2023年9月29日(金) 高円寺Oriental Force
大聖堂 vol.3
19:00 Open / 19:30 Start
redmecca.com
剛田武 x 佐伯武昇 (Ambient Set)
Yatara
ryota
大聖堂のように屹立するアーティストを集めたOriental Force企画イベント『大聖堂』のvol.3。筆者は今年1月29日のvol.1にギタリストのNRYYとのコラボで出演した。今回の対バンのうち二組は初めてのアーティストだが、いずれも素晴らしい演奏で十五夜の満月を多彩な地下音楽が飾るユニークなお月見イベントとなった。
●剛田武 x 佐伯武昇サイレント・デュオ
Oriental Forceから出演依頼が来た時、真っ先に頭に浮かんだコラボ相手がパーカッション奏者の佐伯武昇だった。約3年前の2020年12月に同じ場所にあったForth Floorで初めて佐伯の破天荒なパフォーマンスを観て以来、様々なユニットで佐伯のパフォーマンスを観てきたが、毎回大量の楽器を床にぶちまけて、身体を張って破壊的な演奏を全力でこなすパワーとエネルギーには驚嘆するばかり。しかしパフォーマンスの過激さの目を奪われがちだが、出鱈目に暴れて騒音をまき散らす乱闘ではなく、音の起伏や表情を絶妙なコントロールする真の演奏家の資質を強く感じる。そんな佐伯の才能を引き出す意図もあって、初の1対1のコラボレーションにあたって静かな演奏を提案し「サイレントデュオ」と名付けた。筆者はテーブルバイオリン、フルート、フヤラ(瓢箪笛)、ミニシンセを使用し、ドローンをメインとした動きのない演奏を心がけた。当初は楽器を減らすと言っていた佐伯だが、ふたを開けたらいつもと変わらない打楽器の山を装備。絶頂時よりは暴れ方は抑え目だったようだが、静寂(サイレント)にはほど遠いハードな演奏で、筆者も感化されて。気が付いたら立ち上がってバイオリンをかき鳴らしていた。アンビエントというよりは民族音楽やリチュアルミュージックを思わせて日本のインド=高円寺にお似合いの演奏になった。とても面白かったが、次回はもっとサイレントな演奏を目指したい。
●ryota
PCから明滅する映像を投射し、モジュラーシンセとサンプラーでダンサブルかつアブストラクトな音響を生み出すエレクトロニック・ミュージシャン。今回が2回目のライヴとは思えない完成度の高さに驚愕した。英語のスピーチをランダムにつなぎ合わせたミュージックコンクレートの精神を幻惑させるドラッギーな世界に酔った。
●Yatara x 藤木弘史
フィメールシンガーソングライターYataraの歌とギターとゲスト参加の藤木のシンセのデュオ。ポップなメロディと随所で変拍子になるエレポップ風のバックトラックがかっこいい。藤木はほぼ即興でストレンジな電子音で絡み高揚感を増加させる。Oriental Force出演は初めてだというが、高円寺地下の妖しい雰囲気にピッタリのひねくれパワーポップを聴かせてくれた。
●redmecca.com
キャバレー・ヴォルテールから名前をとったエレクトロミュージシャン。1月の大聖堂 vol.1でも対バンした。ガムランにインスパイアされたエスノロックや亡くなった音楽フォトグラファーの作品を投射したダークエレクトロをイアン・カーティスを思わせる陰のある声で歌うスタイルは、熱いポストパンク愛に溢れていて聴き手の眠っていたパンク魂を突き動かす。いつの日か現在活動休止しているユニットRedMeccaを観てたいものだ。
終演後に話したところ、Yataraはカトゥラ・トラーナの広池敦のパートナーで、お客の中にもカトゥラ・トラーナのメンバーがいた。こだわりの変拍子サウンドの謎が解けた気がする。藤木は筆者がナゴムレコードで一番好きなバンド、オレンジ・チューブをはじめ、バクテリアやコンクリーツといったインディ界の名バンドで活動してきたベテラン。そんな人達と出会えるとは思ってもみなかった。オリエンタル・フォースは地下音楽の出会いの場なのである。これからも新たな出会いを求めてオリフォー通いを続けたい。
高円寺
東洋の力(Oriental Force)
地下サロン
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