『千葉市美術館コレクション選 特集:秋岡美帆』 千葉市美術館

千葉市美術館
『千葉市美術館コレクション選 特集:秋岡美帆』
2022/7/6〜10/2



千葉市美術館で開催中の『千葉市美術館コレクション選 特集:秋岡美帆』を見てきました。

美術家の秋岡美帆(1952〜2018年)は、フィルムカメラで風景を撮影すると、NECOプリントと呼ばれる技法を取り込み、色彩豊かでかつ抽象性を帯びた独自のイメージを切り拓きました。

その秋岡の制作を紹介するのが『特集:秋岡美帆』で、昨年度に新たに寄贈、また寄託を受けた5点の作品が公開されていました。


秋岡美帆『そよぎ4-1』 1988(昭和63)年

まず目を引くのは、眩しいまでの緑が光を伴って揺らめいているような『そよぎ4-1』と題した作品で、日差しを受けた大きな楠をモチーフとしていました。

秋岡は1982年に大阪府池田市にて楠木に出会うと、以降12年にもわたって楠を被写体とした作品を手がけていて、まさに『そよぎ』の名が示すように、黄緑色の葉が風に靡いているような光景が広がっていました。


秋岡美帆『光の間 02-5-31-1』 2002(平成14)年

NECOプリントとは、ポジフィルムを電気信号に換え、エアブラシによって4色のインクを吹き付けていく印刷技法で、元々は屋外広告に用いられてきた技術でした。それを秋岡は美術の世界へと先駆的に取り入れると、楠といった樹木の影や木漏れ日などを被写体にして作品を制作していきました。


秋岡美帆『光の間 '98-7』 1998(平成10)年

いずれもスローシャッターやアウトフォーカスなどの技法により、抽象と呼べるようなイメージが開けていて、光と色に全身が包まれるかのような味わいが感じられました。


『千葉市美術館コレクション選 特集:秋岡美帆』展示風景

自然の美しく抽象的なかたちは、時に宇宙の天体を連想させるようで、幻想性すら帯びたイメージに心を奪われました。


橋口五葉『手拭持てる女』 大正9年(1920)/ 大正10年 (1921)完成

なお現在、常設展示室における『千葉市美術館コレクション選』では、『特集:田中一村 新収蔵作品を中心に/歌麿とその周辺/特集:橋口五葉』もあわせて開催されています。ここでは『アダンの海辺』を中心とする一村の作品や、『手拭持てる女』といった橋口五葉の素描や木版画を鑑賞することができます。*『特集:秋岡美帆』以外は7月31日まで。


10月2日まで開かれています。

『千葉市美術館コレクション選 特集:秋岡美帆』 千葉市美術館@ccma_jp
会期:2022年7月6日(水)〜10月2日(日)
休室:毎月第1月曜日(祝日の場合は翌日)、メンテナンス日。
時間:10:00~18:00。
 *入場受付は閉館の30分前まで
 *毎週金・土曜は20時まで開館。
料金:一般300(240)円、大学生220(170)円、高校生以下無料。
 *( )内は30名以上の団体料金。
 *企画展チケットにて観覧可。
住所:千葉市中央区中央3-10-8
交通:千葉都市モノレールよしかわ公園駅下車徒歩5分。京成千葉中央駅東口より徒歩約10分。JR千葉駅東口より徒歩約15分。JR千葉駅東口より京成バス(バスのりば7)より大学病院行または南矢作行にて「中央3丁目」下車徒歩2分。
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