時間のしずく time drops 

たいせつなもの。すきなこと。

伝えるたのしさ、伝わるうれしさ

2024-07-03 | essay

預かり保育の現場でおしごとをしていると
実に多様な…というよりも
ひとりひとりが正に唯一無二の存在なのだと実感する。

子どもは毎日変化を遂げて進化する。
幼虫がサナギになり羽化して羽ばたいていくのを目の当たりにしているよう。

入園以来ずっと園ではことばを発せないとあるひとりの男の子。
あっという間に年長さん。
預かり保育にはほんのたまに顔をみせる。
最初の頃は固まったまま笑顔を見せることもなかった彼。。。

でも成長と共に最近表情がとても豊かになってきて、話しかけると目を見て伝えようとする仕草をするようになった。
先日、子どもの人数が少なくなった夕方、床でごろごろしていた彼にわたしが指で蟻の真似をして「アリさんがチョコチョコチョコ〜〇くんに登ってくよー」とくすぐろうとすると
クククッと笑って違う違うと手を振る仕草。
小さな親指と人差し指をぎゅ〜っとくっつけて『もっとちいさい』というようなジェスチャーをして服の上を這わす。
「ん?アリより小さいの?なんだろなあ?」と聞くけれど、コトバでは伝えられない彼。
でも伝えたい気持ちがじりじりと伝わってくる。

そこでハタと思いついて
あいうえおの絵本を出してきて
「〇くん!これこれ!これで指さしてみて!せんせい知りたい!」
と言ってみると…
いつの間にか字を覚えていた〇くん、ゆっくりと指さした文字は「た」。
「た」とわたしが読むと手を振り指で濁点の仕草。
「だ!だね?」と言うとうなづき、次の文字は「に」。

おお〜やった!
「わあー!ダニかー??」と
言うとうんうんとにこにこ顔。
いやはや〜うれしいなあ。
たかが2文字されど2文字!

アリさんより小さい「ダニ」と言いたかったんだねえ。

伝わるってうれしいね〇くん。わたしもうれしい。

後日、折り紙で何か折ってわたしに見せてきたので
「あ!またひらがな指して教えて〜!」と言うと、手を振って紙に書く仕草を。

「え?もう書けるの?」と聞くとうなづく。
お家で家族となら会話が出来る彼。いつの間にかもう字も書けるようになっていたんだね。

紙とわたしの魔法のにじいろえんぴつを渡すと「コウもり」とゆっくり一生懸命書いてくれた。

伝えるたのしさ
伝わるうれしさ。
ひとつひとつの経験が今、その子を形作っていく。

毎日成長していく彼らのたいせつな子ども時代の時間。
たくさんの時間の中、「預かり保育」というほんの数時間の繋がりだけれど、彼らのココロに伴走する時間はかけがえがない。
今日を生きる彼らが「たのしかった〜!」と無事に家に帰れるよう今日もわたしはわたしに出来る最善を尽くす!(オーバーだけど〜!)

いろんなうれしい気持ちを共有させてくれてありがとうね





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