A Challenge To Fate

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Explorer[山下洋輔の新しいピアノ協奏曲]@東京オペラシティ2008.1.12(sat)

2008年01月13日 13時02分43秒 | 素晴らしき変態音楽
本当はこっちが2008年最初のライヴになる筈だった。山下洋輔さんが2000年以来毎年開催しているニューイヤーコンサート。東京オペラシティ・コンサートホール"タケミツメモリアル"というクラシックの殿堂でのコンサートである。毎年ジャズとクラシックを融合したユニークなプログラムで楽しませてくれる。今年も満員御礼。
今回は佐渡裕指揮、東京フィルハーモニー交響楽団との共演で洋輔さん作曲のピアノ協奏曲を2曲披露した。
一曲目は「Sudden Fiction」という2005年にピアノと弦楽四重奏のために書かれた組曲のオーケストラ版。ジャズの歴史を辿るというテーマでデキシーランド、ニューオリンズ、スウィング、ビバップといった聴き覚えのあるメロディが交錯する前半から、フリージャズや現代音楽を取り入れ、時にユーモラスに展開する後半へと進む13楽章からなる組曲。観客から笑いも起こる洋輔さんらしいユニークな曲だった。
二曲目はこれが初演になる「ピアノ協奏曲第3番<Explorer>」。"探検家"を意味するタイトルらしく、音楽による宇宙探検の旅を表現している。ストラヴィンスキーの「春の祭典」を思わせるクラリネットから始まる第一楽章は、色彩感覚に溢れ、音のフォービズムといった趣き。ミステリアスな宇宙空間の響きからロマンティックな時間旅行へ移る第二楽章。そしてビッグバンへ遭遇する第三楽章は序破急を活かした表現主義的楽章。最後にピアノが大暴れして壮大な旅は新しい世界で終わる。ストラヴィンスキーの影響が濃いシリアスな大曲に洋輔さんの反骨精神が滲み出ている。
驚いたのはこれら二曲のオーケストレイションを担当したのが狭間美帆さんという若干21歳、現役音大生(しかも美人)であること。洋輔さんの難解な旋律をアレンジするのだからただ者ではない。才能と才能の巡り会いである。
オーケストラのメンバーが立ちあがって演奏するスウィングナンバーの楽しいアンコールで幕。
音楽は心の糧、という言葉が相応しいコンサートだった。

宇宙へと
夢が広がる
協奏曲

達者な洋輔さんのMCが聞けないのが唯一残念だった。
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