「足立喜一朗展/宮城勝規展/明月記」 江戸川橋・神楽坂(YUKA CONTEMPORARY他)

新たなギャラリーがいくつかオープンしています。江戸川橋・神楽坂界隈の画廊を廻ってきました。

YUKA CONTEMPORARY文京区関口1-30-9
「足立喜一朗 - シャングリラ2」
9/18-10/24



ちょうど椿山荘の庭園から神田川を挟んだ向かい側に新しく出来たギャラリー。ホワイトキューブの中央には、自然の植物に覆われた巨大「芋虫」のような物体が、おそらくは電気仕掛けにてそれこそクネクネと這うようにして動いている。そして目を転じると宙には同じような緑を帯びた球体があり、何と中には生きている小鳥が飼育されていた。「芋虫」もチェーンにつながれ、また鳥もカゴに入っているということで、何かペットに対するメッセージでもこめられているのだろうか。また壁面には同じく植物をイメージしたアクリルや水彩も展示されている。自然とも人工とも言い切れないオブジェの如何とし難い違和感に対し、こちらの平面作品は比較的安心して見られた。

Ohshima Fine Art新宿区西五軒町3-7 ミナト第三ビル3階)
「宮城勝規 - unknown memories」
9/26-10/24



失礼ながらも見た時はさほど印象に残らなかったものの、後々からその子どもたちのイメージが頭から離れない不思議なポートレート群。アクリルを用いて、日本人とも西洋人とも、また男の子とも女の子ともとれるような子どもたちを簡素なタッチで描いている。くりくりとした黒目がとても印象的。アニメーション的と言うよりも、まるで人形のような出立ちをして様々なポーズをとっていた。奇妙なのは彼ら彼女らの何名かにしっぽがのびていること。にこやかに微笑みながらも、居場所も定まらないような頼りない姿を見ていると、何故か夢二の描く人物画を思い出した。

eitoeiko新宿区矢来町32-2
「明月記 Ever Bright Moonlight」
9/26-10/31



神楽坂の閑静な住宅街の中にある、23区内では珍しい一戸建てタイプのギャラリー。つい先月オープンしたばかりの新スペースに、アレックス・ボール、高杉恵、日高進太郎の三名の若手アーティストの作品が並ぶ。まず注目すべきは、それこそオランダ静物画などを連想させる細やかな描写で人物などを小画面に表したアレックス・ボールの油彩。日本に滞在し、美術書の図版からも取り入れられたモチーフは非常にまさに繊細。ベージュ色を基調とした薄塗りの色彩の上でシュールな景色が広がる。また壁面を効果的に用いているのは銅版の日高進太郎。銅版と言いつつも、立体作品と思える様相にて、壁一面に作家の縁の地でもある橋本(相模原)の光景を、まるで地図かジオラマを展開するかのように描いていく。一方の高杉は「2009年・夏・東京」と題した小さな彫像を展示。町ですれ違った人物を顔を粘土で象っている。ガラス瓶との組み合わせが面白かった。なお同ギャラリーは隣接のスペースにカフェもオープンさせるとのこと。神楽坂界隈の新たなアートスポットになる可能性もあり。

(eitoeiko。画廊入口は左奥です。)

高橋コレクションの日比谷への移転などにより、いささか足が遠のいてしまった感もある神楽坂界隈ですが、その跡に入居したOhshima Fine Artをはじめとする新設のギャラリー、それに先日もご紹介した松の湯でのイベントなど、またにわかに目の離せないエリアになってきたのではないでしょうか。ちなみに周知の通り、神楽坂というよりも市ヶ谷になりますが、11月からはミヅマも中目黒から移転してきます。こちらも要注目です。

新スペース開設のお知らせ@ミヅマアートギャラリー

*同地域の主なギャラリー

【江戸川橋】
YUKA CONTEMPORARY(9/18オープン)

【神楽坂・西五軒町】(ミナト第三ビル・旧高橋コレクション)
MORI YU GALLERY TOKYO
Yuka Sasahara Gallery
Ohshima Fine Art(9/26オープン)

【神楽坂・矢来町】
eitoeiko(9/26オープン)

【市ヶ谷】
ミヅマアートギャラリー(11/4オープン予定)

なお上の三軒は少し距離がありますが、徒歩で移動しても問題ありません。ただしやや入り組んだ場所にもあるので、お出かけの際は各リンク先の地図をご参照下さい。
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