都内近郊の美術館や博物館を巡り歩く週末。展覧会の感想などを書いています。
はろるど
長野・小布施への旅~北斎の足跡を訪ねて 後編:高井鴻山記念館・北斎館
1806年、小布施村の豪商高井熊太郎の四男として生まれた高井鴻山は、15歳から16年間にわたって京都や江戸へ遊学すると、学問や芸術を修め、文化人らとの幅広い人脈を築きました。

長野・小布施への旅~北斎の足跡を訪ねて 中編:浄光寺・岩松院・おぶせミュージアム
そして江戸への遊学の際に交流のあった浮世絵師、葛飾北斎を招くと、鴻山は「碧漪軒」(へきいけん)と呼ばれるアトリエを提供し、北斎も小布施の地を訪ねては肉筆画や鴻山との合作を残しました。

その鴻山を顕彰する施設として開設されたのが「高井鴻山記念館」で、鴻山が北斎を含む文人を招いた屋敷や書庫として使っていた蔵、ないし米蔵や彼の描いた書画を紹介する展示室などが公開されていました。
まず展示室では鴻山による書画が並んでいて、とりわけ晩年に多く手がけた妖怪画に目を奪われました。それらは妖怪と山水の景色が一体となった独特の世界を築いていて、不思議な霊感も漂っているように思えました。

木造2階建ての建物が「翛然楼」(ゆうぜんろう)で、鴻山の祖父が隠宅として建てた築200年余りの京風建築でした。

ここでは北斎の下絵を元にして鴻山が描いた『象と唐人図』や精緻な『菊図』なども展示されていて、鴻山の幅広い作風に触れることができました。

また2階へ上がると両側の開口部より僅かに涼しい風も入り込んできて、しばらくお庭の景色を見ながら身体を休めることもできました。

天保の改革が行われた当時、北斎は過激な取り締まりを避けるため、自らの芸術の理解者であった鴻山の元へ身を寄せたとも言われています。多くの文人たちをもてなしたであろう「翛然楼」にて、30代の鴻山と80歳を過ぎていた北斎の世代を超えた交流を感じ取ることができました。

この「高井鴻山記念館」より栗の小径を進むとすぐに位置するのが、北斎の祭り屋台や肉筆画を収蔵、また公開する「北斎館」でした。

『北斎水族館へようこそ』展示風景
この日は北斎の手がけた魚介類をモチーフとした絵手本などを紹介する『北斎水族館へようこそ』が開かれていて、『冨嶽三十六景 神奈川沖浪裏』にはじまり、魚介類を施したデザインの『万職図考』やさまざまな甲殻類を描いた『北斎画苑』などが鑑賞できました。*『北斎水族館へようこそ』は8月27日に終了しました。

署名 画狂老人卍筆齢八十一『椿と鮭の切り身』 1840年
これに続くのが北斎の肉筆を展示する常設展で、いずれも極めて精緻に対象を写し取った晩年の『えび、さば、あわび』や『椿と鮭の切り身』などに見入りました。

署名 北斎画『漁師』
ちょうど長野県立美術館の『葛飾北斎と3つの信濃―小布施・諏訪・松本―』でも北斎館のコレクションを多く見ることができましたが、晩年の肉筆画に関してはかなり充実しているといえるかもしれません。

『東町祭屋台』
上町祭屋台も同展に出展中だったため、祭屋台は東町祭屋台のみの公開でしたが、企画展を含めて想像以上に見応えがありました。

このあとは小布施からの電車に少し時間があったこともあり、カフェで栗の生モンブランをいただきました。小布施は古くから栗の産地として有名で、栗を用いたお菓子を味わえる店が少なくありません。

カフェを出ると雷鳴も近づき、北斎館を中心に見られた人出もまばらになっていました。そして小布施堂や桝一市村酒造場などでお土産を購入し、小布施駅から特急に乗って長野へと戻りました。
「高井鴻山記念館」
休館:12月29日から1月3日、展示替等による休館。
時間:9:00~17:00
料金:一般300円、高校生150円、小中学生無料。
*三館共通入場券(おぶせミュージアム・中島千波館、高井鴻山記念館、北斎館):一般1300円、高校生800円。
住所:長野県上高井郡小布施町小布施805番地1
交通:長野電鉄小布施駅より徒歩10分。
「北斎館」(@hokusai_kan)
休館:12月31日
時間:9:00~17:00
*入館受付は閉館の30分前まで
料金:一般1000円、高校生500円、小中学生300円、未就学児無料。
*三館共通入場券(おぶせミュージアム・中島千波館、高井鴻山記念館、北斎館):一般1300円、高校生800円。
住所:長野県上高井郡小布施町小布施485
交通:長野電鉄小布施駅より徒歩12分。

長野・小布施への旅~北斎の足跡を訪ねて 中編:浄光寺・岩松院・おぶせミュージアム
そして江戸への遊学の際に交流のあった浮世絵師、葛飾北斎を招くと、鴻山は「碧漪軒」(へきいけん)と呼ばれるアトリエを提供し、北斎も小布施の地を訪ねては肉筆画や鴻山との合作を残しました。

その鴻山を顕彰する施設として開設されたのが「高井鴻山記念館」で、鴻山が北斎を含む文人を招いた屋敷や書庫として使っていた蔵、ないし米蔵や彼の描いた書画を紹介する展示室などが公開されていました。
まず展示室では鴻山による書画が並んでいて、とりわけ晩年に多く手がけた妖怪画に目を奪われました。それらは妖怪と山水の景色が一体となった独特の世界を築いていて、不思議な霊感も漂っているように思えました。

木造2階建ての建物が「翛然楼」(ゆうぜんろう)で、鴻山の祖父が隠宅として建てた築200年余りの京風建築でした。

ここでは北斎の下絵を元にして鴻山が描いた『象と唐人図』や精緻な『菊図』なども展示されていて、鴻山の幅広い作風に触れることができました。

また2階へ上がると両側の開口部より僅かに涼しい風も入り込んできて、しばらくお庭の景色を見ながら身体を休めることもできました。

天保の改革が行われた当時、北斎は過激な取り締まりを避けるため、自らの芸術の理解者であった鴻山の元へ身を寄せたとも言われています。多くの文人たちをもてなしたであろう「翛然楼」にて、30代の鴻山と80歳を過ぎていた北斎の世代を超えた交流を感じ取ることができました。

この「高井鴻山記念館」より栗の小径を進むとすぐに位置するのが、北斎の祭り屋台や肉筆画を収蔵、また公開する「北斎館」でした。

『北斎水族館へようこそ』展示風景
この日は北斎の手がけた魚介類をモチーフとした絵手本などを紹介する『北斎水族館へようこそ』が開かれていて、『冨嶽三十六景 神奈川沖浪裏』にはじまり、魚介類を施したデザインの『万職図考』やさまざまな甲殻類を描いた『北斎画苑』などが鑑賞できました。*『北斎水族館へようこそ』は8月27日に終了しました。

署名 画狂老人卍筆齢八十一『椿と鮭の切り身』 1840年
これに続くのが北斎の肉筆を展示する常設展で、いずれも極めて精緻に対象を写し取った晩年の『えび、さば、あわび』や『椿と鮭の切り身』などに見入りました。

署名 北斎画『漁師』
ちょうど長野県立美術館の『葛飾北斎と3つの信濃―小布施・諏訪・松本―』でも北斎館のコレクションを多く見ることができましたが、晩年の肉筆画に関してはかなり充実しているといえるかもしれません。

『東町祭屋台』
上町祭屋台も同展に出展中だったため、祭屋台は東町祭屋台のみの公開でしたが、企画展を含めて想像以上に見応えがありました。

このあとは小布施からの電車に少し時間があったこともあり、カフェで栗の生モンブランをいただきました。小布施は古くから栗の産地として有名で、栗を用いたお菓子を味わえる店が少なくありません。

カフェを出ると雷鳴も近づき、北斎館を中心に見られた人出もまばらになっていました。そして小布施堂や桝一市村酒造場などでお土産を購入し、小布施駅から特急に乗って長野へと戻りました。
「高井鴻山記念館」
休館:12月29日から1月3日、展示替等による休館。
時間:9:00~17:00
料金:一般300円、高校生150円、小中学生無料。
*三館共通入場券(おぶせミュージアム・中島千波館、高井鴻山記念館、北斎館):一般1300円、高校生800円。
住所:長野県上高井郡小布施町小布施805番地1
交通:長野電鉄小布施駅より徒歩10分。
「北斎館」(@hokusai_kan)
休館:12月31日
時間:9:00~17:00
*入館受付は閉館の30分前まで
料金:一般1000円、高校生500円、小中学生300円、未就学児無料。
*三館共通入場券(おぶせミュージアム・中島千波館、高井鴻山記念館、北斎館):一般1300円、高校生800円。
住所:長野県上高井郡小布施町小布施485
交通:長野電鉄小布施駅より徒歩12分。
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