浜名史学

歴史や現実を鋭く見抜く眼力を養うためのブログ。読書をすすめ、時にまったくローカルな話題も入る摩訶不思議なブログ。

演劇鑑賞会

2019-11-24 21:38:05 | その他
 静岡県には各地に演劇鑑賞会がある。しかし、どこも会員が減っている。しかし劇団四季は大入り満員である。あるいは有名タレントが出演する劇も、多くの人が見に来る。

 ミーハー主義。今の日本はそれに毒されている。

 テレビに出演している人が来ると、たくさんの人が彼・彼女を取り巻く。私にはなぜそうなるのかがわからない。

 劇団に所属している俳優さんたちは、テレビに出演したとしてもほとんどは脇役である。だからあまり目立つことはない。彼らは、テレビではなく、舞台の上で活躍していたいのである。確かにテレビは俳優として勝負する場所ではないと思う。映画やテレビは、細切れを撮影しそれを編集してひとつのものにする。俳優は何度でも撮り直しが出来る。しかし演劇はそうではない。俳優たちは、観客の前で、一期一会の芝居をする。間違いは許されない。舞台の上は、真剣勝負の場である。

 そして、いわゆる新劇は、それに加えて、ただ演技するのではなく、舞台で展開される演技の集合のその奥に、何らかの主張をもつ。観客は、だから新劇をみるときには、ただ見るだけではなく、その奥を見つめなければならない。新劇は深いのである。俳優さんたちの個性はもちろん重要ではあるが、彼らのそれぞれの演技が創造する劇は全体として観客の前に提示される、そして観客はそれを全体として受けとめる。受けとめるというのは、提示されたものそのものを受容するのではなく、みずからの思考をそこに絡ませていくのである。

 観客の側の思考の絡まりを求めない劇を、私は好まない。

 2020年の演劇鑑賞会の例会を紹介するチラシをもらった。私は、そのなかで加藤健一事務所のものだけはみようという意欲が湧かない。加藤が静岡県出身ということからかも知れないが、毎年加藤事務所の劇が入る。正直言って、加藤事務所の演劇は、深みがない。ということは、観客の思考の絡みを求めていないということでもある。

 新劇という演劇を見続けてきた私としては、それが時代遅れで人気がないのかもしれないが、新劇を見続けていきたい。

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天皇制議論

2019-11-24 09:51:58 | メディア
 昨日の『東京新聞』の「発言」欄に、79歳の女性の「天皇制議論はタブーか」という投稿が載っていた。

 代替わりに関するメディアの騒ぎ方は「うんざり」だとし、12日付け、社会学者大澤真幸氏へのインタビュー記事中の記者の「国民主権なのに、天皇制への賛否は、国民の間でもタブーになっている」という問いかけに異議を唱える。

 天皇制論議はタブーになっていない、「タブーにしているのは、むしろメディア」ではないか、と問う。私は周囲の人々と天皇制について話をすることもあり、自由に会話している。

 この女性の指摘は正しい。

 なお、この日の紙面に、伊勢神宮での天皇夫妻による「神宮に親閲の儀」の記事があった。明治以前には、天皇は伊勢神宮に行ったこともないのだから、この「儀」は近代以降の作為的な儀式である。天皇にまつわる様々な意匠は、近代以降につくられたものがほとんどである。

 天皇制は、近代の造作なのであるといってよいだろう。

 天皇制について、メディアは、その歴史も含めてきちんと考える材料を提供すべきであろう。

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理非曲直

2019-11-24 09:32:39 | 政治
 昨日の『東京新聞』の「特報」欄は、記者が「サクラをみる会」が行われた新宿御苑を訪問し、そこにいた人々に話を聞く、というものであった。

 子どもと女性は、理非曲直が明確であった。いけないことはいけない、という判断があった。しかし男性は、

 「昔からの慣例で、前の政権でもやってきたこと。騒ぎすぎだと思う。まあ税金は適切につかってほしいし、文書整理などはきちんとしてほしい」(59歳男性)

 「そんなに騒ぐことじゃない。人気取りでしょ。政党政治はそういうもの。ただ、ちょっと安倍首相らが悪乗りし過ぎた感がある。前夜祭の金の本当の所がどうなのかは気になる。問題は追及すべきだけど、森友・加計学園の時のように、国会の議論が止まるのは困る」(77歳男性)

 というように、「悪」に対して甘い。だいたい現在の国会は議論など行われていない。森友・加計問題と同様に、野党の質問にきちんと答えないままに、様々な法案などが議論もなく通過している。

 劇団青年座の「からゆきさん」の巻多のように、男は「日の丸」をなぜか背負っている。男のなかには日本国家の舵取りをする支配層や権力者の視点から、ものを考えるひとがいる。

 私はそういう人に言いたい、「あなたは権力者でも支配層の一員でもないんですよ」と。

 理非曲直を正す人が増えれば、世の中はよくなる。その際の視点は、庶民、被支配層の視点から、ものを見るのでなければならない。


 
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