都内近郊の美術館や博物館を巡り歩く週末。展覧会の感想などを書いています。
はろるど
「MUCHA(ミュシャ) グラフィック・バラエティ」 うらわ美術館
うらわ美術館
「MUCHA(ミュシャ) グラフィック・バラエティ」
2021/4/17~6/20

うらわ美術館で開催中の「MUCHA(ミュシャ) グラフィック・バラエティ」を見てきました。
現在のチェコに生まれ、アール・ヌーヴォーを代表するアルフォンス・ミュシャは、ポスターだけでなく、本、雑誌、切手、商品パッケージなどデザインの仕事でも旺盛に活動しました。
そうしたグラフィック・デザインを紹介するのが「MUCHA(ミュシャ) グラフィック・バラエティ」で、会場にはミュシャの収集家で知られる尾形寿行氏のOGATAコレクションを中心に約550点もの作品が展示されていました。
さて今回のミュシャ展はタイトルに「バラエティ」とあるように、デザインに関する様々な資料が並んでいるのが特徴で、ビスケット容器や香水瓶、それにメニュー表からカレンダーなどの生活に根差した作品も目立っていました。

左:アルフォンス・ミュシャ「ジスモンダ」 1894年 OGATAコレクション
右:アルフォンス・ミュシャ「ジスモンダ アメリカンツアー」 1895年 OGATAコレクション
いわゆるデビュー作と知られる「ジスモンダ」をはじめとした商業ポスターも充実していました。フランスの女優、サラ・ベルナールをモデルとした同ポスターは、当時まだ無名だったミュシャが制作するとパリの街角で大変な評判を呼び、一躍ポスター界の寵児として注目を集めるようになりました。
「ジョブ」はタバコの巻紙を宣伝としたポスターで、巻紙のタバコの香りに酔った長い髪の女性とともに、ビザンティン趣味風の装飾が画面へ広がっていました。ミュシャの作品は当初、商業ポスターとして作られたものの、人気を博したために装飾パネルとして売り出されたものも少なくなく、「ジョブ」もコレクターの要請に応えて小型版が制作されました。
ハイライトはミュシャのデザインのバイブルとも呼ばれる「装飾資料集」と「装飾人物集」の全112点にあったかもしれません。
「装飾資料集」とは1902年、既に40歳を超えて巨匠としての地位を築いていたミュシャが、デザインを学ぶ人々のために刊行した、鉛筆デッサンに基づく72点からなる図案集でした。
ここには女性や自然の草花をモチーフとした装飾のデザインから食器、アクセサリーなどが掲載されていて、いずれも極めて精緻な線によって描かれていました。そのうち植物の習作などは博物図譜のような迫真性が見られたかもしれません。
その3年後に著したのが「装飾人物集」で、全て女性をモチーフに40点の図案を示しました。またここでは人物のほとんどが円形や楕円形、それに星形などの幾何学的な形態や枠の中に収められていて、ギリシャやゴシック建築の彫刻の造型を思わせるものがありました。
いずれの図案集とも全てのページが展示されているのも嬉しいところで、デザイナーとしてのミュシャの仕事の集大成を目の当たりにするかのようでした。
なお本展は全国を各地にて開催されてきた巡回展ですが、うらわ美術館では収集方針の「本をめぐるアート」に因んで、元来の作品に加えて堺のアルフォンス・ミュシャ館の挿絵の習作も複数点紹介するなど、オリジナルな構成となっていました。
「お気に入りの1点」のみの撮影ができました。近年、撮影可能な展覧会も増えてきましたが、他ではあまり見られない珍しい試みと言えるかもしれません。
予約は不要ですが、入場時に氏名や連絡先などを来館者記録用紙に記入する必要がありました。

必ずしも広い展示室ではありませんが、内容は質量ともに膨大です。時間に余裕をもってお出かけください。
6月20日まで開催されています。
「MUCHA(ミュシャ) グラフィック・バラエティ」 うらわ美術館(@UrawaArtMuseum)
会期:2021年4月17日(土)~6月20日(日)
休館:月曜日。(ただし5月3日は開館)、5月6日。
時間:10:00~17:00
*金・土曜は20時まで開館。
*入館は閉館の30分前まで。
料金:一般620(490)円、大高校生410(320)円、中小生200(160)円。
*( )内は20名以上の団体料金。
住所:さいたま市浦和区仲町2-5-1 浦和センチュリーシティ3階
交通:JR線浦和駅西口より徒歩7分。
「MUCHA(ミュシャ) グラフィック・バラエティ」
2021/4/17~6/20

うらわ美術館で開催中の「MUCHA(ミュシャ) グラフィック・バラエティ」を見てきました。
現在のチェコに生まれ、アール・ヌーヴォーを代表するアルフォンス・ミュシャは、ポスターだけでなく、本、雑誌、切手、商品パッケージなどデザインの仕事でも旺盛に活動しました。
そうしたグラフィック・デザインを紹介するのが「MUCHA(ミュシャ) グラフィック・バラエティ」で、会場にはミュシャの収集家で知られる尾形寿行氏のOGATAコレクションを中心に約550点もの作品が展示されていました。
さて今回のミュシャ展はタイトルに「バラエティ」とあるように、デザインに関する様々な資料が並んでいるのが特徴で、ビスケット容器や香水瓶、それにメニュー表からカレンダーなどの生活に根差した作品も目立っていました。

左:アルフォンス・ミュシャ「ジスモンダ」 1894年 OGATAコレクション
右:アルフォンス・ミュシャ「ジスモンダ アメリカンツアー」 1895年 OGATAコレクション
いわゆるデビュー作と知られる「ジスモンダ」をはじめとした商業ポスターも充実していました。フランスの女優、サラ・ベルナールをモデルとした同ポスターは、当時まだ無名だったミュシャが制作するとパリの街角で大変な評判を呼び、一躍ポスター界の寵児として注目を集めるようになりました。
「ジョブ」はタバコの巻紙を宣伝としたポスターで、巻紙のタバコの香りに酔った長い髪の女性とともに、ビザンティン趣味風の装飾が画面へ広がっていました。ミュシャの作品は当初、商業ポスターとして作られたものの、人気を博したために装飾パネルとして売り出されたものも少なくなく、「ジョブ」もコレクターの要請に応えて小型版が制作されました。
ハイライトはミュシャのデザインのバイブルとも呼ばれる「装飾資料集」と「装飾人物集」の全112点にあったかもしれません。
「装飾資料集」とは1902年、既に40歳を超えて巨匠としての地位を築いていたミュシャが、デザインを学ぶ人々のために刊行した、鉛筆デッサンに基づく72点からなる図案集でした。
ここには女性や自然の草花をモチーフとした装飾のデザインから食器、アクセサリーなどが掲載されていて、いずれも極めて精緻な線によって描かれていました。そのうち植物の習作などは博物図譜のような迫真性が見られたかもしれません。
その3年後に著したのが「装飾人物集」で、全て女性をモチーフに40点の図案を示しました。またここでは人物のほとんどが円形や楕円形、それに星形などの幾何学的な形態や枠の中に収められていて、ギリシャやゴシック建築の彫刻の造型を思わせるものがありました。
いずれの図案集とも全てのページが展示されているのも嬉しいところで、デザイナーとしてのミュシャの仕事の集大成を目の当たりにするかのようでした。
なお本展は全国を各地にて開催されてきた巡回展ですが、うらわ美術館では収集方針の「本をめぐるアート」に因んで、元来の作品に加えて堺のアルフォンス・ミュシャ館の挿絵の習作も複数点紹介するなど、オリジナルな構成となっていました。
【新着】約550点もの作品を一挙公開!『MUCHA(ミュシャ) グラフィック・バラエティ』のお気に入りをSNSに投稿しよう https://t.co/nkXQFj98Ng
— Pen Magazine (@Pen_magazine) May 26, 2021
「お気に入りの1点」のみの撮影ができました。近年、撮影可能な展覧会も増えてきましたが、他ではあまり見られない珍しい試みと言えるかもしれません。
予約は不要ですが、入場時に氏名や連絡先などを来館者記録用紙に記入する必要がありました。

必ずしも広い展示室ではありませんが、内容は質量ともに膨大です。時間に余裕をもってお出かけください。
6月20日まで開催されています。
「MUCHA(ミュシャ) グラフィック・バラエティ」 うらわ美術館(@UrawaArtMuseum)
会期:2021年4月17日(土)~6月20日(日)
休館:月曜日。(ただし5月3日は開館)、5月6日。
時間:10:00~17:00
*金・土曜は20時まで開館。
*入館は閉館の30分前まで。
料金:一般620(490)円、大高校生410(320)円、中小生200(160)円。
*( )内は20名以上の団体料金。
住所:さいたま市浦和区仲町2-5-1 浦和センチュリーシティ3階
交通:JR線浦和駅西口より徒歩7分。
コメント ( 0 ) | Trackback ( 0 )