毎日新聞など読んだことがない私だが、今朝の一面トップ記事が原発事故関係であったので、コンビニでついつい買ってしまった。「福島去る医療従事者」という大見出しで、放射線被曝を恐れて、福島市を離れることになった放射線技師を取り上げていた。仕事上の知識では、健康には影響がないはずであるのに、小さな子供がいる家族にとっては、少しでも不安があると、住み続けるのは困難なのである。「やっぱり危ないんじゃない?」と妻から不安を漏らされると、夫は「放射線技師が逃げたら周囲への影響が大きいんだ」と返答するしかなかった。そして、夫婦の話し合いは何時間にも及んだという。しかし、いくら夫が妻を説得しようとしても、「微量な被曝でがんになるという証拠はない。だが、ならないという確証もない」わけだから、まず妻子だけを昨年8月に米沢市に移し、自分も、4月から東北地方の別な病院に移ることになった。細野豪志原発事故担当相は「年間20ミリシーベルト以下であれば安全だ」と言っているが、医療関係者すらも、それに疑問を感じているのだ。武谷三男は『科学入門』のなかで、科学的と称する議論において、「安全も証明されないが、危険も証明されない」という言い方を、痛烈に批判している。「危険が証明されたのなら初めからお話にならない」からだ。福島県東部の人口流出は歯止めがかからなくなっている。不安の解消は難しいのだから、もはや避難を優先させるしか、残された選択肢はないのである。
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