「鈴木其一 - 江戸琳派の風雲児 - 」(前期展示) 細見美術館

細見美術館京都市左京区岡崎最勝寺町6-3
「琳派展12 鈴木其一 - 江戸琳派の風雲児 - 」
9/19-12/13(前期:9/19-10/25 後期:10/27-12/13)



定評のあるコレクションにて鈴木其一の多様な画風を探ります。細見美術館で開催中の「琳派展12 鈴木其一 - 江戸琳派の風雲児 - 」へ行ってきました。

まずは本展の構成です。

・其一の初期作と飛躍
・其一様式の確立
・江戸好みの主題 - 富士山・節句画・吉祥画
・江戸琳派の精鋭と其一一門
・小画面の魅力

なお展示替えが一度あります。全出品作は69点でしたが、前後期、それぞれの会期に出ているのはおおよそ40点ほどでした。

それでは早速、私の見た前期中より印象に残った作品を挙げてみます。



「文読む遊女図」(前後期)
冒頭に登場する其一、抱一合作の一枚。画を20代の時の其一が担当し、賛を60代の抱一が記した。幽玄な抱一の書と、其一の軽やかな遊女の表現には、息のぴったり合った二人の間柄を感じることが出来る。二人はどのような会話をかわしながらこの作品を完成させたのだろうか。

「麒麟・鳳凰図」(前期)
琳派では非常に珍しい画題。他の琳派にこうした麒麟と鳳凰を描いた絵師はいたのだろうか。早くも其一の独自性を伺い知れる一枚。



「昇龍図」(前後期)
力強く龍が天へと駆けていく。どこか飄々ともした、コミカルな表情がまた魅力的だった。本展のハイライト。



「雪中檜図」(前期)
檜の枝から滝のように流れ落ちる雪が描かれている。まるで記号のような檜の葉の精緻な描写と、やや粘り気を帯びた雪の表現が個性的だった。

「歳首の図」(前後期)
いわゆる描表装。文化村のだまし絵展にでも出ていた。正月飾りが画の中に差し込んでくる様は何度見ても楽しい。



「西王母図」(前期)
西王母は応挙、背景の桃は若冲をそれぞれ連想させるような不思議な作品。琳派と言えども、其一の表現の幅広さを見ることが出来る。

「月次花鳥図帖」(前後期)
抱一の「十二ヶ月花鳥図」の其一、画帳版とでも言ったところだろうか。温和な表現で季節の花々や鳥を小画面に表す。目に優しい。

其一の画業を初期作より晩年に至るまで、そう詳細に区分することなく大まかに見る展覧会です。最近、其一というと、何かとその前衛性が強調される節もありますが、優雅な細見コレクション(一部、個人蔵あり。)によることもあってか、比較的あっさりと楽しむことが出来ました。



既に後期展示期間に入っています。秋の紅葉とあわせて、京都観光の最後に愛でるのもまた良さそうです。

12月13日まで開催されています。(割引券
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