第24章 功を誇る者は功を失う
高くなろうとして爪先で立てば、かえって足もとが定まらぬ。遠くへ行こうとして大股で歩けば、
かえって足がはかどらぬ。不自然な作為は、長続きせぬものだ。自己を知者とみなす者は、知者で
はない。自己を是とする者は、是ではない。自己の功を誇る者は、功を失う。自己を有能とみなす
者は、有能ではない。
自然を離れて作為する者は、物の法則の一面しか捉えていない。これらはみな、「道」から見れば
役立たずである。「道」を体得した者は、そういう一面的な立場を取らない。
Sept. 18, 2018
【図2】2色同時1分子イメージングと阻害実験により、Gタンパク質と相互作用中の mGluR3は
速く動くものが多く、クラスリンと相互作用中の mGluR3は静止したものが多いことが明らかにな
った。薬をかけた際に生じる mGluR3の動きの変化は、これらの機能状態の割合が変化することが
反映したものと考えられる。
【細胞膜の受容体1分子の動きから薬効を評価】
● 活性化したGPCR分子の動きは遅くなる
9月19日、理化学研究所は、細胞の膜にある「Gタンパク質共役型受容体(GPCR)」が薬を受
けて活性化されると、動きが遅くなることを発見。この成果は、1分子レベルで薬の作用機序を理
解する1分子薬理学の発展や、1分子イメージングを用いたGPCR標的化合物の薬効評価という新
たなドラッグスクリーニング手法の開発につながる。この研究グループは、全反射蛍光顕微鏡を用
いて、生きた培養細胞中で蛍光標識した9種類のGPCRの動画を撮影し、個々の受容体分子の動きを
追跡し、薬による受容体分子の振る舞いの変化を解析。その結果、9種のGPCRは、いずれも活性
化すると動きが遅くなること発見。また、代謝型グルタミン酸受容体(mGluR)について、受容体
の動きと機能の関係を2色同時1分子イメージングなどにより詳しく解析。その結果、Gタンパク
質]と相互作用中の受容体は動きが速いものが多いのに対し、クラスリンと相互作用中の受容体は
動きが止まったものが多いことを解明。受容体の動きと機能の関係は多くのGPCRに共通し、動き
を見ることで新規化合物がGPCRにどのような作用を及ぼすか推定できると考えている。
【概説】
「Gタンパク質共役型受容体(GPCR:G protein-coupled receptor)」は、光・匂い・味・神経伝達物
質・ホルモンなど細胞外のさまざまな刺激を受けGタンパク質を活性化することで、細胞内へと情報
を伝える膜タンパク質の総称。GPCRは薬の標的分子として主要な位置を占め、米国食品医薬品局(
FDA)承認薬の約34%がGPCRを標的にする。現状、薬の標的として利用されているGPCRは、ヒ
トが持つ約800種のうち100種程度であり、まだ高い潜在性を持っている。このため、生きた
細胞においてGPCRの活性を定量する手法の開発は、薬理学・創薬にとって基盤的な課題になる。
Video
ここで従来は、細胞中のGPCRの活性を評価する場合、GPCR自体を見るのではなく、GPCRが薬を
受けたときに引き起こすカルシウムイオン(Ca2+)や環状アデノシン一リン酸(cAMP)の増減な
どの細胞応答を計測することが一般的。しかし、GPCRにより活性化されるGタンパク質の種類によ
り、GPCRが引き起こす細胞応答は異なるため、全てのGPCRの活性を一つの手法で定量することは
困難である。また、細胞には活性化されたGPCRを不活性化する機構が備わっており、不活性化の
過程を定量することも薬効を評価する上で重要となる。GPCRが薬を受けると、Gタンパク質共役受
容体キナーゼ(GRK)によりGPCRのC末端部位がリン酸化される。このリン酸化部位を認識しアレ
スチンが結合することで、GPCRはGタンパク質と結合できなくなる。GPCRと結合したアレスチン
はさまざまなタンパク質と相互作用することが知られている代表的な分子がクラスリン。クラスリ
ンが細胞膜上で重合して形成されるクラスリン被覆ピット(直径100-200nmのくぼみ)は、GPCRを
細胞内へと輸送し、リサイクル・分解する機構を担う。
このようにGPCRは細胞膜上のさまざまな分子と相互作用するが、一連の過程を単一細胞で同時に
定量でききない。そこで、同研究グループは、GPCRが引き起こす特定の細胞応答を測るのではな
く、薬が結合することでGPCR分子自体に生じる振る舞いの変化から薬効を評価することができない
か、生細胞内1分子蛍光イメージングを用いて検証する。
● 研究手法と成果
同研究グループは、まず、モデルケースとしてクラスCのGPCRの一つである代謝型グルタミン酸受
容体(mGluR3)を用いた検証を行う。ヒト胎児腎細胞由来のHEK293細胞の、mGluR3を蛍光色素で
標識して全反射蛍光顕微鏡で観察(上図1a)。撮影した動画の各mGluR3の輝点を追跡し軌跡を解析
し、受容体が細胞膜中を動く速さ(拡散係数)を定量する(図1b)。さまざまな薬剤条件下で1分
子イメージングを行い、拡散係数の平均値を比較したところ、mGluR3が活性すると動きが遅くなる
ことが明らかになりました。さらに、統計解析を行い、拡散係数に基づいてmGluR3の状態で分類し
たところ、速さの異なる四つの拡散状態に分類できました(図1c)。mGluR3を不活性化する薬をか
けると動きの速い分子の割合が増え、遅い分子の割合が減る(図1d左)。一方、mGluR3を活性化す
る薬をかけると動きの速い分子の割合が減り、遅い分子の割合が増える(図1d右)。
だが、mGluR3の動きだけを見ていても、どのような下流分子との相互作用がどの拡散状態と関連す
るのかは分かない。そこで、Gタンパク質と相互作用中のmGluR3の拡散状態の観察に、Gタンパク
質をmGluR3と異なる色の蛍光分子で染色し、2色同時1分子イメージングする。2色の輝点が重な
った領域を抽出し、mGluR3の拡散状態の定量結果、Gタンパク質と相互作用中のmGluR3は速く動
いていることが解明された。さらに、百日咳毒素を用いてGタンパク質とmGluR3の相互作用を阻害
した際に、Gタンパク質と相互作用するmGluR3分子の割合が減少し、速く動くmGluR3分子の割合
が減ることも明らかとなる。
一方、クラスリンとmGluR3についても、同様の2色同時1分子イメージング解析を行うと、クラスリ
ンと相互作用中のmGluR3は静止しているものが多いことが明らかになる。また、mGluR3を活性化
する薬剤の添加とともに、クラスリンと相互作用する受容体の割合が増え、相互作用時間も延びる
ことが分かり、mGluR3分子の動きが薬による刺激依存的に変化した理由の一端が明確になる(図2)。
Gタンパク質やクラスリンとの相互作用はmGluR3だけではなく、多くのGPCRに共通して細胞膜上
で生じる反応。活性化に伴い細胞膜中での動きが遅くなるという現象は、他のGPCRに共通している
のではないかと推測できる。実際に、mGluR3とはアミノ酸配列の相同性がほとんどなく、活性化す
るGタンパク質の種類も様々な8種のGPCRについて同様の1分子イメージングを行ったところ、リガ
ンド刺激依存的に拡散が遅くなることが共通確認されている(上図3)。
Aug. 20, 2002
今回の研究の手法を化合物スクリーニングは、1分子イメージングの計測効率を大幅に向上させこ
とで、細胞内1分子イメージング自動解析システム(AiSIS)が世界的に普及する。これは愉快だ。
【生体適合性3Dプリント材料の世界市場予測】
9月14日、株式会社グローバルインフォメーションは、市場調査レポート「生体適合性3Dプリン
ト材料の世界市場予測 2023年:インプラント & プロテーゼ、プロトタイピング & サージカルガイ
ド、再生医療、補聴器」(MarketsandMarkets発行) の販売開始。それによると、「生体適合性3D印
刷材料市場」は、2018年から2023年の間に、価値の面で22.0%の年平均成長率(CAGR)と予測
されている――2018年に308.1百万米ドル、2023年には、832.7百万米ドルに達する。三次元印刷は、
使用される技術に応じて、さまざまな方法でレイヤーごとにマテリアルを追加し、直接製造が可能
なプロセス。また、ポリマータイプ市場は、全体的な生体適合性3D印刷材料市場を占有されと予測
され、ポリマー材料は、整形外科および歯科用インプラント、補聴器、薬物送達、プロテーゼ、組
織工学足場、および他の医療用途がある。これらの材料は、金属およびバイオ材料と比較し、成形
が容易で、生体適合性高く、生分解性可能であるとともに廉価が特徴――生体適合性3D印刷ポリマ
ー市場で、予測期間中に高い成長が見込まれる。なかでも、組織工学向け生体適合性3D印刷材料市
場の伸長は最高予測され、細胞培養、骨再生、薬物放出、軟組織作製、組織構築などの用途に細分
課される。年齢、疾病、事故、および先天性障害による組織/臓器不全の増加症例は、世界的な医
学課題の生体適合性材料を用いる3D印刷は、ドナー/組織適合性を高めることで問題解できる。ま
た、身体部位のバイオ製作と器官印刷の研究投資増加と相まって急成長分野と位置づけられている。
形成外科用の生体適合性3D印刷材料市場は、粉末、液体などに分類され。主要な粉体系には、イン
プラント/人工器官、バイオ製作/外科用器具などの市場がある。
Sep. 18, 2018
【環境ビジネスフォーラム:環境戦略と事業戦略の一体化が重要】
●大きく変わる世界の流れ
8月24日、東京・日本橋で、日本ビジネス出版社主催の「環境ビジネスフォーラム」が開催。各
後援者からは「潮目の変化を感じている」との共通認識が示され、「気候変動は社会安定への脅威と
なっている」とし、RE100などの仕組みを経営にどう活かすかについて講演がなされた。『気候変
動イニシアティブ』に多数の企業・自治体が参加する等、潮目の変化を感じるとの共通認識を同じ
くする。これは、SCOPE3への取り組みからもわかるようにサプライヤー全体の話で、日本全体で
RE100に対応しなければ、サプライチェーンから外されるという危機感がある一方で、これはチャ
ンスととらえる側面もある。具体的には、❶「好循環形成の起点となる目標を、まず宣言する。❷
『環境戦略』と『事業戦略』を一体化して進めること ❸そして、最も重要なのが「共創」という
考え方で、多様なステークホルダーがともに手を取り、得意分野を活かしあい、取り組むことが必
要。脱炭素は新たな企業価値を作り上げ、それは一企業体の話にとどまらず、これら取り組みは政
策上の優先順位が上がってきている。政策の優先順位が上がれば、マーケットが動く。この動きは、
社会全体の好循環を生み出すチャンスと提案されている(上図参照)。
● 今夜のアラカルト
酢納豆が身体によいというので夜食や夕食にかならず口にしているが、ネット上では常識みたいで
掲載記事が満載。でも部屋中がくさくなる(彼女のクレーム)こと、口内に残るねばねば巻と口臭
と朝の排便(べんぴ予防)でオリーブオイルをかけてにおいや違和感やお通じを抑制/改善に成功
しているが、オリーブオイルを加える記事も掲載されているのでブログ掲載を避けようと考えたが
お通じの記事は見あたらないので予定通りアップする。
● 今夜の一曲
David Guetta feat Anne-Marie ”Don't Leave Me Alone ”
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