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極東極楽 ごくとうごくらく

豊饒なセカンドライフを求め大還暦までの旅日記

墨子が生きる未来街

2012年12月18日 | 日々草々

 

 

【公輸-墨子と戦争技術】

徳間書店の中国の思想シリーズは35年前に読んだことを記憶している。そのなかで、墨子は孫子と
度同程度の印象深いものだ。「おそるべき新兵器が発明された。これを使って戦争の準備がすすめ
られている。この噂を耳にした墨子は、発明者のもとにかけつける。技術者であり思想家である墨
子は、科学技術が伺に奉仕すべきかということに無関心ではいられなかった。」ではじまるこの「
公輸」に釘付けになる。以来、「憲法九条」の思想的基盤として独自解釈を深めることとなる。そ
してそれは『縄すてまじ!』の知の錬金術書といえる「専守防衛主義入門」の原典の構築に向かわ
せた。ここでは再解釈を作業開始する。まず墨子の人物像の理解が容易な第四組「耕柱」「貞義」
「公孟」「魯問」「公輸」の「公輸」から入り、次に墨家の十大主張のなかから、「尚賢」「兼愛」
「非攻」「節葬」「非楽」「非命」をえらび、他に論文体として「非儒」「親士」「所染」「七患」
をえらび、最後に、優子の言行を集めた「耕柱」「貴義」「公孟」「魯問」を排列していく。「少
なきを殺さざるを義として而も衆き(おおき)を殺すは類を知ると謂うべからず」。つまり、「人
を殺すことは、義としてできないが、戦争でたくさんの人間を殺人してもかまわないというのは矛
盾しているのでは」と反質する有名な件だ。


               公輸盤為楚造雲梯之械成。将以攻
              宋。子張子聞之、起於斉、行十日十夜、
              而至於邱、尼公輸盤。公輸盤日、夫
              子如意焉為。子墨子日、北方有侮臣、
              願精子殺之。公輸盤不説。子墨子日、
              請献十金。公輸盤日、吾義固不殺人。
              子墨子起再拝日、諸説之。吾従北方
              聞、子為梯将以攻宋。宋如罪之有。
              荊国有余於地、而不足民。殺所不足、
              面争所有余、不可謂智。宋無罪面攻
              之、不可消仁。知面不争、不可消息。
              争面不得、不可消強。義不殺少而殺
              衆、不可測知類。公輸盤服。子墨子
              日、然胡不已乎。公輸盤日、不可。
              吾既已言之王矣。子墨子日、胡不見
              我於王。公輪盤日、諾。


公輸盤、楚のために雲梯の賊を造りて或る。もって宋を攻めんとす。子墨子これを聞き、斉より起

ち、行くこと十日十夜にして、邪に至り、公輸盤に以ゆ。公輸盤曰く、「夫子、何をか命ずること
をなす」。子墨子曰く、「北方に臣を侮るものあり、願わくは子によりてこれを殺さん」。公輸盤
説ばず。子墨子曰く、「請う十金を献ぜん」。公輸盤曰く、「わが義もとより人を殺さず」。子墨
子起ちて再拝して日く、「請うこれを説かん。われ北方より聞く、子、梯を為りもって宋を攻めん
とす、と。宋、何の罪かこれあらん。荊国は地に余りありて、民に足らず。足らざるところを殺し
て、余りあるところを争うは、智と即うべからず。宋、罪なくしてこれを攻むるは、仁と謂うべか
らず。知りて争わざるは、忠と謂うべからず。争いて得ざるは、強と謂うべからず。少きを殺さざ
るを義として而も衆きを殺すは、類を知ると謂うべからず」。公輸盤服す。子墨子曰く、「然らば
なんぞ已(や)まざるか」。公輸盤曰く、「不可なり。われすでにこれを王に言えり」。子墨子曰
く、
なんぞわれを王に見えしめざる」。公輸盤曰く、「諾」。




公輸盤が楚の国のために雲梯という攻城の兵器をつくった。それを使って、宋の国を攻めようとい
うのだ。
その噂をきくと、墨子はただちに斉の国を出発し、昼夜兼行で、禁国の都邪にかけつけ、
公輸盤に面会した。

「いったい、何のご用で?」と公輸盤がきいた。
「北方で、ある男がわたしを侮辱しました。あなたの力をお借りして殺してしまいたいのです」と
愚子がいった。

公輸盤は、顔をしかめた。
「十金を差し上げます」と墨子は重ねていった。
「人を殺すようなことは、義としてできません」と公輸盤はこたえた。
墨子は立ちあがって、ていねいに頭を下げた。
「それでは、おきき願います。わたしは北方にいて、あなたが一様をつくり、宋を攻めるという噂
をききました。
宋にどんな罪があるというのでしょう。いま、楚の国に余っているものは、土地で
あって、足りないものは人民です。その足りないものを殺して、余っているものを奪うのは、智と
は申せません。罪もないのに宋の国を攻めるのは、仁とは申せません。そればかりか、この道理を
わきまえながらしかも王を諌めないのは、忠とは申せません。また諌めて、しかもききいれられぬ
ようでは、強とは申せません。
先ほどあなたは、人を殺すようなことは、義としてできないとおっ
しゃった。そのあなたが、たくさんの人間を殺そうとなさる。それでも類推の理をわきまえている
のでしょうか」

「おっしゃるとおりです」と公輸盤がこたえた。
「それでは、どうして中止しないのです」
「もう王に説いてしまったのです」
「では、わたしを王にひきあわせてください」
「わかりました」

 (公輪盤〉技術者の元祖。大工の神様'として有名で、現在も中国各地にその事蹟にまつわる伝説が
多く、日本における左甚五郎といった存在。「戦国策」や「呂氏春秋」には公一般となっている。
外国出身の人であったので、魯班ともいわれた。公輸は号、盤は名である。魯の定公または哀公の
時代に生まれた人といわれ、また一説には魯の昭公の子であるともいわれる。中国古代の技術者で、
楚にあって楚王のために宋を攻める武器を考案したことが、「呂氏春秋」に伝えられている。


〈雲梯〉 高いはしご状の兵器。これを敵の城にかけて攻撃する。一説には、検車、つまりはしご
車といわれる。


〈類推の理〉 原文は「類」。この類概念にもとづく類推法は墨家の論理学上の発見とされる。帰
納法的論理学の方法といってよく、「墨子」では、随所でこの論法を適用して、相手の矛盾をつい
ている。

 

【いま富山市が熱い】

富山県の中央に位置する富山市は、人口約42万人を抱える日本海側有数の中核都市。面積は約1,200
㎡と、国内の市としては最大級を誇る。しかし富山市でも、世界的課題の人口減少・少子高齢化に加
え、市街地の外延化で生活圏の質の低下という地方都市に共通する問題から逃れることはできない。
そこで出した答えが、2050年までに公共交通を軸にしたコンパクトシティを目指す「富山市環境未来
都市計画
」。地方都市の抱える課題を解決するモデルとしても各地から注目を集めているという。「

中核は、既成市街地とそれを結ぶ公共交通で構成する“お団子と串"の都市構造だ。ここを中心に、
環境・超高齢化・農森林業の3つの柱で15の取り組みを推進していく。既に着手している取り組みも
あり、現在はその効果の検証や未着手事業の推進を行なっているところだ」。そう語るのは、富山市
環境部環境未来都市推進係長の高田興真氏だ。高田氏によれば、富山市には「自動車依存と公共交通
の衰退」という特性があり、富山県は1世帯あたりの乗用車保有台数が1.72台と全国第2位、同市でも
移動手段の72%、勤目的では83%が自動車利用だという。一方で公共交通は衰退の一途をたどり、
2006年にJR富山港線が廃止されたほか、過去20年の間に路面電車は42%減、路線バスの系統数は約
4割も減少。人口の約70%を占める60歳以上の高齢者は車を自由に便うことができず、移動手段の確
保が深刻な問題になっていた。




そうしたなか、同市が「お団子と串」の都市構造形成として最初に着手したのが、富山駅から北に伸び
るJR富山港線を全国初の本格的LRT(ライトレール)システムとして蘇らせる取り組みだった。ま
たその後に行った、富山駅から南にコの字状に広がる富山軌道線を0.9km延伸し環状線化する取り組
みも大きな効果を生んだ。「LRT化では休日で約3.7倍の利用者数の伸びがあり、そのうち約25%が
自動車からの転換とみられる。環状線化開業後は、路面電車の利用者数は10%増だ。高齢者の利用
も両者で増加しており、公共交通の活性化のほか、都心エリアの回遊性向上など期待どおりの効果が
出ている。今後は市内へのLRTネットワーク拡大とともに、26年に終了する富山駅での北陸新幹線工
事に合わせて今回のLRT化と環状線化部分の連結にも取り掛かり、より利用者の利便性を高めていく
予定だ」という。



その他、駐車場などを設置する「異なる交通モード間の連携強化」や、介護予防施設を核とする「ヘル
シー&交流タウン」の形成、農商工連携による多様なビジネスを推進する取り組みなどとスタートさ
せているほか、地域の特性を活かした 「くすりの富山」としての300年以上の歴史と伝統を活かした
「薬都とやま」がある。この計画では、「植物工場」の発展型として、最先端のバイオ技術生産管理シ
ステムや、小水力発電・太陽光発電などの再生可能エネルギーを導入した生薬生産システムを構築す
ることで、伝統産業の復活による地域活性化を目指し、他にも、各種リサイクル施設を集約したエコ
タウンに新たに、食品廃棄物から発生するバイオガスを市内企業にパイプラインを通じて供給する
「バイオガスネットワーク」の構築や、富山湾で藻類を培養し、医療・製薬等に活用できる有用物質の
抽出やバイオマスエネルギーの生成などがある。ところが、「事業が軌道に乗るまでの間はまとまっ
た財源が必要だが、当初予定されていた国の集中支援がなくなり、今は各省庁に個別に交渉するなど
して捻出を試みている。来年度予算の内容や政権交代など今後の都市計画に影響が出かねない要素
も多いという(『環境ビジネス』2013.SP)。





【武器よさらば!】

児童ら26人が殺害された米コネティカット州ニュータウンの小学校銃乱射事件で、アダム・ランザ
容疑者(現場で自殺)は殺傷能力が高い半自動式ライフルを使っていった。州警察当局が15日、明
らかにした。被害者全員が複数の銃弾を浴びており、事件の凄惨さが浮かび上がった。当局による
と、動機につながる「極めて有力な証拠」があったといい、動機の解明を急ぐ。州警察は15日、サ
ンディフック小での被害者全員の身元も発表。児童20人全員が6、7歳の小学1年(女子12人、男
子8人)だった。教師ら大人6人は27~56歳で、校長を含めいずれも女性。事件当日のランザ容疑
者の行動も明らかになってきた。米メディアによると14日早朝、高級住宅街の自宅で母親を射殺後、
約5キロ離れた同小にライフルと拳銃2丁を積んで車で乗り付け、午前9時半ごろ、玄関のガラス
を打ち破り校舎内に侵入。銃声を聞いて校長らが会議中の部屋から飛び出したが銃撃された。小学
1年の二つの教室でライフルを乱射し、犠牲者はいずれも複数弾被弾していた。その後、ランザ容
疑者は自殺し、付近には銃3丁が残されていたという。

母親がガンマニアで、アダムが最近精神的に異常に落ちこんでいて、足か腕に自分でライターの火
をつけて焼くという奇行が目撃されていたという。精神的に不安定な状態にあったようだというが、
それほどのコミュニケーション不足、「痛み」を継続的に得ることによる「自己確認」という逆精
神障害行動といえるような背景については不明だ。しかし、それとは、切り離し、銃の規制の本格
的な動きがある。これはウェルカムで、これをやりきれば世界平和の実現に一歩踏み出すことは間
違いないだろう、また、そうすることで銃あるいは核兵器の呪縛から解放され、不自由から解放さ
れる唯一無二の道だ。そして、それは墨子らの華々しい活躍舞台の消滅を意味する道でもある。

中国の先秦思想にこんなに早く取りかかるとは思っていなかったが、考えてみれば中国にはこのよ
うに分厚い文化資産があるのだから、早く国を開放させれば世界一の観光立国だ。テーマパークの
設定もバラエティーに富んでいる。これは大変面白い気付きだ。

 

コメント
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