2022年9月13日(Tue)@東京 吉祥寺NEPO
Deep Science -interwoven with painting Ⅳ -
〈出演〉
礼拝
gloptin
Rippin' Dots
MOGRE MOGRU+園田游(舞踏)
ラロトンガ
〈live paint〉
Rippin' Dots
筆者が勝手に東京NEO UNDEGROUNDシーンのメッカと呼んでいる吉祥寺NEPO主催イベント「Deep Science」の特別編。壁2面を使ったプロジェクター照明や複数台カメラからのリアルタイム映像をディスプレイに映し出すアーティスティックなステージのみならず、客席フロアを活用した舞踏や観客参加型パフォーマンス、壁面を覆ったキャンパスのライヴ・ペインティングと、次世代ライブハウス・吉祥寺NEPOの魅力を大いに活用したイベントとなった。異端派ミュージシャンの演奏とヴィジュアル・ライヴ・アートの融合は今後の地下音楽が目指す地平のひとつを示唆しているに違いない。
●Rippin' Dots
筆者が初めてNEPOを訪れた時、最初に観たのがRippin’Dotsだった。エレクトロニクスの重低音をすました顔で一斉放射するプレイに驚愕した覚えがある。今回は右手で絵具をペイントする様子をプロジェクターで投影しながら左手でエレクトロニクス機器を操るという二刀流のパフォーマンスを見せた。カラフルな色彩が舞い踊る中、無尽蔵の音色が爆発する展開にエクスタシーを感じた。
●礼拝
これまでTanaoとのデュオや、Oriental Loveを加えたDisco Witchで観たが、礼拝のソロ演奏を観るの初めて。ミニマルなシンセサイザーのサウンドにスぺーシーなギターを重ねて生み出す反復ビートは酩酊感たっぷりのクラウトロックやテクノの進化形。音楽的にはNEPOの近未来性に最も似合うスタイルと言えるだろう。随所に現れる極悪ノイジシャンの残虐性が溜まらない。
●MOGRE MOGRU+園田游(舞踏)
MOGRE MOGRUは鳥の鳴き声を模した演奏でスタート。園田氏は奇怪な仮面をつけて客席フロアで舞う。ステージからは後ろ姿しか見えないが、鍛錬された肉体がスローモーションで動く時の張りつめた力のテンションがじわじわと伝わってくる。金物を叩く音が緊張感を高めるような気がする。ヴァイオリンで空気を緩めようとしたがどうだっただろうか。後半初の試みで取り入れたリズムマシンのトライバルなビートが、原初的な舞踏のフォルムとシンクロしたようだ。観た人から、MOGRE MOGRUの音楽が舞踏のサウンドトラックだったとの感想を聞いて、アンビエント(環境音楽)の本来の在り方に回帰した気分になった。園田氏とはまたコラボレーションしたいものである。
●gloptin
爆音ドラムと絶叫ヴォーカルとストロボライトで会場をハードコアなお祭り空間に塗り替えるgloptinもNEPOではお馴染み。大音量の嵐の中、身体が自然に反応して踊りモードにスイッチが入る。そのまま最後の曲でばらまかれた鍋を叩き捲る参加型パフォーマンスで涅槃の境地へ導かれる。自己解放のエクササイズとしても最高である。
●ラロトンガ
ヴォイスとドラム+エレクトロニクスのデュオ。ドラムのビートにヴォイスが乗るのではなく、ヴォイスにドラムがついていくような錯覚に陥るほど迫力たっぷりのeifonenのパフォーマンスは、見るたびに人間の表現能力と体力に限界がないことを実感させる。ドラマーILLUS2.0はエレクトロニカのソロ・プロジェクトchinaprove(チャイナプルーヴ)として20年に亘り活動しているという。
イベントの間ずっと壁に向かってライヴ・ペインティングを続けたRippin' Dotsの作品には、出演アーティストすべての要素がアート化されている。静謐にして荒らしい、平和の隣の戦争、浮世の中の涅槃、現と夢の隙間に存在する世界の縮図と言えるかもしれない。
原始的
原初的
始源的
環境音
MOGRE MOGRUの今後のスケジュール
10月8日(土) MOGRE MOGRU主催『DIVE DEEP vol.3~モグモグとゆかいな仲間たち(仮)」@阿佐ヶ谷TABASA
10月27日(木) 40分スリーマン@吉祥寺NEPO
11月6日(日) 国立市民祭り(園田游さんと共に)@国立通り
11月17日(木) MOGRE MOGRU主催『DIVE DEEP vol.4』@吉祥寺NEPO
★詳細は公式Twitter @MogreMogru をフォローのこと
https://twitter.com/MogreMogru