JICA(独立行政法人国際協力機構・北海道国際センターからのヒアリングを受けた。 なんでも、海外への一方方向の支援だけでなく、日本国内との還流・相互循環型の事業を地域創世と掛け合わせてできないだろうかとの調査のようだった。 国際交流がメインの聞き取りかと思ったが、むしろ、「人材育成」についてがテーマであった。
NPOねおす、そして解散後の各所各拠点でも「人が育つ場づくり」はねおすグループ全体の核心的ミッションである。 総じて「そだちば」と呼んでいる。 旧ねおすは、直接・間接的に、独自・連携的に委託・受託関係的にさまざまな人材育成の仕組みを構築してきた。そして、多くの人材を世の中に輩出してきたと自負している。この理念は各所にも引き継がれていると信じて疑わない。
おかげて、「ねおすは人を育てるのが上手だ」という評価を頂くことがある。今回のヒアリングもどのように人を育てているのか、が主題だった。
かつて北海道自然体験学校NEOSは、もともと人材育成の専門学校で立ち上がった。そもそも民間社会教育機関なのである。アウトドアインストラクター養成コースを社会体育専門学校の中に設置してその運営を担うところから始まった。 年間100万円の授業料を戴き、多い時は10名ほどの学生がいた。その時期は実に丁寧に座学カリキュラムを作っていた。動物、植物、魚類、北海道学、生態、地図読み、気象、コミュニケーショントレーニングといった座学があり、海川山への実技実習、子どもの自然体験活動、山岳ガイド補助など野外実技や野外生活技術も広範に渡って行っていた。 また、黒松内ぶなの森自然学校の設立期には、黒松内町から自然ガイド養成のための補助金も頂き、手厚く座学講習も実施していた。
しかし、あるとき気がついた・・・。
どんなに自然の知識があり野外活動スキルがあっても、それだけではお客さんはつかないし、その地域にも溶け込めないと。 また、自然ガイドだけで生計を立てるのは難しいと。
その結果として、知識ベースの養成から、仕事と暮らしが一緒になったようなOJTが最も「人」を育てるのに良い方法だと。 つまり、人が育つ「場」づくりが大切だと。そして、「学び方を学ぶ」という姿勢と態度づくりが重要だと。
なので、「人を育てている」というより、「人が自ら育つ環境」づくりに熱心に取り組んで来たと言えるかな。
昨今、21世紀型スキルとして、コンピテンシーなる概念が提唱されている、次の教育指導方針を決める教育審議会でも話題にあがっており、その評価方法としてルーブリック評価という概念もあるらしい。
思えば、ねおすのスタッフの目標設定では、稚拙ながらもこのコンペテンシーとルーブリック評価に近いものを10数年前から創り、それを指標にしていたことに、最近気づいた。
コンピテンシーの概念については、こちらのブログをどうぞ⇒http://blog.goo.ne.jp/haruneos/e/ec31a025fcbc7640bfc40f37092c991d
実際に多くの(当時?)若者達が、ねおすの仕組みを通過して社会で活躍していること、あの大混乱の東日本大震災の初期の現地支援に次から次にスタッフを波状的におくりこんで短期間で支援体制を構築できたこと等を鑑みれば、この手法は間違っていなかったと思えるなあ・・・、と手前味噌なことに思いを馳せる師走なり。