三無主義

 ~ディスパレートな日々~   耶馬英彦

映画「ガンズ・アキンボ」

2021年02月28日 | 映画・舞台・コンサート
 映画「ガンズ・アキンボ」を観た。
 かなり面白かった。「ハリー・ポッター」は説教臭くて好きではなかったが、大人になってからのダニエル・ラドクリフは微妙な三枚目路線を演じていて、なかなかの味を出している。エマ・ワトソンが美人路線まっしぐらなのと好対照だ。
 本作品では弱気のくせに虚勢を張るオタクの典型を好演。主人公マイルズは迂闊なネット書き込みのせいで極限状況に巻き込まれるが、僥倖の連続でなんとか生き延びる。そのうちに少しずつ勇気が湧いてきてエンディングに向かう。ストーリーは王道で既視感があるが、ストーリーよりも演出の思い切りのよさや笑えるディテールなどを楽しむ分にはよくできた作品である。残弾がデジタル表示されるところがゲームらしくていい。
 悪役はエキセントリックな小物であり、マイルズは強大な権力を相手にしなくて済むが、両手にボルトで留められた大型の自動拳銃は結構な迫力で、街では隠すしかないし、指が使えないからやたらに不便である。撃つときはボルトが食い込んでとても痛そうだ。その辺の演技は堂に入ったもので、馬鹿馬鹿しさを安心して笑える。
 気持ちよく殺しまくるシーンも多くて、日頃の鬱憤が溜まっている人には丁度いいかもしれない。B級ながらアイデアが秀逸で、意外と印象に残る良作である。