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彦根藩二代当主である井伊直孝公をお寺の門前で手招き雷雨から救ったと
伝えられる招き猫と、井伊軍団のシンボルとも言える赤備え(戦国時代の
井伊軍団編成の一種、あらゆる武具を朱りにした部隊編成のこと)と兜(
かぶと)を合体させて生まれたキャラクタ。
【季語と短歌:2月10日】
早春のひかりさしぬか残雪に
高山 宇 (赤鬼)
✳️ ハメネイ師、米国との交渉拒否を表明
イランの最高指導者アリ・ハメネイ師は7日の演説で、米国との交渉を拒
否する方針を表明した。トランプ米大統領は5日、イランとの交渉に前向
きな姿勢を示していたが、イラン核開発を巡る現状打開の糸口は当面なく
なった。米国の対イラン制裁強化やイラン側の核開発加速などで対立が深
まる可能性が高まった。ハメネイ師は軍将校らを前にした演説で、「米国
とは交渉すべきでない。あんな政府との交渉は、賢明でも 聡明(そうめい)
でも名誉でもない」と述べた。理由として、米政府が核合意を順守しなか
った過去の「経験」を挙げ、トランプ氏を「合意を破り捨てた同じ人物だ」
と指摘した。
さらに、ハメネイ師は「米国の脅威には脅威で応じる。攻撃されれば攻撃
する」と断言し、軍事衝突の選択肢にも言及した。これに先立つ6日、米
財務省は、イラン軍参謀本部に代わって年間数百万バレルのイラン産原油
の中国への輸出を支援したとして、イランや中国などの個人やタンカー会
社に制裁を科すと発表した。トランプ氏がイランに「最大限の圧力」をか
けるよう4日に指示した後、米政府が制裁を発動するのは初めてだ。
トランプ氏は、イランの外貨獲得手段である原油輸出をゼロにする目標を
掲げている。今回の制裁では、取引で重要な役割を果たす中国の金融機関
は対象外で、イラン側とのディール(取引)の材料にする可能性があるが
イラン外務省報道官は7日、米政府の決定は「違法」とする非難声明を発
表した。イランは2018年、米英露など6か国と結んだイラン核合意か
ら第1次トランプ政権が一方的に離脱し、制裁を再開したのに対抗して核
開発を加速させた。現在、兵器級に近い濃縮度60%のウランを製造して
いる。米国が制裁を強化すれば、イランはさらに核開発を進めるとみられ、
イランの核武装を憂慮するイスラエルを刺激することになる。イランの核
施設への攻撃など軍事的な対立への発展も懸念される。(bing.com news)
✳️微小な有機半導体の複雑な分子構造を解明
🎈次世代電子デバイスと医薬品の開発を加速する革新的技術
有機半導体は,柔軟性,低エネルギーで合成や加工ができる環境への優し
さといった利点をもち,次世代の電子デバイスの材料として有望視されて
いる。これらの材料は,フレキシブル・ディスプレイや高効率太陽電池か
らウェアラブル・エレクトロニクスに至るデバイスを実現し,暮らしや社
会をより良いものに変革する可能性を秘めている。
その有機半導体の分子構造を解明する強力な解析手法である従来のX線結
晶構造解析法は,10μm以上の大きさの整然とした結晶を必要とするが,
多くの有機半導体はこれより小さい結晶や薄膜しか形成しないため,既存
の手法では解析が困難だった。
さらに,有機半導体の中には,多形(同じ分子が異なる結晶系を示す結晶
多形,および結晶内で異なる形状をとるコンフォメーション多形)と呼ば
れる複雑な挙動を示すものが知られていたが,解析例が極めて少なく,そ
の詳細は不明のままだった。微細ではあるが機能・特性に大きく関わるコ
ンフォメーション多形を理解することは,有機材料の特性を予測し制御す
るために不可欠。そのため,既存の解析法の限界を超える,新たな構造解
析法の開発が望まれていた。
今回東北大らの研究グループは,最先端の3次元電子回折法と開発した構造
決定法を組み合わせて,従来の手法では解析できない複雑な分子構造をも
つ有機半導体微小結晶(厚さ数百nm以下)の構造解析に成功した。この新
しい技術により,有機半導体結晶中で分子がどのように配列しているのか,
その複雑な構造の詳細が明らかになった。さらに,同じ化学構造をもつ分
子が結晶内で異なる形状をとる現象を明らかにした。今回開発した構造解
析技術は,さまざまな有機材料・薬剤の開発に新たな可能性を開く技術基
盤を提供するもの。解析困難な材料の詳細な構造情報を提供することで,
有機半導体の設計,開発を加速することが期待される。研究グループは,
より効率の高い太陽電池や,より性能の高いフレキシブル・ディスプレー,
新しい電子デバイスが生まれる可能性があるとしている。
研究チームが2024 年に合成を報告した有機半導体 antiC10(図 1 左)は厚
さ数百ナノメートル(nm、1nmは100万分の1ミリメートル)以下の薄い
結晶(図1中央)が形成される試料です。このため、通常のX線回折装置は
もちろんのこと、放射光施設を利用したX 線自由電子レーザーを用いても
構造決定に至りませんでした。電子線はX 線に比べ格段に試料と強く相互
作用するため、はるかに小さな結晶を扱うことができます。そこで、共同
研究チームは、クライオ電子顕微鏡を用いて高品質の電子回折データの取
得に成功しました(図1右)。しかしながら、既存のデータ解析手法では構
造同定できず。この課題を克服するために、分子置換と呼ばれる作業を安
定な部分構造を基に二段階で適用する新しい手法を開発しました(図2)。
分子置換法は類似のタンパク質の立体構造を使って構造情報を得るという
タンパク質の結晶構造解析で頻繁に用いられる手法ですが、構造の知られ
ていない有機分子の構造解析にはほとんど利用されていない。この手法に
は以下が含まれます:
1. 初期探索モデルの作成:計算化学的手法を用いて、構造の剛直な部分に
焦点を当てながら、解析対象分子の 3 次元構造モデルを理論計算により
化学構造のみから作成しました。
2. 二段階の分子置換法:上記の antiC10 構造モデルを探索モデルとして複
数のコピーを結晶中の単位胞(結晶を構成する空間格子の最小の繰り返
し単位)に配置する逐次探索を行い、初期構造を得ることに成功しまし
た。
3. 精密化とモデル構築: その後、初期構造を精密化し、分子グラフィック
スプログラムを使って構造を完成させました。
この課題を克服するために、分子置換と呼ばれる作業を安定な部分構造を
基に二段階で適用する新しい手法を開発した(図2)。分子置換法は類似
のタンパク質の立体構造を使って構造情報を得るというタンパク質の結晶
構造解析で頻繁に用いられる手法ですが、構造の知られていない有機分子
の構造解析にはほとんど利用されていませんでした。この手法には以下が
含まれる:
1. 初期探索モデルの作成:計算化学的手法を用いて、構造の剛直な部分に
焦点を当てながら、解析対象分子の 3 次元構造モデルを理論計算により化
学構造のみから作成しました。
2. 二段階の分子置換法:上記の antiC10 構造モデルを探索モデルとして複
数のコピーを結晶中の単位胞(結晶を構成する空間格子の最小の繰り返し
単位)に配置する逐次探索を行い、初期構造を得ることに成功しました。
3. 精密化とモデル構築: その後、初期構造を精密化し、分子グラフィック
スプログラムを使って構造を完成させました。
このアプローチにより、研究チームは antiC10 の構造を解明し、結晶中の
複雑な配置を明らかにすることができました。その結果、分子が平行およ
び反平行に配置された2層構造であることを見出した(図2右)。
このantiC10の層間は互いに入り組んだ複雑な構造をとる(図3左)。さら
に、結晶中に同じ分子が少しずつ異なる形で共存しているコンフォメーシ
ョン多形と呼ばれる現象を発見した(図3右)。コンフォメーション多形
は分子の機能と特性に大きな影響を及ぼすと考えられる。さらに本結晶は
180°回転した同じ結晶が重なった状態の双晶であることが詳細な構造解析
の結果わかりました。この双晶は結晶が生成する途中の過程と深く関係が
あり、非常に複雑な分子構造が形成されるに至ったことが予測される。 こ
のような微細構造の違いを見分けることのできる解析法は、これらの有機
半導体材料の設計指針を得るために極めて重要。本研究は、解析が非常に
難しい物質に対して、以前は達成できなかった精度の高い解析手法を提供
するものである。
本研究の構造解析手法の開発およびデータの解釈は東北大学の研究者が実
施しました。電子回折実験および初期解析は理化学研究所の研究者が実施
しました。産業技術総合研究所の研究者は材料開発および試料調製に、東
京大学の研究者は連携体制の構築およびデータの解釈に重要な貢献があつ
た。
【展望】今後の展開
今回開発された構造解析技術は、さまざまな有機材料・薬剤の開発に新た
な可能性を開く技術基盤を提供します。
1. 材料開発の加速:解析困難な材料の詳細な構造情報を提供することで、
有機半導体の設計、開発を加速することが期待されます。これにより、よ
り効率の高い太陽電池やより性能の高いフレキシブル・ディスプレイ、新
しい電子デバイスが生まれる可能性がある。
2. 構造-物性相関の理解向上:コンフォメーション多形を詳細に解析できるよ
うになることで、分子構造が材料特性にどのような影響を与えるかをより
深く理解できるようになる。得られた知見は、特定の用途向けに材料を設
計する上で極めて重要。
3. 製薬研究への応用:本技術は小さい結晶しか得られない新規薬剤の解析、
さらには同じ分子が異なる結晶系を示す結晶多形の解析に威力を発揮する。
結晶多形は薬剤の効能に大きな影響を与える可能性がある。従来は困難で
あった結晶多形の検出や高精度かつ効率的な構造解析が可能になる。
このように本研究は、次世代エレクトロニクスから医薬品に至るまで、さ
まざまな分野の技術革新を促進する技術基盤です。物質のナノスケールの
世界と機能性部品材料のマクロスケールの世界のギャップを埋めるこの研
究は、我々の日常生活を一変させる次世代技術の開発に繋がる可能性が考
えられる。
【論文情報】
タイトル:3D Electron Diffraction Structure of an Organic Semiconductor
Reveals Conformational Polymorp掲載誌:Journal of the American
Chemical Society
DOI: 10.1021/jacs.4c12734
URL: https://doi.org/10.1021/jacs.4c12734hism
✳️ 光が流れるナノチェーンを開発し機構も解明
【要点】
1.長さと色素サイトの配向・配列・距離が正確に規定された一次元分子鎖
(ナノチェーン)を創製した。
2.ナノチェーン内の励起子(注1)の移動を既存例よりも精密にモデル化
し、発光データをシミュレーションすることで、これまで定量が困難であ
った励起子移動プロセスの速度を明らかにした。
3.本研究で用いた手法とモデルは、レーザーや検出器の性能に制限されない、
新たな手法による超高速光現象の解析に相当し、分子性ナノ材料における
光化学・光物理現象を理解するための標準的方法論に資することが期待さ
れる。
【概要】近年、デバイスの小型化と省エネルギー化が求められる中、シリ
コンなどの無機材料では実現が難しい分子スケールでの極小デバイスの開
発が科学者の究極の目標の一つとされている。特に、ナノメートルスケー
ルのデバイスを駆動するためのエネルギーや情報伝達信号として光が注目
されており、光を輸送することができる分子光導波路の開発が望まれてい
る。 過去 50 年にわたり、ポリマー鎖内を励起子が移動(ホッピング)す
る挙動の解析にランダムウォークモデルが適用されてきた。ここで超高速
レーザーを用いる時間分解分光法が励起子ダイナミクス(通常、ピコ秒(
10-12 秒)スケール)の解明に重要な役割を果たしているが、観測可能な
現象の時間スケールはレーザーや検出器の性能に制限されてしまう。また、
従来のポリマーにおいては励起子の停留サイトとなる色素分子間の相対的
な配列・配向・距離が定まらず、この構造の不確実性が励起子移動現象の
定量的モデル化と解析を妨げてきた。
本研究グループでは、発光性ジピリン亜鉛錯体に着目し、色素であるジ
ピリン部位の配向・配列・距離を精密に規定した一次元分子鎖群「ナノチ
ェーン」を合成することに成功した(図 1)。 ナノチェーンは配位結合が
主鎖を担う直鎖状金属錯体。本研究では錯体部位の構造を緻密に設計する
ことで、1核から16核までのナノチェーンの単離を可能にした。
光照射によって生成する励起子は各ジピリン色素サイトに局在し、サイト
間の配向と距離に依存したFRET 機構で大部分の励起子移動を説明すること
ができます。一次元分鎖群の構造が規定されているため、連続時間マルコ
フ連鎖に基づく精密なモデルを構築し、鎖内の励起子ダイナミクスを数学
的に記述することが可能となりました(図2)。ただし、金属イオンを挟ん
だ最近接サイト間の励起子移動の定量化は困難であるため、その速度定数
を未知パラメータとして取り扱った。
一次元分子鎖の蛍光減衰曲線と蛍光量子収率は市販の分光装置で実験値を
取得することができるとともに、上記の連続時間マルコフ連鎖モデルから
理論値を算出することができます。そこで、理論値が実験値を再現(図 2)
するように上記未知パラメータを最適化することで、最近接サイト間の励
起子移動の時定数を40± 20ピコ秒(分子鎖内部の値、トルエン中)と決定
できた。
今後の展開
本研究は、一次元分子鎖の構造的特徴と一般的にアクセス可能な光物性測
定の結果から、励起子ダイナミクスの定量的モデル化と解析を行った初の
例である。レーザーや検出器の性能に大きく制限を受ける従来の方法論を
用いずに、未知の高速励起子移動の時定数を算出したことは特筆すべき成
果。本研究で用いた手法とモデルは、分子性ナノ材料における光化学・光
物理現象を理解するための標準的方法論に資することが期待される。
心に響く楽曲
『ヴィヴァルディ:『四季』より「春」 第1楽章(弦楽四重奏)』
● 今日の言葉:早朝からご近所は除雪作業。
気鬱ごと晴れることなし。ならば、ヴィヴァルディも
一興と気を取り直す。そして、ブログを打つ。望みは
ひとつ。新しい時代をはやく実現させたいことだ。
春が来ても、鳥たちは姿を消し鳴き声も聞こえない。
春だというのに自然は沈黙している。
レイチェル・カーソン 『沈黙の春』
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