A Challenge To Fate

私の好きな一風変わった音楽を中心に徒然に綴ったページです。地下文化好きな方は見てやって下さいm(_ _)m  

ブログを書くという行為についての考察と意志表明

2012年04月16日 00時24分40秒 | Weblog


このブログを書き始めたのが2005年1月だから今年で8年目に突入、ブログ開設から2634日になる。ここ最近いろいろと考えるところもあり、一度じっくりとブログを書くという行為についての考察をして自らの立場をはっきりさせたいと思っていた。この土日は「I'll Be Your Mirror」に参戦予定だったが開催延期になったため二日間丸々暇になった(ついでに月曜日のセシル・テイラー公演も中止 涙)。この機会につらつらと考えていたことを書き連ねてみようと思う。

ブログを始めたきっかけは女性ノイジシャンTimisoara嬢がNORDの伊藤まく氏が主宰するjapanoise.netで連載していたブログだった。音楽だけじゃなく趣味の自転車のことや自分で撮った写真を掲載した日記が面白く愛読するうちに自分でもやってみようか、という気になった。それまでも観に行ったライヴの感想を自分なりに手帳に記していたので、それを他の人と共有したいと思ったのである。だからTimisoara嬢が使っていたgooブログにそのまま登録しアカウントを取った(Tomisoara嬢はFC2に場を移してブログ続行中である)。ブログのタイトルは一番好きな灰野敬二さんのアルバム「運命への挑戦」から転用した。特別目的があった訳では無く音楽を中心に自分の好きなこと、興味を持ったことを書き連ねようという漠然とした意図しか無かった。強いていえば自分で読みたいと思える記事を書くことが最大の動機だった。

Facebook経由でこのブログを読んでいる方には私の本名は勿論生年月日、学歴、職業、さらに顔までバレているので今更隠すのも何だが、ブログ上ではやはり匿名の存在にしておきたい。少しだけ事実を明かそう。職業は音楽業界の端くれである。だから仕事で音楽を聴いたりライヴへ行ったりすることが多い生活を送ってきた。しかし音楽が好きな気持ちは例え仕事が違っても変わりはなかっただろう。特に理解いただきたいのは2001年に初めて不失者を観て衝撃を受けて以降、観聴きする音楽は仕事とは殆ど関係がないということ。年間400枚のCDを買い150本のライヴに行くがその95%は自費である。 

今でこそ灰野さんにライヴ会場で話しかけてもらえるようになったが、それは足しげくライヴに通い、思い切って楽屋に押し掛け顔を覚えてもらったからに他ならない。坂田さんや中原氏も同様である。灰野さんのライヴに通い始めて10年になる。この10年間日本で最も多く灰野さんのライヴを観た人間のひとりだという自負はある。

ブログを始めた当初、コメント欄に理不尽な罵詈雑言を書き残す輩がいた。きっかけは私がKK Null氏と知り合いだと書いたことらしい。以来何を書いても全く的外れな悪口が連日書き込まれるようになった。面と向かって心当たりのある苦情を言われるのなら納得出来る。しかしネットの恐ろしいところは見ず知らずの人間が好き勝手に書き込み出来ることだ。これは小心者の私にはかなりこたえた。辛かったが書きたいことは山ほどある。辛抱強くその荒らし屋のコメントを削除し記事を書き続けるうちにいつの間にかいなくなっていた。

ブログを毎日更新すると決めたのはJOJO広重さんのブログの影響である。調べてみると2008年9月から毎日更新が始まっている。もう3年半毎日ブログを更新し続けている訳だ。2009年頃だろうか、突然gooからブログ表示停止の制裁を受けた。アフィリエイトという広告をブログに載せて読者がクリックすればお金が貰える、という仕組みを導入したらそれがgooブログの規則に反しているとのこと。全ての記事から広告を削除するまで3ヶ月間、表示されないにも拘らず毎日記事を書き続けた。ブログを書くことが自分の存在証明だったのである。といっても毎日面白い経験をする訳じゃないからネットでネタ探しをして気に入った記事を転載することも多い。twitterやFacebookでリンクを貼れば済むことだが、努力して見つけたネタを自分のブログで紹介する行為も立派な自己表現だと思う。

ブログを続けていて驚いたことが3回ある。ガールズ・バンド好きな私は2008年初頭から高校生ギャルバンのSCANDALに目を付けていて何度もブログに取り上げた。デビュー前の企画ライヴやタワレコ限定のインディー盤シングルを紹介していたところ、同年10月にメジャー・デビューし「Mステ」に出演。その翌日いきなりアクセス数が3倍になりひっくり返った。SCANDALを取り上げていたサイトは多くなかったので「SCANDAL」で検索したらこのブログが上位に表示されたのだろう。それにしてもテレビの影響力は凄いと実感。ご存知の通りSCANDALは順調に人気を延ばし今や武道館をSold Outにする人気バンドに成長した。

2度目は今年3月の「ラリーズ伝説への決別」という記事。それまでも何度もラリーズの記事を書いていてその度にアクセス数が増えたのでラリーズ人気の高さは分かっていたが、余りに大量の音源の氾濫にいい加減にしてくれと批判的に書いた記事にアクセス数が倍増。熱狂的ファンの多いバンドだから反論を覚悟していたのだが全く反応が無く拍子抜けした。みんな同じことを感じていたのかな?

3度目も同じような記事でやはり今年3月の坂本龍一×大友良英の後楽園ホールのライヴレポ。感じたままに坂本さんの演奏のふがいなさを糾弾した記事。これはタイトルだけ見ても内容まで分からない筈だが通常の倍のアクセスがあり、こんどこそ反論の嵐かと思ったら逆に賛同する内容のコメントが寄せられた。先週の朝日新聞で同イベントのライヴ評が掲載されたが取り上げられたのはShing02×いとうせいこうのステージ。坂本さんの方が知名度は圧倒的に高いがあの日の演奏は報道する価値がなかったということか。出来れば天下の朝日新聞が酷評してくれれば良かったのに。

たまたま批判的な記事が続いたので私がラリーズや坂本さんを嫌っていると思われるかもしれないが、事実はその逆である。散々文句を付けたラリーズの「Disaster Source」CD10タイトルは悩んだあげく購入してしまったし(まだ聴いてないけど)、坂本さんのフェスティバルFUKUSHIMAでの演奏はやはり素晴らしいと思っている。好き=全面肯定とは限らない、ということ。灰野さんに関して否定的な記事が無いのは全てのライヴ/CDが文句の付けようが無く素晴らしいからに他ならない。

商業誌じゃなくあくまで音楽好きの素人のブログだから間違いや勘違いが相当あることは否めない。プロじゃないから菊地成孔氏がMusic Magazine誌に苦言を呈したように取り上げるアーティストについて周到な予備知識を用意する必要は無い(ていうか不可能)と思っている。勿論気になった場合はぜひアドバイスして頂きたい。そういう建設的なご意見は大歓迎である。ただし本質に関わる間違いや誤解以外は追記として記入させていただき、元の文章は訂正しない。これは自分の第一印象を大切にしたいからなのでご理解願いたい。

動画をブログに掲載するのは文章力の未熟さを補うためである。こればかりは紙媒体では不可能なネットならではの機能である。調子に乗って自分で撮影した未許可の動画をほいほいYouTubeに上げていたら、昨年末著作権侵害でアカウントを強制削除された。正直好きでもなんでもなくたまたま対バンだったから撮ったために削除されたのは悔しいが、自分が余りに無防備だったことを反省するしかあるまい。

嬉しいのは「Bo NingenをA Challenge To Fateというブログで知り、ライヴを観たら凄く良かった」というようなツイートを発見した時である。私の音楽の趣味は偏っているので、90年代半ばブリットポップ全盛時代にクラブDJをした時も60'sサイケやGSばかりかけるのでフロアから人がドッと引くのだが、少人数だが大喜びで踊りまくってくれるグループがいてそれがとても嬉しかったりした、その感覚のままである。灰野さんの名言にあるように「百人の客が居たら九十五人が『止めろ』と言うでしょう。『人が殺されているという通報があった』と演奏中に警官が飛び込んできた事もありました。しかし百人の内五人は僕の音楽で幸せにしている確信がある」。

コメントを頻繁にくださる方と実際にお会いして意気投合することもあるし、ライヴに並んでいる人に声をかけていきなり「ブログ読んでますよ」と言われて驚いたことも何度かある。いつも最前列でデジカメで撮影してるから確かに目立つのだろう。そんな出会いをした人とは仲良くなって音源やライヴ情報の交換をする関係になることが多い。さらに昨日紹介した庭や.esのようにこのブログを読んでくれてわざわざ音源や情報を送ってくださるアーティストの方もいて嬉しい限りである。そもそもこのブログを愛読している方は私の趣味を理解していただいている筈だから的外れな音源を送って来ることは無かろう。頂いた音源は本当に素晴らしいものばかりで、ブログをやっていなければ出会うことも無かった訳でただただ感謝するばかりである。

灰野さんにしてもメルツバウにしても非常階段にしても音楽ビジネス全体から見れば極々小さな存在だろう。でもそんな音楽を愛する人がいる限り、というよりも自分がそんな音楽に興味を持つ限りブログを書き続けて行くつもりなので今後ともなにとぞよろしくお願いします。

▼30年前にやっていたバンドの秘蔵音源



ブログから
生まれる出会い
大切に

オフィシャルHPで発表になったから記すが、今年還暦を迎える灰野さんを巡るプロジェクトが進行中である。
・2012年7月 『ドキュメンタリー灰野敬二』劇場公開予定
・2012年(詳細時期未定) 灰野敬二に関する単行本が刊行予定
単行本の制作には私も協力している。詳細が決まり次第お知らせするのでお楽しみに。
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15 コメント

コメント日が  古い順  |   新しい順
re:継続 (OZ)
2012-04-16 06:24:29
ブログ主様

お久しぶりです。

もう8年もブログを継続されているのですね。

私が貴ブログを拝読し始めたのは、何かのきっかけで、定かではありませんが、2006~8年くらいからと思います。

とりわけ、若手バンドの紹介記事は、いつも刺激になっています。

私自身は、時間の制約もあり、なかなかライブ会場に足を運べないのですが、このブログのリアルな感想が面白く、毎日拝読している次第です。

ネコちゃん動画をはさみつつ、これからも日々、更新お願いします。楽しみにしていますよ。





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ありがとうございます* (シュウ)
2012-04-16 08:10:57

いつも楽しみにしております。

とくに灰野さまは私にとって宇宙にたなびくオーロラのような存在。


様々な事情があり、ライブ等に行けない私にとって大切なブログでございます。


今回始めてコメントさせていただきましたことも私にとって小さな勇気でありました。

どうしてもお礼がいいたくて。


ありがとうございます。
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物言わぬは腹ふくるるわざなり (miro)
2012-04-16 08:22:39
OZさま>
お久しぶりです。長年ご愛読ありがとうございます。この意思表明を区切りにさらに精進したい所存ですのでよろしくお願いします。

シュウさま>
初コメントありがとうございます。そういって頂けると至上の喜びです。今後は「自分の欲望を抑えることはしない」ということをモットーに生きて行こうと思います。生きられるとしてもあと30年くらいですからねw 今後ともよろしくお願いします。
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ブログについて (mikoron)
2012-04-16 13:32:26
工藤さんとはレベルの違いがありますが、私も最近ブログを書く事について考えていました。村の勉強会で教えて頂いたマグログを初めて6年、私なりに村の情報等を細々と書いて来ましたがマグログが5月で終了する事になりました。私にとっては日記レベルの記録でしたが、コンサートの記事等は感動さめやらぬ文章もありました。基本余り良く無かった事は書いて来なかったのですが、先日、ボロック展の事を消化出来ずに居たところ芸大の先輩(ネットは何もされずコピーの海月通信にアート論を書いている)の文章を読んで頭を撃たれたような気がしました。そこには芸術を基本的に解釈し、アーティストを大きな観点から観察する姿勢が伺われました。或る人は「音楽もアートも理屈ではない、良い物は魂で感じられる、、、、」というような事をいい、私もそう思って生きて来ました。併し、ネットの広がりで余りにも多くに人が、簡単に情報を流しすぎているような気持ちがしたのです。
 けれど、私も工藤さんのブログの記事が無ければお知り合いになる事が出来ませんでした。時々しか覗けませんが、楽しみにしています。此れからも宜しくお願いいたします。
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マブログ (miro)
2012-04-16 15:12:01
mikoronさん
コメントありがとうございました。FBのコメントでも他の方から同様のコメントをいただき、皆さんいろいろ考えていらっしゃるなぁと思いました。まあ余り深く考えず思ったことを書いていけばいいのではないかと思います。今後ともよろしくお願いします。
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Unknown (とろりん)
2012-04-20 13:42:50
この日のブログへのコメントとしては遅すぎる感もあり恐縮ですが。。。
私がSCANDALを知ったのはココ。Noise & Alternativeをこゆなく愛する私ですが、ファーストアルバムは当時とんでもないfavorite albumでした。(今は娘がファンを引き継いでおりますが)
そしてキノコのトリコにさせられたのもココ!

本当にお世話になっております。
大好きなラリーズの批判?記事は痛快でしたし、素晴らしい感性と的確な文章力をお持ちだと思います。是非、今後も末永くブログが続きますように期待しております!
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Unknown (とろりん)
2012-04-20 13:45:29
ごめんなさい。
コメントするところを間違えました。
該当の日のブログにいかずに、つい書き込んでしまいました。
最新のブログにコメントしてしまって(汗)

miroさま、適当に消してやってください。
お手数をおかけしてすみません。
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多謝! (miro)
2012-04-20 13:53:18
とろりんさん
コメントありがとうございました。
ノイズ好きでSCANDAL/キノコ好きとは趣味が合いますね!
感性と体力の衰えを感じるこの頃ですが、とろりんさんのような方に読んでいただけることは大きな励みになります。今後ともよろしくお願いします。
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「書く」ことの意味 (クレーマー&クレーマー)
2012-06-09 17:57:52
3年半も毎日更新されているとは驚きです。私も最近は毎日更新するようになりましたが、いつまで続くかわかりません。ちなみに私は、まだブログ歴は2年ほどしかありません。

私も「書く」ということについてブログで考察しています。そこでこちらのブログにたどり着きました。

しかし、残念なことに私のパソコンではどういうわけが全文がうまく表示されません。左右にスクロール(?)する必要があります。どういうわけでしょうか。

ご存知でしたらどういうことか教えていただけないでしょうか。
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パソコン (miro)
2012-06-10 02:12:26
クレーマー&クレーマーさま

コメントありがとうございます。ブログ拝見しました。私はあくまで自分自身のエゴの為に書いている訳です。それ故長年続けて来れたのですが、クレーマー&クレーマーさまのブログは社会的考察をなさっていて感心致しました。世界で起っている様々な出来事の情報収集だけでもたいへんなご苦労だと思います。私には真似できません。

パソコンの機能については不勉強につき分かりませんが、そのように表示されるのがこのページ以外にもあるようでしたら、画面表示設定を調整することで解決するのではないでしょうか。詳しくはパソコンのマニュアルを参照なさるか、メーカーに問い合わせてみて下さい。

今後ともなにとぞよろしくお願いします。
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