都内近郊の美術館や博物館を巡り歩く週末。展覧会の感想などを書いています。
はろるど
「フィリップ・パレーノ展 オブジェが語りはじめると」 ワタリウム美術館
ワタリウム美術館
「フィリップ・パレーノ展 オブジェが語りはじめると」
2019/11/2~2020/3/22
ワタリウム美術館で開催中の「フィリップ・パレーノ展 オブジェが語りはじめると」を見てきました。
フランスのパリを拠点に活動する現代美術家、フィリップ・パレーノは、映像、彫刻、ドローイング、それにインスタレーションの様々な手法を用い、国内外で展覧会を開くなどして活動してきました。
そのパレーノの日本初の大掛かりな個展が「オブジェが語りはじめると」で、1994年から2006年にかけて制作された作品を再構成して展示していました。
手前:「しゃべる石」 2018年
タイトルの「語りはじめると」が示すように、作品が互いに会話し、関係し合うように展開するのも、パレーノの表現の大きな特徴と言えるかもしれません。スピーカーを内蔵した人工石の「しゃべる石」は、終始、何かを語っていて、時に訴えかけるかのように熱っぽく声を発していました。なおテキストは、パレーノ自ら執筆し、俳優の村上純子が吹き替えた、オートマトンについての内容でした。
「ハッピー・エンディング」 2014〜2015年
「しゃべる石」の横に置かれた照明型の作品、「ハッピー・エンディング」は、あたかも石に明かりを当てるかのようにランプを灯していて、光は変化しつつ、時折、消えていました。その光景はあたかも石と照明が対話しているかのようで、本来的には無機的な器具が、有機体として意思を持っているような錯覚に囚われました。
右:「花嫁の壁」 2018年
この他、アクリルガラスにLEDライトなどを組み込んだ「花嫁の壁」も、「ハッピー・エンディング」と同様に明かりを点滅させていて、個々の作品が照応しつつ、空間全体が1つのインスタレーションとして作り上げられていました。
こうした一連の運動は、てっきり一定の法則に基づいているのかと思いきや、美術館の周辺の気圧や風の方向などの細かな気象条件と連動していて、空気の変化や換気に反応していました。私が出向いた日は真冬の寒い曇天でしたが、ひょっとすると晴天時や温度で作品の動きが変わるのかもしれません。
「リアリティー・パークの雪だるま」 1995年〜2019年
チラシ表紙を飾った「リアリティー・パークの雪だるま」も常に変化し続ける作品でした。ご覧のように氷で出来た雪だるまで、室温では徐々に溶けていくのか、下の穴からポタポタと水を落としていました。
「リアリティー・パークの雪だるま」 1995年〜2019年
実のところ雪だるまは、会期中、何度か入れ替わっていて、ちょうど私は溶け落ちた後、新たな雪だるまが設置されたばかりの状態で見ることが出来ました。
会場入口に貼られた「雪だるま溶融暦」によると、約1週間で溶け、おおむね週末に雪だるまが再び構築されるようでしたが、どのような状態の雪だるまを見られるのかは、それこそタイミングによるのかもしれません。
「マーキー」 2016年
電球とネオン管によって構築された「マーキー」も、やはり変化、つまり終始、激しく点滅する作品でした。20世紀初頭の映画館や劇場のエントランスで設置された広告盤をモデルとしていて、当時は映画のタイトルや役者の名前をネオンで知らせていましたが、作品においては一切の文字はありませんでした。
「マーキー」 2016年
ともかくも突如、ネオンが強く輝いては、またバタリと力尽きたかのように消えていて、もはやSFなどに登場する未知の機械生命体のようでした。
それにしても個々のオブジェが妙に人懐っこく映るのが不思議でなりませんでした。チラシに「展覧会はオープンスペース」と記されていましたが、まるで器具や氷の彫刻が演じる舞台を目にするかのような印象も与えられるかもしれません。
氷の雪だるまは、1995年、ワタリウム美術館が青山の街中で展開した「氷の波紋」展のために作られました。言わば四半世紀ぶりの再現展示でもあります。
「壁紙 マリリン」 2018年
3月22日まで開催されています。
「フィリップ・パレーノ展 オブジェが語りはじめると」 ワタリウム美術館 (@watarium)
会期:2019年11月2日(土)~2020年3月22日(日)
休館:月曜日。但し11月4日、12月30日、1月13日、2月24日は開館。年末年始(12月31日~1月3日)
時間:11:00~19:00
*毎週水曜日は21時まで開館。
料金:一般1000円、25歳以下(学生)800円、小・中学生500円、70歳以上700円。
*ペア券:大人2人1600 円、学生2人1200 円
*フィリップ・パレーノPass:1500円(本人に限り、会期中何度でも入場可。)
住所:渋谷区神宮前3-7-6
交通:東京メトロ銀座線外苑前駅より徒歩8分。
「フィリップ・パレーノ展 オブジェが語りはじめると」
2019/11/2~2020/3/22
ワタリウム美術館で開催中の「フィリップ・パレーノ展 オブジェが語りはじめると」を見てきました。
フランスのパリを拠点に活動する現代美術家、フィリップ・パレーノは、映像、彫刻、ドローイング、それにインスタレーションの様々な手法を用い、国内外で展覧会を開くなどして活動してきました。
そのパレーノの日本初の大掛かりな個展が「オブジェが語りはじめると」で、1994年から2006年にかけて制作された作品を再構成して展示していました。
手前:「しゃべる石」 2018年
タイトルの「語りはじめると」が示すように、作品が互いに会話し、関係し合うように展開するのも、パレーノの表現の大きな特徴と言えるかもしれません。スピーカーを内蔵した人工石の「しゃべる石」は、終始、何かを語っていて、時に訴えかけるかのように熱っぽく声を発していました。なおテキストは、パレーノ自ら執筆し、俳優の村上純子が吹き替えた、オートマトンについての内容でした。
「ハッピー・エンディング」 2014〜2015年
「しゃべる石」の横に置かれた照明型の作品、「ハッピー・エンディング」は、あたかも石に明かりを当てるかのようにランプを灯していて、光は変化しつつ、時折、消えていました。その光景はあたかも石と照明が対話しているかのようで、本来的には無機的な器具が、有機体として意思を持っているような錯覚に囚われました。
右:「花嫁の壁」 2018年
この他、アクリルガラスにLEDライトなどを組み込んだ「花嫁の壁」も、「ハッピー・エンディング」と同様に明かりを点滅させていて、個々の作品が照応しつつ、空間全体が1つのインスタレーションとして作り上げられていました。
こうした一連の運動は、てっきり一定の法則に基づいているのかと思いきや、美術館の周辺の気圧や風の方向などの細かな気象条件と連動していて、空気の変化や換気に反応していました。私が出向いた日は真冬の寒い曇天でしたが、ひょっとすると晴天時や温度で作品の動きが変わるのかもしれません。
「リアリティー・パークの雪だるま」 1995年〜2019年
チラシ表紙を飾った「リアリティー・パークの雪だるま」も常に変化し続ける作品でした。ご覧のように氷で出来た雪だるまで、室温では徐々に溶けていくのか、下の穴からポタポタと水を落としていました。
「リアリティー・パークの雪だるま」 1995年〜2019年
実のところ雪だるまは、会期中、何度か入れ替わっていて、ちょうど私は溶け落ちた後、新たな雪だるまが設置されたばかりの状態で見ることが出来ました。
雪の中のアイスマンちょっと傾き始め、まるでボーリングのピンのよう。 pic.twitter.com/DqVbjW6W7f
— ワタリウム美術館, WATARI-UM, (@watarium) January 18, 2020
会場入口に貼られた「雪だるま溶融暦」によると、約1週間で溶け、おおむね週末に雪だるまが再び構築されるようでしたが、どのような状態の雪だるまを見られるのかは、それこそタイミングによるのかもしれません。
「マーキー」 2016年
電球とネオン管によって構築された「マーキー」も、やはり変化、つまり終始、激しく点滅する作品でした。20世紀初頭の映画館や劇場のエントランスで設置された広告盤をモデルとしていて、当時は映画のタイトルや役者の名前をネオンで知らせていましたが、作品においては一切の文字はありませんでした。
「マーキー」 2016年
ともかくも突如、ネオンが強く輝いては、またバタリと力尽きたかのように消えていて、もはやSFなどに登場する未知の機械生命体のようでした。
それにしても個々のオブジェが妙に人懐っこく映るのが不思議でなりませんでした。チラシに「展覧会はオープンスペース」と記されていましたが、まるで器具や氷の彫刻が演じる舞台を目にするかのような印象も与えられるかもしれません。
氷の雪だるまは、1995年、ワタリウム美術館が青山の街中で展開した「氷の波紋」展のために作られました。言わば四半世紀ぶりの再現展示でもあります。
「壁紙 マリリン」 2018年
3月22日まで開催されています。
「フィリップ・パレーノ展 オブジェが語りはじめると」 ワタリウム美術館 (@watarium)
会期:2019年11月2日(土)~2020年3月22日(日)
休館:月曜日。但し11月4日、12月30日、1月13日、2月24日は開館。年末年始(12月31日~1月3日)
時間:11:00~19:00
*毎週水曜日は21時まで開館。
料金:一般1000円、25歳以下(学生)800円、小・中学生500円、70歳以上700円。
*ペア券:大人2人1600 円、学生2人1200 円
*フィリップ・パレーノPass:1500円(本人に限り、会期中何度でも入場可。)
住所:渋谷区神宮前3-7-6
交通:東京メトロ銀座線外苑前駅より徒歩8分。
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