~九重の旅 ~ ホテルのロビーにかけてあった ほのぼの おじぞうさん
おまけつきのデートのゆくえは?
むか~し、むか~し
あるとろに 美人で、おとなしいマツ子さんと
その甥っ子の大郎さんがいましたとさ
マツ子さんは あるところの男性とお付き合い中じやったそうな
いつものように、 デートの時には なぜか、甥っ子の大郎さんの手をひいて
出かけるんだと・・・
おとなしい大郎さんは いわれるままに、 だまぁ~って いつもピッタリくっついて
行ったそうな
雪の降る寒い日、花が咲き乱れるポカポカの春の日も、
カンカンと陽が照る暑い夏の日にも、そして冷たい雨や雪が降る日も
わら草履をはいて スタスタとついていったそうじゃ~
それから、しばらくして お付き合いは 終わりになったんじゃ・・・
さぁて、いったい これはどうしたことやろうかい?
その後は かわいそうに マツ子さんは、それから ず~っと ず~っと 一人で暮らしたそうな・・・
弟の嫁との辛い百姓仕事も、だまってこなし ひとときの休み時間に、腰をのばして、汗をぬぐいながら日の暮れるまではたらいて・・・
そして腰が曲がるまで 働きどうし 、 せめて夜のお風呂で やすらぎをもらいながら
ある日の夜に ひとり静かに、 天に のぼって お星さまになったそうじゃ・・・
ひとやすみ~
それから、65年余がすぎたころの話じゃ~
大人になった甥っ子の大郎さんが ポツリと いったとさ
「あん時に おれが ボサ~ッ と しとったから・・・」
おやおや 外野席から お声がかかった
いいけど 少しは 遠慮するもんじゃなかったろうかい?
また、後日に・・・お目にかかりましょう。