時間のしずく time drops 

たいせつなもの。すきなこと。

ドレミファブック 「ハンメルンの ふえふき」 

2011-12-06 | 「ドレミファブック」 のこと


ドレミファブックのB面の物語のなかで、子どもの頃すきだったもののひとつ。
「ハンメルンのふえふき」



ご存知、 「正義」の物語。

ねずみが大量発生したハンメルンの街に、ひとりの男が現れて
市長と ねずみ退治をしたら報酬をもらうという約束を交わす。

不思議な音色の笛で、ねずみを操る男。
最後の一匹まで残らず退治した男に、市長は難癖をつけて約束を破棄してしまう。

約束を守らなかった市長を懲らしめるため
翌日男は、大人達が教会に出掛けている間に今度は笛の音で
街の子どもたちを操って山へと連れ去ってしまう。

「子どもを連れて帰ってくれよう、約束は守るからよう!」と、
慌てて山へとふえふき男を追いかける市長と街の大人たち。。。 という物語。

「正義」とは?「約束」とは、なんたるかを、シンプルに教えてくれるこの物語は
痛いしっぺ返しの教訓と共に、小さかったわたしのこころに大事なことを植え付けてくれた気がする。
「ズルイオトナ」になってはいけない。って、子ども心に思ったもの。
ねずみが川に飛び込むのは憐れで怖いんだけれどねえ。
そして、うっかり操られてしまうようなことが、人生に起きるかもしれないという怖さも・・・。

たくさんの絵本を読み散らかすよりも、
何度も何度も同じ物語を読み返すことって、実はとてもたいせつなことかもしれないね。 

「ドレミファブック」は、愛読した子どもたちの人格形成に
大いなる影響を与えてくれたんだなあ・・・と、大人になった今だからこそ思う。
素晴しい音楽と絵と物語のセレクトで、たくさんたいせつなことを教えてくれた世界文化社さんの
「ドレミファブック」に、今更ながら お礼を言いたいくらい。
(定期購読して与えてくれた亡き母にもね。)

もう手元にドレミファブックがなくても、そう感じている同世代の方々って
実はかなりいらっしゃることだろう。もしかして、記憶がおぼろでも、ね。
ココロには きっと沁み込んでいるはず。





ドレミファブック 「うちゅうせん ペペペペラン」

2011-08-20 | 「ドレミファブック」 のこと



昔々のドレミファブックのB面にはそれぞれお話がひとつ入っていて、小さい頃、ひとりレコードをかけて
絵を眺めながらお話に聴き入る のんびりとした時間がとてもすきだった。

でも。。。ドレミファブックのなかで、子どもの頃にひとりきりでは聴けなかったお話がある。
第11巻の「うちゅうせん ペペペペラン」谷川俊太郎作

どこからともなく現れた しろいひげのおじいさんが、子どもたちに語る「うちゅうせんペペペペラン」のお話。

妙にリアルなストーリー、静かな静かな語り。
お話の中に吹く風までもが、自分にもつめたく吹いてくるように感じるほどのすごい臨場感。
怖くてひとりではとてもレコードに針を落とすことができなかったんだ・・・。


ペペペペランは、国という制度がなくなって世界がひとつになっている未来の地球の宇宙船。
ペペペペランに乗船しているのは子どもだけ。
目的地アンドロメダへは何十年かかるか分からないほど長い旅。
大人では歳をとって死んでしまうため、子どもたちだけなのだという。
男の子は14人、女の子は13人。宇宙船のなかで子どもたちは大人になり、次々に結婚してゆく。

ひとりぽっち、余ってしまう、よわむしロン。。。
そして事故が起き、外で修繕をしていたロンを置き去りにして飛び立つ、ペペペペラン。(ひどい、ひどすぎる~)
コンピューターが壊れていてどうすることもできなかったんだよ・・・と言うおじいさん。

ひとりきりで宇宙に取り残された よわむしロン・・・。
ロンの絶望感、寂寥感が小さかったわたしのココロをぎゅっとしめつける。。。

いったいロンはどうなってしまったのか。
ペペペペランはその後アンドロメダに着くことができたのか。

謎を残したまま、いつのまにか消えてしまう しろひげのおじいさん・・・。

おじいさんは、いったい何処からやってきたのか。
おじいさんは、ペペペペランに乗っていた男の子のひとりだったのか?
おじいさんこそが、ロンだったのか・・・?

すべてが霧にのみ込まれ、煙にまかれたまま、レコードは終わる。

今改めて聴いても、やっぱりすごいよ。
謎めいた数枚の抽象画も、子どもゴコロにしっかり焼き付いている。

あの頃、いつかしろひげのおじいさんが、遊んでいるわたしのところにも現れるんじゃないかと、怖かったのです。


怖いけれど・・・魅せられてしまう、まぼろしの名作です。


  (この書体もすきだなあ。)





「ママとふたりのクリスマス」 ドレミファブック

2010-12-24 | 「ドレミファブック」 のこと

子どもの頃、クリスマスが近づくと、ドレミファブックの別冊「クリスマス特集」のレコードをよくかけた。
その中で、とてもすきだったのが「ママとふたりのクリスマス」という曲。

ちょっとさみしい曲なのだけれど、慎ましやかな幸せのあふれるこの歌と絵がだいすきだったなあ。

三人姉弟の真ん中で、母を一人占めする時間なんてなかったせいか、
こんなふうな穏やかな二人きりのクリスマスにちょっと憧れもあったのね、きっと。
贅沢な無いものねだり。

でも、世界中には二人きりどころか、一人きりの子どもだってたくさんいる・・・。
病院で、施設で、様々な場所で一人きりのクリスマスを過ごす子どもたち。

みんなにあたたかな夜が訪れますように。
 Merry Christmas


  「ママとふたりのクリスマス」

          作詞/若谷和子 作曲/服部公一 絵/柏村由利子

  ちいさな かわいい ろうそくで
  ママと ふたりの クリスマス
  まどから みている ほし ひとつ
  それでも たのしい クリスマス

  ちいさな オルガン ならしては
  ママと ふたりの クリスマス
  かべには ゆれてる かげ ふたつ
  それでも たのしい クリスマス

                            [世界文化社 ドレミファブックより]1969年

 


ドレミファブックの 「ちびくろサンボ」

2010-12-04 | 「ドレミファブック」 のこと

小さいころ、ドレミファブックのレコードのB面のお話のなかで
一番よく聴いたのはこの「ちびくろ サンボ」

この絵でなくっちゃね、ってくらい目に焼き付いているんだなあ、「ちびくろサンボ」。
絵は小野かおるさん。

4匹のトラたちが、サンボから取り上げた持ちモノで誰が一番かっこいいか、喧嘩になって・・・

ぐるぐる回っているうちに、

溶けてバターになっちゃう。すごいね~。

このトラのバターでおかあさんの作ったホットケーキ。
なんともおいしそうで、いつか食べてみたいなあって、思っていたんだ。

割とそのまま信じちゃう素直なおこちゃまだったわたし。

ホントのこと言うと、「鬼ごっこ」が白熱するとバターになっちゃうんじゃないかと
こわかったんだ~。

トラほど早く走れなくてよかった!って思ってた。
我ながら、かわいいなあ。

 


ドレミファブック 「ぶたが にげた」

2010-08-07 | 「ドレミファブック」 のこと

懐かしのドレミファブックの中の歌はどれも
今でも絵をみるだけで頭のなかでレコードが回る。

なかでも、子ども心にキョーレツだったのは
「ぶたが にげた」という悲しい悲しい曲。

   

この絵のインパクトのすごさ。
そして哀愁あり過ぎの歌詞とメロディー。
(作詞:宮沢章二 作曲:小田啓義 絵:井上洋介)

わたし、まだ小さかったけれど、
世の中にはどうにもならないこともあるんだということを
この歌とこの絵に教えられたような気がするんだなあ。

この歌に涙ぽろり、だった元チルドレン、きっとたくさんいると思うわ~。



 *****************

  「ぶたがにげた」  
              宮沢章二
 
 
  ぶたがにげた ぶたがにげた
  こぶたがにげた
  まちへうられた おやぶたおって
  こぶたがにげた

  にげたとて にげたとて
  のろまのこぶた
  ひぐれのカラスにわらわれて
  ゆうひをみつめているだけだ


  ぶたがないた ぶたがないた
  こぶたがないた
  まちへいけずに まよったみちで
  こぶたがないた
  ないたとて ないたとて
  おやなしこぶた
  おなかがすいてもたおれても
  よぎりにだかれているだけだ


 *****************
  
  


ドレミファブック「はしれ、ちょうとっきゅう」

2010-03-16 | 「ドレミファブック」 のこと

弟が2~3歳の頃、ドレミファブックの中の
「はしれ、ちょうとっきゅう」という歌がだいすきで、
新幹線のおもちゃを手にいつも大声で歌っていた。

その頃大阪に住んでいたわたしたち一家。
ある日曜日に父がいつものように行き先はヒミツにして、
家族みんなで家を出た。
ドライブ好きな父には珍しく、
この日は電車をいつくか乗り継ぎ…、
どこへ行くのやらワクワクしていたら、
あらら、新幹線のりばに!

えー?旅に出るの??と思ったら。。。
なんと、新幹線ブーム真っ盛りの幼い息子のために
新幹線初体験をさせてやろうと思い立ったらしい。
新大阪駅から京都駅まで、ほんの20分余りの新幹線の旅!

もちろん弟は大喜びの大興奮。
京都駅に着くまで、座席で飛び跳ねながら
「はしれ、ちょうとっきゅう」をエンドレスで歌っていた。
わたしは小学校1年か2年くらいかな、
大きな歌声がすご~く恥ずかしかったのを覚えている。

京都タワーに昇って、美味しいものを食べて、
在来線でとんぼ返り。
とおくへ旅に出たような、ふしぎな長~い一日だったなあ。

いまだに頼りなく幼く思える弟も、
ひえ~、もうすぐ40だ


ドレミファブック、学校へ

2010-03-06 | 「ドレミファブック」 のこと

子どもらの通う小学校では、金曜の朝だけボランティアによる
15分間の読みきかせの時間がある。

上の子の時は、下の子の幼稚園バスの時間と重なるので
ちょっと難しかったのだけれど、
末っ子が入学してからは何度かお邪魔している。

娘が、来てほしいとねだるせいもあるけれど、
面白い本を読んだ時の子どもたちの「わあ~!」っていう反応が
結構スキでもあるのだ。
末娘も4月には三年生。低学年の子どもたちを前にするのも
もうわずかなんだなあ。

今年度最後の読みきかせ。
なにか面白いものはないかなあと思いを巡らした末、
今の子どもたちには馴染みのないレコードを
かけてみることにした。

国語で谷川俊太郎の「月火水木金土日のうた」の詩が
音読の課題になっていたので、
丁度うちにあるドレミファブックの中のその歌を
みんなにも聴かせてあげたいなあと思ったわけなのだ。
で、昔ながらの赤いポータブルプレーヤーと
ドレミファブック第5巻を持って学校へ。

レコード盤を見たことのある子は多かったけれど、
目の前でかけて聴くのは初めての子どもがほとんど!
ニコニコクスクス、笑顔の子どもたち。かわいいねえ。

レコードプレーヤーの前は電気を使わない蓄音器だったんだよ、と
ちょうど古本まつりで買った70年代の雑誌の、大正時代特集の中の
蓄音器の写真も見せながら説明。
すると「子どものころ聴いてました~」と担任の先生。
あれ??先生、おいくつ~??

このレコードのB面は「ないたあかおに」のお話。
ちょうど音楽の授業でこのお話が出てくるとのことで、
ちょっと長いけれどみんなで聞いてみようということに。

昔自分が聴いていた頃のように、
お話に合わせてページをめくっていく。
といっても、約10分余のお話に絵は5ページくらい。
日頃、流れる映像に慣れている彼らには
退屈かなあって思ったのだけれど、
みんな、じ~っと静かに耳を傾けて、
絵を見つめてくれていた。

いいものは、時代を経てもこころに伝わるものなんだねえ。

担任の先生が他のクラスにもぜひ聴かせてあげたい、と
おっしゃって、ポータブルプレーヤーとドレミファブックを
そのままお貸しすることに。

いやはや、だいすきなドレミファブックが
時代を超えてお役に立てる日がくるとは!!
嬉しいことだなあ。


懐かしのドレミファブック

2009-11-10 | 「ドレミファブック」 のこと

1970年頃のレコード付きの絵本(全21巻)
「ドレミファブック」 発行は世界文化社。

小さい頃、このドレミファブックを
母が定期購読してくれて、歌を聴きながら絵本を観るのが
だいすきだった。
奈良の団地で暮らしていた時代で、
ちょうど弟が生まれたころだから、わたしは4歳。
赤ちゃんだった弟は「ジャングルジムのうた」が
入っているレコードがなっていればご機嫌だったので、
眠っている時にどうしても家の外に用事がある時には、
レコードに針を落として、急いで母とふたりで家を出たのを
よく覚えている。確か、トラックで売りにくる八百屋さんや
お豆腐屋さんに行くためだったような気がするなあ。。。

このレコードを一番よく聴いた時期は、
大阪のころだったから、小学校1~2年のころかな。
部屋でひとり、レコードをかけながら、歌がなっている間
絵本のその歌のために描かれた絵をじ~っと眺める。
次の曲になれば、次のページ、という具合だ。
なんて優雅な時間だったこと。そうやって何枚も何枚も
レコードをかけて、絵を眺めていたなんて、
あの時代の子どもってゆとりのある時間がたくさんあったのねえ。
まさにスローライフ?

大きくなって、全然聴かなくなったころ
引っ越しを機に母が近所の小さい子にそっくりあげてしまった。

今持っているのは、十年ほど前、長男が小さい頃に
古道具屋で再会して飛びついて買っちゃったもの。
その時についでにポータブルプレイヤーも購入。

いやはや、なんて懐かしい絵の数々とのご対面。
小さい頃にあれだけ凝視して観ていたものだから、
時が経っていても細部まで全部見覚えがあって自分でも驚いた。
レコードをかけなくても歌まで聴こえてきそうなくらい。

しかも、実はこのドレミファブック、
たくさんの著名な画家の方々が描いてらっしゃるのだ~!
現役時代のいわさきちひろさんや、安野光雅さんなどなど!
B面の童話も名作揃いで、どっぷりはまり込んで聴き入っていたものだ。

うちの三人の子どもたちも、勝手にこのドレミファブックの
レコードをかけてそれぞれに聴いて育ってきたけれど、
昔のわたしのように曲の間中同じページを眺める、ってことは
まずない。今の子はビデオやDVDの流れる映像に慣れてしまって
そんな止まったような時間の過ごし方はできなくなっているのかなあ。

この平成世代で、レコードに慣れ親しむってことだけでも
十分アナログ体験だわね。
気忙しいスピード世代だからこそ、
ゆとりのある時間のたいせつさを知ってほしいものだなあ。


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