A Challenge To Fate

私の好きな一風変わった音楽を中心に徒然に綴ったページです。地下文化好きな方は見てやって下さいm(_ _)m  

日野繭子+向島ゆり子+組原正/グンジョーガクレヨン@阿佐ヶ谷Yellow Vision 2014.4.2(wed)

2014年04月04日 01時06分14秒 | 素晴らしき変態音楽


ぽこりんちゃん

=出演=
☆日野 繭子(electronics)・向島 ゆり子(e.violin)・組原正(g.vo)・トリオ
グンジョーガクレヨン




2013年夏の組原正ドイツツアー以降組原及びグンジョーガクレヨンの活動が活性化している。新旧取り混ぜ様々なミュージシャンとの共演や北海道ツアーを行い、昨年12月は5回公演という精力的なペース。2014年も次々ライヴ企画をブッキング中。1ヵ月に亘るヨーロッパ滞在で出会った現地のミュージシャンが、日本に比べて劣悪な音響装置や会場設備にも関わらず、音楽活動への熱い衝動を全開にしているのを目の当たりにして、還暦を過ぎた組原の表現欲求がメラメラと燃え上がったに違いない。

今年からグンジョーガクレヨン自身の企画ライヴもスタート。1月に山崎怠雅との2マンライヴを実施。続く2回目が今回の「ぽこりんちゃん」。脱力するようなタイトルだが、一見幼稚なこのタイトルこそ、組原(グンジョー)の組原(グンジョー)らしさ全開の証なのである。

▼ぽこりんちゃん

(写真の撮影・掲載については出演者の許可を得ています。以下同)

鳥井駕句監修・宝島刊「ロッカーズ1983」のグンジョーガクレヨンの紹介記事はこう書かれている。

グンジョーガクレヨンのライヴは一種異様な雰囲気に包まれている。例えばフルチンにパンティストッキングといった恰好のギタリスト~中略~それは単なる道化芝居には終わらぬ不思議な緊張感とエロティシズムを漂わせている。サウンドは”フリージャズとパンクの融合”などという言葉では表現できない静寂とパトスの表出...。サイケデリックな覚醒。

つまりグンジョーガクレヨンは結成当時から、音楽面だけで無くヴィジュアル面も高い評価の大きな要因だったのである。筆者が当時観たライヴでは、ヴォーカルの園田游の白塗りパントマイムが強烈に印象に残っている。組原の奇矯な衣装の記憶はないが、周りと異なることがステイタスだった80年代サブカルシーンの有象無象の中でも突出した存在だったグンジョーの風貌は、一際異様に映ったに違いない。

結成から35年(非常階段と同期)を迎えるグンジョー組原が還暦を過ぎてデビュー当時同様の異形に回帰したことは、活動の活性化と併せ、組原が時代から突出する軌道に入ったことを如実に示している。露悪的な幼児性と倒錯感。30年前に比べ社会や文化の均一化が徹底された現代に、再び亀裂を入れる異様な存在感が発揮されることとなる。


●グンジョーガクレヨン


女装で当たり前のように客と饒舌に世間話をする組原と、ひと言も発すること無く静かに楽器の前に座って開演時間を待つ前田隆(b)と宮川篤志(ds)の対比が異様。組原がエフェクトをかけたマイクでけたたましい嬌声を発しギターを掻きむしると、それを合図にべースとドラムが炸裂する。炸裂というより緊縛と表現したい凄まじい強度の音響である。先ほどの大人しさが嘘のように指と腕を振り回して楽器に挑みかかる。ある意味本能的な反応なのかもしれない。一瞬足りとも気を抜けない緊張感だが、ステージの3人の表情はリラックスしているような安定感に輝いている。信頼関係に裏付けされた遠慮不要の本気と本気の衝突が産み出すサウンドの強度が聴き手の心に突き刺さる。世界最高のセルフコンテインド即興ユニットと言える。




●日野繭子+向島ゆり子+組原正トリオ


グンジョー&組原の名前を世に知らしめた最大のエピソードは組原が1980年に坂本龍一『B-2 Unit』に参加したことであろう。特異なギタープレイが異彩を放つセッション参加だが、組原にとってはあくまで頼まれた仕事に過ぎず特別の感慨はないと言う。また、フレッド・フリスとの共演は両者にとって納得のいく結果にならなかった。そのふたつ以外は、フリクションや突然ダンボールといった同じPASSレコード所属アーティスト以外と関係を結ぶことが少なかったグンジョーは、現在外部のミュージシャンとのセッション・共演に積極的である。組原が気になったアーティストに共演依頼をしているので、時には思いがけない異色の組み合わせが誕生する。今回の女性アーティストふたりとの共演がそれだった。

70年代終わりから様々なユニットに参加し、即興音楽界の名ヴァイオリン奏者として活躍する向島ゆり子と、映画女優としての活動を経て80年代後半からノイズ・アーティストとして世界的に評価される日野繭子。日本地下音楽界を代表する女流音楽家のふたりは30年来の知り合いだが、一緒に演奏するのは実は今回が初めてだと言う。ありそうでなかった両者の共演を実現したのは組原の積極的なアピールの成果だった。日野はいつになく緊張気味で、その上メイン機材のテルミンの不調というハンディキャップもあったが、向島の空気を引き裂くヴァイオリンに組原の金属音が絡み合う中に、ナイフの如く鋭い電子音で切り込む。左右で女子二名が空間を彩る真ん中で、女装のギター弾きが飛び跳ねながら非ギター的物音を鳴らす図は、一見シュールなようでいて、どこかで見たような既視感があり、不思議な気分に迷い込んでしまう。3者共に強烈な存在感を誇示するが、後半の組原の情け容赦ない激音ノイズ放射は、演奏する歓びに溢れた福音に他ならなかった。



この会場では滅多に経験しない満員御礼の盛況ぶりに、グンジョーガクレヨンの新たな黄金期の到来を感じた。

出会いとは
人の想いの
集大成

<グンジョーガクレヨン・ライヴ・スケジュール>
2014年05月13日 (火)
ぷるるんっん*****企画:グンジョーガクレヨン
場 所 Yellow Vision
=出演=
・グンジョーガクレヨン(前田隆bs・組原正g/vo・duo)
・イツロウ
・豊田浩司(電気tp)
・山田邦喜(Drums)

2014年06月10日 (火)
キーン!*****企画:グンジョーガクレヨン
場 所 Yellow Vision
=出演=
グンジョーガクレヨン(組原正g・前田隆b・duo)+坂本弘道(チェロ)

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