極東極楽 ごくとうごくらく

豊饒なセカンドライフを求め大還暦までの旅日記

蓄電池容量、世界最大!

2012年12月24日 | 環境工学システム論

 

 

 

【安倍政権の陰影】

自民党の安倍晋三総裁は23日、フジテレビの番組に出演し、日銀が来年1月の次回金融政策決定
会合で2%の物価目標を導入しなかった場合の対応に関し、「日銀法を改正してアコード(政策
協定)を結んでそれを設ける」と述べ、「安倍政権」として日銀法改正に着手する考えを明らか
にした。
安倍氏は同法を改正する際には「雇用についても責任を持ってもらう」として、物価安
定だけでなく、雇用確保も日銀の使命として明記する意向も示したという(2012.12.23  時事通
信)。偶然この番組をチラ見していたが、「雇用について責任を担保する」との趣旨は『12×
3の記念日
』で掲載したバーナキンFRB議長の「失業率閾値設定と金融緩和連動」発言を踏まえた
ものだ。また彼は介護分野は利潤が出ないので成長分野ではないという風なことを発言したこと
を聴き逃さなかった。これは『ピラミッドの経済学』で触れたが、
紀元前二千六百年を遡るエジ
プトのピラミッド建設という公共事業は、利潤を生み出す事業でなく原始的な支配機能として、
そこに用いられる様々な計測技術、
土木技術などの「群ピラミッド建設葬祭科学技術」はその後
の地中海文明に継承波及し、石造建築土木技術、農業灌漑土木技術、木造船舶技術、航海技術、
遺物保存技術あるいは大規模事業マネイジメントなどとして生産力向上の基礎となったように、
より精緻な「群介護医療要素技術」が現在の日本の生産力向上に大きく寄与しているのだが、そ
のことを踏まえた上で、利潤が少ない、中抜きのメリットが小さいから成長戦略にそぐわないと
発言しているなら問題だ、と。そのように考えている。



【メガワット級大規模蓄発電システム】

住友電気工業は、横浜製作所においてメガワット級大規模蓄発電システムの実証運転を開始してい
る。さらに、その蓄発電システムと組み合わせ、横浜製作所全体の電気エネルギーの最適運転を行
FEMSの実証も行い成果をあげている。電力使用量の可視化、節電(CO2削減)の為の機器制
御、ソーラー発電機等の再生可能エネルギーや蓄電器の制御等を行うシステムであるエネルギー
監理システム(EMS)には、管理対象によりHEMS, BEMS, FEMS, CEMSという名前がそれぞれ付
けられてる。つまり、HEMSは住宅向け、BEMSは商用ビル向け、FEMSは工場向け、CEMSはこれ
らを含んだ地域全体向けとなり、それぞれ管理対象は違い、電力需要と電力供給のモニターとコ
ントロールするシステムの基本は共通だ。

このシステムは、夜間電力や太陽光発電電力を貯蔵するレドックスフロー電池(容量1MW×5時間)
と再生可能エネルギー源としてのCPV(28基、最大発電量200kW)、から構成され外部の商用電
力系統とも連系。また、本システムのCPV発電量、レドックスフロー電池の蓄電量および消費量
は、
エネルギーマネージメントシステム(EMS)によって監視、計測データはEMSサーバで一括
管理す
るもの。今回の実証試験の狙いは、(1) 横浜製作所におけるピークカット運用(最大1MW
のデマンド抑制)を行い、国内で喫緊の課題である電力不足問題の軽減に貢献。(2) 天候に左

される太陽光発電をレドックスフロー電池と組み合わせ、計画的な発電を行う。これにより、

陽光発電の価値を高め、導入を促進する。(3) あらかじめ設定したデマンドスケジュールとな

よう電力負荷に応じた放電量を調整する。電力消費のレベルを安定化させることで、必要な発

所の規模を低減しする。(4) 太陽光発電の激しい出力変動をレドックスフロー電池の充放電で

償することで、出力を平滑化し、火力発電所の調整負荷が軽減され、系統へ連系できる太陽光

電の規模が拡大する。
住友電気工業、横浜製作所の40haの広大な敷地の一角に、日本最大規模の
15基の集光型太陽光発電装置(CPV)が並ぶ。1基は64枚の自社製パネルから構成され、最大発電
電力は7.5kW。レンズで集光した太陽光を高効率の化合物半導体セルに集め、少ない設置面積で
多量の電力を発電でき、PV15基の最大発電量は約100kWにのぼる。

蓄電池の容量は世界最大規模

太陽光発電装置に隣接する用地には、8面のレッドクスフロー蓄電池が、電解液を循環する16台のタ
ンクとともに設置されている。蓄電池の容量は世界最大規模の1MWX5時間(5MWh)で、外部
電力
系続からの夜間電力と太陽光発電電力を貯蔵する。この大型蓄電池の特徴は長寿命であるこ
とと、
充放電残量が正確に把握でき、高頻度で複雑な充放電運転に適している。横浜製作所では
このCPV
と蓄電池から構成されるメガワット級大規模蓄発電システムに既設のガスエンジン発電
機を組み
合わせ、製作所全体の電気エネルギーの最適運転を行うFEMS(ファクトリーエネルギー
マネジメントシステム)実証を、明電舎とともに2012年7月24日から開始している。ところで、レ
ッドクスフロー電池の開発には30年間取り組み、今回のシステムにはこうした開発費用も含め、
約10億円を投じている。電力不足問題が喫緊の課題となり、同社は大阪製作所にて10kW規模の発
電装置やEMSを導入し、2011年6月からマイクログリッドシステムの実証試験を開始した。今回の
システムは同システムを蓄電池容量比で500倍に拡大する。

 

 

工場需要予測、CPV発電予測、最適発電運転計画の技術開発を目指した本格的な実証は来年度か
ら。す
でに横浜製作所全体の夏期ピーク電力を25%削減するなど、システム設計で想定した結果
が得られている。さらに台
風によるダメージもなく、安全性も確認されている。こうした自社シ
ステムの核となる技術の大型蓄電池は、他の電池では運転中に開放電圧を測定できないが、レド
ックスフロー電池では正負電解液の電位差の測定が可能で、運転中に解放電圧が正確に測定でき、
リアルタイムで充電残量を把握できた上、電解液を貯めるタンクを増設すれば、容量を増やすこ
ともできる。このように太陽光の本格的な蓄電池開発研究が展開できるのも日本の技術者、技術
力のなせる技。後数年後には原子力発電所に依存しない自律的な持続可能社会を世界で実現させ
ることで福島原発事故からの学習と統治能力の高さをエネルギー領域で高らかに宣言させるニュ
ースだ。



【符号の説明】

1A,1B,1C,1D,1E,1F,1G,1H,1J,1K,1L レドックスフロー電池 2 電池セル 3 正極電解液循環路
31 正極タンク 32 上流側配管 33 下流側配管 34 循環用ポンプ 4 負極電解液循環路
41 負極タンク 42 上流側配管 43 下流側配 44 循環用ポンプ 51,52,53,54,55,56 供給管
61,62 供給ポンプ 7 制御手段 71a,71b 温度センサ(温度測定手段) 72a,72b 電圧計(充電検
知手段)
81,82 連通管 81a,82a 連通用バルブ 91,92 電動バルブ 100 セル 100A 正極セル
100B 負極セル
101 隔膜 102 正極電極 103 負極電極 104A 正極タンク 104B 負極タンク
105A,105B ポンプ 106A,106B 導管

 

 

【オープン通信規格 IEEE1888の行方】

オープン通信規格「IEEE1888」によって、システムの自由度が高まり、コスト削減の余地
が拡大する一
方で、セキュリティのリスクを高めるデメリットを生み出すことが想定されている。
従来のシステムはメーカ
ー主導のク ローズドシステムで、ビルディング・オート メーション
(BA)に特化した専門性の高い通信規格を採用しているため、簡単に機能を追加することができな
いなど自由度が低く、コストも高い。また、照明や空調、センサーなど異なるメーカーがそれぞ
れ独自の通信プロトコルを使用しているため相互接続ができず、ユーザーの使い勝手も惑いのが
現状。そこで、システムをオープン化することで、システムの自由度を高め、複数のビルを束ね
てエネルギー管理を行う高効率の省エネマネジメントを実現しようという動きが強まっている。
その代表例が、東京大学大学院工学系研究科の江崎浩教授等のGUTPが開発し、国際標準とな
った通信プロトコルIEEE 1888である。例えば、このIEEE 1888を中小規模のビルに導入した場合
のイメージ(下図
)。施設Aの場合は、すでにビル管理システムが導入されているケースだ。特
化した一つの規格ですべての機器を管理している。それに対し、施設Bはビル全体に一つの規格
を適用せず、機器を増やすごとにそれぞれにゲートウェイを設けて細かく管理し、オープン化し
ている。そして、施設Aのデータも、施設BのデータもIEEE 1888によって共通に扱われて、イン
ターネット経由でデータをエネルギー管理の専門事業者に渡し、「見える化」、「制御」、「分析」な
どのクラウドサービスや大手総合管理事業者のサービスが受けられる。また、施設Bはアプリと
ストレージが導入されているのでビル内で専門事業者が分析・制御している可能性があるのに対
し、施設Aは見える化までに止まり、インターネット経由で「分析」、「制御」などのサービスを受
けるという凹凸が生じる。また、IEEE1888の導入により個々のビルや住宅からのデータを集約し
て扱えるようになる可能性があり、オープン化の技術は、そうした拡張性を備えた領域を開拓で
きる。

一方、インターネットを使ったオープン化の追求は、当然、セキュリティ上のリスクを高めるジ
レンマを抱える。BEMS導入に当たり、自由度とコスト面からオープン化を選ぶのか、それ

もセキュリティを優先してクローズドのシステムを選ぶのかは、選択の分かれるところだ。長

的に、スマートグリッドなどの分野で、従来の手法にとらわれず展開するるインターネット系

オープン化システムが主流となりうるが、大手BA企業の閉じたシステムを継続すると考えら
れ、コストをかけて手間がかからない高性能なサービスを受ける大企業を中心とした大型ビル
とインターネッ
トによるサービスを低コストで利用する中小ビルに分かれるのではないかと見
られている。その
でエネルギー関連データが流出するなどのリスクにどのぐらいコストをか
けら
れるかという個々の企業の判断で選択が分かれ、セキュリティを重視であれば、コストを
かけイ
ンターネット上VPN(仮想的閉域網)を構築し、インターネットとは仮想的に隔離す
るという
手法があるが当面は、HTTPS使う方式が選択されていくだろうと見られている。そこ
で経済産業経済省の BEMSアグリゲータの補助制度は、今後IEEE18888でオンライン化システム
と連携し
て、「ITベンチャーが低コストで優れた『見える化サービス』を開発するなどの強み
を活かした第
三者のプレイヤーが市場に参入しやすくなる可能性がある。需給に相乗効果が生
れ、さらに開発が加速され、IEEE 1888のセキュリティについて、現在、IEEE 1888.3のワーキ
ンググループで、
通信内容の秘匿化、通信相手の認証、アクセス制御、セキュリティ・ポリシー
管理
などの方法が
議論されていて、なりすましができなくなるなど、セキュリティの高度化も
期待されている。

※IEEE 1888とは、スマートグリッド向けの新しい通信プロトコルのこと。


 
 

昨夜といえ、丑三つ時を越えて寝るも、寒さ厳しく睡眠不足。 早速、この夜間作業の冷え込み
対策の検討にこれから入る。「クリスマス前夜に積雪」の伝承は正しく、外は雪。
 

 

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