『東京の坂、日本の坂』その196。今回はJR青梅線羽村駅で下車、羽村市〜あきる野市にかけての坂道を散策したい。
坂道を巡る前に『まいまいず井戸』が駅そばにあるので立ち寄る。東口側に降りて駅前をまっすぐ歩き、次の道を右に曲がったところに五ノ神社がある。
境内にカタツムリのようにぐるぐる曲がりながら降りて行く形に掘り進め、中央部を深く掘る工法で井戸を作る井戸を『まいまいず井戸』という。
昔は真っ直ぐに井戸を掘る技術がなかったため、このような掘り方をしたのだが、東京西部や埼玉県などに残っている。この形の井戸は鎌倉・室町から掘られていたらしく、直径16m、深さ4mで東京都指定史跡となっている。
境内では餅つき大会が行われており、横の井戸に降りて行く。
足元の石段の上に落ち葉が多く溜まり、滑らないように慎重に降りて行く。ただ、思いの外、早く底の部分に辿り着くが、真っ直ぐに掘るより円形に掘った方が楽で技術がいらないことは歩いてみるとよく分かる。これも昔の人の知恵であろう。
五の神社を後に羽村駅に戻る。駅舎は高架となっていて西口側に無料通路を通り、すぐ行ける。ふと眺めると東口と西口の駅舎の形がまるで違うのが面白い。
駅前をまっすぐ行くと信号があり、右手に稲荷社が出てくるが、その横を下る坂が『お寺の坂』である。
稲荷社にもお参りするが、ここの境内から多摩川方向を見ると素晴らしい眺めが楽しめる。立派な社殿に手を合わせて、階段を降りると坂下に出る。
左前を見ると『禅林禅寺』、これが坂の名前の由来となったお寺である。
坂を降りてまっすぐ行くと急に右側に教会のように風見鶏と時計台のついた西洋建築が姿を見せるが、これが東会館という地域の集会所。
ここでも餅つき大会が行われていて羽村市で決めた行事なのかもしれない。
さらに左に曲がると多摩川沿いの道路に出る。右の方に行くといよいよ羽村取水堰が見えてくる。(以下次回)