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「母の手紙」岡本太郎著
昭和27年 宝文館発行
若き日のパリ滞在中の息子岡本太郎に宛てた母かの子の書簡本。
昭和27年の初版。中はすっかり茶色く変色した旧字体のこの本。
読んでいるうちにカバーも擦り切れてしまった。
暫く前に古本市で出逢って以来、積読本の仲間入りになっていたこの本。
自宅療養中に、本を整理していて手に取り読み始め、どっぷりのめり込んでしまった。。。
この本は、岡本太郎の人となりが浮き彫りになるような…そんな一冊。
母かの子の我が子への想いに、父一平の二人への想いに、そして太郎の父母への尊敬と慈愛に、何度も泪がこぼれてしまう。
こんなにうつくしい親子愛があるだろうか。
同じ芸術家同士、互いを敬い高め合う…。
家族というより、戦友のような…。
三人が対等に立ち、そして互いに支え合う強い三角錐のようだ。。。
特にわたしのこころに沁み入ったくだりを記しておくこととする。
わたしも忘れないように。。
太郎からの返信の中の母への一文、
「おかあさん、感情家だけではいけませんよ。生きるといふ事実の上に根を置いて、冷酷なほどに思索の歩みを進めて下さい」
この言葉に対し、
「〜この言葉はおまへ自身、頑なな現実の壁に行き当たってさまざまに苦しみ抜いた果ての経験から来る自戒の言葉ではあるまいか。とすれば、おまへの血と汗の籠もった言葉だ。言葉は普通でも内容には沸々と熱いものが沸いてゐる。戒めとして永く大事にこの言葉の意味の自戒を保ち合って行かう。〜略」
本は、ドア。
どのドアを開けるかは自分次第。
出逢えてよかった。。。
追記 奥付の価格のところ、よく見たら地方価格なんてあったんだなぁ。ふしぎだ〜。