式な抗議行動において、鄭小平では
 なく胡耀邦を讃える讃えるのを不思議に思った。自分たちが胡耀邦を、そして鄭小平をずっと誤解していたとは、
 夢にも思わなかった。

  しかし、わたしの心の奥底には言葉にならない疑問が漂っており、ゆえにデモ隊をこの目で見たいと思ったの
 だろう。ピーター・トムセンとわたしは、ボンネットにアメリカ国旗をはためかせた黒いキャデラックで広場に
 向かった。Tシャツを着た髪の長い数百人の学生たちのほうへ歩いていく時、遮る人は誰もいなかった,わたし
 たちが話しかけた学生は、ハンガーストライキをするとは言わず、共産党をあからさまに非難することもなかっ
 た。わたしは1968年にコロンビア大学でベトナム戦争に反対する「ストライキ委員会」にいた頃のことを思
 い出しながら、パイロット用サングラスをかけ、ひっきりなしに煙草を吸っている男性と、示威行動について語
 り合った。



  その男性の名前は劉暁波、当時は北京師範大学の教師で、抗議行動に参加するために、前日、ニューヨークか
 ら空路で戻ったばかりだった(注5)。コロンビア大学で客員研究者として教壇になっていた彼は、歴史の一部
 になることを望んでいた。20年後、彼は実際に歴史に名を刻むことになる。度々投獄された末に、2008年
 には「零八憲章」を起草した容疑で逮捕された。しかし、2010年にはノーベル平和賞を受賞した。彼の近著
 は、中国の過剰なナショナリズムと軍部の強硬派を真正面から批判している。1989年当時、中国でも西側諸
 国でも、中国政府のタカ派は優勢ではなく、学生に対して武力は決して行使されないという見方が主流だった。

  5月、小平は戒厳令を発令し、北京に25万人の兵士を集結させた。そしてデモ隊が解散を拒むと、戦車と
 兵士を出動させた。おそらくは、武器を持たない数千人の学生たちが街路で死に、多くは殺傷力の高い「開花弾」
 で撃ち殺された,広場を囲むすべての建物が機銃掃射された。兵士はデモ隊の人々を蹴ったり梶棒で殴ったりし、
 戦車が彼らの足や背中を踏み潰しながら進んだ。向かってくる何台もの戦車の前に立ちはだかるひとりの男の写
 真が、虐殺の象徴となった。彼は一群の人々に引き戻され――その後の消息はわかっていない。


開発独裁課程にある政権中枢は、民主化要求を武断拒絶・弾圧に至ることはわたし(たち)はすでに見通していたこ
とはこのブログで掲載してきたが、そこに、ロシアマルクス主義の脆弱性であることも当然折り込み済み。双方が合
意形成(≒政治的妥協)できずに終わることもあるていど想定していた。


                                             この項つづく


1   Pillsbury, Chinese Views of Furture Warhare. が握手している写真が2ページ目に掲載されている その上.にあるのは
    わたしが写した。著名な強行派で5冊
の本の著者である彭光謙将軍の写真だ。
注2  上院委員会の職員兼国防省の顧問としてわたしは1982年以来7年たってピーターの報告に頼ってきた。82年に初めて
   会った時、彼は、北京のアメリカ大使館の分析官のトップだった。
注3 George H.W.Bush.Address on Adnlinistration Goals before a Joint Session of congress, February 9, 1989,以下のサイ
         トで入手可能。http://www.presidency.ucsb.edu/ws/?pid=16660.
注4   James Mann, About Foce,158.
注5   劉暁波は天安門の人虐殺を生き延び、約20年後の2010年、零八憲章と呼ばれる民主化運動を導いた功績により、ノー
         ベル平和賞を受賞した。

                    

      

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自律的太陽光発蓄電工学

2016年01月30日 | 開発企画

 

 

 

    人類への信頼を失ってはならない。人類は大洋のようなものである。
       たとえ大洋の中の数滴が汚れても、大洋全体は汚れない。

                            マハトマ・ガンジー



               You must not lose faith in humanity. Humanity is an ocean; 
                         if a few drope of the pcearn are dirty, the ocean dose not become dirty.

                                        Mahattma Gandhi

       ※ マハトマは「偉大なる魂」の意の尊称。if (=even if)は「たとえ・・・でも」。

                                       
                                  
2 October 1869 – 30 January 1948

 

 

 

   耳を澄ませる


   いつもと変わるところのないいつもの夜。思い出を

   のぞけばまったくの空っぽ。彼は思う

   もう俺は人生の裏側にまで達したのだと。

   でもそうじゃなかった。ちょっと本を

   読みラジオを聴く。窓の外をしばらく

   眺める。そして二階にあがる。ベッドの中で

   ラジオを消し忘れたことに気づく。

   でもまあいいさ、と目を閉じる。夜の深みの中で

   家が西に向けて帆走する頃、彼はふと目覚め

   ぼそぼそという人声に身を凍らせる。

   それから、ああラジオか、と思う。

   起きて階下に行く。どっちみち

   小便だってしたい。外ではいつの聞にか

   小雨が降り始めている。ラジオの声が

   小さくなったり、大きくなったりしている。

   遠くの局のようだな。さっきとは

   局が変わっちゃったんだ。男が

   ボロディンとオペラ『イゴーリ公』について

   しゃべっている。相手の女は

   そうですねと言って笑う。

   ちょっとしたエピソードを話し始める。

   男はスイッチを切ろうとした手をひっこめる。

   彼はまたここで自分が謎を前にして立っていることを

   知る。雨。笑い声。歴史。

   芸術。最後には勝利を収める死。

   彼はそこに立って、耳を澄ませる。





   It was a night like all the others. Empty
   of everything save memory. He thought
   he'd got to the other side of things.
   
But he hadn't. He read a little
   
and listened to the radio. Looked out the window
   
for a while. Then went upstairs. In bed
   
realized he'd left the radio on.
   
But closed his eyes anyway. Inside the deep night,
   
as the house sailed west, he woke up
   
to hear voices murmuring. And froze.
   
Then understood it was only the radio.
   
He got up and went downstairs. He had
   
to pee anyway. A little rain
   
that hadn't been there before was
   
falling outside. The voices
   
on the radio faded and then came back
   
as if from a long way. It wasn't
   
the same station any longer. A man's voice
   
said something about Borodin,
   
and his opera Prince Igor. The woman
   
he said this to agreed, and laughed.
   
Began to tell a little of the story.
   
The man's hand drew back from the switch.
   
Once more he found himself in the presence
   
of mystery. Rain. Laughter. History.
   
Art. The hegemony of death.
   
He stood there, listening.

                                      Listening

    from “Where Water Comes Together With Other Water” (1985)                                

   Tatarian dances

 

 

【自律的太陽光発蓄電工学】

 ヘーリオスとデクスマニーの結婚

昨夜の「半導体レーザーでマイクロキャパシター」(『今夜は新技術三昧』)の続きの話。つまり、アド
ホックで、高変換率薄膜型太陽光発電・蓄電システムのイメージを描いてみる。技術構成としては、(1)
薄膜・透明の太陽電池と同じく、薄膜・高密度・長寿命なキャパシタの合体(貼り合わせ)あるいは窓ガ
ラスに高透過率太陽電池を貼り合わせ、窓枠周辺の壁に同キャパシタを張り込む方法と(2)ループトッ
プや透過を必要としない建造物に掲載・貼り合わせ・嵌め込む方法の2つのタイプで仕分けし、機能構成
として(1)マイクロインバータ、(2)コンバータ、(3)キャパシタとして仕分けし、システム化と
して、(1)発電と蓄電の合体方法、(2)その合体パネルの制御方法に仕分けし考えてみる。以下、関
連、特許を調査しピックアップイメージアップしたが、その事例研究であっという間の一日が経つ。

 「特集|最新発蓄電型太陽電池技術」


● 建造物(窓)への嵌め込み事例

 
特開2015-151798 発電窓システム

【概要】

発電窓システム1は、建造物2に取り付けた窓枠31に取り付けた太陽光発電モジュール4で発電された電力を、窓
枠31内に配設した受電手段5で受信し、蓄電池6へ供給して蓄電する。透光性のガラス板41の室外側に、透光性
の太陽電池42および太陽電池42で発生した
電力を無線で送信する送電手段43を積層形成し、さらに太陽電池42
に調光パネル44の駆動を積層形成して太陽光発電モジュール4を構成する。蓄電池6の電力を、窓枠31内に配設
した制御手段8および送信手段7を介して制御信号とともに調光パネル44に供給し、センサ81で検出した外光強
度に応じて透光を制御する。採光が得られ窓としての機能が損なわれることなく、調光パネル44を動作できる。

● ルーフトップの集電法の事例

 

特開2015-198508 太陽光発電装置

【要約】

太陽光発電装置は、交流電力を出力するACモジュール51と、ACモジュール51を相互に並列接続する
交流組ケーブル52を、屋根に複数設置する。屋根またはその近傍にACプルボックス53を設置し、複数
の交流組ケーブル52をACプルボックス53に接続する。家屋内に交流電力を集めるAC集電箱55を設
置し、ACプルボックス53からAC集電箱55までを交流ケーブル54で接続する。ACモジュール51
は、屋根の水流れ方向に沿って取り付けられた固定レール43によって屋根に固定する。固定レール43上
には交流組ケーブル52を収納可能なダクト部42を設けることで、電力損失を抑え、施工性を高め、系
統連系の安全性を確保し、さらにはメンテナンス性の向上を図った太陽光発電装置を得る。

● コンバータを含む太陽光発電システムの事例

特開2015-159675 コンバータ及び当該コンバータを含む太陽光発電システム

【要約】

本コンバータは、分散型電源のためのコンバータであって、分散型電源からの入力電圧を昇圧又は降圧する
昇降圧回路と、昇降圧回路を制御する制御部とを有する。そして、上で述べた制御部は、昇降圧回路の出力
に対して少なくとも自コンバータの識別子を表す信号を重畳させ、昇降圧回路の出力に重畳されている信号
から、識別子を抽出するための回路を有する。そして、制御部は、抽出された識別子から、自コンバータと
直列に接続されており且つ動作しているコンバータの数を特定し、特定されたコンバータの数に応じて昇降
圧回路の制御を切り替えることで、分散型電源の接続状況に応じて自律的に出力電圧を調整できるようにす
る。

● 発蓄電一体型の事例

 
特開2014-072141 色素増感太陽電池

【要約】

色素増感太陽電池10は、4つの発電セル28A~28Dにより構成される。その負極18A~18Dと正
極38A~38Dは対向し、その間には、電解液74が封止され、発電層24A~24Dが接触している。
正極38A~38Dが形成されたポリイミド層32の他方の主面には、正極38A~38Dに対応する配線
層44A~44Dが、該対応する正極とその隣接する正極の双方に重なる位置に設けられている。正極38
A~38Dと対応する配線層44A~44Dは、ポリイミド層32を貫通するスルーホール52A~52D
と導体54により接続される。引出用の端子部が形成された配線層と負極を除き、発電セルの負極は、隣接
する発電セルの正極と接続された配線層と外周側において接続されることで、低抵抗な導電性材料を用いる
ことで全体としての出力電圧を高く保つことができる色素増感太陽電池を提供する。

ざっくりとした事例研究ではあるが、高効率でコンパクトで高品質・多機能な太陽光発蓄システム開発のイ
メージは今夜描けたように思う。

  Mushroom Terrine

【巨大きのこのびっくりレシピ】

二週間ほど前、テレビで「なばし天415号」の映像が流れていて時間があればそれについて考えてみた
と頭の隅に残しておいた。ネット情報では新品種として特許出願している。椎茸の育成法の特徴は、不純
物質を取り除くために高圧殺菌釜を開発し、元気な椎茸が発生するようしてたこと。従来のサイズの椎茸
の約10倍の大きさがあるというからびっくりする。また、椎茸固有特の旨味成分グアニル酸の含有量が
従来品の3.2倍あり、雑味が無く透き通た味で苦味や雑味が通常品の約10分の1という。ところで、
茸師(なばし)とは、昔むかし日本に椎茸栽培を広めていった伝道師集団の名前という。

 

元々、生シイタケの生産量日本一の徳島県で約12年かけて開発された巨大種。かさの直径15センチほ
どで、大
きいものは25センチ。開発者は、農家への栽培指導や新品種開発を手掛ける「高野キノコプラ
ント」(徳島市)の高野康弘社長。食育活動の一環として各地の幼稚園や学校に菌床ブロックを持参し、
収穫体験をしてもらう中で、シイタケ嫌いの子供が大きな品種には興味を持ち、食べてくれたことから、
03年に研究を始めたという。当初は種菌を菌床ブロック約200個に植えたところ、通常なら1個当た
り40本前後収穫できるが、育ったのは1本だけ。さまざまな品種の菌の交配を試し、最適な栽培法を確
立することでブロック当たり最大10本を収穫できるように。思いがけなく、食味の良さを示す数値も向
上。研究支援してくれた12道県の生産者約90人が「協同組合日本茸師の会」(同県小松島市)を結成。
14年11月11日に発表。各地で天恵(てんけいこ)を栽培し、仲卸業者を通さずに小売店に直接販
売。店頭価格は1本500円前後。


肝心のレシピについて、件の社長はエリンギのようなシャキシャキとした食感味に独特の癖がないので、
今までシイタケを使わなかった料理にも合わせてほしいとか。そこで、オリーブオイル、ニンニク、昆布
ポン酢、料理酒のたれで戴くジャンボ椎茸のステーキなどが紹介されている。なるほどと思うと同時に、
食べたことはないがステーキだけでは大味過ぎる。「世界初のあんこ専門事業:『餡屋』構想」(2015.
11.04「人工培土と餡屋」)ではないが、キノコ、チキン、卵白、ネギ、セロリ、ニンジン、ハーブ、塩、
コショウをアスピック (aspic) で羊羹、あちらでいうところのテリーヌとした方がいいのではないと、
そんな風に考えた。商品としては固形として加熱し、ハーブクレープ(別売)を型に敷き詰め、流し込み
固め直すように、ハンバーグ風に固めるか、もっと固くハム風にして、グリル、バーベキュー、ステーキ
用にもできそうだと。


、 

 

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都市鉱山事業構想Ⅰ

2015年11月23日 | 開発企画

 

  

 

     善人尚以って往生す、況や悪人をや   /  法然   『後醍本』    

  

                                   

    ※ 善導大師(中国):いま持っている“いのち”は、はるか昔の祖先から綿々と伝えられている
    のと同時に、子や孫といった未来へとつながっていく“いのち”でもある。一人の“いのち”
    であって、一人の“いのち”ではない、ご先祖から未来へつながっていく多くの“いのち”と
    共に生かされている。今この時の横のつながりだけではなく、過去から未来へつながっている
    という一筋の縦軸がある。ゆえに、“いのち”は大切なのだ。“いのち”を奪うということは
    過去の“いのち”未来の“いのち”のすべてを奪ってしまうことになると「共生」を説く
    パリのテロ事件の被害者の仏人映画ジャーナリストのアントワーヌ・レリスも、犯行の増悪を
    超え、未来を切り開こうと表明している。深く共感させられる。
                                        
                        

 

  

【中国の思想: 墨子Ⅴ】
 
  公輸――墨子と戦争技術者※
  尚賢――人の能力を正当に評価せよ
 兼愛――ひとを差別するな※
  非攻――非戦論※
 節葬――葬儀を簡略にせよ
 非楽――音楽の害悪
 非命――宿命論に反対する
 非儒――儒家批判
 親士――人材尊重
 所染――何に染まるか

 七患――君子の誤り七つ
 耕柱――弟子たちとの対話
 貴義――義を貴しとなす
 公孟――儒者との対話
 魯問――迷妄を解く
 

※ シリーズとして掲載(途中も含め)した「編章節」はピンク色にしている。
  尚、段行末尾の※は、以前取り上げたことがあるもので、改めて記載するもの。
 

   魯問篇11――迷妄を解く- 『墨子』 

    ● 目 的

  魯の人で、息子を墨子のもとに学ばせている親がいた。その後、息子は、戦地におもむいて死んで
 しまった。父親が墨子を責めると、墨子は、
 「あなたは、息子さんに学問させたいと願った。その目的は達成されました。学問を通じて学びとっ
 た信念にしたがい、敵と戦って戦死したのです。それなのに、あなたは、息子を死なせたといってわ
 たしを非難なさる。まるで、商人がうまく商売ができたのに、腹を立てるようなものです。矛盾して
 いませんか」

  魯人有因子墨子而學其子者,其子戰而死,其父讓子墨子。子墨子曰:子欲學子之子,今學成矣,
  戰而死,而子慍,而猶欲糶,糶讎,則慍也。豈不費哉?」

 
 
【都市鉱山事業構想 Ⅰ】



● 都市伝説: 蟹の甲羅の廃材から金をつくる

過日のブログで、産業廃棄物をゼロにすることに真剣に取り組んでこなかぅたことを反省した(『脱リ
チウムと脱産
廃』 2015.10.20)。実はファーストライフ時代は、いくらでもそのような話があぅたわけ
で、その具体例が廃食油から石けんをつくる運動」(あるいはバイオディーぜル油をつくる)に関わっ
たり、B級食品素材(お茶などの農作物)のパウダー化を皮切りにいろんな方面からそのような協力依
頼や誘いがあったが、本業事業とホスト事業に傾注していたためお断りし数は両手で遙かに足らないほ
ど(20、30件)だった。政治家で「我が国には資源がない」と発言している耳にすると、「何を言
っているんだ」と反発――ドイツなどは石油がなくても(植民地がなくても)、石炭からディーゼル油
を精製し戦車を走らせ連合国側を驚かせたし、戦況からウラン功績から原子力爆弾の製造の優先順位を
下げたことにより、遠く離れた米国が亡命科学者を使いそれをパクリ唯一の原爆製造独占国にのし上が
ることができた。もっとも、独占化→帝国による世界支配支配を恐れた天才科学者セオドア・ホール
「核の均衡」構想による米帝国の暴走阻止により阻まれる――していたが、その一つが再生可能エネル
ギー分野の高性能太陽光発電×蓄電池×水素製造による『オールソーラーシステム』の実現がほぼ完璧
に現実化できる前段階にきている(だから、わたしのセカンド・ライフの仕事はこの時点で最終段階に
きているのだが)、『廃棄物オール・ゼロ』事業が新たなテーマと浮上。これから真剣に考えようと考
えている。


屋上屋を重ねるが、たとえば、半導体デバイスに使用するシリコン純度はイレブンナイン、太陽光発電
用シリコンはナインナインだから、これをすべて回収し再生すれば、(1)二酸化炭素排出削減、(2)
エネルギー消費削減、(3)コスト削減が好循環する。そのように考えていると「特許5818315  金属の
選択的抽出剤」が飛び込んできた(下図クリック)。

  

このように日本は、世界の希少金属の約220%も消費している希少金属消費国。主要な資源の大部分を
輸入依存し、希少金属の安定供給確保が資源安全保障の課題だ。希少金属の中で、(1)ルテニウム(
Ru)、(2)ロジウム(Rh)、(3)パラジウム(Pd)、(4)オスミウム(Os)、(5)イリジウム
(Ir)(6)白金(Pt)のような白金族金属は産出量が少なく、銅(Cu)、コバルト(Co)及びニッケ
ル(Ni)のようなベースメタルの精錬に伴い出される副生成物として分離、回収されている。また、電
子機器の廃棄物やオキソ反応によるアルデヒド製造廃液と自動車の排ガス触媒のような廃触媒からも分
離回収されている現実がある。

白金族金属の回収方法には、溶媒抽出法、沈殿分離法とイオン交換法等があるが、経済性や操作性から
媒抽出法が広く用いられているが、溶媒抽出法による白金族金属の回収方法の様々な技術が開発され
ているが、効率よく分離、回収し得る方法は未だ見つかっていない。通常、ベースメタルの精錬に伴い
排出される廃液と廃触媒の処理液は塩酸酸性水溶液のため、金属イオンは塩化物イオンとクロロ錯体を
形成する。例えば、Rhイオンは、[RhCl5]-、[RhCl5(H2O)]2-又は[RhCl6]3-のような錯体で存在するが、
このようなRhイオンのクロロ錯体は、ベースメタルや他の白金族金属のイオンと錯体と比較して、抽出
あるいは吸着され難い化学種である。それ故、Rhイオンは、専らベースメタルと他の白金属金属のイオ
ンを抽出・吸着した後の残液から回収するが、このような方法では、Rhイオンを選択的に抽出すること
ができず、Rh純度の向上が困難であり、先行する工程では他の白金族金属の回収率向上を図ると、結果
として最終工程の残液から得られるRhの回収率低下する問題があったが、下図構造のイミダゾールに脂
溶性置換基を導入誘導体を用いることで解決する。


ただし、(1)R1及びR2は、互いに独立、水素、置換・非置換の直鎖・分岐鎖状C1-18アルキル、C2-18
アルケニル、はC2-18アルキニル、また置換・非置換の直鎖・分岐鎖状C7-18アリールアルキルまたはC8-18
アリールアルケニル。(2)R1及びR2は同一であることはない)。(3)R3及びR4は、互いに独立し、
水素、置換・非置換の直鎖・分岐鎖状C1-4アルキル、C2-4アルケニルまたはC2-4アルキニル、また置換・
非置換の直鎖・分岐鎖状C7-18アリールアルキルまたはC8-18アリールアルケニル。(4)R3及びR4は、
それらが結合するイミダゾール環上の炭素原子と一緒になってイミダゾール環と縮合するシクロアルキ
ルまたはアリールで表される化合物を含有する金属イオンの抽出剤。(5)金属イオンがロジウムとパラ
ジウムからなる群より選択される白金族金属のイオンで、【化1】の抽出剤(後略)と規定められてい
る。

なお、この発明の金属の抽出剤は、Al、Cu、Al、Pb、Ti、Ni及びWの
群より選択される1種以上のベー
スメタルのイオン、Ru、Rh、Pd、Os、Ir及びPtからなる群より選択される1種以上の白金族金属のイオ
ンを含有する溶液から、Rh及びPdからなる群より選択される白金族金属のイオンを選択的に抽出するた
めに使用することができる。


● 抽出剤の回収可能性金属

 

以上これらの、また下記の「特許4945744 金の高選択的な抽出」は、国立大学法人宮崎大学馬場由成
授を中心とした研究グループによるものである。

 
電子工業において電子材料の製造工程で排出される廃棄物、自動車廃触媒、めっき廃液等には微量の貴
金属が含まれる。従来より、これらの廃棄物からの貴金属の回収に用いられている代表的な工業用抽出
剤は、硫黄を配位原子とするジヘキシルスルフィド(DHS)やジオクチルスルフィド(DOS)のよ
うなスルフィド類や、LIXシリーズやPシリーズに代表されるヒドロキシオキシム類である。なかで
金の回収にはスルフィド類が主に用いられている。しかしながらスルフィド類は金を抽出するととも
にパラジウムを同時に抽出するので、パラジウムと金とを分離する工程が必要となる。

また金に選択的な抽出剤としてジブチルカルビトールが用いられる場合があるが、金に対する選択性は
必ずしも高くはない。そのため、金の抽出剤としてジブチルカルビトールを用いる場合には、抽出後に
スクラビング工程を行うことにより、共抽出された金以外の金属を逆抽出により除去し、金だけが有機
相中に残存するように処理する必要がある。以上のように既存の抽出剤では貴金属の混合物の中から金
だけを一段階で選択的に抽出し回収することはできない。

またスルフィド類を工業的な抽出剤として長期間使用する場合、スルフィド類中の硫黄原子が試薬によ
る酸化や空気酸化を受けてスルホキシドになり、抽出選択性が低下してしまうという問題もある。その
ためスルフィド類は酸化性を有する溶液中では使用することができないし、また、スルフィド類により
有機相に抽出された金は、逆抽出剤により水溶液側に逆抽出されるが、このとき使用される抽出
アンモニア、チオ尿素、(塩酸+チオ尿素)溶液等である点でも従来のスルフィド類抽出剤の使用は問
題がある。これらの逆抽出剤は後処理が必要であるため、処理工程全体が複雑になるからである。

(1)Rは直鎖状又は分岐鎖状の炭素数1~18のアルキル基又はアルケニル基で表される化合物を有
  効成分とする金の抽出剤。

(2)金を含有する水溶液から(1)記載の抽出剤を用いて金を抽出することを特徴とする金の抽出
  法。

(3)金を含有する水溶液から(1)記載の抽出剤を用いて金を抽出した後、金及び前記抽出剤を含有
  する有機相から水を用いて金を逆抽出することを特徴とする金の回収方法。

(4)金を含有する水溶液が金の塩化物を含有する水溶液である(2)又は(3)記載の方法。
(5)金の塩化物を含有する水溶液が、2.5mol/dm以上の塩酸濃度を有するものである(4)
  記載の方法。

【図1】水相中の塩酸濃度と、1-ドデシル2-ピロリジノンによる各金属の抽出率との関係を示す図
    である。

【図2】逆抽出剤の種類と、金(III)イオンの逆抽出率との関係を示す図である、
【図3】金に対するパラジウムのモル比と、1-ドデシル2-ピロリジノンによる金の率との関
    係を示す図である。

【図4】金に対する白金のモル比と、1-ドデシル2-ピロリジノンによる金の抽出率との関係を示す
    図である。

【図5】水相中の塩酸濃度と、ジブチルカルビトールによる各金属の抽出率との関係を示す図である。

また、下記の特許は、工業廃液に代表される酸溶液からの貴金属の吸着材としては、イオン交換樹脂等
が広く知られている。しかしながら、イオン交換樹脂の場合、処理時の流量性に制限があることや貴金
を吸着後の脱離が困難なこと等から、普及していないのが実情である。 また、蟹のの甲羅まどの成分
に含まれる天然多糖類であるキトサンは、貴金属イオンに対して吸着能を有することが以前から知られ
ており、その貴金属イオン吸着能を利用した吸着材の開発が進められている。しかしながら多くの場合、
キトサンを用いた吸着材の形態は、イオン交換樹脂の場合と同様に粒子状であり、工業的に製造するに
は煩雑な工程となること、及びイオン交換樹脂の場合と同様に、処理時の流量性に制限があるといった
実用面での課題を擁している。


 

特開2013-079415 蟹の甲羅などを構成するキトサンを用いた貴金属回収カートリッジフィルターは、貴
金属回収できる。このカートリッジフィルター(キトサン誘導体に――グルコサミン誘導体に、コット
ンレーヨン、パルプ、アセチルセルロース、ニトロセルロースなどをくわえたもの――を(1)多孔コ
アに、(2)この巻きつけたカートリッジフィルター基材構成したフィルタに、貴金属を吸着させ→酸
性水溶液、アルカリ水溶液、チオ尿素水溶液、塩化物水溶液、チオ尿素、塩酸を含む水溶液に接触→貴
金属を脱離させる脱離させる技術である(下図)。



実施例でもあるように80%以上が吸着できるている、2、3とカスケード吸収体を構成すれば善いだ
ろう。ただ大量に有機溶剤を使う必要が出てくるだろと予想する。安全性の厳重もさることながら、そ
こに投入される溶剤を「オールバイオマス」系の有機溶剤を優先的供給するというのがわたしの独自案
である(詳細不記)。この記事を記載しながら、なろほどやてることが山ほどあることを再確認できた。
これは楽しみだ。

 

 

【米原の環境先進企業:三友エレクトリック】


電源盤や電源装置などを製造する三友エレクトリック(滋賀県米原市)――電気機器の組立・配線を主
な主業務として、精密板金・塗装、産業用電気機器の設計から手配・製造・試験・出荷・現地作業まで
、ほぼ全ての工程に携わる40年の社歴をもつ―――は、米原市の本社工場の敷地内
に今春、350kWの
太陽光発電設備を設置したのに続き、大容量のLiイオン蓄電池システムを導入し、設置
工事を始めた(
2015.11.21)。

● 太陽光発電を2017年度までに1百メガワット時への販売拡大


同社は本社工場の敷地内に今春、350キロワットの太陽光発電設備を設置、大容量のLiイオン蓄電池シ
ステムを導入し、設置工事を始める。蓄電池の容量は200キロワット時hで、年内に稼働し、電力需要
のピークカットなどに使用する。

 

東芝三菱電機産業システム(TMEIC)は2015.11.19、三友エレクトリックから大容量Liイオン蓄電池シス
テム(TMBCS)を受注。TMBCSは、電力変換効率98
.5%(充放電平均)と業界最高レベルのほか、全電
池セルのリアルタイムデータや電池特性を基に充放電制御し、安全性・信頼性を高め、長寿命化が特徴。
系統連系保護や単独運転検出の機能も装備。

三友エレクトリックでは、電気設備の試験などで一時的に大電流を使うことがあり、エアコンと併用す
る夏場など、需要ピークが契約電力量を超える恐れがあったが、蓄電池を放電することで、ピークカッ
トに活用するほか、電力単価の安い深夜電力を充電し、日中に活用することによる電気代の節約にも取
り組む。
同蓄電システムは、2014年度補正予算の「定置用リチウムイオン蓄電池導入支援事業費補
助金」を活用する。

太陽光パネルは三菱電機製、パワーコンディショナー(PCS)はTMEIC製を採用した。三友エレクトリッ
クでは、現在、太陽光の発電電力の全量を売電しているが、将来的に売電価格が低下した場合、蓄電池
に充電して自家消費することも視野に入れる。
TMEICは、これまでに1MWhのLiイオン蓄電池システムの販
売実績がり、今後は需要拡大を見込み、17年度までに100メガワット時まで拡大する予定。

 


 



生憎の霞空。澄み渡ると雄大な東近江平野が広がる絶景が一望できるのだが。

 

釈迦様が木の下で悟りを開いたのはこれとは別のインドボダイジュだそうです。花期は6月ごろ。



二観音像(如意輪観音半跏思惟像,聖観音座像)を参観できた。本道での撮影は禁止されているが、格子越しに
みることができる。千年の秋を超えこの世で一番美しいかわいい観音像。出涙を誘うほどに親しみのある美像だ。

尚、オープンで疾走するには、駐車待ちのバスや自家用車のアイドリングの排気が滞留していた。


  

 

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気分転換のランチョンマット

2015年11月16日 | 開発企画

 

 


 

 

    原爆投下によって「核の時代」の幕があけた。
         我々はいまだにその呪縛から抜け出せてはいない
         人類が直面する最大の課題だ。
         核兵器を減らし廃絶をめざす以外の選択肢は存在しない。
         そのためには我々はあらゆる努力を尽くす必要がある。
         戦争で核兵器を使うような悲劇は決して繰り返してはならないのだ。

                                    ロバート・ファーマン

 

                                                                    

                                                                       Robert Ralph Furman (August 21, 1915 – October 14, 2008)

 



【中国の思想: 墨子Ⅴ】
 
  公輸――墨子と戦争技術者※
  尚賢――人の能力を正当に評価せよ
 兼愛――ひとを差別するな※
  非攻――非戦論※
 節葬――葬儀を簡略にせよ
 非楽――音楽の害悪
 非命――宿命論に反対する
 非儒――儒家批判
 親士――人材尊重
 所染――何に染まるか

 七患――君子の誤り七つ
 耕柱――弟子たちとの対話
 貴義――義を貴しとなす
 公孟――儒者との対話
 魯問――迷妄を解く
 

※ シリーズとして掲載(途中も含め)した「編章節」はピンク色にしている。
   尚、段行末尾の※は、以前取り上げたことがあるもので、改めて記載するもの。

   非命 -宿命論に反対する- / 『墨子』 

  天の前にすべての人間は平等である。貴族も庶民もない。身分差を認めないことは、宿命を認めな
 いことにつながる。墨子は、宿命論の上にアゲラをかく君主を痛罵し、"運が悪い"とあきら
める民衆
 を叱陀する。
 

  ● 宿命論は責任回避

  宿命論者の立場を採用すれば、"天下の義"は滅びてしまう。いいかえれば、"天下の義”を滅ぼす
 人間こそ、宿命論をふりかざし、人民を苦しめるである。人民を平気で苦しめる人間は、天下を滅亡
 に追いやる。

  したがって、人民の上に立つ者は、義を曲げぬ人でなければならない。義を曲げぬ人が上に立てば
 
天下はおさまり、天帝・山川・鬼神は丁重にまつられ、人民は、はかり知れぬ利益を受ける。
  むかし、湯玉が亳の地に封ぜられたとき、領地はわずか百里四方にすぎなかったが、人民を差別な
 く愛し、たがいの利益をはかり、余った物資は分かちあい、率先して天帝・鬼神をまつった。その結
 果、天帝・鬼神が豊作をもたらし、諸侯が味方し、人民がなつき、賢人が心服し、湯玉一代で天下の
 王
となり、諸侯の指導者になったのである。
  また文王も岐周に封ぜられたとき、領地はわずか百里四方にすぎなかったが、湯玉と同じく善政を
 布いた結果、近隣の人民はその支配を受け入れ、遠国の人民はその徳行を慕って帰服した。文王の評
 判を耳にしたものは、みな自国を見限り、ぞくぞくと岐周へ向かった。そこまでふみきれぬもの、手
 足のきかぬものは、
  「なんとか文王の領地がここまで拡がらぬものか。そしたらわたしたちも文王の民になれるのに」
  と望んだ。こうして、天帝・鬼神が豊作をもたらし、諸侯が味方し、人民がなつき、賢人が心服し、
 文王一代で天下の王となり、諸侯の指導者になったのである。
  わたしの主張は、この事実にもとづいている。

   〈湯玉〉殷の聖王。「人が水を見ると姿が映って自分の形が見えるように、その国の人民を見れ
   ば冶まっているかどうかがわかる」といって、名宰相、伊尹を感嘆させた。また、こういう話も
   伝わっている。あるとき、湯玉が郊外に出ると、四面に網を張って烏を捕えている者がいた。湯
   王は、「それでは逃げ場がない」といって、網の三面を取り除かせた。諸侯は、この所を伝えき
   いて、「湯の徳は禽獣にまで及んでいる」と誉めたたえた。
   〈文王〉周代の聖王、西伯昌こと。諸侯はその徳を慕って争いごとはみな西伯に訴えて曲直を決
   した。あるとき虞・芮二国のあいだに争いごとが起こり、両国の人が西伯に訴えるため周に行
   たところ、周ではみな畦を譲り合い、年長者に譲り合っていた。これをみて、虞・芮の人は自

   恥じ、西伯に会わずに帰って、お互いに譲り合って争いごとを解決したという。この文王の子

     殷の紂王を伐った武王である。

 

【世界初のあんこ専門事業: 『餡屋』構想Ⅱ】

今月の4日のブログの『人工培土と餡屋』の続き。餡を考えていくとその概念は広大に広がることに驚い
た。それを飲茶の小籠包やたこ焼きのような「ボールフード」にしてお菓子だけでなく、惣菜、もっと拡
張し総菜の中に入れることもできる。実は、「ボールフードこと新的小籠包」(『今夜の3つのテーマ』
2014.08.29)で掲載した「多層食品製造装置」(特開2013-233138)などで餡の皮――米・小麦・海藻な
どの植物、あるいはゼラチンなどの動物由来――でくるみ、そのまま放置・乾燥・冷却・冷凍・加熱し包
装し、蒸してよし、焼いてよし、煮てよし、油で揚げてよし、それでいてサイズ(球体・楕円体・立方体・
矩形体など)フリーで、餡も多種多様で、たこ焼きのように、小麦餡に蒸蛸の賽の目切りに挿入しつくる
こともできし、アイスクリームも可能だ。そんなことを考えていたら、わたしの頭のアイデア製造機は止
まってしまった。何でもできるんだ、面白いねと。


 

 


 

    

● 折々の読書 『職業としての小説家』 29   

  インタビューなんかで「村上さんはどのような読者を想定して小説を書いているのですか?」
 と質問されることがあります。そのたびにどう答えればいいのか、けっこう迷ってしまいます。
 というのは、とくに淮かのために小説を書いているというような意識は、僕にはもともとありま
 せんでしたし、今でもとくにないからです。

  自分のために書いている、というのはある意味では真実であると思います。とりわけ最初の小

 説『風の歌を聴け』を夜中に台所のテーブルで書いているとき、それが一般読者の目に触れるこ
 とになるなんて、まったく思いもしませんでしたから(本当に)、僕はおおむねのところ、自分
 が「気持ちよくなる」ことだけを意識して小説を書きました。自分の中に存在するいくつかのイ
 メージを、自分にぴったりくる、俯に落ちる言葉を使って、そのような言葉をうまく組み合わせ
 て文章のかたちにしていこう……頭にあるのはただそれだけです。いずれにせよ、どんな人がこ
 の小説(みたいなもの)を読むのだろうかとか、そういう人たちが僕の書くものに対して果たし
 て共感を抱いてくれるだろうかとか、ここにどのような文学的メッセージが込められているのだ
 ろうとか、そんなややこしいことはとても考える余裕もなかったし、また考える必要もありませ
 んでした。ずいぶんきれいさっぱりしているというか、実に単純な話です。

  またそこには「自己治癒」的な意味合いもあったのではないかと思います。なぜならあらゆる
 創作行為には多かれ少なかれ、自らを補正しようという意図が含まれているからです。つまり自
 己を相対化することによって、つまり自分の魂を今あるものとは違ったフオームにあてはめてい
 くことによって、生きる過程で避けがたく生じる様々な矛盾なり、ズレなり、歪みなりを解消し
 ていく――あるいは昇華していく――ということです。そしてうまくいけば、その作用を読者と
 共有するということです。とくに具体的に意識はしませんでしたが、僕の心もそのとき、そうい
 う自浄作用みたいなものを本能的に求めていたのかもしれません。だからこそごく自然に小説を
 書きたくなったのでしょう。

  しかしその作品が文芸誌の新入賞を取り、本になって出版され、そこそこ売れて評判になり、
 いちおう「小説家」と名の付く立場になってしまってからは、僕としても否応なく「読者」とい
 う存在を意識させられるようになりました。自分が書いたものが書物として書店の棚に並び、僕
 の名前が堂々と表紙に印刷され、不特定多数の人々の手に取って読まれるわけですから、それな
 りの緊張をもって書かなくてぱなりません。とはいっても、「自分で楽しむために書く」という
 基本的な姿勢は、それほど大きくは変化しなかったように思います。自分か書いていて楽しけれ
 ば、それを同じように楽しんで読んでくれる読者だってきっとどこかにいるに違いない。その数
 はそれほど多くはないかもしれない。でもそれでいいじゃないか。その人だちとうまく深く気持
 ちが通じ合えたとしたら、それでとりあえずは十分だろう、と。

 1990.06.17

 『風の歌を聴け』に続く『1973年のピンボール』、そして短編集『中国行きのスロウ・ボー   
 ト』『カンガルー日和』あたりはだいたいそういうナチュラルに楽観的なというか、かなり気楽
 な姿勢で書いています。当時僕は他に仕事(本職)を持っていましたし、モちらの収入でとくに
 不足なく生活していけました。小説は言うなれば「趣味みたいなもの」として余暇に書いていた
 わけです。

 1993.05.19

  ある高名な文芸批評家(もう亡くなっていますが)は「この程度のもので文学だと思ってもら
 っては困る」と僕の最初の小説『風の歌を聴け』を酷評しましたが、それを目にして「そりゃ、
 そういう意見もあるだろうな」と僕は素直に思いました。そう言われても、とくに反撥も感じな
 いし、腹も立ちません。その人と僕とでは、「文学」というもののとらえ方が、もう最初から違
 っているわけです。その小説が思想的にどうかとか、社会的役割がどうかとか、前衛か後衛かと
 か、純文学かどうかとか、僕としてはそんなことはまったく考えてもいません。こっちとしては
 「書いていて楽しければそれでいいじゃないか」みたいな姿勢から始まっているわけですから、
 そもそも話が噛み合うわけがないんです。『風の歌を聴け』の中に、デレク・ハートフィールド
 という架空の作家が出てきて、その作品のひとつに『気分が良くて何か悪い?(What's Wrong
  About Feeling Good?』というタイトルの小説がありますが、まさにそれが、当時の僕の頭の真
 ん中に腰を据えていた考え方です。気分が良くて何か悪い?
 今にして思えばシンプルというか、ずいぶん乱暴な考え方ですが、当時はまだ若かったし(三
 十代の初め)、学生運動のうねりを通過してきたばかりという時代的な背景もあり、反抗精神み
 たいなものもそれなりに強かったから、そういういうなれば「アンチ・テーゼ」的な、権威とか
 エスタブリッシュメントとかに楯突くような開き直った姿勢を、僕としては基本的に維持してい
 ました(いくぶん生意気で子供っぽくはあるにせよ、それはそれで結果的によかったんじやない
 かと、振り返ってみて思うんですが)。

 そういう姿勢が徐々に変化を見せてきたのは、『羊をめぐる冒険』(一九八二)を書き出した頃
 からです。このまま〈気分が良くて何か悪い〉みたいな書き方ばかりしていたら、職業作家とし
 て、たぶんどこかで袋小路にはまり込んでしまうだろうということは、自分でもおおよそわかっ
 ていました。今のところその小説スタイルを「斬新なもの」として受け止め、気に入ってくれて
 いる読者だって、同じようなものばかり続けて読まされれば、そのうちに飽きてくるでしょう。
 「ええ、またこれかよ」みたいなことになるはずです。もちろん書いている僕白身だって飽ぎて
 きます。

  それにだいたい僕は、そういうスタイルの小説を書きたくて書いていたわけではありません。
 正面から四つに組んで長編小説を書くための文章技術をまだ持ち合わせておらず、とりあえずそ
 ういう「すかす」ような書き方しかできなかったから、そういうタイプのものを書いていただけ
 です。その「すかし方」がたまたま目新しく新鮮であったということです。ただ僕としては、せ
 っかくこうして小説家になれたのだから、もう少し深く大柄な小説を書いてみたいと考えていま
 した。でも「深く大柄な」といっても、文芸的にかしこまった小説、いかにもメインストリーム
 な文学を書きたいということではありません。書いていて自分で気分が良くて、しかも同時に正
 面突破的な力を有した小説を書きたかった。僕の中にあるイメージを断片的に、感覚的に文章化
 するだけではなく、僕の中にあるアイデアや意識を、もっと総合的に立体的に文章として立ち上
 げていきたいと考えるようになったわけです。

   1980.10.28

  僕はその前の年に村上龍の長編小説『コインロッカー・ベイビーズ』を読んで、「これはすご
 い」と感心したのですが、でもそれは村上龍にしか書けないものです。また中上健次のいくつか
 の長編小説を読んで、やはり深く感心しましたが、それもまた中上さんにしか書けないものです。
 いずれも僕が書きたいものとは違います。当然のことながら、僕は僕として独自の道を切り拓い
 ていかなくてはなりません。それらの先行する作品に込められたパワーを具体例として念頭に置
 きながら、僕にしか書けないものを書いていかなくてはなりません。

  僕はその命題に対する回答を出すべく『羊をめぐる冒険』の執筆に取りかかりました。今ある  
 文体をできるだけ重くすることなく、その「気持ちよさ」を損なうことなく(言い換えればいわ
 ゆる「純文学」装置に取り込まれることなく)、小説自体を深く重いものにしていきたい――そ
 れが僕の基本的な構想でした。そのためには物語という枠組みを積極的に導入しなくてはなりま
 せん。僕の場合、それはとてもはっきりしていました。そして物語を中心に据えれば、どうして
 も長丁場の仕事になってきます。今までのように「本職」の余暇に片手間でできることでぱあり
 ません。ですからこの『羊をめぐる冒険』を書き始める前に、僕はそれまで経営していた店を売
 却し、いわゆる専業作家になりました。当時はまだ文筆活動よりは、店からの収入の方が大きか
 ったんですが、それを思い切って捨てることにしました。生活そのものを、小説を書くことに集
 中させたかったからです。自分の持っている時間をすべて小説の執筆にあてたかった。いくぶん
 大げさに言えば、後戻りできないように「橋を焼いた」わけです。

  まわりの人はほとんど全員「そんなに早まらない方がいいよ」と反対しました。店はけっこう
 はやってきたところだったし、収入も安定しているし、今それを手放すのはあまりにもったいな
 いじゃないか。店の経営は誰かにまかせて、自分は小説を書いていればいいじゃないか、と。た
 ぶん当時はみんな、僕が小説だけで食べていけるとは思っていなかったのでしょう。でも僕には
 迷いはありませんでした。僕は昔から「何かをやるからには、全部とことん自分でやらないと気
 が済まない」というところがあります。「店は適当に誰かにまかせて」みたいなことは、性格的
 にまずできません。ここが人生の正念場です。思い切って腹をくくらなくてはならない。とにか
 く一度でいいから、持てる力をそっくり振り絞って小説を書いてみたかった。駄目なら駄目でし
 ょうがない。また最初からやり直せばいいじやないか。そう思いました。僕は店を売却し、集中
 して長編小説を書くために東京の住まいを引き払いました。都会を離れ、早寝早起きの生活を送
 るようになり、体力を維持するために日々ランニングをするようになりました。思い切って、生
 活を根っこから一変させたわけです。

  このときから僕は、読者の存在をはっきり念頭に置かざるを得なくなったということになるか
 もしれません。でもそれがどういう読者なのか、具体的に思いめぐらしたりはしませんでした。
 というのは、あえて思いめぐらす必要もなかったからです。そのとき僕は三十代前半でしたし、
 僕の書いたものを読むのはどう考えても同じ年代か、あるいはもっと下の年代です。つまり「若
 い男女」です。当時の僕は「新進の若手作家」(という言葉を使うのはいささか恥ずかしいけど)
 であり、僕の作品を支持してくれるのは、明らかに若い世代の読者たちでした。そして彼らがど
 ういう人々なのか、何を考えているのか、いちいち思いめぐらすまでもありません。作者である
 僕と読者とは、当然のことのようにひとつになっていました。それは振り返ってみれば僕にとっ
 て、著者と読者の「蜜月」と呼んでいいような時期だったのでしょう。

  『羊をめぐる冒険』はいろんな事情があって、掲載誌「群像」編集部からは当時けっこう冷や
 やかな扱いを受けた(と記憶している)のですが、幸いなことに多くの読者の支持を得て、評判
 も上々で、本も予想以上に売れました。つまり僕は専業作家として、まずは順調なスタートを切
 ることができたわけです。そして「自分のやろうとしていることは、方向として間違っていない」
 という確かな手応えを得ることもできました。そういう意味で『羊をめぐる冒険』こそが、長編
 小説作家としての僕にとっての、実質的な出発点であったわけです。

  それから歳月が経過し、僕は六十代半ばになり、新進の若手作家というところからずいぶん遠
 く離れた地点までやってきました。とくにそんなつもりもなかったんですが、時間が経てば人は
 自然に歳を取ります(しょうがないですね)。そして僕の本を手に取ってくれる読者層も、歳月
 とともに変化しました。というか、もちろんしたはずです。でも「じゃあ今現在、あなたの本を
 手に取っているのはどういう人だちなのですか?・」と尋ねられると、僕としてぱ「いや、まっ
 たくわかりません」と答えるしかありません。本当にわからないのです。

  僕のところには読者から数多くの手紙が寄せられますし、また何かの機会に読者の何人かに直
 接お目にかかったりすることもあります。しかしその人たちは年齢も性別も住んでいる地域も実
 にばらばらで、僕の本が主にどのような人々の手に取られているのか、具体的なイメージが湧い
 てきません。僕にはちょっと見当がつかないし、たぶん出版社の営業の人たちにも実態はよくわ
 かってないんじゃないかという気がします。男女の割合がちょうど半々くらいで、女性読者に美
 しい方が多いということを別にすれば-それは嘘じゃありません―――これという共通した特徴
 が見当たらないのです。昔は都市部でよく売れて、地方ではあまり売れないというような傾向も
 あったみたいですが、今ではそこまではっきりとした地域差みたいなものはありません。

  それでは読者の像が全然わからないまま、おまえは小説を書いているのか? と言われそうで
 すが、考えてみればまったくそのとおりかもしれません。僕の順には具体的な読者像というもの
 が浮かんでこないのです。
  僕の知っている限り、作家の多くは読者とともに年齢を重ねていくようです。つまり作者が年
 を取れば、読者も一般的に言って、それに合わせて年を取っていくということです。ですから作
 者の年代と読者の年代は、おおよそ重なっていることが少なくないようです。これはわかりやす
 いといえばわかりやすいですね。そういうことであれば当然ながら、自分とだいたい同じ年代の
 読者を想定して小説を書くことになります。でも僕の場合はどうやらそうじゃないみたいです。

  それからある特定の年代、特定の層を最初からターゲットにしている小説ジャンルもあります。
 たとえばヤング・アダルト小説は十代の少年少女を、ロマンス小説は二十代、三十代の女性を、
 歴史小説・時代小説なんかは中高年男性をおおむねターゲットにして書かれています。これも話
  もちろん自分が楽しめれば、結果的にそれが芸術作品として優れているということにはなりま
 せん。言うまでもなく、そこには峻烈な自己相対化作業が必要とされます。最低限の支持者を獲
 得することも、プロとしての必須条件になります。しかしそのへんさえある程度クリアできれば、
 あとは「自分が楽しめる」「自分が納得できる」というのが何より大事な目安になってくるので
 はないかと僕は考えます。だって楽しくないことをやりながら生きる人生というのは、生きてい
 てあまり楽しくないからです。そうですよね? 気分が良くて何か悪い――という出発点にまた
 立ち戻る、というか。

  それでも「おまえは本当に自分のことばかり考えて小説を書いているのか」とあらためて正面
 から尋ねられると、僕だって「いいえ、もちろんそんなことはありません」と答えることになり
 ます。前にも言いましたように、僕は一人の職業的作家として、常に読者を念頭に置いて文章を
 書いています。読者の存在を忘れることは――もし忘れたいと思ったところで―――不可能です
 しまた健全なことではありません。


                           「第十回 誰のために書くのか?」
                            村上春樹 『職業としての小説家』


そうかノンポリ作家ではなかったのか、心得違いをしていたことに気付かされたが80年前後は仕事
で中国出張していた頃で、ベトナム戦争、オイルショック、文化革命、ロシアマルクス主義、毛沢東
主義など真正面から取り組んでいたから違和感を感じていたものの「団塊世代」という点では一括で
きそれを柔らげてくれた。さて、毎日、情報処理や調査研究、あるいは蔵書の整理(【我が家の焚書
顛末記】に追われ、しばらく読書できずいたが、無理から前に進めてみた。とはいえ、夜になると、
霞目が酷く誤字脱字、ミスタイプが増える中の作業となるが、螺旋を巻かないとデスク周辺の図書の
山は解消されない。
                                                                                


                                      この項つづく

 

● 気分転換のランチョンマット 

いつものスクエアやレクタングラのランチョンマットからパープルサークルに変え気分転換し朝食を
とる。これだ
と、コンパクトにテーブルに置け、じゃまにならないし、広く敷くには、サテライトサ
ークル(コースタ)を使ったり、もう一枚増やし食事している。

 

 

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ベンチャーダマシ Ⅰ

2015年11月09日 | 開発企画

 

 

        時間と空間と重力は、物質から離れて存在することはない。

                   アルベルト・アンシュタイン 1915

 

                                                                                    

  公孟 -儒者との対話- / 『墨子』

●  門と泥棒

  墨子が病気になったとき、弟子の践鼻が枕元にきて、
 「いつか先生は、『鬼神はたしかに存在し、禍福をもたらす力がある。正しい人間には福をもたらし、
 邪まな人聞には禍をもたらす』といわれました。
  ところが、先生は聖人であられるのに、病気になられた。これはどうしたわけでしょう。先生のお
 っしゃることが正しくないのでしょうか、それとも鬼神には、人を裁く力がないのでしょうか」
 「わたしが病気になったからといって、すぐ鬼神に結びつけるのはよくない。病気になる原因はたく
 さんある。寒暑が原因になることもあれば、疲労が原因になることもある。
  おまえの見方は、門がたくさんあるのに、一門を閉めて、もう泥棒は入らないと安心するようなも
 のだ」 

 

 出典:中日新聞

【ベンチャーダマシ Ⅰ】 

● サイクリングに「漁船タクシー」を 守山市が新事業 

守山市は7日、漁船で希望の港まで人と自転車を湖上輸送する「漁船タクシー」を試行的に始めた。初
心者にも
気軽にサイクリングと湖上の景色を楽しんでもらう企画で、今月下旬には一般向けに事業を始
める。申し込みを
受け付けている。市内の琵琶湖大橋に、自転車で琵琶湖を一周する「ビワイチ」をす
る人が多く立ち寄ることに着目。国の地方創生交付金を使い、ビワイチの拠点化を目指して市と守山漁
業協同組合が協力。同市の木浜漁港を起点に申込者の希望に合わせて、県内五カ所へ輸送する。この

は市内の9人が参加。2隻の漁船に分かれて自転車を積み込み、大溝漁港(高島市)や大津港(大津市)へ向か
った。各港に到着すると、湖岸沿いを走って思い思いのペースで木浜漁港を目指した。初心者だとこげる距離が
限られていつも同じコースになってしまうが、船があれば同じ距離でも違うコースが楽しめて良いと思うと参加者
は満足げに話した。一般向けは今月22、28、29日、12月5日と、来年3月にも3回予定。参加費は一人一回3
千円。原則、事前に市地域振興課=077(582)1165へ申し込む。

 

行政情報システム室の資料(上図)の資料によるとスポーツ自転車は01年から3.5倍の伸び率(電動
アシスト車は1.8倍)と圧倒的な伸びを記録。ところで、琵琶湖一周した経験者なら気付くと思うが一
周するには夜間を抜いて一日では無理がある。それなら、船に乗せ、大津、守山、近江八幡、彦根、長
浜、今津、堅田の7カ所に寄港できれば、8時間で無理なく分割一周できるし、何といっても風景が好
いから病みつきなるほど楽しい(天候次第だが)。
 

EVARTube


● パンクしない自転車タイヤ

自転車でのトラブルの1つはチェーンが外れる、2つは思いがけないパンクだとは誰しも軽々している
だろう(盗難はここには入れていない)。そこで、パンクしなく、しかも軽い自転車のタイヤが話題を
よんでいる。それが上の写真「EVARTube」(製造元「株式会社デファクトスタイル」)。自転車や車
いすのタイヤの内側にある空気チューブを取り払い、代わりにこの製品と入れ替える事でバンクレスの
タイヤとなるす。基本は直径3センチメートル長さ250センチメートル程度の円柱状で、4種類のサイズ
展開だけで、市販されている全てのタイヤに適合出来る設計になっている。類似の樹脂製パンクレスタ
イヤ製品などと比較して、重さが半分以下になるよう、特殊なクッション材を用いた工業製品(合成樹
脂の立体網状集合体:特許/実用新案)。重さが軽くなるとことで、原材料の使用量も少なく、原料の
EVA樹脂――Ethylene Vinyl Acetate Copolymer)エチレン ビニールアセタート コポリマー
の略称で、エ
チレンと酢酸ビニル共重合体させた合成樹脂――はれ安価で製造コストもかなり安、く抑えることがで
きる。

従来のパンク防止対策済空気タイヤは、パンクを防止するため、合成樹脂製弾性発泡体やシリコーンゴ
ムが充
てんされたタイヤチューブを備えていることがあったが、(1)タイヤチューブに合成樹脂製弾
性発泡体やシリコーンゴムを充てんすると、タイヤチューブ全体の重量が少なくとも2キログラム以上
となり空気タイヤの軽快性が損なわれる。(2)
また、合成樹脂製弾性発泡体は、シリコーンゴムより
も軽いものの軽いものの、水分を吸収しやすい。そのため、合成樹脂製弾性発泡体がタイヤチューブ内
に侵入した湿気を吸収し、タイヤチューブ全体重量が増加し経年劣化する。(3)さらに、タ
イヤチュ
ーブ形状が意図せずタイヤチューブの形状変化し、タイヤの縁部をホイールリムに押しつける力が不十
分となりホイールリムからタイヤが外れやすくなる。(4)
また、タイヤチューブの重量バランスや剛
性が不均一になり、このタイヤチューブを利用する自転車等の乗り物の乗り心地が悪いなどの問題があ
。これらの問題点は、チューブレスタイヤでも同様のことが言える。同社の伊澤光輝社長は○百億の
売る上げと意気込みを語っている。


【符号の説明】

1  空気タイヤ内蔵用クッション  2  タイヤ支持部  3  タイヤ本体支持部  4  縁支持部  5  リム支持部  10 
タイヤ  11  タイヤの両縁部  20  ホイールリム  21  ホイールリムの両縁部  W1  縁支持部の幅  W2  タイ
ヤの両縁部の内側幅  WD  幅方向

このため、上図1の改良考案(実登3181271 空気タイヤ内蔵用クッション 株式会社デファクトスタイル
――空気タイヤ内蔵用クッション1は、ホイールリム20に装着されたタイヤ10の内側形状と同様の
形状であって中実又は中空に形成されているタイヤ支持部2と、ホイールリム20の内側部分のうちタ
イヤ10が接触していない部分の形状と同様の形状であって中実又は中空に形成されているリム支持部
5と、を備えているとともに、複数の合成樹脂捲縮糸が互いに絡み合いながらそれらの接点で融着させ
合成樹脂捲縮糸集合体を用いて構成することで、一般的な空気タイヤとパンク防止対策済空気タイヤを
比較し、パンク防止性能を向上させるだけでなく、乗り心地、走行性、耐久性や安全性の維持向上させ
ることができる空気タイヤ内蔵用クッション――が提供されている。





● 世界初の深漬専門事業:『古漬け本舗構想』

『人工培土と餡屋』(2015.11.04)で古漬けのことに触れたが、そのバラエティの多さと、その定義の
不確かさに少々暗澹とした気持ちに落ち込む。「発酵食品」と規定すると「油漬け」や「砂糖漬け」(
「ピクルス」は?といえばやバルサミコ酢やワインのように長期熟成できるものもあり、メゾな半発酵
領域な入るだろうと思うから外れる)もあるし、それじゃ、漬け込む(保存熟成)期間でいえば、「浅
漬け」のようなものもあり、1年以上と規定しても半年、数ヶ月ならどうするということで迷う。さら
に、「糠漬け」「麹漬け」「味噌漬け」などの「床」(媒体)の規定もある。例えば、先ほどのピクル
スのような「酢漬け」のように梅酒の梅のような「アルコール漬け」(炭酸水水漬け)などの液体。あ
るいは、世間ではまだ出回っていないガス・気体のような気体漬け(窒素漬け、二酸化炭素漬け――厳
密にいえばバナナはエチレンガス漬けだし、冷間燻製はある種のアロマ漬けともいえるが)などの区別
もあり、また、一般的な食品か特定保健用食品は、あるいはそれは、消化酵素、代謝酵素、食物酵素と
の関係からの規定性という「規定性」をめぐる課題が横たわる。



つぎに、被加工食品飲料の規定、液体でいえば、酒・酢・乳・シロップ・醤油など、固形物では、茶・
ハーブなどの草木・穀物・魚介(卵巣・精巣)・野菜・果実、鳥獣(卵)、家畜(卵)、特に最近は熟
成肉が美味いということで話題になっているが、干し肉や冷凍保存以外の持続可能な社会時代にマッチ
した、グリーンで美味しい発酵食肉品が開発できればこれは一大センセーショナル(sensational) には
なるが、例えば、鮎を例にとると年魚であり長くて二年魚で、香魚と呼ばれるほどで、刺身(瀬越)、
塩焼き、天麩羅、一夜干し、稚鮎油漬け、鮎の燻製が知られているが、その良さを壊す漬け物は敬遠さ
れてしかるべきかもしれないが、それを超える商品が完成すれば"凄い知財"のかたまりになることは必
定。稚鮎のように丸ごと漬け込むか、臓物を取り除くか、それとも一旦焼いてから漬け込むか、固形発
酵培地(媒体)か、食酢やアルコールに漬け込むか、アロマ燻製などの気体(ガス)処理して漬け込む
かそうれは様々だが、そんなことを考えると、春日一球ではないが"秋の夜長も眠れない"ことになる。



もう1つ、発酵商品製造評価方法。発酵過程は、農林水産物の育種開発と同じで長時間かかるため、そ
れを短縮する評価システムの開発が肝となる。内部環境を評価するシステムの構築は簡単だ(『高密度
栽培工学』2015.04.29)。問題は、発酵容器の再現設計仕様とそれを保管する環境の再現設計仕様の2
つ(簡単に書いているが、これを落とし込み細分化する作業は膨大)。評価システムを極力コンパクト
にすることはベターだが、熱力学的な変動と微小成分・微小濃度のその場検出に腐心細心することも必
定。これに成功すれば格段に時間短縮できれば、後は従来のの拡販ルーチン過程に入るだろう。

さて、発酵食費や漬物の機能の一義は、(1)その栄養価を損なうことなく保存することはいうまでも
なく、(2)河豚卵巣の毒を解毒機能をもつ糠漬けのごとく、さらに新しい価値を付加する機能もある
という「医食同源」敵側面もある。(3)さらに、「還相」的側面、つまり、1つも無駄のでない商品
製造プロセス――例えば、大根の葉っぱ。根の有用化、魚介類の臓物、鱗や甲殻の有用化――
機能を組
み込む機能がある。もっとも、この(3)つめが古漬けの真骨頂でもある。
 

 




【時の砂の波紋】


時空
連続体の中で、時間は四次元として知覚される。過去、現在および未来の全てが。

時間
波紋自然素材が変化していくことで、その存在を知る。

砂と水の2つで相補構成された時計。


禅寺
の庭の砂のように、12時間周期で、斬新でいて平坦な波紋をつくる。

その一方で水は、無限の同心円の波形を通し時の儚さを伝える。



 
  Time and space and gravitation have no separete existence from matter

                                                                                            - Albert Einstein -

 

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米国初女性大統領の誕生?

2015年11月08日 | 開発企画

 

 

   魅力とは、はっきりした返事を求めなかったのに、イエスの返事を得る方法である。

                                               アルベール・カミュ

 

     Charm is a way of getting the answer
                                “Yes” without having asked for clear answer.  
                                     

 

  公孟 -儒者との対話- / 『墨子』

● 自分を"かくまう"罪

  墨子に師事する青年がいた。その青年が墨子に向かって、
 「鬼神はたしかに存在し、人の行為を判断して禍福をくだす。行ないの正しい者には福を与え、正し
 くない者には、わざわいをもたらす、というのが先生の持論です。
  ところで、このわたしは長い囲先生に師事していますが、いっこうにうだつがあがりません。先生
 のおっしゃることがまちがっているのか、それとも鬼神には禍福をくだす力などないのか、二つにひ
 とつであると思います。うだつのあがらないわけを教えてください」
 「わたしがまちがっているのでもなければ、鬼神に禍福をくだす力がないのでもない。
  おまえは、罪人をかくまうと、罰せられることを知っているか」
 「いいえ、知りません」
 「ここにおまえより十倍もすぐれた人がいるとする。おまえは、その人にくらべて自分がその十分の
 一の価値しかないことを認めるかね」
 「それは、むりです」
 「おまえより百倍もすぐれた人がいれば、全面的にその人の実力を認めて、自分を無にすることがで
 きるかね」
 「とても、むりですに
 「人をひとりかくまうだけでも罪になる。ところがおまえは、こんなにたくさんのものをかくまって
 いる。こういう罪を犯していれば、幸運がめぐってこないのは、当然ではないかに

 

【我が家の焚書顛末記 Ⅱ】

本の整理野中には洋書も少しあり、たまたまヒラリークリントンの06年に購入した『ヒラリー・ロダム・
クリントン自伝』を拾いあげ処分しようかと迷う。この本もご多分にもれず積んどくだけであったが翻訳
することに決め焚書を免れる。和書は漢字をコード認識し読み飛ばせて日本語は楽だが、英文はそれがな
く、それでなくても慢性的な眼精疲労に悩まされているのにと、変なところで頑張ってしまう"旋毛癖"

働いた。次期大統領候補として有力視されている彼女だが、共和党などの政敵を融和・懐柔・打開をする
手腕が乏しいとか、戦争屋ロックフェラー(デイヴィッド)の影響が大きく、彼女が就任すれば戦争が起
きる――最近の中東情勢を見る限り誰が大統領になろうとその可能性は大きいだろうが――とかの情報が
飛び交う魑魅魍魎の世界もあってなかなか面白いが、これも眼精疲労を助長する。

さて、彼女は47年イリノイ州シカゴ郊外で、織物工場を経営する父と専業主婦の母の間に生まれる。名
門女子大
ウェルズリー・カレッジを卒業後、イエール大学ロースクールを修了。その後、弁護士として子
供、女性、社会的弱
者の権利擁護に力をそそぎ、ニクソン大統領弾劾の司法委員会にも参加。75年イエ
ール大学時代に知り合
ったビル・クリントンと結婚し、アーカンソー州に移住。司法長官の妻、州知事夫
人をへて93年大統領夫人に。医療保険改
革や女性の地位向上のために尽力し、新しいファーストレディ
像を築きあげた。99年ニューヨーク州から上院
議員選に出馬し、翌2000年当選を果たす。現在、アメ
リカ大統領の椅子にもっとも近い女性として、全世界の注
目を集めるが新鮮味がないとかで離反する支持者
も出ている。本書せは、「彼女自らが、子供時代、夫ビル・クリントンとの結婚生活、ホワイトハウスの内幕、上院選
の勝利に至るまでを綴った感動のメモワールである。母として、妻として、政治家として、全世界がもっとも注目する
女性が、21世紀という困難な時代に生きるすべての人に贈る“人生賛歌”」と紹介されたりしている。

  

また、読売新聞特別編集委員の橋本五郎(五郎丸ではない)は、「ホワイトハウスは全米刑務所の中で最
も光り輝く刑務所である」。アメリカ第33代大統領、ハリー・トルーマンの
至言である。ヒラリー自伝
は、大統領だけでなく、その夫人にとっても時に牢獄と化す“刑務所”を根拠地
にして戦う女性の記録で
もある。既成の観念や陋習(ろうしゅう)と戦いながら、立ち止まることなく前進しようとする
張り詰め
た姿が全編にみなぎり、読むものに畏怖の念さえ呼び起こす。大統領夫人とは「立場」ではあるが
「仕事
」ではない。この立場を使ってどう夫を助け、自身の声を失わずに国家に奉仕できるか。そう考える彼女
は、
女性の地位の向上を求め、子供の人権を守り、医療保険改革に取り組んだ。そして、どんな時でも自
分自身であ
ろうとした。幾多の試練が待つ彼女の支えとなったのは、歴代ファーストレディーだ。穏やか
で毅然としたエレノア・ル
ーズベルトの写真を眺めていると、エレノアの言葉がよみがえる。「女性はテ
ィーバッグみたいなもの。熱湯に入
れられるまで、その強さにだれも気づかない」「政治の世界に身を置
く女性たるもの、サイのように皮を厚くしなくて
はならない」。ヒラリーはこれらの言葉を呪文のように
唱えて危機を乗り切るのだった。皮を厚くしすぎて温かみのない人間になることを恐れながら。その彼女
にとって最大の危機は、夫がモニカ・ルウィンスキーとの「不
適切な関係」について自分を欺いたことだ
った。とめどない怒りに我を忘れた。「妻としてはビルを絞め殺してやりた
かったが、彼はわたしが支援
したいと思うようなアメリカと世界の指導者だった」ことで踏みとどまる。そのもがき苦
しむ様が赤裸々
に綴られていると評価しているほどだが、米国初の女性大統領が誕生するなんて素敵ではないかと、ミー
ハーなことしか言葉として浮かばない。

 

 

  


【時代は太陽道を渡る 22】

今夜は技術の話題を3つ4つ拾ってみる。

● 世界初 スーパーグロース・カーボンナノチューブの量産工場が稼働

産業技術総合研究所が開発したスーパーグロース(SG)法を用いたカーボンナノチューブ(CNT)の世界初
の量産工場を日本ゼオン(株)が完成させ稼働を開始(2015.11.04)。SG法は高速・大量合成――従来の
CNT合成法と比較して、数百倍の成長効率を示すとともに、合成したSGCNTは基板から容易に分離できるた
め、品質を損なうことなく炭素純度99%以上の純度でSGCNTを簡便に回収することができることから、触媒
使用量および製造コストの大幅な削減――が可能であり、SG法で得られるCNTは、従来と比較して、高アス
ペクト比、高純度、大表面積といった特長を有し、従来にない機能や特徴を持つ新機能性材料、次世代デ
バイス等への応用が期待される材料です。高性能キャパシタ、高機能ゴム材料、高熱導電材料等の革新的
材料やデバイスへ応用できることから、その需要拡大が見込まれます。

 
これは、大きな『マテリアル革命』になる。現在の電気配線、銅を中心しているが、他の天然・プラスチ
ック繊維樹脂とのコンビネイションで銅より強くて軽量で優れた導電率をもつ配線材料となるばかりでな
く、薄くて軽い大容量のキャパシタ型蓄電器やフローリング材とコラボすることで薄くて軽いヒートシー
トにもでき、道路の融雪舗装、あるいは、薄くて丈夫な大面積の熱電素子として世界展開できる商品にと
なる。これは大変愉快だ。

 




● 年間平均42.9%、最大73%の電力削減効果を達成

シャープが開発した「採光フィルム」で、窓に設置することで太陽光などの外光を効率良く取り込め、同
社が実施した実証実験で、この採光フィルムを導入し年間4割以上の照明電力の削減効果を確認。それに
よると、同社が開発したオフィスビルなどの照明用電力の削減に貢献する「採光フィルム」。同社は同フ
ィルムの節電・省エネ効果を実証するため、研究所の実験室に採光フィルムを設置し、1年間(15年9
月1日~8月31日)にわたり室内の照度測定を行った。その結果、室内照明の消費電力量が年間で約4
割の削減につながったという。これは、液晶ディスプレイの開発で培った光学制御技術を応用。太陽の年
周/日周運動を考慮した光学設計に基づく独自の技術を採用している。表面に微細加工を施すことでフィ
ルムの片側よりさまざまな角度から入射する光を、反対側から一定の角度で出すことを可能にしている。

このフィルムをガラスに張り付けるなどし、窓の上部に設置することで、季節や時間帯に応じて変化する
入射角度にかかわらず、太陽光を効率的に天井方向に取り込み、不快なグレア(まぶしさ)を抑えながら
室内全体を明るくすることができるのが特徴。シャープでは採光フィルムをサッシに納めた「自然採光シ
ステム」として製品化し、オフィスビルをはじめ、学校、病院、コンビニなどをターゲットに展開してい
く方針。

 

● ビームスプリット式ペロブスカイト色素増感太陽電池で変換効率21.
5%達成

東京大学の瀬川研究会のグループは 、ダイクロイックミラーを用いた(通常のハーフミラーではない、波
長スプリット:上図/左上)ペロブスカイトと色素増感太陽電池のタンデムセルで効率 21.5% を実現。
手段を問わなければハイブリッド(有機)系太陽電池だけでもここまで達成ことを実証。使用した色素は
新開発の RuDX3

太陽電池の変換効率を上げるには、光吸収には近赤外領域はかかせない。エネルギー変換効率を高めるこ
とが重要。
太陽電池ペロブスカイト鉛ハロゲン化物の進歩が顕著で20%以上の高い変換効率が達成され
ているが、長波長サイドの吸収限界は~800ナノメートル。
さらに、ペロブスカイト型太陽電池の変換
効率を向上させるには、近赤外太陽電池とハイブリット色素が有用。
ここでは、近赤外に幅広い応答を示
すパンクロマチック増感剤(=DX3:~1100ナノメートル)で、AM1.5で30ミリアンペア/平方
センチを超える光電流密度をえる。
可視光吸収するペロブスカイトセルとともにDX3系色素増感型太陽電
池を使用し、ハイブリット色素増感太陽電池は、スペクトル分離し21.5%の高変換効率を達成した。


   


※  AM(エアマス)1.5とはエアマスの頭文字で、太陽が地表に到達するまでに通過する大気の量を表す。
  地表面に垂直入射で届く場合をAM1とし、AM1.5とは、垂直入射に対して大気を通過する距離が1.5
  倍であることを示し、日本も含め世界中でAM1.5を基準としている。

 



● 米国で進むコミュニティー・チョイス・アグリゲーション(CCA)制度

コミュニティー・チョイス・アグリゲーション(Community Choice Aggregation: CCA;自治体選択集約制
度)は、地方自治体などが住民、ビジネス、さらに公共施設用の電力需要をまとめて購入できることを規
定したもので、02
年に成立。この法律により、地方自治体は、自ら電力を発電、または発電事業者から
電力を調達する、コミュニティーが自由に選択できる公共事業形態の一つ。米カリフォルニア州では2000
年~01年に発生した電力危機が原因で小売全面自由化が保留になった。民間電力会社の地域独占が継続
され、家庭用電力消費者は電力購入の「チョイス(選択)」の機会を失うが、同州北部マリーン郡とその
周辺の消費者は、電力の購入先を大手電力会社から地方自治体に乗り換え、太陽光発電などの再生可能エ
ネルギーを選択、乗り換えで、今年は1,060万ドル(約12.6億円)の電気料金と、6万トン以上の温室効果
ガス削減を見込まれるほどになる。

「再エネ比率56%」でも料金は割安

NPO 法人マリーン・クリーン・エネルギー(Marin Clean Energy: MCE)の電力プランを選択した需要家は、
従来と変わらず PG&E から請求書を受け取るようになっている。ちなみに、電気代の内訳は、MCEにより
調達・供給される電気の料金、PG&E (パシフィック・ガス・アンド・エレクトリック・カンパニー)からの送配電料と
その他の料金になっている。本来、MCE PG&E は、小売り販売先獲得で競争相手になるわけだが、CCA
の仕組み上、MCE が発電、PG&E が送配電と顧客サービスを行う、パートナーシップというユニークな形
にもなる。

カリフォルニア州は当時、「再生可能エネルギー・ポートフォリオ基準(Renewable Portfolio Standard:RPS
)」により、20年までに州内の電力販売量の33%を再生可能エネルギーで賄うという目標を制度化し
ていた(現在は30年までに50%に引き上げられた)。RPS遵守義務のあるPG&Eを含む民間電力会社は、
電力販売量の約20%は再生可能エネルギーで満たしていたものの、MCEはさらに多くの再生可能エネルギー
を調達できている。MCEは、現在3つのプランをコミュニティーメンバーに提供する(下図)。(1)「ラ
イトグリーン」は再生可能エネルギーの占める比率が56%、(2)「ディープグリーン」は百%再生可能エ
ネルギー、そして、(3)「ローカルソル」は100%地元の太陽光発電の電力からなる。


PG&Eの電力プランは、現在、再生可能エネルギー比率が27%であり、月平均の家庭用電気料金は111.26
ドルである。これに対し、MCE  の「ライトグリーン」は再エネ比率が2
倍の56%に高まるうえに、月々
の電気料金はわずか1.58ドルだがPG&Eより安い、109.68ドルとなっている(下図)。一方、PG&Eと比べ、再
エネの比率が約4倍(再エネ百%)の「ディープグリーン」と、「ローカルソル」では、PG&E より割高に
なっている。月平均の割高額(プレミアム)は、「ディープグリーン」ではわずか3.5ドルだが、「ローカ
ルソル」では28.89ドルとなっている。




「自動乗り換え」で顧客を獲得

マリーン郡のコミュニティーのために立ち上がったMCEだが、現在は近辺の地方自治体も参加し、顧客ベー
スを広げている。今年はワインで有名なナパバレーのあるナパ郡の他に4市が新しくMCEに加入した。家庭
用顧客が総数の約60
%、ビジネス用の顧客が約20%を占めるが、電力需要量では家庭用とビジネス用顧
客は約半々となる。
このプログラムで驚くべき特徴は、コミュニティーのメンバーの80%以上が従来の地域
独占の民間電力会社からMCEに乗り換えた
。この高い乗り換え率の背景には、CCAを優遇する仕組みが法律
設けられている。
それは、CCAに限り、MCEなどのCCA プロバイダーが自動的にディフォルト(初期状態
)に設定――普通だったら PG&E のような地域独占電力会社からMCEへの乗り換え手続きが必要になるが、
CCA のプログラム開始と同時にコミュニティーの顧客は自動的にCCA に乗り替わるようになっている。

発電料金の単価は、再エネ百%でも大手電力より安い

CCAは、地域で発電した再生可能エネルギーをコミュニティーで消費するという「地産地消」モデルを目標
にしている。MCEは、再生可能エネルギー比率56%の電気を地域独占の大手電力会社(ここではPG&E
に比べて安い価格で提供している。再エネ56%のプランは「ライトグリーン」と呼ばれ、発電料金は8.2
セント/kWh。「ディープグリーン」と呼ばれる再エネ百%プランの発電料金は「ライトグリーン」に1セン
トを上乗せした9.2セント/kWhで提供する。これらの発電料金は、PG&Eの再エネ比率27%(9.745セント
/kWh)より低価格になっている。


地方自治体が、大手電力会社より再エネ比率が高いのに低価格で提供できるのか?

特定非営利活動法人なので、株主に支払う報酬がなく、大手電力会社は株主に12%の投資リターンを保証
しなくてはならない。そうしたリターンを求められることがなく、運営は効率的で、無駄がないので、あま
り経費もかからく、電気調達で迅速に決断する。プロジェクトディペロッパー、銀行、投資家が無駄に時間
を費やさずに済み、結果的に経費が低く保て、最近では再生可能エネルギーを含む電気の発電コストが大幅
に下がるので、競争的価格で調達できる。MCEの顧客は小売会社とし発電コストを払い、送電網を運営する
PG&Eに送電コストを支払う。送電コストは電力をMCEまたはPG&Eから購入しても同じ単価の12.164セン
ト/kWhになっている。

FIT活用し、顧客の住む地域での再エネ開発を強化

MCECCAプログラムはエコな電力を低価格で販売するだけではなく、再エネ固定価格買取制度(FIT)、
太陽光発電の余剰電力買い取り、省エネプログラムも手掛けている。これらの施策は、コミュニティー内で
雇用を生み出し、環境を保護し、地域を支える効果がある。「ディープグリーン」の収入の一部がこれらの
プログラムの資金にあてられる。運営当初、「グリーンな電力」と「低価格」でPG&Eと差別化するため、
比較的低コストな州外の風力、バイオマス、水力発電所などから電力を調達してきた。だが、「ローカル」
を強調すべく、現在は州内、さらに顧客が住む地域での再生可能エネルギーの調達と開発に力を入れている。
MCEFITプログラムは1メガワット
未満の再エネ発電設備が対象で、買取期間は20年、買取価格は3つ
の発電電源タイプとプログラム全体の認定発電容量で決まる。つまり、買取価格が年度ごとに決まるのでは
なく、発電設備の出力規模を基準にした変動方式で、具体的には、認定容量が2メガワット増えるごとに、
買取価格が低減する仕組みになる(下図)。



3つの電源タイプは(1)ピークエネルギー、(2)ベースロードエネルギー、(3)断続的エネルギーにな
っている。ピークエネルギーの定義は、一日における発電総量の90%が午前66から午後10時の間に発電、
送電されるエネルギー。太陽光発電や太陽熱などのこの定義にはまる。ベースロードエネルギーは、バイオ
マス、バイオガス(廃棄物)、燃料電池など通常運営時の設備利用率が75%を超えるエネルギー。断続的
エネルギーはピークとベースロードエネルギーに当てはまらないエネルギーとして、風力が挙げられている。
例えば、認定容量が2メガワット以内では、太陽光発電のようなピーク時に電力を供給する電力の買取価格
137.66ドル/MWh(13.77セント/kWh)。総設置認定量が12メガワットに達すると買取価格が90ドル/MWh
(9セント/kWh)になる。


先月末、MCEは新しいサービス内容を発表した。それは25年までに「ライトグリーン」の再生可能エネル
ギーの比率を現在の56%から80%まで上げることだ。今年は99メガワットの風力と、州内に建設され
た20メガワットと23メガワットのメガソーラー(大規模太陽光発電所)からの調達も始まった。さらに
現在同州のサンフランシスコ、ベイエリア(サンフランシスコ湾の湾岸地域)で2番目に大きい10.5メガ
ワットのメガソーラーを現在、建設中。パリで11月30日から開かれる第21回国連気候変動枠組み条約
締約国会議(COP21)に参加する予定という。これは面白い動きだ。

 

 

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人工培土と餡屋

2015年11月04日 | 開発企画

 

 

  Mr. Miki, that type of comment is unacceptable and totally onappropriate for the workplace!

       三木さん そうしたコメントは職場ではうけいれられないし 全く不適切ですよ!

                                      しごとの基礎英語「お悩み ケース218」

      
   ※ スモールトークとセクシャルハラスメントとの違いを肝に命じる。   
        

  公孟 -儒者との対話 / 『墨子』

● 道理は道理

  墨子が程子と議論したときのこと。墨子が孔子をほめるので、程子はいった。
 「あなたは、儒家を認めないくせに、孔子はほめる。なぜですか」
 「道理は道理として認めたいからだ。たとえば、うだるような暑さの日には、鳥は高い所へ飛んでい
 き、魚は水の底へもぐって、暑さを避ける。たとい禹王や湯王がいて、いくら知恵をしぼったところ
 で、この道理はくつがえせない。
  鳥や魚の知恵は、人間には及ばない。しかしいくら相手が鳥や魚でも、道理は道理なのだ。禹王や
 湯玉といえども、この道理には従わざるをえない。
 わたしだって同じだ。孔子をほめるのは、道理は道理として認めたいからだ」

 

 

【最新人工培土工学】

農業が大きく様変わりしている。文化の日の朝にふさわしいかもしれない。NHKのまちかど情報室は、
で「アイデアで変わる日本の収穫」で、女性向けだけではないが、(1)機能的な農作業着、(2)草刈
り機と専用ベルト、(3)農場で使用するレンタル仮設トイレ、(4)ピンク色の軽トラック、(5)農
作業用ベスト、(6)家庭菜園キット"世界一小さい畑"、(7)植物を育てやすい培養土、(8)ハーブ
のじゅうたんが紹介されていた。このうち(4)(8)はこのブログの掲載してから一度も思いつかなか
ったものであるが、(6)(7)は既に構想済みだったが、この人工培土を開発したみのる産業株式会社
は、例の「つき姫」(上下写真クリック)のメーカでこれもNHKのこの番組で紹介されたものであるこ
とに驚く。
 


そこで、いつものように特許情報を調べるが、そのバックグランドの説明文がふるっているので紹介して
おこう(下図、最下図クリック)。


 我が国では、就農人口の減少、就農人員の高齢化などに伴って、農作業の省力化、機械化が進められ
 ている。その1つとして、小さな容器で育てた苗を移植機で根鉢ごと容器からから抜き取って、田畑
 に自動的に植え付ける方法が広く採用されるようになっている。この方法による場合は、通常“セル”、
 “ポット”などと称されるプラスチック等からなる小さな容器または該小容器を連結して設けたトレ
 ーに培土を自動的に土詰めした後に野菜、草花、果樹、樹木などの植物の種子を播いて所定期間育苗
 するか、或いは種子を加えた培土を前記小さな容器またはそれを連結してなるトレーに自動的に土詰
 めした後に所定期間育苗し、それを根鉢ごと小容器から抜き取って移植機で田畑に植え付けることが
 一般に行われている。根鉢は、培土の自己接着力と植物の根の絡みによる強力でその形を維持してい
 るが、根鉢強力が低く、わずかな衝撃で根鉢の形が崩れてしまい、移植機による苗の植え付けが困難
 であった。

                       -中略-

 また、近年、緑化の促進や環境保護などを目的として、屋上、法面、前記以外の風や雨の強い土地な
 どに植物を植えることが行われるようになっている。屋上、法面などの緑化に当たっては、苗箱に土
 詰めして育苗したものをそのまま屋上や法面などに設置する方法が一般に採用されている。しかしな
 がら、そのような従来の方法による場合は、土詰めした苗箱は重くて施工性に劣り、しかも水捌けが
 十分ではない。その上、屋上や法面などでは、風や雨によって土の飛散や流失が生じやすく、そのよ
 うな従来法では植物を健全に生育させることが困難であった。そのため、軽量で、施工性に優れ、建
 物などに対する負担が少なく、取り扱い性に優れ、水捌け性に優れ、しかも風や雨で飛散したり流失
 せずに強力な苗床を形成して植物を円滑に生育させることのできる育苗用培土が求められてきたが、
 そのような要求を満たす育苗用培土が得られていないのが現状であった。

 本発明の目的は、より強力の高い根鉢を形成し、移植機や人手によって苗を根鉢ごと田畑などに植え
 付ける際に根鉢の崩壊が生じず、円滑に植え付けることができ、しかも苗を育成阻害を招くことなく
 健全に育てることのできる育苗用培土およびその固化方法を提供することである。特に、本発明は、
 容積が10cm3以上、特に10~400cm3の植物育成用容器への機械充填に一層適していて、前
 記容器への充填の妨げになるような大きな繊維塊が形成されず、繊維が育苗用培土中に均一に分散さ
 れていて、該植物育成用容器に良好な作業性で円滑に機械充填することができ、しかも植物育成用容
 器に充填した後は、強力の高い根鉢を形成することのできる育苗用培土、および該育苗用培土の固化
 方法の提供を目的とする。さらに、本発明の目的は、屋上、法面、風雨の強い土地などのような、風
 や雨によって土の飛散や流失が生じ易い場所に用いたときに、飛散したり流失することがなく、強力
 な苗床を形成することができ、しかも、軽量性、施工性、取り扱い性、水捌け性などの特性にも優れ
 る育苗用培土およびその固化方法を提供することである。

                                  特許3847212 育苗用培土

そして、「特許4740471育苗用培土」の九つの請求項目を規定している。


 特許3847212 育苗用培土

 



※ 商品事例

 

 

このような事例から、未来の稲作が見えてくる。稲苗モジュールを育成モジュールにはめ込み、稈長約1メートル(
根長40センチメートル)として、フローボート式モジュールとして一筆書き状にした水槽に逐次投入し搬送動力を水
流として一定面積に敷き詰めていく。搬送用水には成長促進ミネラルや有微生物用栄養分、耐性強化(消毒剤)成
分などの機能成分をタイムリーに配合供給し、最適水温制御し、収穫は定点排出口で自動的に刈り入れ、同時に
モジュールと茎・葉・根部(これらは、エネルギー、工業製品、創薬、食品などとしてすべて有用物に転換する)を自
動回収するという完全自動システムを連想している。そこには耕耘機は消え、代わりに自動散水装置や育成管理
無人機が飛んでいるというイメージである。動力エネルギーはすべて地産地消分散型再生可能エネルギーで賄う。

 



【世界初のあんこ専門事業: 『餡屋』構想】

餡あるいは餡子は、肉・野菜・豆類・芋類などを用いた餅や饅頭などの中身に入れる具のこと。(1)肉
や野菜を
用いる塩味系統と(2)豆や芋などを用いる甘味系統――豆や芋を用いる餡も砂糖が普及するま
では、塩味のいわゆる塩餡であった――がある。もともと詰め物の意。『字彙』では餅の中の肉餡を指し
日本へは聖徳太子の時代に中国から伝来したとされ、中国菓子で用いられる肉餡がその原形となっている。
アズキを用いた小豆餡が開発されたのは鎌倉時代で、当初は塩餡であったが、安土桃山時代になって甘い
餡が用いられるようになった。砂糖が用いられるようになった江戸時代中期では高貴な身分に限られてい
た。尚、餡を英語で「ビーン・ペースト」と訳されるから、概念として極めて限定的で、「フルーツ・ペ
ースト」「ミート・ペースト」「フィッシュ・ペースト」「ラクト・ペースト」「グレーン・ペースト」
なども含まれる。そこで、洋菓子などに利用されるジャム、生クリーム、カスタードクリームは餡とは
呼ばれないというが、日本では、餡に含めていいんじゃないかと思うがどうなんだろう。例えば、果樹類
のジャムを入れると飛躍的
に種類が増える

あんこ(餡)の種類一覧
名称説明
つぶあん(あぐらあん) 小豆を砂糖で煮詰めたもの。おぐらあんの由来は、小倉山の鹿の斑紋に小豆が似ていることから。
つぶしあん つぶあんを潰したもの。
こしあん つぶあんをこし器にかけて、小豆の皮を取り除いた物。
さらしあん(漉し餡) こしあんを乾燥させ粉末状にしたもの。使用時は水で戻して使う。
しろあん(白いんげん) 白インゲンを原材料にしたあんこ。
しろあん(白あずき) 白小豆を原材料にしたあんこ。
ずんだ 枝豆を原材料にしたあんこです。宮城県と山形県の郷土料理で使われることが多い。ずんだ餅などが有名。
村雨(むらさめ) さらしあんに餅米を加えて作るあんこ。
緑豆餡(りょくとうあん) 緑豆を原材料にしたあんこ。
芋餡 サツマイモを原材料にしたあんこ。
紫芋餡 サツマイモを原材料にしたあんこ。
栗餡 栗を原材料にしたあんこです。ケーキのモンブランなどに使う。
鶯餡 青エンドウを原材料にしたあんこです。うぐいすパンなどに使う。
蓮の実餡 ハスの種子を原材料にしたあんこです。中国や台湾で使用される。主に月餅、最中など。
黒胡麻餡 黒胡麻を使用したあんこ。
白胡麻餡 白胡麻を使用したあんこです。
ピーナッツ餡 ピーナッツを使用したあんこ。
胡桃餡 クルミを使用したあんこ。
冬瓜餡 トウガンを使用したあんこ。
棗餡 ナツメを使用したあんこ。
バナナ餡 バナナを使用したあんこ。洋菓子に使う。
葛餡 クズを使用したあんこ。
南瓜餡 カボチャを使用したあんこ。和菓子、洋菓子に使われる。
いちご餡 イチゴを使用したあんこ。
抹茶餡 抹茶を使用したあんこ。
化合あん 餡のベースとなる材料以外の材料を練りこんで作られるあんこ。
主な化合あんには以下がある。

  • 黄身餡:あんに卵の黄身を練りこんだ餡。
  • 胡麻餡:あんに胡麻を練りこんだ餡。
  • 味噌餡:あんに味噌を練りこんだ餡。
  • 抹茶餡:あんに抹茶を練りこんだ餡。
  • 柚子餡:あんに柚子を練りこんだ餡。
  • 桜餡:あんに刻んだ桜の葉を練りこんだ餡。

  

ここでは一旦、この課題を棚上げし、餡の栄養価にや薬理効果について考えてみよう。甘味餡の主役の小
豆は
植物性たんぱく質が豊富で、さらに健康維持に役立つ以下の成分も含まれる。尚、活性酸素の退治に
有効なのが
ポリフェノーで、赤ワインは、その含有量が多いが、実は、あずきに含まれるポリフェノール
の方が、もっと多いといわれる
。さらに、あずきにはビタミンB群がたくさん含まれて、なかでもビタミ
ンB1・B2・B6が豊富。このビタミンB群は、相互に関係しながらエネルギー代謝を促し、糖質・たんぱく
質にも富み、疲労回復に効果的で、披労の蓄積が気になったら、おやつや食事に小豆が効果を発揮すので
は?!。また、ナトリウムの摂取過多は、腎機能を低下させ、高血圧やむくみの原因となるが、高血圧は
糖尿病や脳卒中など様々な成人病の要因ともなる。この余分なナトリウムを排泄する”カリウム”を多く
含んでいるのが小豆、効率よくカリウムを補給できる。

  • ビタミンB1・B2(代謝機能の向上) 
  • ビタミンE(老化防止) 
  • 鉄分、銅、ミネラル(造血作用の促進)
  • 食物繊維(整腸、便秘防止、血中コレステロールの抑制)

 

こんなことを考えてみたが、これ意外に発酵食品専門事業『古漬屋』構想もある。彦根にもこんな専門店
があって、世界発信できれば申し分ないだろう。


 


【我が家の焚書顛末記 Ⅰ】

● 『あなたにもできる 常温核融合実験!?』

二階の蔵書が多すぎて余りの重さで床が抜け階下に落下し『偽装の夫婦』のヒロイン嘉門ヒロが、行き先
もなく、彼氏・陽村超治の家に転がり込み?同居するという筋書。そういえば、前職場のエス君も同じ
うな体験しているが、わたしの書棚は一階にありそのようなとはないが、20数年前、訳があり、大半の
本を
焚書処分する(図書館への寄贈や書籍売却は一切なし)。ここにきて、近くの焼却場で焚書処分を継
的に実行――有用図書はデジタル化し保存した後焚書。今日は、94年、東京駅前の三省堂に購入した、
常温核融合実験」に関する本(上写真)を処分。ところで、常温核融合(Cold Fusion)とは、室温で、
素原子の核融合反応が起きるとされる現象――89年にこ観測したとの発表――3月23日にイギリス・
サウサンプトン大学のマーティン・フライシュマン教授とアメリカ・ユタ大学のスタンレー・ポンズ教授
がこの現象を発見したとマスコミに発表。この発表で重水を満たした試験管(ガラス容器)に、パラジウ
ムとプラチナの電極を入れ暫らく放置、電流を流したところ、電解熱以上の発熱(電極の金属が一部溶解
したとも伝えられた)が得られ、核融合の際に生じたと思われるトリチウム、中性子、ガンマ線を検出し
た――にまつわる社会現象。常温での水素原子の核融合反応は、きわめて低い頻度ながら、トンネル効果
や宇宙線に含まれるミューオンによって実際に起き、観測もできる科学的に証明された物理現象である。
常温で目視でき、実用的なエネルギー源として活用できうる規模で起きたと主張されていた核融合反応。
現在は、安価で高いエネルギーを発生し工業的に利用できるような常温核融合は成功していない。

 実験時の電解セル

日本では今年10月26日に、NEDO 15年度「エネルギー・環境新技術先導プログラム」で、「画
期的なエネルギー貯蔵技術の研究開発」との項目中の「金属水素間新規熱反応の現象解析と制御技術」テ
ーマで、「常温核融合」がテーマの一つとして採択されている(下図)。国立大学法人東北大学 電子光
理学研究センタ、株式会社テクノバ、日産自動車株式会社、国立大学法人九州大学がその委託予定先であ
る。

 

ということで、時間軸の優先度からは消極的な情報収集レベルになる。いまとなっては、89年のフィーバーが懐か
しいということで、今夜でチョン。

  ● 今夜の一品

スマートフォンを高精度の3Dスキャナーに変身。「Eora 3D 」。アルミニウム製円柱形のデザインを持
ち、スマートフォンを側面に固定し、高精度の3Dスキャナーとして使えるようになる。コンパクトで軽
量サイズなので、持ち運びにも便利だ

 

 

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社会を変える地図力 Ⅱ

2015年02月12日 | 開発企画

 

 

● 三次元風力マップ 「3D風見鶏」

いつも湖岸を走るとき気づくのだが、滋賀県草津市のランドマークとして知られる琵琶湖岸の風力発電機「くさつ
夢風車」が停止していることだ。同市の説明では2013年4月から停止したままになっている。京都府伊根町などの
事故を受けた安全点検に加えて、保守管理業者が指名停止処分を受け、修繕工事が進まないためという。昨年3月
以降、伊根町や北海道、三重県で風力発電機の事故が相次いだため、経済産業省が全国の施設に一斉点検するよう
通知
した。くさつ夢風車も同年4月16日に停止。国が事故防止対策をまとめた12月から本格的な点検作業に入
り、当初は今年
4月の再稼働を目指していた。しかし2、3月の調査で、ブレード(羽根)の先端にある避雷器3
個がすべて焼け焦げていたこ
とが分かった。東京電力グループの電気設備会社「関電工」(東京都)に修繕工事を
発注しようとしたが、同社は送電ケーブ
ル工事に関する独占禁止法違反で4月25日から60日間、国土交通省か
ら営業停止処分を受けた。市も5月22日から6カ
月間、指名停止処分にある。

関電工は、夢風車の建設工事に関わり、以降も随意契約で保守管理を請け負っている。市は別の業者に委託するこ
とも検
討したが、「ドイツ製で特殊な機器のため、管理は同じ業者が継続した方がいい」(市環境課)と判断。今
後、関電工の指名
停止の解除を受けて、修繕の見積もりや工事に取りかかる。ただ海外の技術者に依頼する可能性
もあり、工期の見通しは
立っていない。本年度当初予算で修繕費680万円を計上しているとまでは京都新聞のニ
ュースで分かっていることなのだ
が、本当にそれだけだろうかと疑問に思い帰ってきている。というのも、当初の
設計と異なり、風力不足だということを琵琶湖博物館での講演に参加した折り、耳にしたことがあったためだ。一
般的に、最低風速は「 カットイン風速 」毎秒3~5メートル(毎時約10~18キロメートル)を下回ると停止
する。周知の通り、発電量は一般的に「 風車の直径の2乗・風速の3乗に比例する」。寿命は15~20年程度で、E
PT(エネルギーペイバック)は半年から1年未満とされている。そこで考えられることが大きく2つある。その
1つが「カットイン風速」を毎秒3メートルを3分の1の1メートル以下の風力発電システムを開発することで、
もう1つは、設置前の風力の三次元マップ化する――これを仮に「"3D風見鶏"事業」と呼称しよう――ことで設
置場所が決定されれば、たちどころに風向、風力のデータが入手でき、それを三次元表示できるマップシステムで
ある。前者は研究開発を集中させれば即座に解決できそうだし、後者は、現在進められている気象観測の三次元計
測とその可視化とリンクさせることで実用化できそうだ。それじゃ、誰がやるのか?それは、現段階でわたしでな
いことだけは断言できる!^^;
 。

  ● 日本全国の風力発電一覧地図

 

● 政府の2020年ZEH目標を66%の新築住宅で達成!

積水化学工業株式会社は、「太陽光発電システム+ホームエネルギーマネジメントシステム搭載住宅の電力量収支
実邸調査(2014)」を実施結果を公表。それによると、2013年1月~12月の間にご入居済みセキスイハイムの内、
3,545邸の2014年1年間の消費電力量・発電電力量・電力量収支について、設置されているコミュニケーション型
HEMS「スマートハイム・ナビ」のデータを活用し分析した結果、2014年のZEH達成邸は家電込みで17%
(前年度13%)、平成26年度ZEH補助金の要件【家電の消費電力を除いたゼロエネルギー評価、以下、ZEH
(家電抜き)】による試算では約49%(同46%)を記録。


※ ZEH:ネット・ゼロ・エネルギー住宅の略、オール電化住宅の場合:消費電力量<発電電力量
※ ZEH補助金:住宅・ビルの革新的省エネ技術導入促進事業費補助金(ネット・ゼロ・エネルギー・ハウス支援事業)

 

つまり、調査の結果分かったことは大きく3点。第1にゼロエネルギーを達成できた住宅は全体の約17%。これ
は前年よりも約4ポイント増加した(上図参照)。図で青く示した部分。政府は補助金事業として2014年度に「ネ
ット・ゼロ・エネルギー・ハウス支援事業」を進めているがこの条件に当てはまるのが、青色と黄緑色の部分。黄
緑色の部分は家電の消費電力を差し引いてゼロエネルギーになっている住宅をあらわす。

第2にゼロエネルギーを達成できた住宅の光熱費収支は約11万5千円(10年で115円)の黒字だったこと。
第3にゼロエネルギーを達成できた住宅は、小家族の場合が多く、寒冷地では少ないという傾向がわかった。

 また、調査結果から分かった光熱費の収支を下票に示す。全住宅の売電金額と買電金額を見ると、年間の光熱費収支は
1万7127円の黒字。従って、ゼロエネルギーを実現できていなかったとしても、経済的なメリットは大きい。
ゼロエネルギー住宅の真の強みは売電単価が例え買電単価と同じまで下がったとしても黒字を維持できること。固
定価格買取制度(FIT)が終了したとしても経済的に成り立つという点である(下表参照)。


個人的には、改善のために(1)太陽光パネルの変換効率を25%を最優先課題にすること。(2)雪国対策として、バ
イオマスボイラー(温水利用)・バイオマスガス燃料電池発電の併用を組み込むことなどが大切だろうと考える。 

     

 

● 永続敗戦論と長髄彦考 Ⅱ

「永続敗戦」それは戦後日本のレジームの核心的本質であり、「敗戦の否認」を意味する。国内およびアジアに対
しては敗
北を否認することによって「神州不滅」の神話を維持しながら、自らを容認し支えてくれる米国に対して
は盲従を続ける。敗戦
を否認するがゆえに敗北が際限なく続く――それが「永続敗戦」という概念の指し示す構造
である。今日、この構造は明ら
かな破綻に瀕していると主張する白井聡――日本の政治学者。文化学園大学助教。
専門は、政治学・政治思想。早稲田大学総長を務めた白井克彦の子として1977年東京都に生まれる。2001年早稲田
大学政治経済学部政治学科卒業。2003年一橋大学大学院社会学研究科修士課程修了。2006年一橋大学大学院社会学
研究科博士課程単位修得退学。2010年2月一橋大学博士(社会学)。論文の題は「レーニンの政治思想 比較思想の
試み(
The political thoughts of Lenin : toward comparative inquiries of ideas)」。日本学術振興会特別研究員、多摩美術大
学非常勤講師、高崎経済大学非常勤講師、神奈川大学非常勤講師、早稲田大学非常勤講師、文化学園大学服装学部
服装社会学科助教(民族文化論、哲学担当)を経て、2015年京都精華大学人文学部総合人文学科専任教員に就任予
定。
2013年『永続敗戦論――戦後日本の核心』で第4回いける本大賞、第35回石橋湛山賞、第12回角川財団学芸賞
を受賞――の主張と昨日講演内容は了解できた(彼に工学的教養が備わっているためだろうと憶測している)。従
って、興味を引いたのは岸信介とCIAとの公開文書――巣鴨プリズンを釈放された岸信介(後に首相)は、「強
い男」として米国保守派に見いだされ、同組織のの庇護を受け続けていたが、資料はわずか5枚で岸の政治的プロ
フィルの紹介ばかりで、岸については暗号名すらわかっていない(週刊朝日 2013年05月24日号 )――がないこと
の1点だけであった。


 「戦後の終わり」がついに来た、となぜ言えるのでしょうか。それは端的には、戦後とは「平和と繁栄」の時
 代であるというこれまで多くの日本人が支持してきた物語がはっきりと失効してしまった、という事実に求め
 られます。バブルの崩壊と冷戦崩壊以降、いわゆる「失われた二〇年」の時代が始まり、新世紀とともに「格
 差社会」や「地方の疲弊」が誰の目にも明らかになってきました。こうした「悪い流れ」の総仕上げが東日本
 大震災と福島第一原発の事故であったと私は考えます(※わたしは第三の敗戦と考えている――これは池上彰
 とも共有する)。とりわけ原発事故は、この国とその社会が抱えてきた暗部をさらけ出す出来事になりました。
 国家権力は腐敗していた、大資本は腐敗していた、そして市民社会もまた腐敗していた。「戦後民主主義」な
 るものは本当は幻だったことがはっきりしました。ゆえにいま、一種の開き直りとして、排外主義や歴史修正
 主義、平和の価値の否定といった傾向が前景化しています。「恥ずかしい国へ」まっしぐらです。私たちは、
 このような正真正銘の悪夢のなかを生きています。この悪夢は一体どこからやって来たのか? もちろんそれ
 が天から降ってきたわけはありません。それは、「平和と繁栄」と呼ばれてきた世界の只中から姿を現したは
 ずです。だからこそ、私たちはいま、「戦後とは何だったのか」ということをあらためて考え直さなければな
 らない、そのような歴史的時点に立たされています。

 
                   
                    "白井聡さんエッセイ「さあ、「戦後」を終わらせよう!」"より

                               

「市民社会が腐敗していた」との表現は直ちに賛同できるものではないが、また、市民の「平和ぼけ」を叱責する
ほどの自惚れ?も持ち合わせていない。「永続敗戦」それは戦後日本のレジームの核心的本質であり、「敗戦の否
認」を意味するが、国内およびアジアに対しては敗北を否認することにより「神州不滅」の神話を維持しながら、
自らを容認し支えてくれる米国に対しては盲従を続ける。敗戦を否認するがゆえに敗北が際限なく続く―それが「
永続敗戦」という概念の指し示す構造である。今日、この構造は明らかな破綻に瀕している。1945年以来、わ
れわれはずっと「敗戦」状態にある。「侮辱のなかに生きる」ことを拒絶せよ!との主張に、これまでの国家権力
に対抗する大衆の歴史もまた永続的敗北――抵抗なくして自由なし――であった(「永続敗戦論と長髄彦(ナガス
ネヒコ)考」)ことや45年前に独自に考え出した「自立民主制」「創憲論」の必然性を再確認した上で、傾聴に
値すると考えている(これって、やゝこしい言い回しになるねぇ)。

 


● 軍事的解決のオバマ vs 外交的解決のメルケル

 

オランド大統領とメルケル首相は、「ウクライナ危機を外交的(非軍事的)に解決するためにあらゆる可能性の利
用」
を望んでいると強調した。オバマは武器供与を主張したのに対しメルケルは軍事的解決を主張したことが印象
的である(Ukraine crisis: Obama 'may supply weapons to Ukraine' - latest  2015.02.12 The Telegraph)。


● 原発依存に舵取る中国、原発輸出したがるロシア 

中国政府は今年、福島第一原発の事故で凍結した新規の原発建設を本格化させる構えだし、エジプトに原発輸出を
図るロシアがニュースになっている(高浜原発は、原子力村が「合格証」を発行)。過去のもとなった20世紀の
物理学を推進する国はどうみても、先進国とはいえませんねぇ ^^;。

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