安倍第二次内閣がスタートした。私は会津人であるが、長州人の安倍晋三首相にエールを送りたい。葦津珍彦が『永遠の維新者』で述べていたように、危機的状況であればあるほど「変革期に相応しい力強い決断と創造的な行動力」が求められるのであり、それを命懸けでやってくれるのは、安倍首相しかいないからだ。幕末期において、長州などの倒幕派と比べて、会津などの幕府方は、天皇への忠誠や開明的な新知識の面では、それほど違いがなかった。断じて会津は賊軍ではなかったのである。にもかかわらず、片方が勝者となり、片方が敗者となったのは、「政治的なものであったと思う」と葦津は書いている。「政治とは、いうまでもなく人間の社会行動である。この行動する主体(人間)が問題である。同じ思想、同じ政策をもって行動するにしても、その行動の主体の優劣によって政治の事実はまったく異なったものとなってしまう」からだ。会津が敗れたのはその点で劣っていたからである。倒幕派は「必死の地において、政治的主体の強化確立」を目指した。それまでの惰性に甘んじ、決断を先送りしていた幕府側とは大違いであった。政治力では倒幕派の方がはるかに優っていたのだ。「長薩では、攘夷を決意すれば、敢然として黒船と戦うを辞さぬ。停戦和平の必要をみとめれば、急展開する能力もある。藩内に異論が起こり紛糾すれば、断固たる政治力をもって、無理にでも統一を回復するだけの生命力をもっている」からこそ、長州と薩摩が倒幕派の中心となることができたのだ。長州人である安倍首相はそのことをよく知っているとは思うが、安倍第二次内閣で問われるのは、政治力のあるなしなのである。
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