今日の『中日新聞』の「特報」欄は、秀逸である。歌手の谷村新司の「最後の砦が文化、交流を絶やしてはならない」と主張している。
こういう記事は、もっともっと取り上げるべきである。
テレビをはじめとしたメディアは、中国人の「反日デモ」の破廉恥な「暴徒」の姿しか報道しない。メディアは、日本と中国が対立を深めることを望んでいるかのような報道がほとんどだ。
領土問題は、下手をすると、武力衝突になりかねない。そうならないように、国民のナショナリズムの暴発をおさえるような理性的な報道に、本来は終始すべきである。
とくに日本の場合は、近代以降、中国への侵略を繰り返し、多くの人々に塗炭の苦しみを与えてきた。その被害者としての記憶は、消えるものではない。領土問題を契機に、過去の記憶が噴出することもあるだろう。また、日本と中国は、経済的にはもう過去には戻れないほど強く結びついている。対立を強化するのではなく、善隣友好の芽を伸ばしていくことこそが求められている。
未来永劫、日本と中国は、隣国であり続けるのだ。ずっと対立し続けるなんて、そんな馬鹿なことはない。
「特報」欄の隣、「週刊ネットで何が」には、マスメディアが対立を助長するニュースをたれ流していたが、ネットではそうではない情報がたくさん送られていたということだ。
「反日デモ隊が荒らした店を清掃する中国人学生」、「理性愛国・反対暴力」のプラカードもあったそうだ。「この先で日本車が襲われているからUターンして」というプラカードをもった中国人の姿・・・
この記事のまとめは、こうだ。
今回、ネット上では「暴力にまゆをひそめる理性的な中国人」も垣間見え、冷静な対話を期待する声も目立ってきている。むしろ、テレビなど既存メディアの映像の方が「暴動」に偏っていたかもしれない。