改めて、サイレントが面白い。
図書館で借りた「ウィンダミア夫人の扇」1925年アメリカ(原題:Lady Windermere's Fan)
ストーリーこそメロドラマみたいだけれど、
巧みな映し方とかがなかなか面白かったなあ。
わたしの上映タイムはいつも夜中なので、サイレントはちょっと眠くなっちゃう確率が高いのだけれどね。
ちょろっと横からのぞいた中学生の次男に言わせれば、
なにがいいんだかさっぱりわからん!らしい。
ま、そりゃそうだね。
しかも 「ここに出てるひと、み~んなもうとっくに しんでるし!」と、ケラケラ笑う。
それも、そりゃそうだ。 けど・・・笑うアンタがコワイわ。
しばらく前に観た、「第七天国」Seventh Heaven も すっごく面白かったし、
昔観たチャップリンの映画もまた観てみようかな。
映画「微笑みに出逢う街角」2002年カナダ・イタリア合作
原題は「Between Strangers」 (このままでいいのにな~)
三人の女性、それぞれの生きる様が、群像劇的に紡がれていく。
各々の胸に抱える過去のこころの傷。秘密。
こころの葛藤と、折り合いをつけながら生きていくものの・・・
それぞれの人生。一度しかない人生。
自分の道を歩き出した彼女たちの ラストの笑顔がとてもいい。
ソフィア・ローレンの100作目の作品なのだそうだ。圧倒される存在感。
美しいひとは、歳を重ねてもやっぱり美しい~。
ちょっと ココロの中で迷子になったときに観るといいかも。って映画です。
映画好き仲間Mサンと、昔観た映画の話をしていて
なかなか題名が思い出せない作品があった。
ポール・ニューマンとロバート・レッドフォートが賭博で儲けるコメディ。ほら、あれ。
お互いに映像は頭の中に浮かんでいるのに、出てこないんだなあ。
好きな映画なんだけれど。
しばらくしてから、「スティング」!!って思い出したんだけれど、
思い出す前に、様々な70’sの映画がお互いの頭をよぎる中、
Mサンが、「70年代の映画ってさ、なんかどれも茶色くない??」と言いだした。
いや、ほんと!
なんだか、どれも埃っぽい茶色い映像が脳裏に浮かぶんだ。
イーストウッドのダーティー・ハリーとか、マックイーンの映画とか、
ポール・ニューマンや、レッドフォードの映画も不思議とどれも埃っぽいキャメル。
あれって、映像技術のせい?
それとも、あの時代のフィルムの色?
はたまた、埃っぽい西部が舞台の映画が多すぎるせいかも?
それにしても、東部が舞台の映画でも、洋服のイメージもキャメル色が多い気がするなあ。
「70’sの映画は茶色い」
なかなか面白い大発見かも!
ポーランド映画「木洩れ日の家で」2007年
現代の映画なのだけれど、とても美しいモノクローム・フィルムで製作されている。
森の中の古い木造のお屋敷に ひとりで暮らす老婦人。
そこで生まれ育ち、結婚して子どもを育て上げ、年老いて独りになった今までの
すべての時間を過ごしたその家は、彼女の人生そのもの。
たくさんの想い出と共に暮らしている。
主演の女優さんは、撮影時91歳!老いてなお美しく 気品に溢れる女性。
共演者とも言うべき飼い犬、フィラデルフィアの表情と演技がこれまた素晴しく愛らしい。
犬好きのひとが、犬観たさだけで観たとしても、十分満足できる映画かも。
こんな賢い犬と一緒なら、年老いて独りで暮らしても寂しくないかもしれない。
なんといっても、この映画に出てくる古いお屋敷がいい。
かなりガタがきているのだけれど、とても味わい深くて
映画のなかとはいえ、すべて隈なく観て歩きたいくらい。
森の中のこんな家に住んでみたいものだ。
この映画、確かにモノクロがよく似合う。
美しいモノクロームの木洩れ日。揺れる木の葉。。。
映画を観ながら、これに色があったら・・・って想像してみた。
やっぱ、違うわ。この清潔感のある静謐な空間はモノクロでこそ。
歳を重ねたら、俗世に囚われず 白と黒のモノクロの世界のようにシンプルに生きたいものだなあ。
そういえば。
森の中のシーンを観ていたら、昔みた「グッドモーニング・バビロン」を想い出した。
あの映画、もう一度観たくなっちゃたなあ。
とても 深い深い物語を観た。
T先生が貸してくださったVTR「火の魚」
2009年、NHK広島制作のドラマ。
「原田芳雄」は、すきな日本の役者のひとり。
作家役の原田芳雄と、編集者「折見」を演ずる尾野真千子の二人芝居のような絶妙なやりとりが心地よい。
影絵のシーンもとても綺麗ですきだなあ。
「折見さん」のうつくしい日本語がこころに残る。
きちんとした、うつくしい日本語を話す女性って、憧れちゃう。
せつない物語なんだけれど。。。こういう愛ってすてきだ。
余計なことを言わなくてもこころはちゃんと繋がっている。
ニンゲンとしても。
ひとのこころはどこまでも深くてひろい。。。海のように。宇宙のように。
数日前、TVに原田芳雄氏がひどく痩せて車椅子で舞台挨拶に現れる映像が流れた。
まるで別人のようなお姿に目を疑った・・・。
どうか、ゆっくりゆっくりお元気になって、またチョイ悪なカッコイイオトコを演じてくださいますよう
日本の片隅よりお祈りしています。
**************************************
草稿に入れておいたこの記事を今朝UPしようと思っていたら・・・。
夕べ遅く、原田芳雄氏の訃報を耳にした。
せつない。。。あんな凄みのあるカッコイイ役者はそうはいない。
とても残念です・・・。こころよりご冥福をお祈りいたします。。
昔からだいすきな映画、ヘップバーンの「いつも2人で」
「Two For The Road」1967年イギリス映画
監督はスタンリー・ドーネン。
なのに、イギリス映画なんだな。
スタンリー・ドーネンといえば、「雨に唄えば」「パリの恋人」「アラベスク」など、
すきなハリウッド映画がいっぱい。
この「いつも2人で」は、ちょっと他の作品と違って
しっとりとおとなの哀愁の漂う映画だ。
倦怠期の夫婦が、過ごしてきた時間を振り返る。
いろんな時間が、ふたりの乗る車に象徴されていて、
車と共に、過ごした時間がフラッシュバックする。
出逢ったころから現在までの、いろんなふたりの時間が絶妙に交差する。
「過去~現在」を行ったり来たり。
観ている方まで翻弄されてしまうようなとても凝った構成だ。
初めて観たのは二十代前半のころの深夜放送。
この映画の「過去」の立場から観ていたわけだ。
以来何度か観ているのだけれど、久しぶりに観たら
なんだか、不思議な気持ち。。。
いつの間にか、この映画の「現在」側から観ていることに気づく。
映画って、観ている自分の年齢や環境によって全然違う部分が見えてくる。
何度も観た映画なのに、今回は夫婦の絆について考えさせられちゃった。
この映画、オープニングとエンドロールがすっごくカッコイイ。
これまた、ヘンリー・マンシーニの音楽がいい感じにのっかっているんだなあ。
全篇を通して、テーマ曲のいろんなアレンジが気持ちよく流れる。
この映画の撮影中、ヘップバーンは実生活でも離婚の危機にあったという・・・。
それでこんなに現実味のある作品に仕上がっているのかな。
この映画、これから結婚をするひとにも、そして、倦怠期真っ只中なひとにも
何か得るものがあるんじゃないかな~。
ヘップバーンの知られざる魅力も満載な映画だ。
スレンダーな水着姿にもビックリ!!かわいいです。
映画「セントラル・ステーション」(原題:Central do Brasil)
1998年のブラジル映画。
近所に新しくレンタル店が出来たので、先日のぞいてみた。
でも、観たいと思うようなものがない。
これなら観てみたいなと見つけたのが、この映画。
いい映画でした。
主人公のおばさん、いいひとそうで そうでもない。
悪いひとのようだけど そうではない。
この、生身のニンゲンらしさが 観ていて気持ちいい。
総てが善だけで出来ている人間なんていない。
そう見えるひとがいたら、警戒したほうがいい。それは偽善者かツクリモノ、はたまた天使か?
誰だって、いろんなものがたくさん詰まって出来上がっている。
誰もが最初は無垢な赤ん坊だったはずだけれど、転がって生きていくうちに
いいもの、悪いもの、いろんなものにまみれてオトナになってゆく。
良くも悪くも、それが人間味を増すというものだ。
それでも、善の部分を信じて生きることは たいせつなこと。
自分が善であろうとするこころを 無理なく持てるか、持てないか。
そこが ひとの在りようの 大きな分かれ目なんじゃないかな。
この映画を観終えたら、そんなことを 考えていた。
映画「ブラック・スワン」
美しいナタリー・ポートマンは観たいけど、ちょっとホラーな映画だというから躊躇していたのだけれど、
洋画好き仲間 NちゃんMさんの休みがレディース・デーに珍しく合致したので、三人で観に行ってきた。
さすが、主演女優賞たる演技。
ナタリー・ポートマンは繊細な表情の細やかな演技が見どころだよね。
でも・・・、久しぶりに観たサイコでブラッディな映画に 気持ちはちょっとゲンナリ。
R15指定のワケもなるほど。
「バレエ映画」と思って、うっかり バレエを習っている娘さんとかと一緒には
観に行かないことをお勧めします。
「マンマ・ミーア」がお年頃の娘さんと母娘で観にいくオススメ映画No.1だとしたら、
この「ブラック・スワン」は母娘で観るにはワースト1といったところ。
母と娘の 脆い関係が崩壊していく様は痛々しいし、
あららららら、な シーンは、ちょっとティーンの娘には目隠ししたくなっちゃいそうだし・・・。
サイコなバイオレンスシーンも、予期していないとちょっと刺激が強過ぎる。
オトナでも、グロテスクな映像が苦手な方は、内容を知らずに観ると後悔しちゃうかも。
わたしもオトナですが、何度も思わず手で目を覆っちゃったクチです。
確かに、バレエのシーンは素晴らしいのですが。
けれど、決して「バレエ映画」ではありません。。。ご注意を
映画館に観に行きそびれた「シングルマン」をレンタルしてきて観た。
監督はトム・フォード 主演、コリン・ファース
近年は、ラブ・コメ専任みたいになっちゃってあまりいい役に恵まれていなかったけれど、
この「シングルマン」と「英国王のスピーチ」は本当にハマリ役。
うつくしい映画だったなあ。
物語も映像も とても美しい。
こころの繋がる対象が、異性でも同性でも 愛に変わりはない。
真実の愛を亡くしたひとりの男性の深く悲しい痛みと 無の日常。
そして やっと見えてくる再生。。。
いろんなことを 考えさせられる映画だ。
本物の「愛」。。。
ひとが一生のうちに、ホンモノの愛に出逢える確率ってどのくらいなんだろう。
出逢いは奇跡。ありふれた言葉だけれど、本当にそう思うよ。
あの日 あの道を通らなければ。
あの時 あの店に行かなければ。とかね。
たいせつなものは 案外近くにあったりする。
そして気づかずに通り過ぎてしまったりもする。
ホンモノって思っても、マガイモノだったと後からわかることだってある。
それはそれで 必要な経験だったに違いない。
逆に、時を重ねた後に本物になるってことだってある。
あたりまえなものをあたりまえと思わずに
あたらしい気持ちで、もう一度ちゃんと確かめてみよう。
本能に耳を澄ませて 生あるうちにたいせつに。
もう観に行かれないかな・・・と諦めていたのだけれど、
やっぱりこれは観たいよ!と、思い立って観にいってきた。
「英国王のスピーチ」 さすが、コリン・ファース。
すばらしい演技力。
キャストも素晴らしい!イギリスの名優がぞろり。
コリン・ファースは「ブリジット・ジョーンズの日記」以来、
すきな俳優のひとり。
いかにも英国紳士たる高尚ないでたちながら、ユーモアのセンスもある素敵な人物。
数年前、T先生のお奨めで観た、1995年BBCの「高慢と偏見」の彼は、すこぶる好男子!
コリン・ファースはこのときのMr.ダーシーのハマリ役で、当時英国で一気にブレイクしたらしい。
スクリーンを観ていたら、
え!?この気品のある女性はもしかして・・・!?
なんと「高慢と偏見」のリジーでした。
これにはびっくり~。
リジー役のジェニファー・イーリー(エール?)は言語療法士ライオネルの奥様役で、
年齢より老け役だったみたいだけれど、相変わらず可愛らしい女性~。
一緒にスクリーンに映る場面は一瞬だけだったけれど、
年を重ねたダーシーとリジーみたいで、ちょっと感慨深かったなあ・・・。
そう思って観ていたひと、実は結構いるんじゃないかな。
それにしても、ライオネル役のジェフリー・ラッシュが助演男優賞を
受賞できなかったのは不思議。
こころに残る名演なのにな。
いい映画は、こころに栄養を与えてくれる。。。
しっかりと、養分いただきました。
桜もはらはらと舞う、穏やかな午後でした。
お稽古ごとも 計画停電と公共施設の節電の為 すべてお休み。
家族での小旅行も気持ち的に中止。
新中学生と新高校生の上のふたりはそれぞれに、
ボーリングやら映画やら ともだちと遊び歩いているけれど、
末っ子の娘にも、春休みらしいこと、ひとつくらいなくちゃね。
店は定休日。計画停電もないというし、娘が観たがっていた映画「塔の上のラプンツェル」へ。
娘のともだちRちゃんも一緒に連れて、久しぶりのお出かけ。
ラプンツェル、知らずに行ったらデジタル3D!(お値段にもびっくり)
初めての3D映画、映像にも物語にもどっぷりと 久しぶりに入り込んできました。
CGのアニメなんだってことを忘れちゃうくらい美しいシーン、
紙灯篭がたくさん空に浮かんでゆく光景に ボロボロ感動のナミダが止まらない。
なんの前情報もなく観ちゃったけれど、思った以上に素晴らしい映画でした~。
おとぎ話だけれど、お相手が王子様じゃないところがいいね。
まだチビっこのこの子たちも、いつかこんなふうに
恋をする日がくるのでしょうね。
すてきな、いい恋であるよう 母は祈ります。
ラプンツェルの声、可愛くて、唄も上手な声優だなあと思っていたら、
しょこたんだったのね!芸達者なひとなんだなあ。
可愛いからぴったりです
ナタリー・ポートマンがアカデミー主演女優賞を獲得。
彼女は美しくてすてき。 しかも!彼女の撮った映像がこれまた驚くほどいい。
しばらく前に、レンタルして観た「New York, I Love You」(2008年制作)
この映画は、各国11人の監督が撮った短編がひとつに編まれたオムニバス映画。
この中で、ナタリー・ポートマンが初監督した短編に魅せられた~。
父と娘がセントラル・パークで遊ぶ、何気ないシーンなのだけれども
うわあ~キレイ、って思う瞬間の連続映像!
ひとコマづつ止めて、写真として観たいくらい。
この俳優さんと子役も光ってる。
でも、そもそもこの映画を選んで借りたのは、
監督のひとりに、岩井俊二氏の名があったからなんだな。
ニューヨークをどんな風に描くのかとっても興味があったのだ。
案の定、このひとの撮った短編、とってもよかった。
こころの温度がほわっと上がるような。。。
この映画、ニューヨークの街並みも見所ですね。
映画って、ほんとうにいいもんですね~ って言いたくなるような、
映画を愛して止まないひとびとが想いを込めて作った、映画好きなひとのための映画。
深夜に、チカラを抜いて、のんびり観るのがおススメです。
ふと甦った、人生で一番最初の映画館の記憶は、
鳥取の古い映画館。おじちゃんや従兄妹たちと観た「ゴジラ」だ。
影絵みたいな記憶しかないからモノクロだったのかなあ。
それとも暗かったせいで、影絵のような印象しかないのかな。
しかも、はっきりと覚えているのは、大きな黒ずんだ金網に囲われたストーブに
あたりながら、チラチラと遠くのスクリーンを観ていたこと。
多分、幼稚園にも上がっていないくらいの頃。
小さかったから映画をちゃんとは観ていなかったのだろうな。
それでも、映画が終わったあと、本物の人間の頭がひどく小さく見えて
妙ちくりんで可笑しかったのだけはよく覚えている。
以来、映画を観終えるたびに、その感覚だけは毎回同じ。
きっと、スクリーンの大きい映像と実寸の人間との差を急激に認識することに、
子どもの脳は上手く慣れていないせいなのかもしれないなあ。
それとも、その妙な感覚を楽しんでいたのは、妙な子どもだったわたしだけかな。
いつの頃からか、あの独特な感覚はなくなっちゃった。
映画って、いまはDVDなどで家に居ながらにして観れるけれど、
いい映画もヘンな映画もしっかりと記憶に焼きつくのは
やはり足を運んで映画館で観た映画だ。
このところ、ミニシアターが次々閉鎖していると聞く。
それはとても残念なこと。
映画は文化。いろんな国の文化の窓みたいなもの。
しかし・・・もう少しお手頃だと嬉しいんだけどなあ。
1984年アメリカ映画 「BIRDY」 監督:アラン・パーカー
昔何度も観たお気に入り映画。
ニコラス・ケイジ、これで好きになったんだった・・・、わたし。
今の路線からはほど遠い、わたしのすきだった「ニコラス・ケイジ」たる名演技。
久しぶりにDVDを借りて観た。
ベトナム戦争により、体を負傷したアル(ニコラス・ケイジ)と
こころに傷を負ったバーディ(マシュー・モディーン)。
バーディーは純真さゆえに、現実を受け入れられず、だいすきな鳥になったようにこころを閉ざす。
戦争という狂気に、こころも体もダメージを受けた現在の彼らと、
共に楽しく過ごしたふたりのティーンエイジャーの日々の回想シーンが交互に綴られてゆく。
バーディーを現実に引き戻すために、ふたりの思い出をひとり語り続けるアル。
言葉に出して語ること、思い出すことで、アルもまた、徐々に現実を受け止めていく。
ラストシーンがこれまた、すごくいい。
重いテーマなのに、ラストは泣き笑いで観終えられる映画って、スゴイ!と思う。
回想シーンの愉快なふたりは見もの。
恐いもの知らずで、なんでもできちゃう十代。
男の子の友情の、憧れちゃうようなハチャメチャさと美しさ。
この映画を音楽で彩るのは、ピーター・ガブリエル。
これまたいい感じです。
それにしても、この映画を観るとつくづく、ニコラス・ケイジ氏には
そろそろ、原点に戻ってほしいものだなあ~、と思ってしまう。
彼の「バーディー」や「月の輝く夜に」のころのような本来の名演を
年を重ねた壮年の今の姿でも観たいものだ~。
若いころにショーン・ペンと共演した「月を追いかけて」も名作!
1959年制作のアメリカ映画「渚にて」ON THE BEACH
主演のアメリカ軍潜水艦艦長を演じるのは、
往年のスターのなかで一番すきなグレゴリー・ペック。
今まで不思議と観る機会がなかったこの映画、
初めて観たのだけれど、この映画はすごい。
第三次世界大戦が起こり、核兵器によりほとんどの人類が滅亡。
わずかに生き残っている人々が暮らすのは
オーストラリア大陸の一部の地域のみ、という設定の1964年の世界が舞台。
それでも、見えない放射能は確実に忍び寄り、終わりの日は刻々と近づく。
人々は、その日への恐怖や絶望を抱えながらも残された日々を淡々と過ごす。。。
最後の日に備え、安楽死できる薬が配られる列に静かに静かに並ぶ人々。
集会広場には「There is still time,brother」と書かれた幕がゆらゆらと揺れている。
「時間はまだある」というこの言葉は、観ているものに多くのことを問いかける。
取り返しのつかない戦争の愚かさ、人間の驕り。
幸福とは?生きるとは?
この状況下で、果たして自分ならどう過ごすだろう・・・?
静かな静かなこの昔の映画に深く考えさせられる。
時代設定が1964年という、とっくに過去の未来なのに、
平和の均衡のために核を保有する状況は、愚かにもなにひとつ進歩していない。
哀しいかな、ニンゲンはなんて傲慢な生き物なのだろう。。。
ところで。
カリフォルニアからの無線信号をキャッチし、生存者を確認するため現地へ赴くシーン。
無人の街に、防護服姿の隊員がひとり降り立つ場面の中、
わたし、観てはいけないモノを観てしまった~??
ひとの消えた街・・・。放射能に汚染されて生き物はいない設定のはずなのに、
カモメ(?)が一羽空を横切る・・・。
わたし、あれで、「まだ生き残っている人々がいた!」
って展開を暗示しているのかと思っちゃったんだけど~!?
あれってチェックミスなのか~~?
結局、やはりひとの生存は確認されず、無線は風のいたずらで打電されているだけだった。
とうとうひとが誰もいなくなった広場には、
あの「There is still time,brother」の横断幕がただ揺れている・・・というラストシーンが印象的。
それにしてもこんなに静かに世界の終わりを描いた映画ってきっとほかにはないわね。
騒々しいSFスペクタクル終末映画なんかよりも、よっぽど説得力があるわあ。