<生配信ライブ “LAUGHIN’S NOT DEAD”>
日程:2020年6月20日 (土)
時間:20時00分~21時30分(*生配信のため、多少前後する可能性がございます。)
チケット料金:1,000円
80年代日本のパンクの立役者、ラフィン・ノーズの最初で最後の配信ライヴ。勝手知ったる新宿ロフトで爆裂するCharmy(vo), Lina(g)、Pon(b)、Chi-chan(ds)のパフォーマンスは無観客でもOi Oi Oiとコールする満場のパンクキッズを幻視する爽快な配信ライヴだった。もうひとつのパンクの雄、STAR CLUBも配信ライヴをやってくれれば嬉しい。
●Robyn Hitchcock with Emma Swift
LIVE FROM SWEET HOME QUARANTINE: "EYE" ALBUM played in full
6月25日(木) 10:00~10:40(日本時間)
この曲がスマッシュヒットしたため、急遽オハイオのローカルバンドSir Timothy & the Royalsをスカウトし、オハイオ・エクスプレスとしてコンサート・ツアーが組まれた。しかしレコーディングはニューヨークでスタジオ・ミュージシャンをつかっておこなわれた。アルバムにはさらに別のバンドの音源もオハイオ・エクスプレスとして収録されている。68年「ヤミー・ヤミー・ヤミー」以降のシングルは、ソングライターのジョーイ・レヴィンがリードヴォーカルを務めることが多くなった。69年にレヴィンが去ったのちは、10cc結成前のグレアム・グールドマンの曲がシングルカットされたりもした。
Ohio Express - Sausalito (Kevin Godley; Lol Creme; Eric Stewart and Graham Gouldman)
いっぽう、ニューシングルが出てもツアー用のバンドに知らされないこともあり、コンサートで最新ヒットを演奏できないという体たらくぶりもあったという。ジャケットに映っている5人が果たしてツアーバンドのメンバーなのかどうかもはっきりしない。1972年にプロジェクトとしてのオハイオ・エクスプレスが消滅したのちも、ツアーバンドのメンバーはオハイオ・エクスプレス名義で活動を続けていた。敬意を表してメンバーを記しておこう。 Dale Powers (vocals, lead guitar), Doug Grassel (rhythm guitar), Dean Kastran (bass), Jim Pfahler (keyboards), Tim Corwin (drums)。現在はオリジナル・ドラマーのティム・コーウェインがヴォーカルを務めて活動しているようだ。
CROSSED WIRES - JAPANESE POST-PUNK & NEW WAVE SPECIAL
(写真をクリックするとNTS Radioのページに移動します) 1時間59分12秒
TRACKLIST
1. PALE COOCOON / Sora
2. E.D.P.S. / Turnin' Loose
3. PTAS / Ishizune
4. CHANCE OPERATION / Wine Color Sick
5. THE STUCK / Not Dark
6. ZELDA / エスケイプ
7. KAIBASHIRA-ZU / Fuck In The Night
8. チャクラ / Medaka
9. BIZET / Mrs. Y Takes A Walk In The Park
10. FRICTION / I Can Tell
11. COMMUNE / I Can't Believe
12. DAISUCK + PROSTITUTE / 涙ぐむ火山を見つめて
13. GEIL / Stay
14. キャ→ / Shan Shan
15. 財団法人じゃがたら / Last Tango In Juku
16. STILL / Sweet Warm Rain
17. SURREALISTIC MEN / Dark
18. SODOM / Castle In The Air
19. FUNERAL PARTY / Double Platonic Suicide
20. COMA / Isolation
21. EARTHLING / You Go On Natural
22. G-SCHMITT / Holy Celebration
23. P-MODEL / Art Blind
24. SADIE SADS / Unknown
25. THE STUCK / Glassy
26. THE NURSE / ナース
27. BIZET / Feel A Boy
28. GOÓNZEES / This Is A Love Song
29. 暗黒大陸じゃがたら / 季節のおわり
Japanese Female Punk 1978 - 1987 (mixtape)
55分40秒
Small mixtape I made of female-fronted (and often times, all-female) punk bands from Japan, circa 1978 - 1987. Some obscure, some not. This isn't supposed to be a comprehensive mix, so there are many bands left off. Tracklist with release info below.
Tracklist:
01. Boys Boys "Control Tower" (1980)
02. Boys Boys "Monkey Dance" (1980)
• from their s/t 7" on Pass Records
03. Mr. Kite "共犯者" (1978)
04. Mr. Kite "Exit B9" (1978)
• from their s/t 7" on Gozira Records
05. 水玉消防団 "ジークフリードはジッパーさげて" (1981)
• aka: Mizutama Shobodan, from their LP "乙女の祈りはダッダッダッ!" released by Kinniku-Bijo
06. 水玉消防団 "まな板の上の恋" (1985)
• aka: Mizutama Shobodan, from their LP " 満天に赤い花びら" also released by Kinniku-Bijo
07. サボテン (Saboten) "エメラルドの山彦" (1982)
• from their s/t LP on Floor Records, a compilation has been reissued titled "Floor et Satie" by EM Records that's still pretty affordable
08. Gomess "War to the Knife" (1987)
• from their "Demonstration" 12" released by R.B.F.
09. キャ→ "I Am Bitch, Or Not" (1986)
• aka: Kyah, from the "Rebel Point" EP released by Spankids
10. キャ→ "ピラニアBoy" (1985)
• aka Kyah, from the "Slapdash" 7" on AA Records
11. RAP "迷宮" (1986)
• from the "Trap" 7", released by Dogma Records
12. RAP "Legend" (1986)
• from the "Rapout" 7", released by Dogma Records
13. OXZ "Vivian" (1984)
14. OXZ "Be Run Down" (1984)
• from their self-released eponymous 8"
15. Typhus "ノータッチ" (1980)
16. Typhus "香港ガール" (1980)
• from the "1980.10.28" demo, the vocalist here is Miina Yasue who also worked w/ The Willard and The Stalin
17. The Comes "Public Cicle" (1983)
18. The Comes "さらけだせ" (1983)
• from the legendary "No Side" LP, released by Dogma Records
19. GAS "Defend" (1984)
20. GAS "Kill The Baby" (1984)
• originally released on their "The Day After" flexi on 自殺レーベル, also featured on the "1982 - 1986" compilation by Arise (JP) and Partners In Crime (USA)
21. Brain Death "Funny Dancing" (1987)
22. Brain Death "Whistle" (1987)
23. Brain Death "Sacrifice" (1987)
• from their lone 7", "Personal Affair" released by Low Brow / Selfish
Japanese New Wave - Post Punk - Gothic: 1st Selection
英語音楽/VINYL JAPAN proudly presents 【 TYLA from THE DOGS D'AMOUR 】
special guest DAVE KUSWORTH ( ex: JACOBITES )
日時:2020年3月8日 (日)
会場:代々木ZHER THE ZOO
開場:17:00 開演:18:00
80年代末〜90年代前半にドッグス・ダムールで何度か来日ツアーをしたタイラは、94年の1stソロ『The Life & Times Of A Ballad Monger(酔どれ詩人のバラッド)』のリリース時に唯一のソロ来日公演を行った。渋谷の小さなライヴハウス(O-nestだったか?)でアコースティックギターの弾き語り。チャールズ・ブコウスキーに捧げたソロアルバムの曲とドッグス・ダムールのナンバーを赤ワイン片手に歌う姿は、ワイルドな破滅型ロックンローラーのイメージとは異なり、イギリスのパブでしっとりと哀愁を歌う文系フォークシンガーだった。それから26年経って再び日本の地を踏んだタイラの来日公演は、降って沸いたコロナウィルス騒動で予定されていたドッグス・ダムールとしてのバンド公演が延期になったため、2日間の完全アコースティックソロライヴのみが開催された。奥さんと物販担当スタッフとの3人で来日したタイラが日本の感染者増加とイベント自粛ムードを知ったのは出発の前日だったという。「まあいいか」と心配もせず予定とおり日本へ向かって旅立ったという爛漫さは30年前と変わっていない。
オリジナルラインナップのドッグス・ダムールが1991年に解散した後も何回かメンバーを変えつつ再結成されている。その間もタイラは自らのレーベル「King Outlaw」からTyla名義でソロ活動を続け、2011年のアルバム『Quinquaginta』(ラテン語で50の意味。タイラの50歳の誕生日にリリースされた)からはTyla J. Pallas名義で、これまで40作近いソロ・アルバムをリリースしている。また、2017年からは自分のバンドをタイラズ・ドッグス・ダムールと名乗り、アルバムも4作リリースしている。
【TYLA from THE DOGS D'AMOUR TOKYO GIGS 2020】
80年代末、GLAMやPUNKの範疇を超え、日本では"BAD BOYS ROCK"、"SLEAZY ROCK"と称せられるムーブメントの中でも英国独自の哀愁のメロデイーを武器にシーンのトップを走った【THE DOGS D'AMOUR】。リーダーでボーカリストTYLAをメインに何度目かの再結成。2019年11月にはミニアルバム"Jack O’Byte Bluesey"のリリースとともにシーンの最前線へ。
英国音楽/VINYL JAPAN proudly presents 【TYLA from THE DOGS D'AMOUR】special guest DAVE KUSWORTH (ex: The JACOBITES)
2020 MARCH 07 (sat) & 08 (sun)
代々木ZHER THE ZOO
ローソンチケットL-CODE: 71150
07(sat) Doors Open 18:00/Show Starts 19:00
08(sun) Doors Open 17:00/Show Starts 18:00
Ticket in advance 7,000yen (inc VAT)
plus one drink charge at door of the venue
英国音楽/VINYL JAPAN presents 【TYLA’s DOGS D'AMOUR】
2020 MAR 10 (tue) & 11 (wed)
新宿LOFT
11(wed) w/YOUNG PARISIAN
ローソンチケットL-CODE: 74917
Doors Open 18:30/Show Starts 19:30
Ticket in advance 7,800yen (inc VAT) plus one drink charge
こちらの公演に関しましては残念ながら延期とさせていただきます。
今後、振替公演に日程を調整いたします。お手持ちのチケットは振替公演に有効となりますので、紛失されないよう大切に保管いただきます様、お願い致します。
また、振替公演に都合がつかないお客様には、払戻しの対応をさせていただきます。
払戻の詳細は振替日程の発表の際にあわせてご案内致しますので今暫くお待ちください。
また、お手持ちのチケットで以下の振替も可能となります。
【Dogs D'amour】のチケットにて【Tyla & Dave Kusworth】公演への振替
→会場にて差額を返金いたします。
【Tyla & Dave Kusworth】のチケットにて【Dogs D'amour】振替公演への振替
→振替公演までチケットを大切に保管願います。
今回の公演を楽しみに待っていてくださったお客様には御迷惑をおかけしますことをお詫びいたします。
このような不測の事態ではございますので、急遽の変更等が生じた場合は、改めて速やかにお知らせいたします。
More informations at
英国音楽/VINYL JAPAN:03-3365-0910
79年3月に10日間ほどのヨーロッパ旅行で訪れたロンドンで購入したレコードの中に Siouxsie And The Bansheesのデビュー・アルバム『Scream』があった。しかしイギリス盤にはシングル曲『Hong Kong Garden』が収録されていない(日本盤には収録)。82年に大学で結成したバンドでカヴァーするために買ったシングル盤。日本独自のジャケットは愛読していたパンク雑誌『ZOO』で連載していた漫画家・森田じみぃのイラスト。後にポジパン女王として日本のガールズバンドにも多大な影響を与えるスージー・スーのオーラ全開。B面『Voices』のギターだけをバックに歌うナンバーはNICOの生まれ変わりのようだ。
Siouxsie And The Banshees - Hong Kong Garden (Official Video)
●鮎川誠/シーナ・ロケット『涙のハイウェイ/恋はノーノーノー』
Elbon – BON-1014 / 1979
ラジオで聴いて痺れたシーナ・ロケットのデビュー・シングル。パンクというよりロックンロールだが、鮎川誠のリズム主体のギターとシーナのポップなヴォーカルが新鮮だった。ところが同年秋にリリースされた2ndアルバム『真空パック』がいきなりテクノになっていて失望した。プロデュースの細野晴臣への恨みは未だ消えていないが、今年1月に観たSheena and The Rokkets feat. Lucyが1stアルバム『#1』と『真空パック』の曲をメインにやっていたので改めて聴き直したら思ったほど悪くなかった。
SHEENA & THE ROKKETS 1979 涙のハイウェイ
●ブラム・チャイコフスキー『ガール・オブ・マイ・ドリームス/カム・バック』
Warner-Pioneer / Radarscope Records – P-482F / Oct 1979
ドクターズ・オブ・マッドネス Doctors of Madness やアンド・オールソー・ザ・トゥリーズ And Also The Trees やザ・チャーチ The Churchほどではないが、80年代半ば学生時代に偏愛していたレコードがザ・デコレーターズ The Decoratorsの『Rebel Song(反逆者の歌)』だった。リリース元のRed Flame Recordsは、やはり筆者が偏愛していたオーストラリアのフリージャズ的パンクバンド、ラフィング・クラウンズ Laughing Clowns をイギリスで配給していたレーベルで、他にもゴシックポップのアーテリー Arteryやシンセポップのアン・クラーク Anne Clark等良質なポストパンクをリリースしていたが、Rough TradeやCherry Red、Factoryなど大手インディーズに比べてB級のイメージがあったためか比較的安価で入手できた。1984年夏に吉祥寺DIsck Inn2で購入した『Rebel Songs』はミニアルバムとはいえ新品で580円という特価だった。ヴォーカルのどこか突き抜けたようなデカダンな歌い方と哀愁のあるメロディが印象的で、サックス入りのジャングリーなギターロックにも心が惹かれた。ジャケット写真のポスターが封入されていてお得感はあるが、何故かどこにもメンバーの名前が書いていない。車に乗った痩せぎすの男性がヴォーカルだろうと思ったが、何人組かもわからないまま、年に数回思い出すようにターンテーブルに乗せる程度だが、30数年間聴き続けてきた。
2016年にフルアルバム『Tablets(錠剤)』を中古盤で安く見つけたときも、特に昂奮することもなく取りあえず買っとこうかという感じだった。聴いてみて『Rebel Songs』ほど琴線に触れることはなかったが、歌声には抗し難い魅力を感じた。いきなりガーン!と来るハードドラッグではなく、後からじわじわ効いてくるソフトドラッグのような魔性の歌。ルー・リード Lou Reed(ヴェルヴェット・アンダーグラウンド Velvet Underground)やの ピーター・ペレット Peter Perrett(オンリー・ワンズ The Only Ones)の影響を受けていることは明らかだが、彼らほどの重みはなく、街のツッパリ兄ちゃん風のヤサグレ感に親しみを感じる所以だろう。イアン・マッカロック Ian McCulloch(エコー&ザ・バニーメン Echo & the Bunnymen)、モリッシー Morrissey(ザ・スミス The Smiths)、イアン・カーティス Ian Curtis(ジョイ・ディヴィジョン Joy Division)ほどのカリスマ性はないのは確かだが、個人的な好みでは最も評価するヴォーカリストのひとりである。
The Decorators - American Ways
ザ・デコレーターズ The Decorators
マイケル・ビーヴァン Michael Bevan (vocals, guitar)
ジョニー・ジラーニ Johnny Gilani (guitar)
スティーヴ・サンドー Steve Sandor (bass)
ジョー・サックス Joe Sax (saxophone)
アラン・ボロー Allan Boroughs (drums)
ピート・サウンダーズ Pete Saunders(key)
1980年西ロンドンのアクトンにて結成されたポストパンクバンド。最初のラインアップはMichael Bevan (vocals, guitar), Johnny Gilani (guitar), Steve Sandor (bass), Joe Sax (saxophone), Allan Boroughs (drums)の5人だった。BBCのJohn Peel showで紹介され話題になる。拠点をロンドンに移し2枚のシングル「Twilight View」(80 New Hormones),「Pendulum & Swinge」(81 Red Records)をリリース。アイランド・レコードから契約のオファーを受けるが、アイランドの担当A&Rアンドリュー・ローダーがDemon Recordsへ移ったため立ち消えになった。代わりにRed Flameレコードと契約、元デキシーズ・ミッドナイト・ランナーズ Dexys Midnight RunnersのPete Saunders(key)を加え6人組となり、82年6月にシングル「Strange One」、続いてデビュー・アルバム『Tablet』をリリース。フランスではVirgin Recordsからリリースされた。翌83年にミニアルバム『Rebel Songs』をリリース。UKインディ・チャート15位になる。同年フランスVirginから12インチ『Teenage Head』をリリースしたが、84年に解散。Discogsで調べたところ、その後音楽活動の記録があるのはサックスのJoe Sax(本名Joe Cohen)とキーボードのPete Saundersだけで、他のメンバーの消息は明らかではない。
PUNK'S NOT DEAD!!!と拡声器で大声で喧伝する気はないが、還暦を数年後に控えた老境に差し掛かったオレは、四十年以上前に耳にしたパンクロックのドキドキを今再び追体験する喜びを味わっている。それはノスタルジーではなく、心の中に隠れていた十四歳の自分がパンクの形而学的魔法によって意識の上層部へ浮揚するメカニズムであり、古い瘡蓋を破って新たな細胞皮質が再生される新陳代謝システムに他ならない。若返りとは異なり、自分の意識は生後約20400日を過ぎた雄型ホモサピエンスの脳味噌に相応した年輪が刻まれたままである。問題は足腰つまり肉体であるが、約5年前から数知れず身を置いて来たアイドル現場で鍛えて来たお陰で、多少のモッシュ/リフト/ステージダイブ/クラウドサーフ程度ならビクともしない強靭なボディを手に入れている。復刊した雑誌『BURST GENERATION』で特集されている人体改造のように一目で分かるものではないが、地下ドルヲタ活動はヲタクの心と身体を改造しより良い人生をもたらす健全なスポーツなのかもしれない。それを証明するために、10月14日の体育の日に新宿歌舞伎町とゴールデン街付近のライヴハウス数カ所で開催された『カッパンク2019』というイベントに足を運んだ。
[出演]
ANGER FLARES / BEYOND HATE / BRAHMAN / THE CHINA WIFE MOTORS / COCKNEY REJECTS (UK) / FIVE NO RISK / THE DISASTER POINTS / FUNGUS / GBH (UK) / GOOD4NOTHING / HAT TRICKERS/ JUNIOR/ KiM / LAUGHIN' NOSE / locofrank / MONOEYES / THE PRISONER / RADIOTS / THE RYDERS / SA / THE STAR CLUB / RAISE A FLAG / Resolute Immortal Partizan / VIBRATE TWO FINGERS / 九狼吽 / the原爆オナニーズ / ニューロティカ / 壬生狼 / 雷矢 / ロリータ18号
その一方で東京や大阪の小さなライヴハウスやカフェやイベントスペースで他人とは異なる表現活動を実践していた地下音楽家は、圧倒的少数派(マイナー)故に資本主義に塗れることもなく、売れる売れないという商業ベースではなく、Do It Yourselfの精神を保ちつづけて、自分のやりたいようにやれる自由を求めつづけたのである。
2000年4月に渋谷On Air Eastで開催されたJapan Puck Rock Festival 2000というイベントに友人に誘われて観に行った。ライダーズ、コブラ、アナーキー、スタークラブ、ラフィンノーズといった80年代日本のパンクバンドが集結し、会場には色とりどりのモヒカンやスパイキーヘアが鋲付きの革ジャンで多数集結していて、82年のオールナイトハードコアライヴで見た光景を思い出させた。懐かしさと共にシンプルでポップなパンクサウンドが新鮮で十代に戻った気がした。中古盤屋で日本のパンクのCDを買い集めたが、興味は再びノイズ/アヴァンギャルドに移り、パンクのCDは棚の奥に締まって聴くことは無くなった。
何処か冴えない顔の小太り青年が上半身裸でベッドに横たわる内ジャケに大きくOMGのロゴ。OMG=OH MY GOD/オーマイガッ!=なんてこったい!やっちまった!マジか!ヤバい!といった激しい感情の揺れを表現する英語の表現である。それにしても青年の安穏とした表情は何だろう。感動・驚き・喜び・怒り・失望など感情の波とは真逆の悟り顔は、神に祈るよりも神に倣うことを決心したかのように見える。OH MY GODとは自らを神と称するキチガイと紙一重の精神状態に置かれた男の述懐にも聴こえなくない。
「Nothing Sacred / All Things Wild(神聖なものは無い すべてがワイルド)」。エコーのかかった歌がボンゴとオルガンに導かれ「若いときはすべてを知っていた すべてが神聖で ワイルドなものは無かった」と歌う。すると神に捧ぐ女性聖歌隊が相乗りする。ケヴィンの夢は若い頃の自分と成長した自分の間の葛藤に起因することが明らかになる。セクシーなサックスの甘いムードが忘却の中へ滲んで行く。
Kevin Morby - Nothing Sacred / All Things Wild (Official Video)
つづいて「OMG Rock n Roll(OMG ロッケンロー)」。ケヴィンらしいもっさりしたロッケンナンバー。「神よ僕を家へ連れてってくれ もし若すぎるときに死んだら もし狼がきたら」。子供でいるのが嫌になり、弾丸ビートと足踏みオルガンで武装するが、突然昇天してコスミックワールドへワープする。ここから夢はあらぬ方向へ発展する。
遠くで聴こえる暴風雨「Storm (Beneath the Weather)」を挟んで現実の享楽の世界へ「Congratulations(祝福)」の歌。アルバムのハイライトと言えるテンションの高い曲だが偏執狂のギターのあとケヴィンは倦怠へと陥る。「I Want To Be Clean (清潔になりたい)」「Sing a Glad Song (喜びの歌を歌おう)」「Ballad of Faye (フェイのバラード)」とケヴィンらしい軽妙なロックナンバーがつづくが、ラストナンバー「O Behold (おお、見よ)」はピアノとオルガンの伴奏で切々と歌い上げるバラード。「空に開いた穴を見よ 青い鳥のベイビーは死んだらどこへ行くのか 空には鎖は無いから 天の向こうまで飛んで行く」と歌ったところで夢から目覚めたケヴィンの顔が内ジャケの写真である。