日本人の多くはオバマ政権とアメリカに失望している。日本浪漫派の保田與重郎が述べていたように、サヨクとアメリカニズムを日本人の共通の敵と思い始めている。サヨクはすでに昭和45年頃から凋落傾向にあり、今では特定アジアと結び付くことで、かろうじて存在しているだけだ。これに対して、日本全体を動かしているのが新自由主義であり、それは保田のいうアメリカニズムにほかならない。思想的にはそちらの方が脅威なのである。保田は明治の文明開化に抵抗した人たちにこだわる。日本が世界に伍していくためには、旧来の伝統は破毀され、旧来の学問を排して、英国流の功利主義を重んじられたのだった。海外の市場をめぐる争いに勝利することが、国是とされたのである。それに追いつこうとして、日本は西欧流の帝国主義の道を選択してしまったのだ。しかし、それに与しなかった人たちもいた。それが神風連であった。保田は「神風連の學んでゐた洋學や國際智識を以て、この新しい思想の道義的謬りを指摘し得ても、近代をめざす富國強兵の考への人々は、決してききわけはしない。こちらが疲れてあきらめるほかはない。冷静無比な結論的行動を、一見の暴擧に表現するより他なかつたやうにおもへる」(『日本の文學史』)と書いている。さらに、保田は「肥後人の血の氣の過剰の人々の中に、聖者の如くいさぎよい天性の人があった」と述べるとともに、そこに「神風連はすべて詩人であった」と付け加えたのである。真の保守というのは、新自由主義に対決する現代の神風連でなくてはならない。文明開花を容認しなかったのは、詩心に立脚した日本精神があったからであり、それは「王道」を第一とする理想に裏打ちされていたのである。
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