今の日本に本当の左翼はいない。いるのは特定アジアの手先になったサヨクだけである。私が惚れ込んだ花田清輝のような大物は、どこを見渡してもいない。花田のすごさは類まれな文章力にある。黒を白と言い含めるような詭弁を弄したのではない。言葉の可能性を追い求めたのだった。分かり切った公式を振り回すことなく、多面的な見方を提示した。花田は「楕円」を理想としたのだ。鶴見俊輔も花田について「戦争中に彼が、元マルクス主義者をふくめての国粋主義者の真円主義者を相手として抵抗することを余儀なくされたように、戦後の彼は、左翼陣営内の真円主義者と論争せざるを得なくなった」(「花田清輝論」)と書いている。そして、花田の有名な文章を引き合いに出す。「誠実とは、円にだけあって、楕円にはないもののような気がしているのだ。いま、私は、立往生している。思うに、完全な楕円を描く絶好の機会であり、こういう得がたい機会をめぐんでくれた転形期にたいして、心から、私は感謝すべきだろう」(『復興期の精神』収録の「楕円幻想」)。真円であれば中心からの距離はどこも一定だ。つまり一つの真理に導かれる。これに対して楕円は二つの中心がある。分裂した人間の心に、どこまでも忠実であろうとするのだ。保守とか進歩とかを超える理念を問題にしたのである。花田のような左翼は、日本の前近代的なものにも目を向けた。そこで保守派との論争が成立した。しかし、現在のサヨクはそうした思想を持ち合わせていない。コミンテルンに指導されていた時代と同じで、特定アジアの走狗と化している。若者が保守化するのは当然の成り行きなのである。ネット言論が保守に傾いているのも、そうした事情とは無縁ではないだろう。
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