またまた唐詩です。唐詩300首の一つね。
- 長安 一片の月 ちょうあん いっぺんのつき
- 萬戸 衣を擣つの聲 ばんこ ころもをうつのこえ
- 秋風 吹いて盡きず しゅうふう ふいてつきず
- 總て是 玉關の情 すべてこれ ぎょっかんのじょう
- 何れの日か 胡虜を平らげて いずれのひか こりょをたいらげて
- 良人 遠征を罷めん りょうじん えんせいをやめん
長安の夜空にはぽつんと一つの月がかかっており、あちこちの家々から砧を打つ音が聞こえてくる。また秋風は絶えまなく吹き続け、さらにこれらは(月光・砧の音・秋の風)すべて玉門関に遠征している夫を思い慕う情をかきたてる。いったい、いつになったら夫は異民族を平定して、遠い戦地から帰ってくるのであろうか?。
この詩は李白なんですが、東晋の時代に呉の国(江蘇省)に「子夜」という女性が作ったと言われる歌曲。これに多くの詩人が「調べ」に合わせて「詩」を作り唱和したとの事です。
この詩を見る度に、日本の万葉集の「防人の歌」に行ってしまいますね。2,3挙げてみると
国国の 防人つどひ 船乗りて 別るを見れば いともすべ無し
(現在語訳) 全国から集まった防人が(任務のため)船に乗って別れることを見れば、なんともなす術もない。
わが妻は いたく恋ひらし 飲む水に 影さへ見えて 世に忘られず
(現代語訳) 私の妻はとても恋しがっているようだ。飲もうとする水に影までもみえていて、決して忘れられない。
唐衣 裾に取りつき 泣く子らを 置きてそ来ぬや 母なしにして
(現代語訳) 唐衣にすがって泣きつく子どもたちを(防人に出るため)置いてきてしまったなあ、母もいないのに。
大分前にうちの長男が中国に修学旅行に行った時に八達嶺の万里の長城は、とてつもなく「寒い」と言ってました。昔の兵士はさぞ辛かったんだろうね。今北京でオリンピックを開催していますが、スノーボードとかで落ちると氷が石のように固く、「落ちるのだけは絶対に嫌だ」らしいっす。(何でサマーズが出てくるんだよ)ハーフパイプの平野君も「落ちたら死を覚悟」だってさ。