天皇陛下のお体がまだまだ完全ではあられない-との報に接して、日本という国家が危機に瀕しているときだけに、なおさら熱いものがこみ上げてならない。私はよく攘夷という言葉を口にするが、それにはまず、天皇陛下を中心にして、国民の心が一つにならなければならない。攘夷のパトスも、そのことが前提なのである。大原康男が野村秋介との対談「わが内なる天皇、そして神道」(『平成の天皇論』)において「攘夷だけでは駄目なんです。外圧を受けた民族が階級対立や地域主義を超えて一つにまとまるような核になるようなものがないと、攘夷のエネルギーは分裂させられて結果的には外国にからめ捕られてしまいます」と述べているように、天皇陛下がおられるからこそ、外敵に対して、日本国民は一致して対処できたのである。とくに、幕末の激動期に、薩長が英国と組んだのに対抗して、幕府がフランスを頼りにして内戦に突入していれば、間違いなく日本は、欧米の植民地となっていただろう。天皇陛下をお慕い申し上げる尊皇の心が、両方にあったからこそ、外国の介入を阻止できたのだ。今回の東日本大震災においても、天皇陛下が被災地にお出でになられて、国民一人ひとりを励まされたことで、多くの日本人は、改めて国民相互の絆の大切さに気付いたのだと思う。尊皇攘夷と言われてきたように、尊皇と攘夷とは、あくまでも一体なのである。
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