陰猟腐厭 (増田直行 guitar, 大山正道 keyboard, 原田淳 drums)
蔦木俊二 (guitar) from 突然段ボール + 吉本裕美子 (guitar)
橋本孝之 (alto sax, etc.) from .es(ドットエス)
2017年1月28日(土)
7:00pm 開場 7:30pm 開演
チャージ 2,000円 + ドリンク
音楽と珈琲 ひかりのうま
1977年結成の突然段ボール、78年結成の陰猟腐厭、大阪出身の.esの橋本孝之。一見共通点がなさそうな三者を結びつけたのは、企画者でもある吉本裕美子である。2006年からエレクトリック・ギターの即興演奏を開始した吉本は、現在東京で最も精力的に活動する即興演奏家のひとりと言っていい。リスナーとしても足繁くライヴ現場を訪れ、様々な表現者と交流しながら、共演の場を創り出す吉本の熱意が新たな出会いを生む。特定の会場に限定されないが、これもひとつの「場」の創出に違いない。筆者にとって『地下音楽への招待』の影の主役と言える陰猟腐厭のフルメンバーの演奏を経験できる奇跡に感謝したい。20人も入れば満員のひかりのうまは、突段や陰猟の世代の年配者と30代前後の若手のファンが同居している。3年前に陰猟腐厭の出演イベントを企画したReiko A.の隣に席を見つけた。
●橋本孝之
「大阪」や「.es」の枕詞が不要なくらい東京のシーンのお馴染みとなったアルトサックス奏者・橋本孝之のソロ演奏でスタート。3年前に東京へ移転してきた頃はソロ演奏の経験は殆ど無かったが、昨年半ばから自覚的にソロ演奏に取り組み始めたという。グンジョーガクレヨンや長谷川裕倫のkito-mizukumi rouberをはじめ、数多くの共演を重ね逞しさを増した橋本がカッと目を見開いて奏でる堂々としたアルトサックスは、1stソロアルバム『COLOURFUL - ALTO SAXOPHONE IMPROVISATION』の"気配"の演奏ではなく、空気中に太い線を描き物体としての"音"を彫塑するように削り出す。しかしそこに過度のエモーションが付随していない様は、.esや『COLOURFUL』と全く同一性を維持している。
●蔦木俊二+吉本裕美子
2004年7月に蔦木俊二とJOJO広重のギターバトルを観たことが、当時ロックバンドをやっていた吉本が即興演奏に興味を持つきっかけだったと言う。それから10数年経って実現したある意味"師弟"共演は決して幸運や偶然ではなく、自覚的な音楽演奏を鍛えてきた吉本の実力である。ほぼノンエフェクトで通奏低音を鳴らす吉本と、対照的に定規や電光板など小道具とエフェクターを駆使してユーモラスな非音楽音響を生み出す蔦木のキャラクターの違いが際立つ共演。実直にノン・イディオマティック演奏を続ける吉本が、蔦木のフレーズに反応してリズムレスな奏法に切り替えたエンディングが印象的だった。
●陰猟腐厭
これまで2度観た陰猟は、増田(g)と原田(ds)のデュオ演奏だったので、大山正道(key)が入ったオリジナル・トリオを体験するのは初めて。大森のプリセット・シンセサイザーからの反復フレーズが空間を拡大し、縦横無尽の原田のドラムはもちろん、増田のギターも雄弁に語り始める。大森が復帰して2度目のライヴとのことで、まだ完全とは言えないそうだが、三つの肉体が同時に音を鳴らすことで生み出される錬金術を目の当たりにして、地下音楽の神髄に触れる想いがした。
地下音楽
繋ぐライヴの
フライヤー
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