2020年7月18日.es+林聡レコーディング・ライブ「Atlas」(稲垣元則個展会場)
音楽情報サイト『JazzTokyo - Jazz and Far Beyond』最新号が更新された。特集は「リアルとストリーミングのはざまで〜コロナ禍の2020年を振り返って」とMy Pick 2020。剛田武は下記の記事を寄稿した。
●『浦邊雅祥 / Mobilis in Mobili』
⇒このディスク2020(国内編)#02 『浦邊雅祥 / Mobilis in Mobili』
独奏音楽の深みに嵌る禁断の喜びに満ちたパンドラの匣。
浦邊にとって音の鳴り方と魂の震え方に違いはない。両者が同じ振動で波打つことが、浦邊雅祥の音楽の魅力であり怖さなのだと思う。
●『サン・ラ・アーケストラ/渦を巻く』
⇒このディスク2020(海外編)#01 『Sun Ra Arkestra / Swirling』『サン・ラ・アーケストラ/渦を巻く』
2021年サン・ラ神話拡散計画進行中。
『クトゥルフ神話』や『スター・ウォーズ』や『グイン・サーガ』の異端音楽版とも呼べる、壮大なるSun Ra Mythology(サン・ラ神話)が着実に語り継がれていることが証明された。
●2020年 不失者コンサート
⇒このパフォーマンス2020 #02 2020年 不失者コンサート
溢れ出る音楽は自粛できない。
かつてハードロックの突然変異と呼ばれた不失者は、決して特殊な異端者ではなく、音楽表現の在り方としては正統派に他ならない。それはコロナ禍が完全に収束しない中、演奏するのが待ちきれないとばかりに出演を快諾したゲスト・ミュージシャンの満足そうな笑顔を見れば明らかだ。
●『ヒカシュー / なりやまず』
⇒CD/DVD Disks #2045 『ヒカシュー / なりやまず』
鳴り止まない音楽が世界を変えられるか
本作に通底する言葉にできないほどヘヴィなメッセージには、マイナスをプラスに転化しようとする意志と希望が込められている。世界にどんなことが起ころうと、ヒカシューがやるべきことはただ一つ、鳴り止まない音楽を奏で続けることだけなのだから。
●『ドットエス(橋本孝之&サラ)+林聡 / アトラス』
⇒CD/DVD Disks #2044 『.es (Takayuki Hashimoto & sara) + Satoshi Hayashi / Atlas』『ドットエス(橋本孝之&サラ)+林聡 / アトラス』
リアル即興音楽を疑似アート作品に転化させる企み。
意識の塊のようなドットエスの二人の演奏に、”たまたま落ちていた音。たまたまそこにあった音”を重ねることで、疑似アンビエント空間に放り込み、デュシャンの「泉」のように聴き手の価値観の攪乱を意図したのである。
●『ドットエス(橋本孝之&サラ)/ カタストロフの器』
⇒CD/DVD Disks #2043 『.es (Takayuki Hashimoto & sara) / Vessel of Catastrophe』『ドットエス(橋本孝之&サラ)/ カタストロフの器』
崩壊の先にある”行為としての即興音楽”
抽象と具象、無意識と有意識、無為と有為、Catastrophe(崩壊)とCreation(創造)。ジャクソン・ポロックが導くドットエスの表現行為はまさしく「アクション・インプロヴァイジング・ミュージック(行為としての即興音楽)」と呼ぶのが相応しい。
●『橋本孝之 / チャット・ミー』
⇒CD/DVD Disks #2042 『Takayuki Hashimoto / CHAT ME』『橋本孝之 / チャット・ミー』
奏者と楽器のディスタンスを再定義するベッドルーム・インプロヴィゼーション
ポップスの世界では、一人きりの寝室で宅録によって作った音楽を「ベッドルーム・ポップ」と呼ぶが、『CHAT ME』はいわば「ベッドルーム・インプロヴィゼーション」と呼べるだろう。
● .es(橋本孝之&sara)+林聡インタビュー:アートと音楽の未来へ向けて
⇒Interviews #214 .es(橋本孝之&sara)+林聡インタビュー:アートと音楽の未来へ向けて
From Fukaebashi to the World
大きな社会環境の変化が、次々と起こる時代だからこそ、アートの力が、ますます重要になってくると確信しています。既成の価値観や意識を変革することで人を救うことが、アートや文化の大きな役割だと考えるからです。ですので、ドットエスの表現活動を通じて、少しでも世の中に良い影響を与えてゆければと思います。(橋本孝之)
新しい
一年の計
此処に在り
ヒカシュー30年間で12カ国の海外ツアーの思い出とエストニアから『なりやまず』