hokutoのきまぐれ散歩

ブログも12年目、4000日に到達。ネタ探しはきついけどまだまだ毎日更新を続けるつもりです。

『つくばい』『ひこばえ』を知っていますか?

2021-05-01 05:00:00 | 日記
『改めて日本語を考える』その29。クイズ番組を見ているとつくづく知っているようで知らないことに気がつく。今回は園芸や植物にまつわる言葉のほんの一部に触れてみたい。




まずは『つくばい』である。よく日本庭園に行くとあるものですが、上の写真のうち、どれが『つくばい』か分かりますか?

正解は①、つくばい(蹲)の字を見るとわかるのだが、訓読みすると『うずくまる』と読む。茶室の庭に設えられている日本庭園の添景物で露地に置かれていて、茶室に入る前に蹲って手を洗う手水鉢のことを言う。

次に②は石灯籠、茶園に置かれているが元は寺社にある灯籠が由来で当初は献灯と言われて宗教的なものであったが、今はもっぱら鑑賞目的で置かれている。

③はししおどし(獅子威)。これは見たことのある人が多いと思うのだが、元々は田畑を荒らす鳥獣を威嚇して追い払うために使われた装置類の総称。このうち、そうず(添水)が水力により自動的に音を発生させる装置で真ん中に支点を作り、上向きに開放した竹筒に水を入れる。水が満杯になると重みで竹筒が頭を下げ、水が溢れてからになるのだが、竹筒が元に戻る際に支持台に設えた石を叩き、音が出る。
ただ、漢字の通り『獅子』つまりライオンを脅すのではなく、本来は『鹿』脅しである。

今度は庭園とは関係なく、植物の話。『ひこばえ(蘖)』は植物のどんな形状か分かりますか?
これは昨年秋に京都醍醐寺にお邪魔した際、台風で大きな被害を受けたお話を聞いた。門の中には杉や松の巨木が林立していたが、2018年9月の台風で2000本位が被害を受け、やむなく切り倒したのである。しかし、そこから2年が経過し、切り倒した切り株から新たな芽吹きがあり、それも成長し始めていた。この芽吹いた状態を『ひこばえ』と言う。



さらに稲刈りをした後、稲刈り後の株に新しく再生した稲が生えてくるが、この稲のことも『ひこばえ(孫生)』という。ただ、正式には『櫓(ひつじ、ひつち)と呼ぶらしい。もともと多年草的な性格を持ち、熱帯などでは繰り返し収穫するのだが、日本ではせいぜい家畜の餌になる程度である。

『つくばい』や『ひこばえ』のように聞いたことはあるが、意味のはっきりわからない言葉は意外に多いものである。