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思い立って
コスモスの咲くあの広場へと
自転車を飛ばす。
コスモスは可憐だな。
そよぐ秋風に上手にしなって柔らかく揺れる。
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ウィンクしてるみたいなこ。
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いろんなことがあるけれど
毎年こうしてキレイな姿をみせてくれてありがとう。
父の遺したキャップを被ってコスモスの野原を歩く。
お洒落好きな父はキャップがすきでお気に入りがいくつもあり、どのキャップにもピンバッジが並んでいる。
半分くらいはかつてわたしがあげたものだ。
一番のお気に入りのデニムのキャップは、父が被って旅立った。
88歳で父が旅立ってから5ヶ月。。。
あちらでもきっとあのデニムキャップを被っていることだろうな。
未だに何だか「死」を実感しないのは、散骨するための父のお骨を少し持ち帰って家に置いているせいなのかもしれない。
酒枡に入れた小さなお骨を包んだ箱の上には、父のトレードマークのレイバンのサングラスを乗せてある。
でも、夜になると鳴っていたLINE電話の着信音が聞こえないことに気付いてしまうと不意に寂しくなる。
亡くなる前日まで毎日やり取りしていたLINEのメッセージが届くことはもうない。
父とは色々あって
連絡を断った時期もある。
たくさんの葛藤の末に許すことを選択したのはいつ頃のことだっただろう。
いつの間にか、父のこころの良き理解者になっていたのは本質のところでわたしが父に似ていたからなのだろう。
父の故郷の山陰の海に
春になったら父を還してあげようと思っている。
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